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ストロベリーナイト

ストロベリーナイト
昨年の映画の総動員数は、のべ1億5000万人ほどだったそうで、
例年そのぐらいの数字なわけですが、これって意外と少ないと思いませんか?
日本人が1年に観る映画の本数は平均1本強だけということです。
(アメリカ人の年間平均本数は4~5本だと聞いたことがあります。)
それに比べると、テレビドラマというのは、例え視聴率13%程度の作品でも、
単純計算で1500万人以上もの人が見ていることになるんですよね。
そのドラマが劇場版になり、もし視聴者全員を動員することが出来れば、
その一本だけで映画の年間動員数の1割を叩き出すことができる計算です。
実際にそんなことは起こり得ないけど、テレビドラマの劇場版というのは、
それだけ潜在的に動員できる可能性があるわけで、
どうりで劇場版ばかりが製作され、ヒットするわけだと思いました。
なんだかフェアじゃないですよね。

ということで、今日はテレビドラマの劇場版の感想です。
ボクはドラマの視聴者ではなかったので、潜在的な観客でもありませんが…。

ストロベリーナイト
ストロベリーナイト

2013年1月26日公開。
誉田哲也の警察小説シリーズを原作に、竹内結子主演で描いたドラマの劇場版。

警視庁捜査一課の刑事として活躍する玲子(竹内結子)が率いる姫川班は、管轄内で起きた4人の殺人事件を担当することになる。警察が合同特別捜査本部を設けて捜査に臨む中、犯人を名指しした匿名情報が寄せられるが、上層部からはすべてを黙殺しろとの命令が下る。玲子は単独で捜査を続け、その過程でマキタ(大沢たかお)と出会う。(シネマトゥデイより)



ボクは日本の女優では竹内結子が1~2を争うほど好きなので、
彼女主演の本作も、すぐにでも観に行きたかったのですが、
本作はテレビドラマの劇場版だけど、そのドラマを視聴してなかったので躊躇してました。
そんなに好きな女優ならドラマ放送時から見ておけばよかったのでしょうが、
ボクにはドラマを見る習慣がない上に、なんだかいつもの彼女の役柄とは違う印象で…。
ボクは竹内結子にポワワ~ンとした癒し系な印象を持っていて、それを期待しているので、
なんだかシリアスで性格がキツそうな印象の役柄に思えた本シリーズは、
気になりはしたものの、見るまでには至りませんでした。
そのドラマが劇場版になり、テレビドラマではないことで敷居が下がりはしたものの、
結局まる1カ月以上悩んだ挙句、とうとう観に行ってしまいました。
その結果、こんなに後悔することになろうとは…。

序盤の竹内結子演じる姫川玲子は、想像よりも威圧的なタイプではなく、
なかなか可愛らしい普通の女性刑事で、けっこう楽しく観ることができました。
しかし話が佳境に入る中盤以降、急に不可解な行動に出ます。
事件の重要参考人である暴力団の組長と、カーセックスし始めるんですよね。
暴力団関係者が変死体で見つかる連続殺人事件が発生し、
捜査一課とマル暴の合同捜査が始まり、姫川率いる姫川犯も捜査に加わるのですが、
やがて彼女のもとに「犯人は柳井健斗」という垂れ込み情報が入るものの、
上層部から「柳井健斗には触れるな」という不可解な指示が下ります。
しかし納得できない姫川は単独で柳井を追いかけるという展開なので、
姫川は上司に逆らってでも真実を暴こうとする正義感の強い熱血刑事だと思ってました。
そんな彼女が、ヤクザの親分とやっちゃうなんて、どうにも納得できません。
マル暴のお偉いさんから「女を使ってネタを取るつもりか」と皮肉を言われますが、
あながち的を射ているというか、まだその方が理解できると思いますが、
彼女はどうやら組長に恋をしているらしく…。

それまでに姫川が組長に好意を持つに至るような展開は一切ないのですが、
彼女が体を許すキッカケはありました。
それは組長が彼女の憎む相手を「俺が殺してやろうか?」と言ったことです。
それを聞いた途端、組長に襲いかかるように濡れ場が始まりますが、
よほどその相手を殺してくれる人が現れるのを望んでいたのでしょう。
それを恋と呼べるかは別としても、彼女が組長に身体を許した理由はわかりました。
しかしその肝心な彼女が憎んでいる相手のことが、本作ではほとんど描かれていません。
なんとなく過去に彼女が巻き込まれた事件に関係しているのは察しが付きますが、
ちゃんと説明がされていないため、原作小説やドラマを見ていない限りは、
彼女がその相手をどんなに憎んでいるのかも、ヤクザと寝るほどの心境の変化も、
本作だけでは汲み取ることはできず、理解できない行動と感じてしまいます。
何度も言ってますが、映画は大きな画面のテレビではない。
劇場版だけで成立しない話であれば、テレビのSPドラマでやるべきです。
最近の劇場版はそれを理解し始めているが、フジテレビだけはいつまでたってもダメだな。
ただ冒頭に主人公のバックヤードをちょっこと流せば済む話なのに、
監督にテレビマンを流用しているようでは、それも仕方ないか…。

