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劇場版 HUNTER×HUNTER 緋色の幻影

一昨日、第85回アカデミー賞のノミネートが発表されましたね。
『アベンジャーズ』が主要部門に全くノミネートされなかったことの憤りとか、
外国語映画が作品賞にノミネートされちゃったことの驚きとか、
ノミネート結果に言いたいことは山ほどありますが、それはおいおい書くとして、
今日は長編アニメーション部門の話だけ。

アカデミー賞長編アニメーション部門には、日本から『コクリコ坂から』が、
ノミネート対象作最終21本にまで残りましたが、ノミネート5本からは落ちてしまいました。
まぁ『コクリコ坂から』は、ボクはそこそこ面白かったとは思うけど、
アメリカ受けする内容ではないし、当然の結果だと思います。
でも『コクリコ坂から』なんて、本年度の日本アニメ映画の中で、
最も優れていた作品でもないし、然るべき作品をノミネート対象作にしていれば、
結果は変わっていたかもしれないと思います。
(ノミネート対象になる条件は、ロサンゼルスの映画館で1週間上映すればOKです。)
今回はノミネート5本ともハリウッドのアニメ映画が選ばれる結果となり、
外国のアニメ映画がないのはちょっと寂しいです。
まぁボクもハリウッドのアニメ映画が世界一面白いと思っているので、
ハリウッドに偏るのは仕方ないことだと思いますが、
本年度最もヒットした傑作アニメ『ロラックス』が選ばれず、
ディズニー映画が3本もノミネートされたことは、なんだか作為的で嫌ですね。

ということで、今日は今年最初のアニメ映画の感想です。
そんな賞レースとは全く無関係なテレビアニメの劇場版ですが。

劇場版 HUNTER×HUNTER 緋色の幻影(ファントム・ルージュ)
ハンター×ハンター

2013年1月12日公開。
冨樫義博原作の漫画『HUNTER×HUNTER』初の劇場版。

少数民族クルタ族は凶暴な盗賊集団「幻影旅団(クモ)」に襲撃され、ただ一人生き残ったのがクラピカだった。クラピカは旅団に奪われた「緋の眼」を奪還すべく旅していたが、クラピカ自身の緋の眼を奪われてしまう。ゴン=フリークス、キルア=ゾルディック、レオリオの助けで命拾いしたクラピカだったが、そんな中、4人の前に幻影旅団(クモ)が待ち構える。(シネマトゥデイより)



漫画『HUNTER×HUNTER』は1998年に「週刊少年ジャンプ」で連載開始になったそうです。
ボクも10年ほど前から読み始めましたが、かなりの人気漫画なのに、
劇場版アニメになったのは今回が初めてなんて、ちょっと意外です。
本作は漫画の劇場版ではなくて、その漫画を原作とする放送中のテレビアニメの劇場版。
今放送中のテレビアニメはなんでも2回目のアニメ化だったらしく、
1回目は1999年にフジテレビ系で放送が始まりましたが2001年に終了し、
2011年から今度は日本テレビ系で放送が始まり、今に至るそうです。
2回目も、1回目の続きからではなく原作の冒頭からの再アニメ化らしく、
キャストも一新してのリメイクということになるみたいですね。

ボクはアニメ映画は大好きだけど、テレビアニメをあまり見ないのですが、
本作の原作漫画は読んでいたので、2回目のテレビアニメは見ようかなと考えてました。
しかし関東の日本テレビでは日曜の朝に放送されているのに、
ボクの住んでいる関西の読売テレビでは、月曜深夜のアニメ枠に放送されていて、
とてもじゃないけど見れません。
録画すればいいだけの話なのですが、EPGの都合でアニメ枠まるまる録られてしまい、
(裏番組の調整とか)ちょっと面倒くさいことになるので、2~3回見て止めました。
まぁボクが見れないことなんて大した問題ではありませんが、
本来は日曜朝の子ども向けアニメなのに、深夜アニメの関西では子どもは見辛く、
深夜アニメをよく観るアニメオタクしか集客できないんじゃないかな?
なので東西でかなりの興収の差が出そうな気がします。

