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マリーゴールド・ホテルで会いましょう

昨日は誰でも映画1000円で観られる(毎月1日の)ファーストデイだったので、
仕事終わりにレイトショーまで映画を3本ハシゴしました。
翌日が土曜日だったためか人出も多く、ほぼ満席の劇場もありました。
ボクは前々日からネットで座席予約しているので、満席でも大丈夫でしたが、
当日、急遽一緒に行くことになった知人は、満席で座席予約できず、
結局ボクひとりで観に行くことになりました。
そのことが残念すぎて、ふと頭を過ぎったことがあります。
かなり暴言かもしれないので、広い心で受け止めてほしいです。

その満席の映画『アウトロー』を観た時、ボクの横の席は爺さんが座ってました。
ふと周りを見渡すと、高齢者の観客がかなり多かったです。
若者の洋画離れが進み、洋画を観に行くと高齢者が多いのはいつものことですが、
常にシニア料金1000円で観れる高齢者は、わざわざファーストデイに来ないでほしい。
普段1000円で観ることが出来ない若者に、是非その機会を譲ってほしいと思いました。
高齢者にとっても、満席の時より平日のガラ空きの時の方がゆったり観れていいはず。
その方がトイレが近くなることの出入りや、如何ともしがたい加齢臭などで、
周りに迷惑をかけることも少なくなり、本人も周りも気持ちよく観れるはずです。
まぁ明日をも知れぬ身だろうから、公開初日に観ておこうと思う気持ちもわかるけど、
電車やバスで若者に席を譲ってもらうばかりじゃなくて、
ファーストデイの映画館くらい若者に譲ってくれてもいいんじゃないかな?
若者の洋画離れを食い止めるためにも…。

ということで、今日は高齢者ばかりが出演しているシニア向け映画の感想です。
観客もやっぱり高齢者が多かったですが、この作品は仕方ないかな?

マリーゴールド・ホテルで会いましょう
The Best Exotic Marigold Hotel

2012年2月1日日本公開。
ジュディ・デンチら実力派ベテラン俳優陣による群像コメディ。

「マリーゴールド・ホテルで、穏やかで心地良い日々を-」という宣伝に魅力を感じ、イギリスからインドに移住してきたシニア世代の男女7人。夫を亡くしたイヴリン(ジュディ・デンチ)をはじめ、それぞれに事情を抱える彼らを待ち受けていたのは、おんぼろホテルと異文化の洗礼だった。そんな周りの様子を尻目にイヴリンは、街に繰り出しほどなく仕事を見つけ……。(シネマトゥデイより)



イギリスで映画の本作は、イギリスで年間4位の大ヒットを記録し、
アメリカでも5週連続トップ10入りのロングラン・ヒット、
オーストラリアやニュージーランドでも年間3位の記録を叩き出した世界的ヒット作です。
でも主要な登場人物は平均年齢70歳は超えるであろうベテラン俳優ばかりで、
高齢者が余生をインドで暮らすという内容の、完全なシニア向け作品で、
正直まだ30歳の若輩者のボクには少々早すぎる作品ではないかと思われ、
日本公開が決まった当初はあまり感心もありませんでした。
しかし、本年度のゴールデン・グローブ賞の作品賞にノミネートされたことや、
同賞の主演女優賞にノミネートされたジュディ・デンチが、
前出演作『007 スカイフォール』でかなり活躍していたこともあり、
ちょっとだけ興味が湧き、観に行くことにしました。

とはいえゴールデン・グローブ賞の受賞は逃しているし、
本年度のアカデミー賞にはカスリもしなかったことから、
それほど高い期待を持っていたわけではありませんでした。
しかしいざ観てみると、なかなか楽しめる、面白いロマコメだったと思います。
7~8人の登場人物による群像劇ですが、キャストはジュディ・デンチはもちろん、
ビル・ナイやマギー・スミス、トム・ウィルキンソンなど豪華で、
まるでベテラン俳優ばかりの『オーシャンズ・イレブン』、
いや、『エクスペンダブルズ』のようなキャスティングです。
みんな演技が達者なので、それだけでも見応えはありますが、
ストーリーもとてもテンポがよくて、最初から最後まで楽しく観ることが出来ます。
笑いどころも意外にも多く、シニアではないボクでもそこそこ笑えました。

