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東京家族

テレビ朝日の映画枠『日曜洋画劇場』が名称を『日曜エンターテインメント』に変更し、
昨年からは洋画だけでなく、バラエティ番組も放送していましたが、
SPドラマなんかも放送する枠にリニューアルするそうです。
洋画の放送は月1~2本になっちゃうでしょうね。
お偉いさん曰く、「洋画不振で視聴率が取れなくなった」ことや、
「固定客が少なくなった」ことがリニューアルの要因だそうです。
日本人の洋画離れは確かにその通りだけど、日本人は邦画しか観なくなったわけではない、
テレビドラマ(アニメ)の劇場版しか観なくなったのであり、
それはすなわち、テレ朝を含む在京テレビ局が、安易に映画製作に手を出し、
テレビで自社作品ばかり宣伝することで、洋画の客が奪われているだけです。
つまり「洋画不振」の元凶こそオマエらであると言いたい。
「固定客」云々も自分たちの責任で、先週末も『バイオハザード』を放送してたけど、
同じ洋画ばかり何度も放送していたら、固定客が飽きるのは当たり前だろうと思います。
毎年300~400本の洋画が封切られているのに、なぜ同じ作品ばかり選択するのか…。
毎週地上波初登場でも余裕でいけるはずなのに、再放送で手を抜いているだけです。

ということで、今日はテレビ朝日製作の邦画の感想です。

東京家族
東京家族

2013年1月19日公開。
山田洋次監督が小津安二郎の「東京物語」にオマージュをささげた家族ドラマ。

瀬戸内海の小さな島で生活している夫婦、平山周吉(橋爪功)ととみこ(吉行和子)。東京にやって来た彼らは、個人病院を開く長男・幸一(西村雅彦)、美容院を営む長女・滋子(中嶋朋子)、舞台美術の仕事に携わる次男・昌次(妻夫木聡)との再会を果たす。しかし、仕事を抱えて忙しい日々を送る彼らは両親の面倒を見られず、二人をホテルに宿泊させようとする。そんな状況に寂しさを覚えた周吉は、やめていた酒を飲んで騒動を起こしてしまう。一方のとみこは、何かと心配していた昌次の住まいを訪ね、そこで恋人の間宮紀子(蒼井優)を紹介される。(シネマトゥデイより)



本作は小津安二郎監督の「東京物語」を山田洋次監督がリメイクした作品ですが、
ボクは小津監督のことは全く知らなくて、オリジナル版のことも知りません。
ただ巨匠・山田洋次監督の最新作ということで、気になってはいました。
それなのに、いざ観たのは公開から1ヵ月半以上経ったつい先日で、
今週末で上映終了されると知って、慌てて観に行った次第です。

それだけ、鑑賞順位の優先度が低かったということですけど、
なぜ低かったかと言えばタイトルが気に入らなかったからです。
一昨年にロカルノ国際映画祭で審査員特別賞を受賞した話題作『東京公園』も、
気になっていたものの結局観に行かなかったですが、
『東京○○』というタイトルの邦画はなかなか観る気が起きません。
ボクは全国のご当地映画をよく観ますが、東京のご当地映画だけは嫌いです。
はっきり言って東京が嫌いなんだけど、特に映画においては東京は優遇されすぎで、
よく先行して上映されるし、舞台挨拶など東京でのみイベントがあったりと、
地方の映画ファンとして、東京にはいつも煮え湯を飲まされています。
そんな東京のご当地映画を気持ちよく観れるはずもないけど、
東京人自身も地方のご当地映画って大嫌いですよね。
関西を中心に全国で大ヒットした兵庫のご当地映画『阪急電車』も、
東京だけは全く客入らず、兵庫県民のボクとしてはとても不愉快でした。

