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テッド

1月の公開作品の中で最も楽しみにしていたハリウッド映画『テッド』ですが、
この映画はどうやら日本語吹替え版も同時上映されているみたいですね。
でも日本語吹替え版なんて、字を読むのが苦手な子どもが観るものです。
R指定(15歳以下は鑑賞不可)である本作に付けるなんて、
識字率世界一の日本人をバカにしてるんじゃないですか?
…というのは言いすぎですが、最近は日本吹替え版を同時上映する洋画が多すぎです。
先月公開された『007 スカイフォール』も、シリーズ初の吹替え同時上映でしたが、
日本人の字幕離れはちょっと酷いんじゃないですか?
増えたとはいえ、依然として洋画は字幕のみの作品の方が多いので、
日本人の字幕離れは、日本人の洋画離れにも直結する問題です。
どんどん洋画離れは進行していますが、日本人を字幕に慣れさせるためにも、
洋画の配給会社は安易に吹替え版なんて作るべきじゃないです。
その方が将来的にお客さんは増えるはずだと思います。

日本語吹替え版同時上映の実害としては、同時上映を行うことで、
字幕版の上映回数が減ってしまい、スケジュールの調整が難しくなることです。
中には吹替え版の方が上映回数が多いなんてところも…。
吹替え版は声優のギャラとか、製作費もかかってるんだから、割増料金を取ればいいです。
現状では字幕版を観た人の料金の一部も吹替え版製作費に流れているので納得できません。
とにかく、いい大人が吹替え版を観るような情けないことはやめた方がいいですよ。

というわけで、今日は元・猿岩石の有吉がテッドの吹替えを務めた映画の感想です。
ボクはもちろん字幕で観ました。

テッド
Ted.jpg

2013年1月18日日本公開。
マーク・ウォールバーグ主演のR指定コメディ。

いじめられっ子からも無視される孤独なジョンは、クリスマスプレゼントとして贈られたテディベアと友人になれるように祈る。彼の願いが通じたのか、テディベアに魂が宿り、ジョンにとって唯一無二の親友テッドとなる。それから27年の月日が経ち、中年となっても親友同士であるジョン(マーク・ウォールバーグ)とテッド。一緒にソファでくつろいでは、マリファナをくゆらし、映画を楽しんでいる彼らにジョンの恋人ロリー(ミラ・クニス)はあきれ気味。ジョンに、自分とテッドのどちらかを選べと迫る。(シネマトゥデイより)



本作は全米初登場1位はもちろん、昨年の年間成績9位を記録した大ヒット映画です。
世界で実に5億ドル以上稼いだ本作ですが、それがR指定映画というのだから驚きです。
これは『ハングオーバー!!』に次ぐ史上2位のR指定映画の記録で、
本作が如何に世界中で人気があったのかがわかりますね。
それはここ日本でも例外ではなく、洋画としては異例なほど注目されています。
特に原作もなければ人気シリーズの続編ではない映画としては異例中の異例です。
この勢いであれば日本でもかなりのヒットが見込まれますが、
本作が日本人にウケるかは「かなり微妙」だと言わざるを得ません。
ボクは、作品としては面白いと思いましたが、あの劇場を包む寒々しい雰囲気のせいで、
正直期待していたよりも楽しむことが出来なかったように感じました。

けっこう可笑しいコメディなのに、驚くほど劇場が静まり返っており、
かなり笑いにくい雰囲気になってしまっていました。
その雰囲気ではボクも笑いを堪えてしまいましたが、
誰も笑わないから、作品自体も滑ってるような印象になります。
『ハングオーバー!!』ですらあまりヒットしなかった日本だから、
きっと日本人はR指定コメディを観ることに慣れてないんだと思います。
R指定コメディの面白さは低俗な下ネタにありますが、
日本人は品がいいので、例え面白くても人前では下ネタで笑ったりしません。
本作はR指定コメディとしても、特別に下ネタが際どいわけでもないのですが、
作風にギャップがある分、どうしてもキツく感じてしまいます。
「可愛いテディ・ベアなのにチョイ悪」くらいの認識で本作に臨むと、
あまり意に添わない内容かもしれません。
本作のテディ・ベアのテッドの中身は、チョイ悪どころではなく、ド変態のオッサンです。
デリヘル嬢を呼んでスカトロしたり、仕事中にバイトの女の子とセックスしたりする上に、
ドラッグの常習者という、もし人間だったら絶対関わりたくない社会不適合者です。
そんな可愛い外見と悲惨な中身の強烈なギャップを許容できるかが楽しめる分かれ目で、
もし単なる可愛いモノ好きなら、たぶん本作には合わないと思います。
それ以前に、R指定コメディを観たこともない人は論外です。

