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君と歩く世界

先日、MOVIXココエあまがさきに行くと、新しい会員サービス移行に伴う、
会員カード「MOVIX Club CARD」のサービス終了のお知らせがありました。
先月の19日から告知されていたみたいですが、MOVIXには約1カ月ぶりに行ったので、
その間にこんなことになっていたとは驚きました。
まぁまだ予告段階なので、すぐに終了するわけでもないですが、
「MOVIX Club CARD」はどのシネコンよりも手厚いサービスだったので、
それが近々終了してしまうのは残念でなりません。
なにしろ実質(ネット予約で)5本観たら1本無料ご招待(ポップコーン付き)な上に、
同行者の分までポイントが貰えるという還元率の非常に高いポイントサービスで、
しかも平日は会員価格1300円で映画が観れるという至れり尽くせりな会員カードでした。
新会員カードがどんなサービスになるのかはまだ不明ですが、
日本一だった現行よりもよくなるなんてことはまずあり得ません。
テアトル系の新会員カードのように、ポイント制すらなくなる惧れも…。

ボクはポイントを貯め込むのが大好きなので、ポイントサービスがないT・ジョイ系や、
大阪ステーションシティシネマにはほとんど行かないのですが、
ひとまずポイント付与が終了する9月以降はMOVIXにも行かないかな…。
でもサービス完全終了する来春までに貯め込んだポイント全部使わないと勿体ないし、
しばらくはMOVIXに通うことになるのかも。

ということで、今日はMOVIXで有料鑑賞するのが最後になるかもしれない作品の感想です。
でもポイントの端数が勿体ないから、使いきるためにあと何本か有料鑑賞するかな?

君と歩く世界
Rust and Bone

2013年4月6日日本公開。
マリオン・コティヤール主演の人間ドラマ。

南仏の観光施設でシャチの調教師をしているステファニー(マリオン・コティヤール)は、ショーの最中に事故に遭い、両脚の膝から下を失ってしまう。失意の彼女を支えたのは、不器用なシングルファーザーのアリ(マティアス・スーナールツ)だった。粗野だが哀れみの目を向けずフランクに接してくる彼と交流を重ねるうちに、ステファニーは次第に生きる希望を取り戻していく。(シネマトゥデイより)



本作は第65回カンヌ国際映画祭のコンペ部門にノミネートされたフランス映画です。
その時パルムドールに輝いたのが、超退屈な映画『愛、アムール』で、
そんなものに負けた作品とあっては、あまり期待できないような気もしましたが、
カンヌ国債映画祭の審査員はかなり捻くれた人ばかりが選ばれるので、
パルムドール受賞作よりもノミネート作の方が面白いのは毎度のことです。
本作は、日本では先週末公開が始まりましたが、同日には同賞のノミネート作でもあり、
やはりフランス映画でもある『ホーリー・モーターズ』も公開が始まりました。
どちらを観に行くか、かなり迷ったのですが、ハリウッド映画ファンのボクとしては、
ハリウッドでも活躍するフランス人女優マリオン・コティヤールの主演作という理由で、
本作に軍配があがりました。(『ホーリー~』もそのうち観るかも。)
今週末には同賞のノミネート作であるカナダ映画『コズモポリス』と、
同イギリス映画『天使の分け前』も公開が始まりますが、
各配給会社が示し合わせて第65回カンヌ映画祭のコンペ作を集中公開してるんですかね?
そういえば再来週公開のハリウッド映画『ジャッキー・コーガン』もそうですよね。
どれも面白そうな作品ですが、どの作品にも共通してひとつ確かなことは、
パルムドールの『愛、アムール』よりは面白いということでしょう。

もちろん本作も『愛、アムール』と比較すれば、数百倍面白かったです。
が、しかしそれは比較対象が比較にならないほど酷いだけの話であり、
並の映画と比べたら、ちょっと微妙だったかもしれません。
なんというか、物語にまとまりがなく、どことなくグダグダ感があります。
絶対感動するに違いないと思って、ハンカチを握りしめて鑑賞しましたが、
ハンカチの出番はなく、特に感動も出来ませんでした。
なぜこんなにまとまりがないのかと思い、調べてみて納得しました。
なんと本作は、2本の全く繋がりのない原作小説を、混ぜて一本にした物語だったのです。

