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ボクたちの交換日記

先月末に最後のシングル『ありがとう』がリリースされたFUNKY MONKEY BABYS。
今日、最後のベストアルバムがリリースされ、6月のコンサートで解散するんですよね。
ボクはメーンストリームの日本語ラップに傾倒していたために、
はじめは異端な彼らをセルアウトだとバカにしていましたが、
日本語ラップに対する熱が冷めるのと比例して、彼らの良さに気付けるようになりました。
それはホンの2年前のことですが、もう解散しちゃうなんてとても残念です。
なんでもDJケミカルが実家の寺を継ぐために音楽活動を引退するそうですが、
FUNKY MONKEY BABYSみたいな人気グループを捨てるなんて、勿体ないですよね。
やっぱり「坊主丸儲け」ってのは本当のことなのかな?
異端だったとはいえ、チャートから彼らが消えたことで、
日本語ラップが更に下火になるのは間違いなく、元ヘッズとしても少し寂しい気がします。

可哀想なのはDJケミカルに脱退を切り出せれ、解散せざるを得なくなった残りの2人。
もともと2人のユニットだったので、そのまま続けてもよさそうなものですが、
グループにとってDJケミカルの存在は、ボクが思うよりも大きかったみたいですね。
2人とも別々に音楽活動を続けると思いますが、今のご時勢ではたぶん売れません。
メーンストリームからも相手にされず、かなり苦労すると思われます。
この解散にはかなり遺恨が残るような気がします。

ということで、今日はFUNKY MONKEY BABYSが主題歌を務めた映画の感想です。
解散するお笑いコンビの物語で、本作のために書き下ろした主題歌ですが、
FUNKY MONKEY BABYS自身の状況を歌っているようにしか聞こえませんね。

ボクたちの交換日記
ボクたちの交換日記

2013年3月23日公開。
放送作家・鈴木おさむの小説『芸人交換日記 ~イエローハーツの物語~』を映画化。

甲本孝志(小出恵介)と田中洋平(伊藤淳史)はお笑いコンビ「房総スイマーズ」を結成して12年目だが、いまだに売れる気配がない。コンビの将来について膝を突き合わせて話すことをしてこなかった二人だったが、彼らはもう30歳。お笑いに情熱を傾け続け、相方と一緒に成功したいと願いつつも後がない二人は、互いに本音を語り合うべく交換日記を始める。(シネマトゥデイより)



『ONE PIECE FILM Z』でもボロカスに書きましたが、
ボクは出たがり裏方が大っ嫌いで、放送作家・鈴木おさむはその最たる存在です。
今の面白い番組が少ないテレビ業界を低迷させている戦犯のひとりのくせに、
どの面下げて堂々と顔出せるものだと。しかもその顔で。
テレビ業界で大物面して閉じこもっている分には好きにすればいいが、
そのスタンスのまま映画に関わってこられるのは勘弁してほしいです。
だから鈴木おさむの小説が原作である本作は、観るつもりはありませんでした。
主演の伊藤淳史も苦手で、理由はないけど彼の演技は生理的に受け付けないので、
鈴木おさむと伊藤淳史の負の相乗効果で、間違っても観に行くはずはないと思ってました。
ただ、メガホンを取ったウッチャンナンチャン内村光良は好きです。
しかし監督として彼を評価はしてないし、芸人が監督することにも肯定的な印象はなく、
ウッチャンの監督作というプラスよりも、鈴木おさむ原作というマイナスの方が、
圧倒的に強く、やっぱり観に行く気にはなれませんでした。

しかし、急転直下の出来事が。
キングコング西野亮廣が鈴木おさむの原作小説『芸人交換日記』を、
「ちっとも面白くないし、都合よく乗っかる芸人はもっと面白くないですね。」
とツイッターで批判したそうじゃないですか。
鈴木おさむ嫌いのボクも、「キンコン西野、よく言った」…とはなりません。
キンコン西野に対する嫌悪感に比べたら、鈴木おさむの不愉快さなんてまだマシです。
あの日本一面白くないキンコン西野が「面白くない」と感じるものは、
逆に面白いんじゃないかという、「敵の敵は味方」的な感じで、急激に本作に関心が…。
鈴木おさむ原作、伊藤淳史主演というネガティブな印象より、
西野が批判したというポジティブな印象が若干上回り、結局観に行くことにしました。
というか、鈴木おさむの妻で先輩芸人の森山中大島が、西野の発言にブチギレして、
大きく報道されたことでボクもその騒動を知ったわけのですが、
今思えば炎上商法というか、本作のステルスマーケティングだった気も…。
西野にとって何のメリットがあるのかはわかりませんが…。
まぁ何にしても、こんな作品選びはあまり褒められたものではないですね。