ただ、いろんなエピソードを織り交ぜた群像劇の宿命ではありますが、
中には興味が湧きにくいエピソードも存在します。
作品のテンポがいいので、興味ないシーンもすぐに流れるのはいいのですが、
逆に興味深いエピソードまですぐに流れてしまうのは物足りないところ…。
とにかく群像劇にしても、主要登場人物が多すぎると思うんですよね。
7人のイギリス人高齢者がインドのシニア向けホテルに滞在する物語ですが、
その7人プラス、ホテル支配人のインド人青年1人の8本のエピソードが、
ザッピングを繰り返し、時に邂逅しながら同時進行します。
これでは場面転換が多すぎて、各々のエピソードが深く描くことができず、
本来なら感動的な展開であっても、経過の描き方が浅すぎるため感動できません。
また、単純に7人も高齢者ばかりが出てくると、それぞれのキャラ設定を掴むのも一苦労。
婚活する年配女性マッジと不倫願望がある年配女性ジーンの設定を混同しちゃってり、
把握するまでの序盤はちょっと混乱してしまいました。
婚活年配女性マッジと若い子大好きなスケベ爺さんノーマンは、男女の違いはあれど、
ロマンスを求めてインドに来た高齢者としてキャラ設定が被ってるし、
せめて高齢者キャラは5人までに絞ってもよかった気がします。

ボクが最も興味を持ったのは、マギー・スミス演じるミュリエルのエピソードです。
彼女はなかなかのレイシストで、インド人なんて野蛮で信用ならない連中と思っています。
他の6人の高齢者は植民地時代を再現したエキゾチックなリゾートとして、
インドのマリーゴールド・ホテルを訪れるのですが、
足が悪い彼女は、手術のためイギリスの病院からインドの系列病院への転院させられ、
その滞在先としてマリーゴールド・ホテルに泊っているだけ。
他の高齢者が余生をインドで暮らそうと考え、インドに順応する努力をする中、
彼女はインド料理は口にしないし、インドやインド人を軽蔑し続けます。
彼女のインド人に対する暴言の数々も、つい笑ってしまうのですが、
そこが面白いというわけではなく、あるインド人の若い女性との出会い、
ちょっとした絆が生まれ、徐々にインド人に対する偏見が軟化する展開が面白いです。

そのインド人女性アノーナはカースト制度で最も差別された不可触民の末裔で、
スラム街に住み、大家族で貧しい生活をしており、英語も話せません。
アノーナは足の手術をしたミュリエルがリハビリする間、身の回りの世話をするため、
給仕係としてホテルに遣わされますが、インド人を下賤な輩と思っているミュリエルが、
インド人の最下層であるアノーナを好ましく思うはずもなく、
彼女の出す食事に手を付けなかったりと、はじめは無視します。
しかしメイドとして長年働いていた経験があるミュリエルは、
アノーナの掃除の仕方についつい口を出してしまい…。
普通ならそんな小姑みたいなことをされたらイラッとしそうなものですが、
純真なアノーナは「人間らしく扱われた」と感激し、ミュリエルをスラムの家に招待し、
そのことがキッカケで、ふたりの心の距離がグッと縮まります。
人種を超えた雇主とメイドの絆という、ちょっと名作『ヘルプ』を思わせる展開です。
このふたりの絆の話を、もっと掘り下げて描いて欲しいと思いましたが、
前述のように、本作の1/7の話でしかなく、結局感動まではできませんでした。