元はと言えば、際どい描写も多い大人向けの原作漫画を、
何かと制約の多そうな日曜朝でテレビアニメ化することが間違いです。
いや更に元を辿れば、この原作漫画を少年誌で連載することが間違いなのかな?
朝アニメの劇場版である本作も、際どい描写や心理戦など大人向けの演出はほぼなく、
ボクのように原作漫画から本作に入ると、ちょっと物足りなく感じるかも…。
特にテレビアニメ版の見辛い関西では漫画から入る人が多いでしょう。
なにしろ本作には、入場者特典として原作本「0巻」が貰えるので、
ボクもそれに釣られてしまい観に行った次第です。
『ONE PIECE FILM Z』の入場者特典「千巻」では痛い目にあったのに、
我ながら懲りないと思いますが、今回の「0巻」はちゃんとした内容で満足でした。
いや、内容がどうとかよりも、あの連載をさぼりまくりの原作者が、
映画の特典ごときをわざわざ描き下ろしていることに感激しました。
しかも約70ページもの漫画を、けっこう綺麗な絵で描き上げています。
(それに比べて『ONE PIECE FILM Z』の「千巻」は単なる原画集で…。)

まぁ描き下ろしといっても、ネームは10年前からあり、それにペン入れしただけです。
本来は当時に掲載する予定のものでしたが、例のさぼり癖が出て、
ネーム段階でお蔵入りさせてしまったのを、10年越しで完成させたのでしょう。
劇場版である本作は、そのお蔵入りネームに着想を得て描かれた物語ですが、
幻のネームから流用されたのは短い回想シーンだけで、
大部分は外伝的なオリジナルストーリーとなっています。
原作漫画の主人公はゴンですが、ネームの主人公は友達のクラピカで、
本作もてっきりクラピカが主人公の物語なのかと思いましたが、
意外にもゴンの親友であるキルアがメインとなった物語で、
クラピカはあまり出番も多くありませんでした。
ボクはもう一人の仲間であるレオリオが好きだけど、彼は脇役タイプだし、
本作に登場出来てそこそこ活躍していただけでも、まぁよかった方かな?

本作はテレビ放送の進行状況とリンクしているため、テレビ放送を見ていないボクは、
時系列のどの辺りにあたる物語なのかすぐにはわからず、少し戸惑いましたが、
どうやら「ヨークシン編」と「G.I編」の間に入る物語みたいですね。
原作ではその間に繋ぎ目はなく、こんな物語が入る余地はないはずですが、
まぁ劇場版なんてのはアナザーストーリーであるべきなので、そんなものですね。
ただ本作だけで成立する独立した物語かといえばそうでもなく、
一応冒頭でキャラ紹介があるのですが、完全に「ヨークシン編」を引きずる内容なので、
一見客にはオススメできないというか、見る価値がない作品です。
再三書いてきましたが、ボクは「映画は映画、テレビはテレビ」と考えているので、
映画だけで成立しない劇場版は褒められたものではないと思いますが、
原作ファンのボクも今回は一見客ではなく、問題なく楽しめたから是としましょう。
ということで以下は、ウチとしては珍しく原作ファン視点での劇場版の感想です。
(それほどコアなファンではないので、あまり深い感想ではないけど…。)

