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人生、ブラボー

先月末に、テアトルシネマグループのTCGメンバーズカードの会員になりました。
シネマポイントカードの会員サービスが昨年いっぱいで終了したため、
この新しい会員サービスに乗り換えることになったのですが、
正直、ポイント制が廃止されたことは、映画を本数観るボクには痛いです。
今年は今のところ20本映画を観ましたが、その半数はテアトル系映画館で観ました。
もしポイント制が続行されていたら、1本映画を無料で鑑賞できる程度のポイントは
十分に貯まっていたはずなのに残念です。

それでも年会費1000円払ってまで新カードに乗り換えたのは、
やはり料金サービスがかなりお得になるからです。
水曜日は会員にかかわらず誰でも1000円で鑑賞できますが、
会員だと火曜日と金曜日も1000円になりますし、それ以外の日も1300円均一です。
しかしこの料金サービス、ネットでの座席予約でも対応しているのですが、
ネットの場合は会員であることを自己申告するだけで、劇場でカードを提示しなくても、
発券機で座席券を受け取り、シアター内に入ることが出来てしまいます。
(テアトル梅田は発券機がないので無理かな?)
本当は入場時に提示しなくてはいけないのですが、ボクが見る限りでは、
カードを確認している従業員さんはいませんでした。
なのでわざわざ入会金1000円払わずとも、ネット予約ならば会員料金で観れる惧れが…。
これは会員にとっては不公平なことなので、早々に改善してほしいです。
一番いいのは発券機にカード読み取り機能を付けることですが、
最悪でもモギリの従業員さんがちゃんとチェックしてほしいです。

ということで、今日は新しい会員カードで、シネ・リーブル梅田で観た映画の感想です。

人生、ブラボー
Starbuck.jpg

2013年1月26日日本公開。
トロント国際映画祭でピープルズ・チョイス・アウォードの次点となったカナダ映画。

42歳の独身男ダヴィッド(パトリック・ユアール)はある日突然、693回に及ぶ精子提供を通じて533人の子どもの父親であることが発覚。さらに142人の子どもから身元開示の訴訟を起こされていることを知る。身元を明かすつもりはないダヴィッドだったが、子どもの一人が応援しているサッカーチームの選手であることに気付くと、ほかの子どもたちにも興味を持ち始め……。(シネマトゥデイより)



ボクはハリウッド映画をはじめ、洋画が大好きですが、
何故かカナダ映画とは相性が悪く、なかなか面白いと思えるカナダ映画に出会いません。
なのでカナダ映画である本作に対しても、かなり懐疑的だったのですが、
本作はハリウッド・リメイクが決定していることに惹かれて観に行きました。
すぐ隣のカナダ映画なんてわざわざリメイクする必要があるのかと思いましたが、
本作はフランス語圏のモントリオールで製作された外国語映画なんですね。
カナダ映画というと、英語圏のバンクーバー映画を想像してしまうし、
ハリウッド映画の出品が多いトロント国際映画祭で評価された作品なので、
ハリウッド・リメイクと聞いて違和感を覚えたけど、フランス語の映画なら納得です。
アメリカ人の字幕嫌いは筋金入りですからね。
リメイク権はドリームワークスが取得し、スティーブン・スピルバーグ製作で、
ディズニーから配給されますが、監督・脚本は本作から続投になるようです。
なのでリメイクされても、舞台がアメリカになって、言語が英語になるだけで、
内容はほとんど変わらなそうな気がします。
ただリメイク版は主演がコメディ俳優のヴィンス・ヴォーンになるようですが、
本作(オリジナル版)の主演であるカナダ人俳優がかなり良かったので、
どうせ観るならオリジナル版の方が楽しめるんじゃないかと思います。

