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王になった男

今週末は観たい映画が1本も公開されませんが、これは過去4年で初めての事態です。
(配給会社が休みで映画が公開されない年始は別ですが…。)
先週末も観たい映画が1本しかなく寂しい限りで、今本当に観る映画に困っています。
ジャッキー・チェンの『ライジング・ドラゴン』は比較的面白そうかなとも思うけど、
対中関係が悪化しているご時世なので、中国映画はボイコットしているため観ません。
ジェット・リーの超大作『ドラゴンゲート』も何とかスルーしたし、
とりあえず今年一杯は中国映画を観るつもりはないです。

関係が悪化しているのは韓国も同じで、韓国映画も観るつもりはありませんが、
昨今、『嘆きのピエタ』が金獅子賞を受賞するなど、韓国映画の躍進が目覚ましく、
映画ファンとして無視できなくなってきており…。
例え韓国映画を避けたとしても、韓国の映画全体への影響は避けがたいものがあります。
韓国人監督の『かぞくのくに』がアカデミー外国語映画賞の日本代表になったり、
ボクの好きなハリウッド映画でも、シュワちゃんの主演復帰作『ラストスタンド』や、
ミア・ワシコウスカ主演の『イノセント・ガーデン』も韓国人監督で…。
韓国人監督だけでなく、『クラウド アトラス』に出演したペ・ドゥナや、
『G.I.ジョー2』『RED2』に出演したイ・ビョンホンなど、
韓国人俳優のハリウッド進出にも目覚ましいものがあります。
その背景には、韓国人の海外志向もありますが、韓国映画市場の成長が目覚ましく、
ハリウッドも無視できなくなっているからだそうです。
性質が悪いのは、ハリウッドは「韓国人俳優はアジア各国で大人気」と思っており、
韓国人を起用すれば、日本を含めアジアの市場でヒットできると信じていること。
それがまやかしであると証明するためにも、そんな韓国人絡みの映画は避けたいけど、
ボクはハリウッド映画を観ずにはいられないんですよね…。

ということで、今日はイ・ビョンホン主演の韓国映画の感想です。

王になった男
Gwanghae.jpg

2013年2月16日日本公開。
イ・ビョンホンが初の時代劇となる韓国映画。

1616年、暴君の悪名高き朝鮮第15代王の光海君(イ・ビョンホン)は権力争いの渦中にあり、常に暗殺の危機にさらされていた。そんな折、彼とそっくりの容姿を持つ道化師ハソン(イ・ビョンホン)が王の影武者として宮中に上がることになる。重臣たちは、何とかして身分の低い平民であるハソンを王に仕立て上げようと画策するが……。(シネマトゥデイより)



前述のように、ボクは映画も親米反中韓の右翼的傾向にあるため、
韓国映画は韓国映画であるというだけで盲目的に嫌いです。
それなのになぜ韓国映画である本作を観に行ったかと言えば、
反韓である以上に親米感情が強いからです。
ハリウッド映画『G.I.ジョー2』及び『RED2』はとても気になっているのですが、
韓国人俳優イ・ビョンホンが出演しているというのがネックで、
このままだと素直に楽しむことが出来なさそうな心境だったので、
毒を以て毒を制すとでも言うのか、あえてビョンホン主演の韓国映画を先に観ることで、
彼に免疫を作ってから彼が出演するハリウッド映画に臨もうと思ったのです。
そう考えたのは先月のはじめ頃でしたが、やはり韓国映画を観に行くのは抵抗があり、
ずるずると先延ばしにして、今月やっと本作を観に行く決心が付きました。
前述のように、現在、観たい映画が尽きているのも後押しになりました。

…で、その試みは成功したかと言えば、まずまず効果はあったと思います。
本作を観る前よりも『G.I.ジョー2』の公開が楽しみになりました。
まぁビョンホンを含む韓流四天王に関しては、韓流ブームで湧いた有象無象に比べたら、
もともと嫌いというわけでもなく、克服するのは比較的楽だったかも。
前作『G.I.ジョー』や、キムタク共演『アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン』も観たし、
ボクにとって(在日を除けば)一番免疫がある韓国人です。
願わくば『G.I.ジョー2』の公開日6月2日まで、いや、『RED2』の公開日8月2日まで、
嫌韓感情が再燃するようなニュースがないこと祈ります。