大好きな女優である竹内結子が、こんな意味不明な役であることの憤りもさることながら、
刑事ドラマとして扱う事件としてもツマラナイものです。
4人の暴力団関係者が殺される連続殺人事件で、
マル暴は跡目争いによる暴力団内部の抗争と決めつけています。
しかし、第一殺人の現場の状況から、姫川は単なる抗争ではないと考えます。
でも、結局は暴力団内部の抗争だったんですよね…。
そんな事件、任侠ものならまだしも刑事もので扱って面白いですか?
ただし、姫川の読みも的外れなわけではなく、確かに第一殺人だけは事情が違い、
単なる抗争ではなく、怨恨絡みの別事件でした。
ところが、この第一殺人の真相は、姫川が少し捜査して掴んだ序盤の推測で9割方当たり。
中盤以降はその回答に対する確認作業となってしまい、
意外性も全くない、退屈な展開が延々と続きます。

要するに本作は事件の真相がどうとかではなく、暴力団絡みの殺人事件による、
姫川班属する捜査一課とマル暴との、暴力団ならぬ警視庁内部抗争や、
都合の悪いことを隠蔽する警察組織の腐敗した構造との戦いが重要ポイントなのに、
姫川と組長の恋愛に、彼女の部下を絡ませた三角関係に比重を置いた脚本にして、
本質を見誤って映画化してしまったのではないでしょうか。
その結果、本当のテーマも中途半端に描かれただけではなく、
恋愛ものではない原作に、無理やり恋愛の比重を高めたために、
刑事ドラマとしても恋愛ドラマとしても中途半端な駄作に仕上がったのでしょう。

ただ恋愛に偏重してなかったとしても、上層部の隠蔽の設定もイマイチ出来が悪いです。
この連続殺人が垂れ込みがあった柳井健人による怨恨だと明らかになれば、
その動機が過去の警察の冤罪事件に繋がり、警察の面子に関わるという理由で、
上層部は柳井の事件への関与を隠蔽しようとし、姫川にも圧力を掛けます。
しかし、この冤罪では世間が警察を非難することはまずないでしょう。
冤罪事件は9年前に柳井の姉が暴行の上、殺害されたというもので、
警察は柳井の父を逮捕しますが、父は取り調べ中に自殺してしまいます。
そのまま被疑者死亡で事件解決となりますが、実は姉殺しの真犯人は、
第一殺人の被害者であり、柳井の父は冤罪だったというものです。
たしかに誤認逮捕した警察にも責任はありますが、この柳井の父は相当なクソ野郎で、
柳井の姉である娘に対し無理やり近親相姦を繰り返していたのです。
強姦による近親相姦なんて殺人と同等以上に非道な行為だと思いませんか?
こんな父親は無実だろうが逮捕されて当然、死んで当然、警察万歳です。
そもそも連続殺人を柳井の犯行だと認めたところで、
過去の冤罪事件が浮上するかなんて微妙なところだと思います。
柳井はヤクザに残る3人殺害の罪も着せられ、死体で発見されますが、
こうなってしまえば死人に口なしで、冤罪に繋がる動機も闇に葬り去られるため、
柳井の犯行を認めても、警察にデメリットはなくなります。
バカ正直に警察自ら真実を公表しない限りはね…。

柳井の死により闇に葬り去ることもできた真実ですが、
結局正義感の強い和田一課長の独断で、記者会見で公表されてしまいます。
そもそも警察上層部や捜査一課の姫川の上司たちが、
柳井の存在を隠蔽したかったのは、尊敬する和田一課長の面子を守りたいからです。
それなのに本人が公表してしまうなんて、せっかくの部下の好意を蔑ろにしたというか、
そもそも部下たちは彼のそんな正義感が強いところを尊敬していたはずなのに、
実は彼のことを何も理解してないのに、何が「和田学校」か、チャンチャラ可笑しいです。

ドラマの劇場版を全て否定するつもりはないけど、
本作は悪い見本のような劇場版でした。
本シリーズがまだ続くなら、続編はテレビでどうぞ。

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