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DRAGON BALL Z 神と神

毎年、6月末か7月初めに、上半期のまとめ記事として、
上半期の面白かった映画のランキング的なものを書いていましたが、
今年はそれをやめて、四半期ごとにベスト3(順不同)を書くだけにします。
やっぱり新しい映画の方が印象が鮮明なので、高く評価しがちになるため、
1月公開と6月公開の作品を比較するのは難しいからです。
でも3カ月間ならそれほど差もないかなと思われます。
比較的新しい作品なので、まだ上映しているところもあるかもしれないし、
見逃している人には是非観てもらいたいと思います。
年末のランキングと矛盾が生じることがあるので、順位も付けません。

2013年第一四半期ベスト3(日本公開日順)
『人生、ブラボー!』…カナダ映画史上最も好き。ハリウッド・リメイクも進行中。
『世界にひとつのプレイブック』…オスカー作品賞候補の中では暫定一位の傑作。
『シュガー・ラッシュ』…絶賛公開中。これ以上のアニメ映画が今年公開されるかな?

ということで、今日は第一四半期最後の映画の感想です。
もしベスト5だったら、『テッド』と本作を加えたかもしれないです。

DRAGON BALL Z 神と神
ドラゴンボールZ 神と神

2013年3月30日公開。
大人気テレビアニメ『ドラゴンボールZ』の17年ぶりとなる劇場版。

かつて地球を消滅させるほどの力を誇った魔人ブウとの壮絶な戦いから数年後。長い眠りから目覚めた破壊の神ビルスは、フリーザを倒したというサイヤ人の話を聞き、孫悟空の前に現われる。宇宙を管轄する界王の忠告に耳を傾けず久々の強敵に挑んだ悟空だったが、ビルスの強大な力に歯が立たず敗北を喫する。さらなる破壊を求め姿を消したビルスの暴走を止めるべく、悟空や仲間たちが立ち上がる。(シネマトゥデイより)



いやー、それほど期待はしてなかったのですが、予想外に面白くてビックリでした。
1989年から1996年まで放送していたテレビアニメ『ドラゴンボールZ』は
当時ほとんど見てないませんでしたが、その頃『週刊少年ジャンプ』は愛読していたので、
漫画『ドラゴンボール』自体はある程度知っています。
でも漫画だけなので連載終了後の話を描いた『ドラゴンボールGT』も見てないし、
劇場版を観るのも14作目の本作が初めてでした。
コミックスも買ってなかったし、それほど熱烈なファンではなかったかも。
なのに内容をほとんど忘れてないんですよね。
やっぱり並大抵の漫画ではなかったということでしょうか。

本作はそんな並大抵ではない原作者・鳥山明が、自ら脚本を手掛けています。
鳥山明が劇場版の脚本を描けるのは初めてのことで、
今まではアニメのスタッフにお任せしていたそうです。
『ONE PIECE』『NARUTO』『HUNTER×HUNTER』『銀魂』など、
原作者が劇場版の脚本に関わるのは、最近のジャンプ系アニメの流行ですが、
鳥山明が脚本を自ら執筆しようと考えたのは、流行に乗っただけではありません。
映画スタッフに任せた挙句、悲惨な作品になってしまった、
実写版ハリウッド映画『DRAGONBALL EVOLUTION』(DBE)に幻滅したためでしょう。
かなり悪妙高き作品でしたが、ボクは意外と楽しめてしまったものの、
あれが『ドラゴンボール』かと問われたら、全く別物でしたね。
評判も最悪だったので、原作者が憤るのも無理はなく、
「こんなことになるなら自分で…」という思いが募ったのでしょう。
(実際は『DBE』にも口出ししたそうですが、無視されたみたいです。)
本作もスタッフの持ってきた脚本を読んで、「世界観が違う」と思い、
『DBE』の過ちは繰り返すまいと、自ら脚本を書いたらしいですね。
でも配給は『DBE』で失態を演じた20世紀フォックスが行っているようで、
腐れ縁は簡単には切れないということかな。

スタッフの持ってきた脚本の、何が原作者の意に添わなかったかと言うと、
シリアスな重い物語で『ドラゴンボール』らしくなかったことのようです。
破壊神が地球を破壊するのを阻止する話ですからね。
普通に考えたら、かなりハードな展開になるのは間違いないでしょう。
しかし彼はそのプロットを活かしつつも、本作をコメディに仕立ててしまいました。
この発想、この手腕が素晴らしく、感服してしまいます。
思い返してみると『ドラゴンボール』は後半になるとバトル漫画化していますが、
もともとはギャグ漫画としてスタートしてるんですよね。
『Dr.スランプ』の作者でもある鳥山明もギャグ漫画出身の漫画家ですが、
後半バトル漫画化したのはジャンプ編集部の意向が強かったのでしょう。
そしてハリウッド以外ではどんな我儘でも通る大御所になった今、
ギャグ漫画家としての本領を発揮して作られたのが本作でしょうね。