もし下ネタに耐性があったとしても、もうひとつ文化の壁という障害もあります。
本作はアメリカン・ポップ・カルチャーのネタが満載で、
映画やテレビ番組、ポップスやセレブを揶揄(またはオマージュ)するネタだらけで、
よほどアメリカの流行に精通していないと、わかり難いネタが多いです。
下ネタは万国共通だから、むしろこちらの方が大きな問題ですね。
ボクもアメリカ事情に詳しいわけではないですが、ハリウッド映画は大好きなので、
映画ネタはだいたい理解できるし、どのネタもとても面白かったけど、
洋画離れが酷く、ハリウッド映画すらロクに観ない日本人にどこまで通じるか…。
ボクもハリウッド映画に嵌ってまだ日が浅いので、
『トワイライト』や『ジャックとジル』などゼロ年代以降の必修映画は観ているものの、
それ以前の映画についての知識はないため、元ネタがわからない映画ネタもありました。
特に1980年の『フラッシュ・ゴードン』は、本作の一番の大ネタだったので、
そこの笑いを逃してしまったのは痛かったです。
序盤から最後まで引っ張るネタだったし、本作を完全に楽しむためには、
『フラッシュ・ゴードン』は必修なので、まだ観てない人は是非。

どうせ日本人にはわからないだろうと決め付けてか、ちゃんとセリフを翻訳せずに、
字幕ではスルーしてしまっているポップ・カルチャーのネタも多いです。
例えばジョーン・クロフォードとかジョニー・クエストとか、
セリフでは確かに言っているのに字幕には反映されていません。
わかりやすいところだと、主人公のジョンがテッドに愛想を尽かし、
「お前なんかよりテディ・ラクスピンの方がよかった」と吐き捨てるシーンがありますが、
「(熊本県のゆるキャラ)くまモンの方がよかった」とまさかの意訳がされていました。
そこはちょっとだけ笑いが沸いたので、意訳としては大成功だと思いますが、
出来れば後学のためにも、あまりスルーや意訳はしないでほしいかな…。
もしかすると日本語吹替え版は字幕以上にネタのスルーや意訳がされてるかもね。
そもそもテッドの吹替えが有吉っていうのが疑問で、有吉は毒舌キャラで選ばれましたが、
テッドは口が汚いだけでそれほど毒舌ではありません。
たぶん有吉のキャラに引っ張られて、本来のキャラからは逸脱しているはずです。

なので本作をコメディとして楽しむには、強靭な下ネタ耐性と、
アメリカン・ポップ・カルチャーに対する理解が必要なわけです。
でもそれはあくまで笑うために必要なことなので、ファンタジーとして観る分には、
それらを度外視しても、それなりに楽しめるものかもしれません。

1985年、友達のいない寂しい8歳の少年ジョンは、
クリスマスプレゼントにもらったテディベアのテッドと本当の友だちになれるよう、
神様に祈りをささげると、その翌日テッドに魂が宿り、2人は大親友になります。
テッドの噂は瞬く間に世界中に知れ渡り、彼は一躍セレブに…。
話せて動ける生きたテディ・ベアが巻き起こす大騒動、って感じの物語でも、
そこそこ面白いかもしれませんが、本作はそんな在りがちな展開では終わらず、
テッドの人気もひと段落してしまった27年後の親友2人の物語がメインです。
ジョンは35歳の中年のオッサンになりますが、テッドも中身だけ中年のオッサンに成長し、
2人は映画を見たり、大麻を吸ったりしながら、仲良く暮らしています。
しかし、ジョンには恋人ロリーがおり、彼女も同居しているのですが、
ロリーは付き合って4年にもなるのに、ジョンとの関係がなかなか進展しないのは、
テッドがいることでジョンが大人になれないからだと考え、テッドを邪魔者扱いします。
ある日、ロリーはジョンに「テッドと私、どちらかを選んで」と迫り、
彼女に見捨てられたくないジョンは、渋々テッドに家を出てもらうことに…。
本作はそんな男同士の友情(ブロマンス)と男女の恋愛(ロマンス)のせめぎ合いの中で、
ジョンの成長を描いた感動のドラマとなっています。