アノーナのことでインドに対する偏見がなくなったミュリエルは更に、
当初はあんなに大嫌いだったマリーゴールド・ホテルなのに、
ホテルが閉鎖され売却されると聞いて、ホテルの立て直しに尽力することになります。
インドやホテルに対し、最もネガティブな印象を持っていた彼女が、
最もホテルのために行動するまでになるわけですが、
高齢者たちはみんなインドに来て良くも悪くも変化がありましたが、
彼女ほど劇的に変わった人はいないでしょうね。
ただ、メイドの経験を活かし、ホテルの帳簿を見直すことで立て直すのですが、
会計士とかプロならまだしも、メイド程度の簿記能力で立ち直るかは甚だ疑問です。
「立て直すには客と資金が必要」って、そんなの誰でもわかりますよ。
ここももう少し時間を割けたら、もうちょっと納得できる展開を描けたのかも…。

そのホテルの経営立て直しの話にも繋がりますが、
ミュリエルのエピソードの次に面白かったのが、ホテルの支配人である、
インド人青年ソニーのエピソードです。
ソニーはボロボロのマリーゴールド・ホテルに客を呼ぶため、ホテルのウェブサイトに、
イギリス植民地時代のエキゾチックな高級リゾートって感じの偽の画像を載せます。
それに釣られてイギリスから主人公たち高齢者がやってくるのですが、
当然彼らに実物と偽画像の違いを問い詰められるのですが、
ソニーは悪びれることなく「将来像を載せただけ」と答えます。
英国料理と称して毎食カレーを出したりと、とんだ悪徳支配人だと思いますが、
ちょっとやり方には問題があるけどホテル経営に一生懸命だし、
根は真っ直ぐで親切な好青年で、憎めません。
ソニーはイギリス人向けのカスタマーセンターで働いている恋人がいますが、
結婚や交際を双方の家族から猛反対されています。
ソニー自身も、出来がいい2人の兄に引け目を感じており、
ホテルが成功するまで恋人や母親に結婚を言い出せずにいます。
しかし宿泊客のひとり、ジュディ・デンチ演じるイブリンに説教され、
自信を取り戻したソニーは、自分や恋人の家族を説得し…、という話です。
まぁ普通のロマコメな展開ですが、他の高齢者の登場人物たちに比べたら、
ソニーはボクと年齢も近いので共感し易いです。

それにしてもソニーが経営するマリーゴールド・ホテルは無茶苦茶なホテルで、
ドアがない部屋もあれば、鳥だらけな部屋もあったり、蛇口や電話も壊れています。
設備はお金がかかるから仕方ないにしろ、掃除くらいはすればいいのに、
こんな状態のままでよくもホテル経営に踏み切れたものだと思いますが、
イギリスからはるばる来た高齢者たちも、片道交通費しかなかったり、
現地で働かないと滞在費が賄えなかったり、お金に困っている人もおり、
きっと宿泊料金もその設備に見合うくらい格安なのだろうと思います。
でもインドを本当に堪能するなら、文明的な都会の高級ホテルよりも、
こんな不便だけど異国情緒のあるボロ宿の方がいいのかもね。
いざ行ってみたら「パンフレットと全然違う」って宿泊施設は、
日本にもけっこうあったりしますよね。

あとインド経験者でゲイのグレアムが、少年時代のゲイ友を捜す話の衝撃の顛末や、
イブリンがインドのカスタマーセンターでアドバイザーとして働き始める話、
そのイブリンと熟年夫婦ダグラスとジーンの歪な三角関係ロマンスなど、
テンポよく盛り沢山に詰め込まれた作品ですが、長くなりそうなので感想は割愛します。
というか、どのエピソードもちゃんと描くには尺が十分ではなく、
感動が薄めなので、感想を書けるほどのものでもなかったかな。
全体的には楽しく観れたけど、観終わってみたらあまり印象に残らない作品でした。

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