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みなさん、さようなら

今年に入ってすでに13本の映画の感想記事を書きましたが、
今日は今年一発目の実写日本映画の感想になります。
もう邦画には幻滅しているので、あまり観たい作品もありません。
観ないから面白い作品にも当たらないし、どんどん日本映画が嫌いになる悪循環です。
ただ、観ていないだけで、日本映画にも面白いものがあるのかどうかは甚だ疑問です。
先達て日本で最も権威があるとされる映画賞である、
第86回キネマ旬報ベストテンの結果を見ました。
日本映画の1位である『かぞくのくに』は、ボクは日本映画とは認めないし、
観てもいないので面白いかどうかわからないものの、
実質1位である2位の『桐島、部活やめるってよ』はちゃんと観ましたが、
はっきり言って昨年屈指の駄作だと思いました。
この程度のものが易々と上位になるようでは、他の観ていない日本映画も底が知れます。
ただ外国映画ベストテンも、全く共感の出来ない常軌を逸した結果なので、
投票したキネ旬の映画評論家どもの頭がおかしいだけなのかも…。

ということで、今日はボクが面白いと思う日本映画の感想です。

みなさん、さようなら
みなさん、さようなら

2013年1月26日公開。
久保寺健彦の同名小説を映画化した青春ドラマ。

1981年、小学校を卒業した13歳の悟(濱田岳)は、担任教師の静止を振り切り団地の外へ一切出ずに生活していくことを宣言する。才色兼備な隣人の松島(波瑠)にはその無謀な計画は鼻で笑われるが、彼は中学にも行かずに独自の信念に従った生活を確立していく。母親のヒーさん(大塚寧々)は、そんなマイペースな息子の姿を優しく見守っていた。(シネマトゥデイより)



本作は日本の映画監督の中で最も好きといっても過言ではない中村義洋監督の最新作です。
主演も監督とは『ポテチ』など5度目のタッグとなる濱田岳なので、
間違っても『怪物くん』みたいな駄作になるはずはなく、かなり期待していました。
で、いざ観てみると、やはり期待を裏切らない面白い作品だったと思います。
まぁ中村義洋監督の監督作の中では中の上くらいの出来ですが、
昨今の邦画の体たらくを鑑みれば、本作を超える実写邦画は、
今年中にあと一本あるかどうかくらいだと思います。

小学校卒業を機に、団地から一歩も出なくなった主人公・悟の、
孤独や葛藤や成長を描いた17年間の物語で、主演の濱田岳は、
悟の13歳(中学3年生)から30歳までを演じています。
その年の幅を特殊メイクも使わず自然体で違和感なく演じているのはすごいですが、
でも、小学6年生(12歳)の時の短い回想シーンだけは子役が使われていて、
確かにいくらベビーフェイスの彼でも小学生には見えませんが、
どうせなら多少無理があっても全ての年代をひとりで演じてほしかったです。
ちょっとシリアスなシーンだったので、リアリティを優先したのかな?

1981年、悟は小学校の卒業とともに「僕は一生、団地の中だけで生きていく」と決心。
そこはかなり大きな団地で、公園やグランドなんかもあるし、
アーケードには肉屋、本屋、服屋、理髪店など何でも揃っていて、とても賑わっています。
彼の同級生も小学校卒業時には107人も住んでいて、友達も沢山いて、
なので団地から一歩も出なくても、生活に困ることはなさそうです。
ただしさすがに中学校まではなく、悟は中学校を登校拒否しますが、
ラジオ講座で勉強したり読書などをして毎日規則正しく生活しています。
極真空手の大山倍達に感銘を受けた悟は、ランニングや筋トレなどで体も鍛えます。
夕方には下校してくる同級生をチェックし、夜は団地内をパトロールと称して、
同級生たちが帰宅しているか毎日チェックしています。
彼曰く、筋トレやパトロールは「いつ変な奴が入ってくるかわからない」からです。
実は彼がそんな自警活動を始めたのには、ある重大なキッカケがあるのですが、
それが明かされるのは物語中盤なので、はじめは「暇な変わり者」くらいにしか思わず、
序盤は何故か団地から出たがらない変な少年の物語が繰り広げるコメディって感じです。