何というか、デリヘル嬢を勝手に連れ込んだりするテッドの様子を見れば、
テッドを邪険にするロリーの気持ちもわからないでもないけど、
男としては、恋人とはいえ自分の親友のことを悪く言う女ほど不愉快なものはないです。
一方のテッドは、ジョンの立場を汲んで、家を出ることに同意したりと、
本当にジョンのことを想っているのはどちらなのかは明白です。
ロリーとジョンは両想いですが、正直この2人は不釣り合いです。
ロリーは広告代理店のキャリアウーマンですが、ジョンはレンタカー屋の受付でしかなく、
彼女は恋人の職業なんて気にも掛けていませんが、同居中の家も車も彼女のものだし、
ジョンが引け目を感じて彼女の言うことを全て聞かなければいけないような状況です。
もし収入が釣り合っていれば、ジョンも簡単に親友テッドを追い出さなかっただろうし、
彼女はその気はないかもしれないが、立ち場が上なのを利用してテッドを追い出すなんて、
あまり感じがいいやり方とは思えず、なんだか嫌な女だと思いました。
彼女は広告代理店の嫌味な上司から迫られていますが、
たぶんその男と一緒になった方がお似合いだし、ジョンにとっても幸せかも…。
友情と恋愛を秤にかけるのは難しいけど、ロリーとの平凡な恋愛よりも、
奇跡としか言いようがないテッドとの友情の方が重要です。

テッドはロリーの家を出てアパートを借り、スーパーのレジ係として働いて自立します。
一発屋とはいえ、まだ人気のあるテッドなら、もっと彼に合う仕事もあるだろうに…。
ノラ・ジョーンズとか、セレブにもコネを持ってるしね。
(ノラ・ジョーンズはテッドと元セフレでしたが、けっこう意外なキャラですね。)
まぁこのスーパーの店長はかなり変わり者なので、破天荒なテッドには天職かも?
テッドは家を出てもジョンとは頻繁に会って一緒に遊んでいます。
ある日、テッドのホームパーティに、俳優サム・ジョーンズがやってきます。
彼が出演するSF映画『フラッシュ・ゴードン』はテッドとジョンのソウル・ムービー。
驚いたテッドは急いでジョンをパーティに誘います。
ジョンはその時、ロリーの上司の大事なパーティに彼女と出席中でしたが、
ジョーンズを一目見ようとパーティを抜け出します。
会ったらすぐ帰るつもりでしたが、憧れのジョーンズとついつい盛り上がってしまい、
ロリーのことを忘れて、彼女に愛想を尽かされてしまいます。
でも男なら憧れの人に会える機会があるなら会いに行って当然ですよね。
そんな男のロマンもわからないロリーはやはり心が狭いです。

しかしそれによりロリーと破局してしまったジョンは、
ロリーではなくテッドに逆ギレし、2人は殴り合いの大ゲンカになります。
外見は可愛いテディ・ベアのテッドですが、無言で跳びかかってくる姿は、
まるで『チャイルド・プレイ』みたいでちょっと怖いです。
フワフワモコモコの手のくせに、かなり破壊力のあるパンチを繰り出し、
なかなか迫力のあるバトルシーンでした。
男女のケンカ別れとは違い、拳で語り合って絆が深まるのが男同士のケンカ。
ジョンとテッドはすぐに仲直りし、2人でロリーとヨリを戻すために協力します。

だけどその復縁作戦も失敗し、テッドは「二度と2人の前に現れない」ことを条件に、
ロリーにジョンと会ってくれるようにお願いするのですが、
ロリーがジョンに会いに行った直後に、テッドは怪しい親子に拉致監禁され、
ジョンはテッドを奪還するために、その親子とテッド争奪戦を繰り広げます。
しかし奪い合いの中で、布製のテッドの体は避けてしまい…、というクライマックスです。
このあたりも激しいカーチェイスがあったりと、なかなか見応えがあります。
中盤までの下ネタなどを連発するコメディでは楽しめなかった人も、
終盤のアクションシーンや感動のドラマは楽しめるんじゃないでしょうか。
まぁボクが一番笑っちゃったネタは、最後のネタ(親子の息子の顛末)でしたけど。

結論としては、大ヒットするのもわかる面白い作品でしたが、
上映する環境(客層)が内容にそぐわず、ちゃんと楽しめなかった印象です。
大手シネコンで大々的に公開してくれるのは、観に行きやすくて助かりますが、
普段からR指定コメディを上映しているミニシアターで観た方が、
理解ある映画通の客が多くて、笑いやすい環境だったかもしれません。
第85回アカデミー賞の歌曲賞にもノミネートされた本作ですが、
大ヒットしただけではなく、評価も上々だったので、すでに続編の製作も決定してます。
次もシネコンなどで大規模所公開されるかは本作の結果次第ですが、
どうせなら日本でも大ヒットして、日本人もR指定コメディに慣れてほしいです。

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