まぁそんなことは本作の出来とはあまり関係ないし、
本作はタイトルだけで、全然東京らしい映画ではありません。
主な舞台となっている東京の西の端は、ボクの住む郊外都市より長閑(田舎)だし、
大都会なイメージがある東京らしい町ではありません。
そこにド田舎の島から老夫婦が上京してくるという内容ですが、
ド田舎から都会に出てきてのカルチャーショックが楽しい物語なはずだけど、
ド田舎から田舎に出てきているだけなので、あまり落差がありません。
60年前の作品のリメイクですが、舞台も60年前とあまり差がないところを選んだため、
ちょっと時代錯誤を感じる作品になっていると思います。
一応、東京スカイツリーとか秋葉原の電気街とか、当時なかった観光名所も出てきますが、
リメイクするなら、もうちょっと現代的にアレンジしてくれてもよかった気がします。
まぁそんな時代に流されない普遍的なところが、
松竹映画らしさだし、山田洋次監督らしさでもあるとは思いますが…。

観光名所や住宅事情はまだしも、登場人物たちにも東京らしさが全くないです。
出てくる人がことごとく優しい善人ばかりで、都会の世知辛さが全然ありません。
高級ホテルのシーンで出てきたマナーの悪い客は唯一善人ではありませんでしたが、
あのカスどもは中国人旅行客だったしね。
特にこんな人、東京にはいないだろうと思ったのが、
老夫婦の次男の恋人である、蒼井優演じる紀子です。
東京一、いや日本一感じのいい息子の彼女だと思いましたが、
出来すぎにもほどがある人物設定です。

東京云々は置いておけば、本作はそれなりに面白かったと思います。
特に前半は喜劇的で、なかなか楽しい家族の物語でした。
子供たちに会うために上京してきた老夫婦は、
東京で開業医になった長男や東京に嫁いだ長女の家に厄介になりますが、
老夫婦が最も気に掛けている子供は、次男の昌次です。
妻夫木聡演じる昌次は、舞台美術の仕事をしていますが、元教師であるお堅い父親は、
「そんな仕事は見通しがない、楽に生きたいだけだ」と、不満に思っています。
そんな父子の確執(ってほどでもないけど…)が本作の主題ですが、
役者とかならまだしも、裏方である舞台美術は十分堅気な仕事だと思いますけどね。
やっぱり立派な兄弟がいると、家族内でも肩身が狭くなりますよね…。
ボクも妻夫木聡とほぼ同年代だし、親が公務員で、兄弟は立派な仕事をしているので、
親に合わせる顔がないほど肩身が狭い思いをしており、昌次の気持ちは少しわかります。
父親に説教された時の「この世の中は楽になんか生かせてくれない」という昌次の言葉は、
実感として胸を打ちました。

なかなか楽しく観ていた本作ですが、中盤で東京観光中に老夫婦の妻が倒れます。
その時はすぐに立ち上がって何ともなかったのですが、あからさまな死亡フラグで…。
彼女はザッツ日本のお母さんって感じの、とても優しい人だったので、
それ以降は彼女がいつ亡くなるのかとヤキモキしたし、近々死ぬことが予測できるので、
どんな楽しい展開でも、全く気持ちが盛り上がりません。
…で、案の定亡くなっちゃうわけです。
驚いたのは彼女が享年68歳だったという設定です。
吉行和子が演じているし、長男役の西村雅彦の母親なので、
余裕で70歳半ばは超えてるだろうと思っていたのですが、まさかそんなに若いとは…。
まぁ妻夫木聡の母親役と考えれば、ちょっと遅めの子供って感じで妥当な年齢ですが、
ウチの母親ともそれほど違わない年齢なので、そんなに急にコロッと逝かれると、
自分の状況と重なって、なんとも言えない寂しい気持ちになります。
これだから、老人がメインの作品は嫌というか、怖いんですよね…。
しかし、彼女が亡くなってからの展開は、その寂しい気持ちを和らげる、
とても心温まる感動的なものだったので、鑑賞後感もかなり盛り返したと思います。

危うく見逃すところでしたが、観てよかったとは思える作品だったと思います。

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