そんな経緯で観に行ったので、端から大した期待はしていませんでしたが、
その期待を更に下回る作品だと思いました。
本作を批判すると、西野と同じ感性だと思われそうで抵抗がありますが、
たぶん西野が批判した原作小説はそれなりに面白いけど、
それの映像化作品で、西野が批判してない本作は面白くなくなったのでしょう。
原作小説を読むことは絶対にないので、それは単なる憶測に過ぎませんが、
本作が原作に劣るという確信めいたものがあります。
それは原作が交換日記形式で書かれていたのがウケたという事実です。
大ヒット小説を映像化した駄作『クラウドアトラス』にしてもそうですが、
文体に趣向を凝らした小説は、当然映像化すればその趣向は無意味になり、
原作よりも面白くなくなるのは必然です。
そもそも物語に自信がないから文体に趣向を凝らす場合が多く、本作はまさにそれです。
映像化により交換日記形式を捨てた時点で、微妙な物語だけが残ってしまいました。

とはいえ、ウッチャンが本作を監督したいと思ったように、
またキンコン西野が思わず批判してしまったように、
良きに悪しきにしろ、芸人の琴線には触れるないようだったのだろうと思います。
ただボクは芸人ではないし、芸人のコンビ愛というのも理解していません。
そもそもボケとツッコミのコンビ芸というのは日本独特のスタイルで、
日本のお笑いは海外では受け入れられないなんて話も聞きます。
関西人として小さい頃から漫才に慣れ親しんできたボクも、
「芸人はコンビが普通」と刷り込まれていましたが、
ここ数年、ハリウッド映画に嵌りアメリカのコメディアンを観る機会が増え、
逆にテレビのバラエティ番組をあまり見ない生活が続くと、
芸人がコンビであることの必然性が理解できなくなってきました。
話芸である漫才は相方が固定されている方がいいとは思うけど、
ネタもしないバラエティ番組でコンビである必要があるのか…。
結局バラ売りされるし、生保不正受給など相方に足を引っ張られたりもするし、
四六時中一緒でコンビ仲も悪かったりするのに、それでもコンビを続ける理由って…?
単なる親友や同僚ではなく、よく「夫婦」に例えられたりもしるし、
「ブロマンス」的な関係に近いようにも思うけど、それもなんだか違う気がする。
結局は実際にコンビ芸人になってみるか、芸人にかなり理解がないと、
本作の主人公には感情移入できないのだろうと思います。

ただ、鈴木おさむだってコンビ芸人ではありません。
放送作家として、芸人と接する機会も多いでしょうが、
彼らの関係や心情をちゃんと理解しているのかは疑問です。
売れない芸人の苦悩を書いた本作ですが、業界人が書いた内容の割には、
あまり人物像にリアリティが感じられないように思うんですよね。
ボクみたいな素人でも、売れない芸人は家族や経済的な問題でもっと悩んでると思うし、
事務所の力関係や、芸人間での妬み嫉み、テレビ局やスタッフとの人間関係など、
意図的に業界の裏の部分が描かれていないとさえ感じます。
自身が関係者なので自分の職場のことを悪く描けないというか美化しちゃうのもわかるが、
客が求めているのはそんな綺麗事ではないと思うんですよね。
小説や映画など、テレビ以外の分野に挑むからには、その覚悟は持ってほしいです。