『ドラゴンボール』は、もうそれ自体がギャグじゃないかと思うほど、
後半のパワーインフレが酷く、主人公は宇宙最強どころか神界最強になります。
まぁいろいろと理由をこじつけて、更に強い敵を出すことは出来るでしょうが、
バトル漫画としてはもう楽しんで読める限界を超えていたでしょう。
だから連載終了後の後日談である本作も、バトルものだったら面白くなかったはず。
ところがコメディとして描くことで、パワーインフレ自体をネタとして昇華しています。
宇宙最強の破壊神ビルスが、地球を破壊しようとするという壮大な内容なのに、
その原因がビルスがプリンが食べられなくて拗ねたという、かなり小規模な展開で、
そのギャップがギャグとして面白いです。
壮大な話なのに矮小な展開と言う落差が、ギャグの破壊力に比例し、
パワーインフレが極限まで達した『ドラゴンボール』にしか出せない面白さでしょう。

本作の敵である新キャラ、破壊神ビルスは、宇宙最強の存在ですが、
破壊神からイメージされる邪悪なキャラではないです。
古代エジプトの冥界の神アヌビスを彷彿とさる容姿ですが、
あまり強そうな印象もないし、かっこよくもないため、
本作の敵キャラがこんなやつだと知った時には、かなり懸念を感じました。
しかしギャグ漫画であれば、その容姿と強さのギャップもギャグになります。
性格も気分屋なので危険な存在ですが、とても人間味に溢れていて、敵なのに憎めません。
登場時から39年の眠りから覚めたばかりなのに、あと2~3年、二度寝しようとしたり、
猫が顔を洗う仕草をしたりと、かなりお茶目なやつです。
すごく偉い神様なはずなのに、付き人のウイスと友達のような関係で、
(これには事情があったわけですが、)破壊神なのにとても気さくで好印象です。
その点では魔神ブウに似てるかもしれませんが、ブウよりもっと人間味があります。

破壊神ビルスは、「超サイヤ人ゴッド」という戦う予知夢を見ます。
さらに予言魚からも「強敵が現れる」という予言を受けて、興味を持ち、
超サイヤ人ゴッドを捜すため、地球のサイヤ人たちに会いに来るという話です。
過去にフリーザに惑星ベジータの破壊を命じたのもビルスであるとの逸話が語られますが、
こういう設定は原作者が脚本を務めないと描けないものですよね。
ただ、ボクはテレビと映画は別物であるべきだと思っているので、
劇場版とは言え、あまり原作を引きずったり、予備知識を必要とする設定は感心しません。
本作にはファンサービス的に、原作のキャラクターが多数出演していたり、
キャラの経緯や性格を熟知してないとわからないネタも多いです。
ベジータがプライドを捨てた行動なんて抱腹絶倒ものですが、
それもベジータの性格と行動とのギャップがわからないと面白くないわけで、
たぶん原作を全く知らない人が観たら、本作の笑いの8割は損します。
そういう意味では、本作はダメな作りの劇場版だと思いますが、
ただ『ドラゴンボール』くらいの国民的漫画になると、
原作の内容も予備知識とは言えないくらいの常識と思えるかも…。

それに放送(連載)終了したテレビアニメ(漫画)の後日談なので、
『ONE PIECE』のように内容が原作に干渉することもなく、
放送中のテレビアニメの劇場版よりも寛容に受け止めることができます。
(なぜなら原作が原作だけで成立しているため。)
それに原作者の手を離れて独り歩きした後日談『ドラゴンボールGT』が、
原作者による正当な続編である本作の登場で立場が微妙になったのは、
原作漫画オンリーの読者としてはちょっと嬉しいです。
ただ「ベジータに弟がいた」なんて設定は原作漫画にもないものだったので、
やはり漫画ではなくアニメの続編なんだと実感してしまって、ちょっと残念…。
そういえば数年前にテレビアニメ『ドラゴンボールZ』を再編集した
『ドラゴンボール改』ってテレビアニメがありましたよね。
あれはセル編までで終了(打ち切り?)になっちゃったようですが、
魔神ブウ編の後日談である本作を製作するつもりだったなら、
無理してでも魔神ブウ編の最後まで放送すればよかったのに…。
そしたら連載当時を知らないチビッコたちも本作をもっと楽しめたはずです。