本作は嫌いな韓国映画なので、いくらでも酷評することもできるが、
先入観で酷評するような某映画評論家みたいなことはしたくないので、
映画ファンとして、なるべく公平に本作を評価したいと思います。
率直に言えば、本作は予想していたよりも遥かに面白かったです。
まぁその予想自体が地を這うようなものだったので、それを越えただけですが、
今までボクが観た数少ない韓国映画『TSUNAMI -ツナミ-』や『アジョシ』、
『マイウェイ 12,000キロの真実』よりも、かなり楽しめたように思います。
物語としてはよくある歴史新説の影武者ものですが、
シンプルながらポイントは押さえてあり安定した展開です。
もう少し凝った展開でもよかったとも思いますが、
なにしろ朝鮮半島の歴史ものなんて馴染みがないので、
人間関係などがゴチャゴチャしてないのは有難かったです。
それでも韓国名や宮廷の役職など、ちょっと理解しにくいところも…。

本作は1616年の光海君時代の李氏朝鮮が舞台です。
ボクは韓国も北朝鮮も大嫌いなので、朝鮮半島の歴史なんてほとんど知りませんが、
1616年と言えば、日本では大阪夏の陣の翌年ですよね。
本作はその頃の光海君が影武者だったという物語ですが、
大阪夏の陣でも徳川家康が影武者だったという説がありますよね。
江戸時代の初めということは、豊臣秀吉の朝鮮征伐からそれほど間もない頃ですが、
調べてみると、先代国王の非嫡出子である光海君が国王になったのは、
秀吉の朝鮮征伐による国内の混乱が影響したそうですね。
そんな背景からも反日的な内容もあり得そうですが、そうならなかったのは幸いです。
韓国映画は中国映画とは違い日本市場も念頭に置いているので、
あまり露骨に反日的な内容にはならないみたいですね。
実際、本作は日本週末興収トップ10に入り、昨今の韓国映画としては快挙です。
まぁやっぱりお客さんは、未だ韓流ブームから抜け切れないオバサマが多く、
一般的に歴史もの映画が好きなはずの男性客は少なかったようで、
ボクが鑑賞した時もそんな状況でした。

ボクは学生時代に社会の授業は日本史を取っていたので、
日本との関係が深かった三国時代あたりのことはある程度わかるのですが、
李氏朝鮮時代には全く興味がなく、ホントに何ひとつ知りません。
なので、その頃の朝鮮が描かれている作品を観るのも初めてだったので、
宮廷の様子など、当時の日本と比較して、それなりに興味深い内容だと思いました。
ただ、朝鮮の時代劇と言うのは中国や日本の歴史や文化のいいところをパクッて、
実際よりもかなり美化されているというのは有名な話です。
本作も暴君として悪名高い光海君を、再評価し美化する内容となっています。
本作では明の要請で後金に援軍を出したものの、ロクに戦わなかったことについて、
光海君曰く「兵士は国民のためのもので、明のために後釜と戦うのは望まぬ」として、
彼のことを「明と対峙した唯一の王である」と締めくくっていますが、
実際は親分である明に逆らうことができず出兵したものの、
建国間もない後釜軍に大惨敗した情けない歴史の言い訳ですね。
後釜は後の清であり、朝鮮にとっては日本統治時代までの新しい親分です。

本作で描かれた光海君時代の宮廷の様子の考証が正しいかどうかは別にしても、
その無茶苦茶な君主の生活ぶりは、かなり興味深いものがあります。
宮廷内に厠がなく、用を足す時は女官がオマルを持ってきて、
君主は女官の目の前で排泄し、健康チェックその排泄物を食べる役職までいるとか、
御厨子所の女官の食事は君主の食べ残しだとか、ちょっと考えられないような生活です。
女官や部下たちが君主に粗相すると、すぐに「殺してください」と言うのも笑えました。
自分に全く身に覚えのない失敗の時でも言うんだから、ネガティブにもほどがあります。
というか「ごめんなさい」感覚で「殺してください」って言ってるんでしょうね。
日本のように責任を取って自害(切腹)するという文化もないみたいです。