結成12年目の売れないお笑いコンビ「房総スイマーズ」。
年収90万円(意外と貰ってる)で、今のままじゃダメだと思ったツッコミの甲本は、
倦怠期の相方とコミュニケーションを取ろうと、ボケの田中に交換日記を提案します。
うーん、バイトしながらネタ作ったりしている田中が危機感を覚えるならわかるけど、
恋人の家に転がり込んでヒモ生活を満喫している甲本から提案するなんて不自然です。
(しかも恋人をキャバクラで働かせるなんて、カス野郎ですよ。)
それに交換日記を始めようなんてコンビが、売れそうかどうかは別としても、
仲良さそうだし、少なくともコンビ間に問題はない気がします。
はじめ田中は嫌がるので、甲本の片想いとようにも思えるけど、
田中も律儀に交換日記で返信するところを見ると、満更でもなさそうです。

売れないまま30歳目前になってしまった房総スイマーズですが、
12年も続けていると売れるチャンスもあったようで、
5年前に深夜のネタ番組『新しい風』に出演したこともあります。
『新しい風』は『めちゃイケ』や『はねトび』の前身『新しい波』がモデルでしょうね。
彼らも後身番組『スクランブルエッグ』のレギュラー候補になりますが、最終選考で落選。
甲本曰く「レギュラーがみんな25歳以下だから…」というのが落選理由ですが、
いやいや…、今30歳手前なら君らも5年前は普通に25歳以下ですけどね。
でも田中は川野Pからネタ作りの才能を見出され「構成作家にならないか」と誘われます。
しかし田中は「甲本とコンビがいい」と断るが、甲本には川野Pに対して遺恨が…。
このコンビは田中がネタを書いていて、甲本は全く書いていません。
これもお笑いコンビの不思議なところで、芸人のくせにネタも作らないなんて、
そういう奴はどんなメンタリティでお笑いを志すのでしょうね?
普通はネタを書かない方はギャグのひとつでも考えるものですが、
甲本はカンニング竹山に指摘されるまで、その発想すらなかったみたいで…。
まぁ彼はツッコミだから、一発ギャクなんて考えても仕方がないけど…。
彼は考えた一発ギャグを田中にやらせようとしますが、田中は恥ずかしがって嫌がります。
面白いかどうかは別にしてもボケがギャグを恥ずかしがるなんて、
このコンビ、ボケとツッコミが逆の方がいいんじゃないのかな?

そんなある日、年末にお笑いコンテスト『笑軍天下一決定戦』の開催が決定。
日本一のお笑いコンビを決める大会で『M-1グランプリ』みたいなものですが、
漫才だけじゃなくコントもOKで、結成10年という縛りもないみたいです。
素人も含め2000組が応募し、4回戦の準決勝までに20組に絞られ、決勝は10組で争います。
田中は是非出場したいと思いますが、甲本はおよび腰で…。
彼は2年前のお笑いコンテスト(『キング・オブ・コント』かな?)の準決勝で、
緊張のあまりネタが跳んでしまって、それが原因で敗退したことがトラウマに…。
お笑いコンテストって、視聴者まで緊張しちゃう独特な雰囲気があるし、
ネタが跳ぶなんてことよくありそうですが、決勝ではそんなシーンみたことないです。
やっぱり決勝まで上がってくる芸人って、面白い以上にメンタルが強いんでしょうね。
田中の説得により、甲本も「最後のチャンス」という意気込みで出場を了承します。
どうでもいいけど、この頃には2人とも普通に会話しているので、
終盤までの暫らくの間、交換日記という設定が全く関係なくなってしまっていますね…。

トントン拍子で準決勝まで進出した房総スイマーズですが、
はっきり言って、彼らのコントは全く面白いと思えません。
ネタも作らない甲本から、「お前の台本は古い」とダメ出しされた田中は、
甲本の日常を描いたノンフィクションの新しいネタを書き、それで勝負するのですが、
「写真を撮ってくださいと言われてカメラを手渡される」というような、
『エンタの神様』の一発屋芸人のような低レベルなあるあるネタで、
こんなネタで易々と準決勝まで上がれるなんて、コンテストのレベルの低さが窺えますね。
なのに賞金は『M-1グランプリ』の2倍となる2000万円と超破格です。
コンテストには実物の若手芸人が多数出演していますが、
その中で賞レースを勝ち抜く実力があるのはアルコ&ピースくらいじゃないかな?
非吉本興行で若手を集めたら、この程度のメンバーになるのも仕方ないのかな?
結局優勝したのはホリプロのお笑いコンビ、レオンでしたが、
彼らのネタなんて一度も見たことないけど、ダークホースすぎる結果ですね。