フランス語のカナダ映画である本作ですが、カナダ映画であることの懸念は杞憂でした。
ボクの観てきたカナダ映画の中では最も面白い作品だと思ったし、
今年観た20本の映画の中でも暫定1位の素晴らしい作品です。
概要が概要だけに、もっとコメディ色の強いオチャラケた内容かと思いましたが、
その実、とても誠実で感動的な物語で、今年初めて泣いてしまいました。
もちろん笑えるシーンもかなりあって、本当に笑って泣ける素晴らしい感動作でした。
カナダ映画いたいする懸念も一気に払拭された気がします。

42歳独身の主人公ダヴィッドは、実家の精肉店の配達の仕事もロクに出来ないし、
8万ドルもの借金を抱えて、日々借金取りから逃げ回るダメな大人で、
身重の恋人からも、生まれてくる子の父親として相応しいか心配されています。
ある日、そんな彼のもとに弁護士が訪ねてきて、
彼が若い頃に行った693回の精子提供で、533人の遺伝子上の子どもが誕生しており、
そのうち142人から身元開示の訴えが出されていると告げられます。
恋人の妊娠が発覚して動揺したばかりなのに、533人の子どもがいると知らされるなんて…。
ひとりの子どもの父親としての資質も疑われているのに、無茶苦茶な話ですね。
精子提供は提供者の個人情報は秘匿されることになっており、
彼も「スターバック」というペンネームで病院に提供していました。
変なペンネームですが、なんでもカナダのスーパー種牛のことだそうです。
てっきりコーヒーカップみたいなのに採精するからかと思いました。
急に533人の父親になるなんて冗談ではなく、友人のヘボ弁護士の協力のもと、
匿名を守るために子どもらと裁判で戦う準備を始めます。

弁護士から142人の原告団のプロフィールの束を渡されたダヴィッド。
ふと1枚だけ見てみると、なんとプロサッカー選手で…。
サッカー大好きな彼は、自分の遺伝子からプロサッカー選手が誕生したことに気を良くし、
他の子どもたちにも興味を持ち、身元を隠して会いに行くことにします。
遺伝子が子どもの能力にどれほど影響があるのかはわかりませんが、
1/533でプロサッカー選手なんて生まれたら大したものですよね。
(中にはまったくサッカーのセンスがない子もいたので、遺伝は関係ないかな?)
ただ子どもは全員22歳くらいなはずなので、サッカー選手みたいに成功した子は珍しく、
売れないミュージシャンや俳優など、まだ成功していない子も多いです。
まぁピークが早いスポーツ選手でもなければ、まだ大成する歳ではないですよね。
他もネイリスト、プールの監視員、ツアーガイドなど、普通の子たちが多いです。
でも基本的にはダメ人間な彼の遺伝子を受け継いでいるからか、中には残念な子も…。
薬物依存の女の子なんかは、借金返済のために大麻を栽培しようとしていた彼だけに、
この親にしてこの子ありって感じの、似たもの親子ですよね。
ひきこもりの子なんかも、社会不適合者ということでは、ダメ人間の父親に似てるかも。
この子は彼が父親であることを自力でつきとめ、勝手に居候を始めるのですが、
一番そんなこと出来そうにない子なのに不思議というか、その程度で特定できるなら、
別に身元開示請求の裁判なんて起こさなくても、探偵でも雇えば済みそうです。

他にも同性愛者や黒人の子などもいますが、
特に印象深いのは施設に預けられた身体障害者の子でしょう。
たぶんダウン症だと思いますが、533人も子どもがいれば障害児だっていて当然です。
でもやっぱり自分の子が障害者だなんて、ショックは測り知れないでしょうね…。
ダヴィッドは身分を隠して子どもたちを訪ね、励ましたり世話を焼いたりするうちに、
父親は無理でも、彼らを見守る守護天使のような存在になりたいと考えます。
子どもの夢を応援したり、薬物依存から改心させたり、一緒に遊んであげたりしますが、
もちろん障害者の子も例外ではなく、献身的に介護してあげます。
普通なら出来ることじゃないけど、血の繋がりがそうさせるのか、とても感動的でした。