凶悪な盗賊団「幻影旅団」に皆殺しにされたクルタ族の生き残りであるクラピカは、
ある街で親友だったクルタ族のパイロと再会しますが、彼から眼球を抜き取られます。
クラピカの眼球を取り戻すため、ゴンとキルアはパイロを探しますが、
パイロを裏で操っていたのは元・幻影旅団のオモカゲだった…、という話です。
本作はキルアが主人公だと書きましたが、彼は兄のイルミに洗脳されており、
「勝ち目のない敵とは闘うな」と脳にインプットされています。
なので幻影旅団のような強敵と対峙すると、反射的に逃げたくなるのですが、
それでは一緒に旅をしている親友ゴンを見捨てることになると苦悩し、
必死に洗脳に抗おうとして苦悩する、…という友情物語が本作の主題です。
でも原作既読者は知っての通り、キルアが洗脳を克服するのは「G.I編」に入ってからです。
兄イルミにより脳に刺された針を抜くことで、その洗脳は解けるのですが、
つまり「G.I編」以前が舞台の本作では、その問題を解決できるはずはなく、
ただただ苦悩が描かれるだけで、1本の作品としてちゃんと完結しているとは言えません。
下手に克服方法を知ってしまっていると、その苦悩すらバカらしく感じてしまいます。
キルアが苦悩するたびに「針刺さってるから足掻いても無駄なのに…」とイライラします。
というか、原作の洗脳解除方法も、キルアが自力で克服したわけではないので、
なんだか安易な解決法だと思ったし、原作の最も気に入らないシーンのひとつでした。
だからそれを主題にした本作も、ちょっと興味の湧きにくい内容だったかも…。
(そもそもその洗脳は、「G.I編」で急に出てきた後付け設定だし…。)

友情を描くのはいいと思うのですが、イルミの絡まない話にしてほしかったかな。
本作にはレツというキルアたちと同じ年代の少年が登場し、
会ってすぐにゴンと意気投合し、キルアは嫉妬してレツに辛く当りますが、
ライバル登場で友情の三角関係をもっと深く描いても面白かったかも。
その少年レツは実は女の子だったというベタな事実が早々に判明し、
キルアも態度をすぐに軟化させてしまったのは残念でした。
レツには実は性別以上に重大な秘密があり、実はクラピカの眼球を奪った、
元・幻影旅団オモカゲの妹だったのです。
しかもただの妹ではなく、オモカゲの念能力で作られた生きる人形です。
とんでもないネタバレのようですが、伏線が多すぎて序盤で誰でもわかることで、
ゴンもすぐに気付き、知らぬはキルアばかりです。

それにしても生きた人形を作るオモカゲの念能力ですが、こんな能力は最強すぎるでしょ。
彼は人の記憶から死んだ人間でも生きている人間でも人形として蘇らせます。
外見を完コピするだけではなく、本人の心(記憶)まで移し取ります。
オモカゲの命令に忠実ということを除けば、人格的には本人に相違なく、
実質的に死人を生き返らせているも同然のとんでもない念能力です。
人形は本人よりも身体能力は劣化しているようですが、
(なぜかパイロの人形は本人よりも強い感じがしましたが。)
本人が念能力者の場合は、その念能力は完コピできるみたいです。
更にオモカゲは、作った人形を自分の中に取り込むことが出来、
その人形の念能力を自分で使うことも可能で、実質的に誰の能力でも使えるわけです。
彼は人から能力を盗める能力者であるクロロの人形まで作っているので、
もしクロロの人形を取り込めば、もう万能の能力者になれる可能性があります。
結局、クロロの人形は取り込まなかったので、最強ってほどでもなかったですが、
原作の念能力の設定を考えると、これほどの念能力を身につけるのは、
代償が大きすぎて無理だと思います。
オモカゲはクラピカの念能力チェーンジェイルで、強制的に絶状態、
つまり念能力を使えない状態にされますが、なぜか妹レツの人形だけは動いていて…。
劇場版オリジナルの念能力はいいけど、節度をわきまえて、筋の通る能力にするべきです。
オモカゲ自身も元とはいえ個性派集団・幻影旅団のひとりとは思えないキャラの薄さで、
ボスキャラとしての魅力に欠け、イルミの存在感に喰われている感じです。

以上、内容的にはちょっと物足りない感じでしたが、
入場特典も満足したし、『ONE PIECE FILM Z』よりは楽しめたかな。
すでに第二弾の企画も始動しているようで、特典次第ではまた観に行きたいと思います。

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