同級生たちが高校生になる4年目には、107人いた団地の同級生も88人にまで減ります。
16歳になった悟は就職活動を始めますが、就職先ももちろん団地内限定なので、
店の数にも限りがあり、就職活動は思うように進みません。
なんとかアーケードのケーキ屋に就職させてもらえます。
しかし、ケーキの宅配中に同級生の在宅チェックのパトロールをしてしまい、
それが「覗き」だと噂が立ち、ケーキ屋をクビになります。
たしかにこれはストーカー行為みたいなものですよね。
彼曰く、「同級生みんなのことを全て知りたい」からだそうですが、
ボクもこの時点では悟の真意を知らないので、気味が悪いと思いました。
なんとか母親の口利きのお陰で、また再就職させてもらいます。
でも、それ以降もパトロールを続行するシーンがあったので、
悟自身は全然懲りてないみたいです。

またこの年には、悟は隣の部屋の同級生・松島さんと初キスを経験します。
いや、初キスどころか、すぐにBまで行っちゃいます。
なんだかわからないけど、妙にエロいシチュエーションで…。
興奮するというか、見ているコッチが恥ずかしくなっちゃいました。
中村監督がこんなシーンを撮るのも珍しい気がしたし、
濱田岳のラブシーンというのも珍しいので、なんだかこそばゆい感じです。
それが初体験の甘酸っぱい感じをうまく描けているとも思いました。
初キスから、即行Bまで行っちゃった2人ですが、別に交際が始まるでもなく、
松島さんはいつになってもBまでしか許してはくれず、そのままの関係が4年も続きます。
で、大学生になった松島さんは、他の男と初Hしちゃって、その関係も終わります。
松島さんははじめからちょっと掴みどころのない子でしたが、
結局何を考えているのかよくわかりませんでしたね。
彼女はその後、就職を機に団地を出て行きます。
まぁそれはいいとして、6年目から8年目になるまでの3年間は、
本来高校生のこの時期って、もっといろんなイベントがありそうな多感な時期なのに、
ほぼ松島さんとの濡れ場だけで端折るように経過しちゃうのは勿体なかったです。

ある日、小学校の同窓会が開かれます。
同窓会は悟が出席できるように、わざわざ団地の集会所で行われます。
その時はもう団地の同級生の数も半数近い60人にまで減っています。
まぁ彼らはもう20歳だし、大学や就職で一人暮らしする人も多そうな割には、
半数も残っているというのは意外と残ってる方かもしれませんね。
借家で10年も引っ越さないって言うのも珍しい気がします。
その同窓会で悟は、小学校の頃のマドンナだった早紀ちゃんと親密になります。
9年目には早紀ちゃんと初体験して、なんと10年目には婚約することに…。
彼女は団地内の保育園で保母さんをしており、団地を出ない悟に対しても理解があるけど、
内心では一生団地から出られないのは嫌だと思っています。
「一緒に外に遊びに行きたい」という彼女の頼みを訊いて、
悟は小学校卒業以来初めて外に出てみようと考えますが、いざ出ようとすると、
団地の出入り口である階段の中腹で過換気症候群を起こし卒倒してしまいます。
悟はかなりマイペースなので、団地から出ないのも意地張ってるだけかと思ったけど、
実は精神的な病気で出られなかったんですね。
12年目、早紀ちゃんは他の男と交際をはじめ、悟は4年越しの失恋をすることになります。
松島さんの時もそうでしたが、モテモテなはずの早紀ちゃんも、
なぜ悟なんかと付き合おうと思ったのか、イマイチわかりませんでしたし、
悟が階段で卒倒してからも2年も付き合ってるわけだし、
「普通に結婚したい」という今更な理由で別れるのはおかしい気がします。

その悟の精神的な問題ですが、小学校の卒業式直前に、
小学校に忍び込んだ中学生が同級生を殺すのを目の前で見てしまい、
それがトラウマとなり団地から出ることが出来なくなったのです。
彼が体を鍛えたりパトロールするのは、その時何もできなかった自分を悔い、
今度こそ侵入者から団地の人を守ろうと考えてのことで、それは理解できますが、
同級生が殺されたことで団地から出られなくなったという因果関係は理解しがたいかも…。
外が怖くなって家に引き籠るというのならわかりますが…。
まぁ精神病なんて大抵よくわからないものですけどね。