そのネタを考えたのが、監督兼脚本のウッチャンか、鈴木おさむかは知らないけど、
どちらにしても、お笑い関係者なのにこのネタのクオリティは酷すぎます。
まだ品川の『漫才ギャング』のネタの方が面白かったと思えます。
いや、もしかしたら本作のネタも、腕がある人がやったら面白いのかも。
とりあえずボケの田中演じる伊藤淳史の演技に、全く面白いオーラを感じません。
悲壮感があるというか、緊張している甲本よりも必死な感じがして、
これではどんなによく出来たネタでも滑りますよ。
予想通りまたしても準決勝で甲本がネタを跳ばしてしまい、決勝に残れませんでしたが、
この程度のネタでは、甲本が失敗しなくても決勝に残るはずがないです。
本作にとってのネタは、ミュージカル映画にとっての歌唱曲と同じで、
その出来如何で作品の評価が決まると言っても過言ではないです。
現役の実力のあるコント師に書いてもらうとか、もっとネタ作りに力を入れるべきでした。

背水の陣でコンテストに挑むも、敗れてしまい、甲本は解散を切り出します。
田中は嫌がりますが、甲本の意思は固く、結局解散することになり、
甲本はピン芸人となり海外へ旅ロケに、田中は新しいコンビを結成します。
甲本は例のキャバ嬢の恋人とデキ婚したので、どうしても収入が必要でしたが、
身重の奥さんや生まれてくる子を置いて、海外を1年間も旅する番組に出演しますかね?
しかもその旅ロケ番組が打ち切られ、帰国した甲本は、すぐに芸人を辞めます。
その程度のコダワリなら、妻や子のためにも解散したらすぐに堅気になればいいのに…。
芸人辞めた後、甲本は生活のために居酒屋でバイトを始めますが、
いやいや、解散前にやっていた引っ越し屋のバイトの方が絶対稼ぎいいですよ。
こんなアホの旅ロケ番組なんて、面白いわけないし、打ち切られて当然ですね。
一方の田中は新しい相方とのコンビ「タナフク」で大ブレイク。
やっぱり甲本が足を引っ張っていたのかとも思いますが、
新しい相方の福田は『笑軍天下一決定戦』で大本命のファイナリストですからね。
田中か福田か、どちらの力で売れたのかは明白でしょう。
タナフクの看板番組『スケッチ30』も始まりますが、そのコントを見る限りでは、
このコンビもかなり微妙だと思いましたが…。

甲本から一方的にコンビを解消されたことに腹を立てていた田中ですが、
17年後、甲本の娘から甲本が解散を切り出した真の理由を聞かされます。
その理由はどうでもいいものでしたが、17年後ってどういうことですか?
急に近未来に話が跳ぶなんて、演出が無茶苦茶すぎると思います。
そんな展開にするなら、カンニング竹山やベッキーをゲスト出演させたりして、
現在を舞台にした物語であると強調するような演出はするべきではなかったです。
門外漢が撮った映画らしい下手な展開です。

甲本は経済的な事情で音大を諦めようとする娘に対して、
「夢を諦めていいのは、諦めていいと思えるほど、幸せにしたい人が出来た時だけだ」
と言って、ピアニストになりたい娘を応援しますが、たぶんそれは正論だけど、
言わんとしてることは「夢を追わず現実見ろよ」ってことですよね。
挫折した芸人を沢山見てきたであろう鈴木おさむだけに、
なかなか売れない芸人にとっては重い言葉だと思います。
でも映画のテーマが「夢を諦めていい」だなんて、あまりボク好みではないかな…。
それに夢を諦めた甲本は、妻と娘と慎ましく暮らした揚句、肝臓癌で入院中。
一方で芸人を続けた田中は大御所芸人になって十分すぎるほどの富を得ています。
プライベートでも幸せな家庭を築いているし、どちらが幸せかなんて一目瞭然。
それなのに「夢を諦めていい」なんて、夢を掴んだ勝ち組の発想で不愉快です。

あー、ステマに騙された。

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