ある日、彼はゲイの子を尾行中に、原告団の会合にうっかり参加してしまい、
図らずも100人以上の子どもと一気に出会ってしまいます。
そこでふいに発言を求められた彼は、自分が父親であると隠しながらも、
「みんなを愛している、君たちはみんな兄弟姉妹だ」と言い、拍手喝采されます。
たしかに子どもたちにとっては、父親を捜すための裁判ですが、
裁判を起こしたお陰で、見知らぬ種違いの兄弟に141人も会えるんだから、
もし父親を発見できなかったとしても、とても意義のあることですよね。
その発言で、急速に親しくなった子どもたちは、皆でキャンプに行ったりします。
全員同世代だし、とても楽しそうですが、なにより兄弟だし、
友人以上の掛け値なしの仲間を沢山得られるのは、通常ではあり得ないことで、
父親がいない程度の不幸とは比較できないほど、とても羨ましい素敵なことだと思います。

そのキャンプの様子が大手新聞にスッパ抜かれ、
この父親捜しの裁判は世界中から注目されることになり、
「スターバックは誰だ?」と連日のように報道されます。
世論は693回も有償で精子提供し、533人も子どもを作ったスターバックを、
「軽率で恥知らず」「カナダの恥」「マスかき野郎」と非難します。
彼の恋人までもが「正気を疑う変態、売春と一緒」と軽蔑します。
たしかにボクもこの報道だけを聞けば、精子売って儲けるなんてどんな変態だと思うかな?
でも実はダヴィッドが若い時に精子提供をした裏には、とても感動的な美談があり、
何も知らないで彼を非難する世論には憤慨してしまいました。

デヴィッドは借金を返すために、病院を名誉棄損で逆告訴して、賠償金を取る必要があり、
そのためには意地でも匿名を守らなくてはいけません。
そして裁判が始まりますが、友人の弁護士がヘボにもかかわらず、結果は意外にも勝訴。
匿名権は認められ、病院には20万ドルの賠償命令が言い渡されます。
意外にも、とは思ったものの、普通に考えれば匿名権は認められて当然かな?
匿名を前提に精子提供してるんだし、それば破られたら契約違反ですもんね。
提供された母親たちも匿名を納得して提供されているはずだしね。
ただ、誰の精子かもわからないものを受精させるなんて、抵抗はないのかな?
てか、すごく才能のある人物のものならまだしも、近所の20歳のガキの精子を、
1回35ドルも払って買おうという病院も不思議です。

世間からは非難されるスターバックですが、敗訴した当の子どもたちは、
ただ父親に会いたいだけであり、「幸せなので感謝している」とまで言ってくれています。
それを聞いたデヴィッドは子どもたちのためにも名乗り出たいとも思い始めますが、
名乗り出ると、病院からの賠償金はなしになってしまい、借金が返せません。
名乗り出るべきか葛藤する彼は、父親にそのことを打ち明けます。
すると父親は「おまえたち息子が傍にいることが幸せだった」と言い、
借金返済するために店のお金を彼に渡してくれます。
何が人生にとって最も大切か気付かされた彼は、ついに名乗り出ます。
折しも恋人に子どもが生まれ、プロポーズも成功し、
生まれたばかりの子は143人の兄姉からも祝福され、大団円で終わります。
家族の絆が描かれた、とても心温まる物語でホントに感動的な名作でした。

こんな素晴らしい名作なのに、日本でも公開規模が小さいのが残念。
やはり原因はカナダ映画だからだと思いますけど、
ハリウッド・リメイクされてハリウッド映画となることで、
多くの人に知ってもらえるのであれば、それはとてもいいことかもしれません。
ただアメリカで大規模公開されても、ハリウッド映画ですら大作しか公開しない日本では、
もし公開されたとしても、今回と同程度の規模になりそうな懸念があります。
それならハリウッド版を待つよりも、オリジナル版の本作を観るべきです。
ボクはとりあえずハリウッド版も楽しみに待ちたいとは思いますが…。

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