本作は内容をザックリ説明すれば、事故で両足を切断したシャチの女性調教師と、
地下格闘技で稼ぐ子持ちの元ボクサーのロマンスです。
その原作は、事故で両足を切断したシャチの調教師(男性)が主人公の物語と、
賭けボクシングのボクサーが主人公の物語の2本で、どちらも同じ作者の短編小説です。
別々の物語の主人公をカップリングして、ロマンスにしてしまうなんて、
いくらなんでも無理があったんだと思います。
テーマ的には似通っているところもありますが、描く方向性は違うので、
まとまりがないというか、グダグダ感があるんですよね…。
短編小説を長編映画にする場合、違う作品のエピソードを取り込む手法はよくあるけど、
本作は2本を同率で並行して描かれていて、どっち付かずな印象になっています。

…いや、実際は片方の物語の方にほんの少し偏重しているのですが、
それがまさかの元ボクサーの物語の方に傾いているんですよね。
どう考えても、両足を失ったシャチの調教師の方がドラマとして興味深いはずなのに、
…というか、ありがちな元ボクサーの物語と同列になってることすらおかしいのに、
元ボクサーの話が縦軸で、調教師が横軸と、逆転してしまっています。
しかも調教師の方は最も活躍するフランス人女優マリオン・コティヤールなのに、
元ボクサーの方は全然知らないベルギー人俳優ですよ。
どう考えても調教師の物語がメインでなければ納得できません。

冒頭も元ボクサーのアリのシーンから始まります。
アリは妻と離婚し、5歳の息子を連れて姉夫婦の家に身を寄せることになります。
一方、シャチの調教師ステファニーは、ショー中の事故で両足を切断することに…。
その事故の様子も描かれてはいたのですが、あまり明確ではなく、
スライディングするシャチとぶつかったように見えましたが、状況はよくわかりません。
病院のベットで目覚めたステフは、自分の足が無くなっていることに絶望します。
それから数カ月、彼女は自宅に引き籠りますが、ある日なぜかアリに電話します。
アリとは事故以前にクラブで一度会ったきりなのに、なぜ彼に今更電話するのか…?
電話を受けたアリはステフを訪ねますが、なぜ彼女に会いに行くのか…?
アリはナンパ男なので、下心で美人なステフに会いたかったならわかるけど、
彼女が両足を切断し、それどころではない状況なのは報道で知っているはずなのに…。
ステフを訪ねたアリは、嫌がる彼女を散歩に連れ出し、ビーチで泳がせてあげます。
歩けなくても海では自由に泳げたステフは、かなり元気になり、
アリはそれ以来ちょこちょこ彼女を泳ぎに連れて行ってあげるのです。

でもアリがそんなに献身的で優しい男だとは思えないんですよね…。
スポーツジムの女性インストラクターや、息子の世話をしる隣の家の女性にまで手を出し、
泣き叫ぶ幼い息子をソファーに投げ飛ばしたり、大麻も常用するような粗暴な男です。
一度面識があるだけの身体障害者に優しくするような男だとは到底思えません。
それも2つの短編小説の主人公を巡り合わせるために、
話の流れや人物像を無視して強引にこじつけた展開だと思われます。

アリと友達になって、元気になったステフは、彼に好意を寄せるようになりますが、
彼は相変わらず女遊びが激しくセフレも何人もいるようで…。
一方、自分は両足切断以来ご無沙汰で、欲求不満気味。
それを察知したアリは「ヤるか?」と彼女を誘い、肉体関係になります。
身体障害者の性というのは、映画でもタブー扱いされることが多いですが、
ちゃんと濡れ場も描いて、それに果敢に挑んでいる本作の姿勢には感心します。
流石は『最強のふたり』を生んだフランス映画ですね。
まぁ身体障害者といっても、膝から下がないだけなので、
歩けないけど、ベットの上ではあまり支障はなさそうですね。
それ以降、ステフは度々アリを呼び出しては、セックスするのですが、
アリにとっては彼女もセフレのひとりでしかないのか、他の女とも遊びます。
ステフも美人なので他の男からナンパされたりもしますが、
男は彼女の義足を見るなり逃げて行き、彼女は悲しくなります。
アリはステフに「関係を続けるなら思いやりが必要だ」と説教され、女遊びをやめますが、
はじめからずっと彼のステフをどう思っているのか掴めていないので、
急にステフ一筋になった心境も全然理解できず…。
それほど彼女との関係を大事に思っていたのなら、それ以前から女遊びするかな?