原作のキャラで最も意外な登場だと思ったのはピラフ一味でしょうね。
たぶん原作後半を描く『ドラゴンボールZ』では登場してないくらいの懐かしいキャラです。
まだ原作がギャグ漫画だった頃のキャラなので、コメディである本作への登場するのは、
相応しいというか必然というか、とにかく本作の見どころのひとつです。
ピラフ一味が登場したのは、単なるファンサービスではないと思います。
ピラフ一味の女性構成員マイは、妙な形で『DBE』にも登場していますが、
その扱いに不満を持った原作者が、「マイはこうして活かすんだ」と、
自ら手本を示そうとしたのだと思います。
本作でのマイは、ボスであるピラフよりも活躍していて、
意外な展開ながらも、過去最高に魅力的に描かれています。
本作を境に、シリーズ屈指の人気キャラになりそうな予感です。
マイは確実に本作をより面白いものにしているし、
『DBE』があったことで、本作にポジティブな影響があったとすれば、
完全な失敗作である『DBE』の存在も無駄ではなかったのかも…。

意外なキャラに焦点が当たった半面、本作のシリーズ主要キャラの扱いは、
主人公の孫悟空と、ライバルであるベジータ以外はカメオかと思うほど地味でした。
(あ、ブルマもそこそこ活躍したかな。)
特に悟空の息子である悟飯は、セル編までは後半の実質的主人公だと思ったのに、
キャラの崩壊が酷く、かなり残念な扱いだったと思います。
バトル漫画時代に育ったキャラだからか、コメディには合わないのかもしれませんね。
ただ(何度も比較して申し訳ないけど)『ONE PIECE』のように、
主要キャラが増えても各キャラに魅せ場を作ろうとすると、
劇場版では時間が足りず、ストーリーが薄まってしまうので、
活躍するキャラを絞るというのはいいことだと思います。
そのお陰で新キャラである破壊神ビルスやウイスの人物像を描くのに時間を割け、
面白いキャラが誕生したことで、作品としてもいいものになってるんですしね。
あ、そういえば面白くない新キャラ(?)もいました。
寿司屋のオヤジと白バイ女性警官…、理由は言わずもがなでしょう。

コメディとして秀逸な本作ですが、終盤のバトルシーンも秀逸。
超サイヤ人ゴッドになった孫悟空と破壊神ビルスの肉弾戦による空中戦は、
かなり疾走感があり、いつまでも見ていたいようなスタイリッシュな映像でした。
これは劇場版だから作画に気合が入っているのもあるでしょうが、
CGを使った映像の進歩によるところが大きいでしょうね。
フリーザ編以降は、いくら強くなっても戦い方は一緒でしたが、
今回は見せ方を工夫しているので、本当に今までより強くなったように感じられます。
(ちょっとネタバレですが)超サイヤ人ゴッドもなかなかよかったと思います。
ボクは超サイヤ人3のデザインが好きじゃないので、
それ以上のパワーアップするとどんな姿になるのか不安もありましたが、
ほぼノーマルの孫悟空のままで安心しました。
姿だけでなく変身方法のアイディアもよかったと思います。
他のサイヤ人から一時的にパワーを借りるというもので、
その条件も限定的であるため、いつでも変身できるわけではないのがいいです。
特に今後劇場版シリーズを続けて行こうとするなら、その設定は重要ですよね。
(『ドラゴンボールGT』にも影響が出ないし。)

ただ、シリーズを続けようという意図があからさまなのは如何なものかと…。
これだけの佳作であれば、続編が製作されるならもちろん嬉しいけど、
1本の作品として、中途半端な形で幕を閉じたのは、あまり感心できません。
結局、破壊神ビルスには本気の7割程度の力しか出させず、
超サイヤ人ゴッドの孫悟空も8割程度の力で戦っていたみたいで、
双方総力を使うことなく、孫悟空の「参った」でビルスのTKO勝ち…。
そのズッコケ展開もコメディとしては悪くはないものの、やっぱり消化不良は残ります。
しかも宇宙最強のビルスですが、地球の存在する宇宙は第7宇宙だそうで、
ビルスは第七宇宙で最強なだけで、宇宙は全部で第12宇宙まであるとか…。
パワーインフレのこじつけは別にいいけど、それをするのは次回作でいいんじゃない?
しかも孫悟空単独ではビルスとまだ圧倒的な差がある状態なのに…。
まぁパワーインフレを逆手に取ったネタなんて、何度も通用するものではないし、
次回作がバトルものに戻るのか、また違う工夫をしてくるのか、
それはそれで興味深いので、楽しみに待ちたいと思います。
再び眠りに着いたビルスが目覚めるのは3年後だそうで、
次回作の公開も2016年くらいを目途に考えているのかな?

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