暴君である光海君は、傍若無人な振る舞いの裏で、常に暗殺の恐怖に怯えており、
都承旨(官庁の長官)に自分の影武者を探すように命じます。
それにより連れてこられたのが道化師のハソンです。
三日に一度、夜間だけ影武者をするはずが、急に光海君が危篤状態になり、
その療養中、影武者ハソンが光海君の代わりに公務をすることに…。
光海君が影武者だと知るのは都承旨とチョ内官のみの国家機密です。
光海君は女官が毒見したものしか食べず、竹塩で銀の匙が変色しただけでも大騒動です。
それほど厳しい毒見体制なのに、毒による症状で倒れたように見えたのですが、
実は毒ではなく、アヘンによる急性薬物中毒だったみたいで、ホントに困った人ですね。
まぁそれも逆臣が尚官(側室)を利用して、光海君を薬物中毒にしていたので、
毒を盛ったようなものですが、何ともまどろっこしい暗殺方法ですね。
尚官を使えるなら、もっと簡単に殺せそうなものなのに…。

光海君とは違い、優しい性格の影武者ハソンは、
御厨子所の女官のために我慢して、食事を沢山残したりします。
特に15歳の女官サウォルのことを気に掛けています。
彼女の父は小作人でしたが、租税をアワビで納めろと無茶ぶりをされ、
納税のため高利貸しから金を借り、娘を奴婢として売らなくてはならなくなったのです。
そんな彼女を可哀想に思ったハソンは、彼女を母と会わせるように命じます。
また、そんな人たちのために蔵を開けるように命じるのです。
農民にアワビで納めろとか、無茶苦茶にもほどがありますが、
無茶な重税に苦しんでいるのは民草だけではないみたいで、
チョ内官も重税を避けるために宦官(去勢した官吏)になったそうです。
朝鮮では17世紀でも宦官なんて制度があったんですね。
その無茶苦茶な税制に疑問を持ったハソンは、
土地に比例して課税する「大同法」なる税制を導入しようとします。
ハソンが影武者を務めたのは、たった半月だけだったのに、
一介の道化師が税制なんて理解できるはずないと思うんですが…。

ハソンが影武者になって、王妃も惚れ直すほど善人になった光海君。
しかし、卜部将(護衛役)がその異変に気が付きハソンに斬りかかります。
それを王妃が制止し、ハソンが本物の夫であると証明します。
自分の勘違いだったと勘違いした卜部将は「殺してください」と言いますが、
ハソンは寛大にも彼をお咎めなしにしてあげます。
卜部将はそのことに感動し、より一層、光海君に尽くすようになり、
正体がわかった後も、身を呈してハソンのことを助けたりと、ちょっと感動的な展開です。
でも卜部将以外、誰も光海君が影武者であることに気付かないなんて…。
まるで人が変わったように穏やかで優しくなってるのにね。

態度では全く気付かれなかったものの、光海君にはあるはずの胸の傷がないことがばれ、
毒殺に失敗した逆臣たちが宮廷に攻め入ってきます。
ところがその時すでに回復した本物の光海君と入れ替わっており…。
その後、本物の光海君は明の派兵や大同法などハソンの意思を引き継いだので、
「本物も実はそんなに悪い人ではない」ように描かれていますね。
その時はクーデターを未然に防いだ光海君ですが、
その数年後にまたしてもクーデターがあり、廃位されちゃったみたいです。
歴史は勝者が作るものなので、彼が本当に暴君だったのかはわかりませんが、
大同法の導入や江戸幕府との和議もしているので、暗君ではなかったのかな?
影武者ハソンは宮廷を無事脱出し、彼のことは歴史から消されましたとさ。

なんだかんだで毎年1本だけ韓国映画を観ていますが、
今年も本作1本だけで、年内はもう観ないつもりですが、
金獅子賞の『嘆きのピエタ』は、映画ファンとしては押さえておくべきなのかも…。
今のところ渋谷のミニシアターでの上映が決まっているようですが、
関西で公開されると観ざるを得ないので、渋谷の単館上映のみでいいです。

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