13年目、ケーキ屋の店長が悟に「この店は全部やる」と置手紙を残し蒸発。
しかし飲食店を経営するためには食品衛生責任者の資格が必要で、
講習さえ受ければ簡単に手に入る資格ですが、団地を出られない悟は講習も受けられず…。
悟は同級生の園田を雇って、彼に資格を取ってもらいます。
園田は中学校でイジメを受け、それからずっと引き籠っていますが、
境遇の近い悟とは親友で、一緒にパトロールなどもする仲です。
悟は団地の外に用事がある時は彼に頼むことも多く、頼れる親友です。
しかしイジメの影響で極度に人目を気にする彼に客商売は向かず、
後に幻覚が見えるようになり、精神病院に入院します。
園田も精神病にかかってしまうわけですが、この展開もちょっと唐突すぎたかな?
ケーキ屋の店長にしても、痴呆症か何かで急に姿を消すわけですが、
悟の周りというか、この団地の住人はどこか心が病んだ人が多いです。
人口密度が増えると鬱患者の割合が増えるそうですが、
人が密集して住む団地もそういうところがあるのかも?
園田だけじゃなく、悟も精神科に診てもらうべきですよね。

14年目、107人いた同級生はついに一桁の6人にまで落ち込みます。
時代の流れで団地自体もかつての賑わいはなく、建物も老朽化し、
何棟かは取り壊しのために閉鎖され、住民の減少を受けて入居基準が緩和されますが、
その影響で外国人の入居がOKとなり、団地は外国からの出稼ぎ労働者ばかりになります。
16年目には、早紀ちゃんも引っ越し、園田も入院して、ついに悟1人に…。
ある時、悟は公園で遊んでいたブラジル人少女マリアと、その妹エルザと仲良くなります。
マリアが日本人の継父に性的虐待を受けていると知った悟は、
彼女を継父から守ってあげたいと思います。
ある夜、継父が仲間と一緒にマリアを閉鎖棟に連れ込み輪姦しようとしているのを発見し、
ナイフを抜いた彼ら3人に、悟は素手で立ち向かうことになります。
いわば「団地の人は俺が守る」と体を鍛え続けてきた悟が、
ついにその成果を見せることができる状況がやってきたわけですが、
ぶっちゃけこのマリア一家のエピソードは、丸々要らないような…。
展開が唐突すぎるし、現実味がなさすぎるし、なにより重たすぎます。
妻の連れ後のたぶん小学生だと思われる外国人の少女に性的虐待する継父なんて、
極端にもほどがある不愉快さだし、状況が悲惨すぎて、
悟が何とかすれば済むってレベルではない、かなり酷い犯罪です。
それにこのエピソードがあったことで、悟自身に何か変化があったわけでもなさそうで…。

その一件でマリア一家も引っ越し、悟も元の生活に戻ったある日、
母親が脳梗塞で倒れたと職場から連絡があり、彼は慌てて病院に向かいます。
その時はもう一切の躊躇もなく、団地の階段を駆け下り、あっさり外に出ます。
しかし、母親はそのまま他界してしまい…。
そんな母親の遺品の中から彼女の日記を発見した悟は、
今までただ優しく見守ってくれていた母親の気持ちを知り、
17年目にして、ついに団地を後にすることになります。
なんとなく感動的に感じなくもないラストでしたが、
どの時点で悟が団地から完全に出られるようになったのかが明確ではないです。
マリアの継父を倒して小学校の事件のトラウマを打破した時なのか、
母親が危篤で病院に駆けつけた時なのか、母親の日記を読んだ時なのか、
結局何が決め手だったのかがわからず、最後に悟が団地を後にした時の感動が薄いです。
やっぱり団地を初めて出る瞬間には、葛藤の末に踏み出してほしかったかな。
もし母親の日記が決め手で外に出られるようになったのならば、
もうちょっと母親との関係について積み上げておかないと、カタルシスは得られません。
母親の死についても、マリアの一件の後、唐突に起こったような印象だし…。
まぁ大山倍達が亡くなった時の、母親の「人間は誰だって死ぬ」発言が、
唯一その展開の伏線だったと言えなくもないですが…。

ちょっと詰め込みすぎで、終盤で急激に崩れた気がしましたが、
それでも十分に面白い作品だと思います。
笑えるところも多いし、青春の甘酸っぱい恋愛もあり、シリアスな展開もありますが、
特にどんどん知人が減っていく諸行無常な切なさは堪りません。
敷地内に何でもある団地という特殊なシチュエーションだから実感が沸きにくいけど、
例えば過疎の村だと考えれば、同級生がどんどん上京して減っていくこの感じは、
そんなに珍しい状況ではない気がします。
別に過疎の村に限らず、中核市に住んでいるボクも似たような状況で、
ボクは生まれてからの約30年間、一度もこの市から転居したことはないですが、
やっぱり小学校や中学校の幼馴染みたちは、就職や転勤で次々と市外(東京)に行って、
別にたまには会えるけど、ひとり取り残されたような気持ちです。
まぁ悟みたいに同級生全員が対象となれば、まだかなり残っているはずですが…。

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