結局、両足を失って絶望したステフは、アリとの出会いで救われたという話ですが、
それだけの苦悩であれば、海で泳いだ時点で9割方解決していました。
ボクとしてはステフがシャチの調教師に復帰してこそ、
本当に障害を克服したと言えると思うのですが、本作ではそこまでは描かれず、
アリとのロマンスが成就した時点で彼女の物語は終わってしまいます。
何ともスッキリしない幕引きです。
それにしても、両足のないシーンってどうやって撮ってるんでしょうね?
もちろんステフ演じるマリオン・コティヤールは五体満足なので、
特撮やCGを使用してるはずですが、とても自然で驚かされます。
普通そういう撮影の場合は、足元が映らないアングルを多用したりするけど、
本作は逆に足の切断面や細い義足が殊更映るように撮られています。
別に両足がない身体障害者を見てもどうということはありませんが、
あのコティヤールに両足がないとなると、やっぱり衝撃的に映りますね。

中途半端な印象だったステフの物語ですが、一方のメインとなるアリの物語はと言うと…。

アリは当初、真面目に警備員として働きはじめますが、
経営者の依頼で従業員を監視する違法に隠しカメラを取り付ける男と知り合い、
その男の仲介で違法な格闘技賭博に出場することになります。
ルール無用で素手で殴り合う地下格闘技ですが、地下ではなく野外で、
リングやマットもなく砂利が落ちてる地べたの上で戦う滅茶苦茶な試合です。
血まみれになりながら、それを一日に何試合もやりますが、
アリはファイトマネーのためではなく、殴り合いが大好きなので楽しんでいます。
そんなに殴り合いが好きで、しかも強いんだから、ボクシングを続けていればいいのにね。
ジムにも通ってるけど、なぜプロにならないのか不思議です。
6年続けたボクシングをやめた理由でも描かれていれば、まだ納得できますが、
結局彼は最後にはプロボクサーになるし、別にプロになれない理由は無さそうですし…。

アリは格闘技賭博を続けながら、仲介役の男の違法な隠しカメラの仕事も手伝います。
しかしその隠しカメラが原因で、彼の姉が勤め先のスーパーマーケットで、
期限切れの商品を持ち帰っていたのがバレて、解雇されたのです。
不況で従業員をクビにしたい経営者が、クビにする口実を探すために、
従業員を監視する隠しカメラを取り付けさせているのです。
日本でも防犯目的ではない従業員監視カメラが増えてきていますが、嫌な世の中ですね。
監視カメラ自体は違法ではないと思うけど、隠しカメラは法に触れるのかな?
違法な証拠では従業員をクビにはできないと思うんだけど…。
それに廃棄処分される期限切れの品くらい、従業員にあげればいいと思います。
無駄な食品廃棄も減って環境にもいいしね。

クビになった姉は、経営者に加担したアリに銃口を向け、家から追い出します。
住む場所を失った彼は、雪深い山奥の道場みたいなところでボクシングの練習に励みます。
少し月日が流れたある休日、アリの所に久しぶりに息子が遊びに来ます。
アリは息子とふたりで氷の張った湖でソリ遊びをしますが、息子が凍てつく湖に転落。
慌てて拳で分厚い氷を叩き割り、息子を引き上げ、病院に連れて行きます。
ボクもさすがに息子は死んだと思いましたが、何とか一命は取り留めました。
しかも凍傷などもなく、全快した模様です。
そのことがあってアリは改心し、プロボクサーになった、というような話です。
モノローグで「骨折すると骨折個所が強くなることがある」というようなことが語られ、
つまり「大きな災いを経験することで、人は強くなる」と言いたいのでしょうが、
本作の展開だと、アリは息子が遊びに来る前から、すでに改心してたし…。

なによりこのアリの物語には、大筋ではステフはほとんど関与してないんですよね。
終盤まではアリとステフのロマンスだったはずが、最後は父子の家族愛に着地してるし…。
これではまとまりがないと感じてしまっても当然です。
おそらく父子の絆を描いたアリの物語を映画化する企画が先にあり、
それだけでは弱いので、そこにステフの物語をロマンスという形で無理やり足したが、
足した物語のインパクトが強すぎて、メインの物語が喰われてしまったのでしょう。
なのでロマンスも家族愛も中途半端になってしまったのだと思います。
題材はいいので、才能ある脚本家が手を加えれば大化けする可能性がありますが、
このままではコティヤールの障害者役の熱演以外に観るところがない作品でした。

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