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新・三バカ大将 ザ・ムービー

いつの間にか金熊賞が決まったみたいですね。
ベルリン国際映画祭は開催時期がアカデミー賞の授賞式と近いので、
三大映画祭の他の二つよりも注目されにくい気がします。
金熊賞に輝いたのはルーマニアの映画『チャイルズ・ポーズ(英題)』だそうで、
社会派でなかなか面白そうな作品なので、日本公開が待たれます。

アカデミー賞の授賞式の裏になると言えば、ゴールデン・ラズベリー賞もそうですね。
日本ではやはり注目されませんが、ボクはちょっと気になります。
今年の最低作品賞候補の中にはボクの大好きな映画『バトルシップ』もあります。
『バトルシップ』は作品賞だけではなく、7部門でノミネートされてますが、
浅野忠信が最低助演男優賞にノミネートされなかったのは不幸中の幸いです。
本年度はおそらく『トワイライト・サーガ/ブレイキング・ドーン Part2』が席巻するので、
『バトルシップ』はラジー賞1部門も受賞しないはずです。

ということで、今日はラジー賞に1部門ノミネートされた作品の感想です。
たぶん受賞はしないはずです。

新・三バカ大将 ザ・ムービー
The Three Stooges

2013年2月6日リリース。
ファレリー兄弟が超人気番組を映画化したコメディ。

孤児院の玄関に置き去りにされたラリー、カーリー、モー。院長は天使のように愛くるしい3人を引きとり面倒をみることにする。愛情を注がれ3人はすくすくと育つが、過激でずる賢いいたずらでシスターたちを困らせてばかりだった。月日が経ち、3人は里親も見つからぬまま孤児院に残され、すっかり大人になっていた。そして、相変わらずシスターたちの手を焼かせながら孤児たちと一緒に楽しく過ごしていた。ある日、院長は、財政難により30日以内に83万ドルの債務を返済しなければ孤児院は取り壊されると3人に告げる。危機的状況を救うため、債務返済の資金を集めるため、3人はシスターや孤児たちに見送られ、とりあえず町へ向かうのだが……。(公式サイトより)



本作は邦題に「新」と付いているように、いわゆるリメイク作品です。
でもボクはオリジナルのことを全く知りません。
「三バカ大将」ってフレーズは聞き覚えがあるような気もするし、
「ザ・ムービー」なので、アメリカのテレビ番組だろうってことは予想できますが…。
そこで調べてみると、本作のオリジナルである『The Three Stooges』は、
まだテレビも普及していない1930年代にやっていた短編コメディ映画で、
1949年からはテレビでも放送が始まり、日本でも1963年に放送が始まったそうです。
その時に付いた邦題が『三バカ大将』だったみたいですね。
ボクの生まれる遥か以前の話なので、知らなくても仕方がないし、
演出も古臭いので『8時だョ!全員集合』くらいの80年代の番組かと思ったら、
まさかチャップリン時代の喜劇のリメイクだとは想像を超えてました。

「The Three Stooges」は作品名(番組名)である以前に、
そこに出演しているお笑いトリオのグループ名だそうで、
モー、ラリー、カーリーというメンバーの名前も、役名ではなく本名だったようですね。
とにかくすごい人気の番組及びグループで、アメリカでは知らない人はおらず、
全米初登場2位という好成績だったのも頷けます。
でもオリジナルのテレビ放送も限定的だった日本では、やはり知名度不足なのか、
あっさりビデオスルーになってしまいました。
企画段階ではモーをベニチオ・デル・トロ、ラリーをショーン・ペン、
カーリーをジム・キャリーという異様に豪華なキャスティングの予定でしたが、
もしそのキャスティングで製作されていれば、さすがに日本でも公開されたでしょうね。
でも当然というか何というか、そんなキャスティングは実現せず、
日本ではほぼ無名の俳優がトリオを演じることになりました。
ちょっと残念な気もしますが、実在の人物を演じているようなものなので、
俳優自身の印象が浸透していない無名俳優をキャスティングしたのは正解かも。
当時の写真を見ても、キャラの外見的な再現度はかなり高いと思うし。

で、オリジナルを知らない上での本作を見ての感想ですが、
まず感じたのは前述のように「演出が古臭い」ということです。
1本30分ほどのエピソード構成にしてもそうだし、
暴力で笑いを取るスラプスティック(ドタバタ喜劇)なネタも時代錯誤を感じます。
もちろんそれはオリジナルの雰囲気を忠実に再現しているからに他ならず、
制作サイドの狙い通りなわけですが、オリジナルに何の愛着もないボクにすれば、
「これはオリジナルのファンが楽しむためだけに作られた懐古映画だな」と思いました。
しかし不思議なことに、1エピソード見終わった頃には、
そのドタバタっぷりがツボに入ってきて、何だか楽しくなってきました。
実際はアメリカの30~60年代の喜劇のリメイクではあるものの、
ドリフターズなど日本の80年代のお笑い番組の雰囲気もあり、
80年代生まれのボクでも、何だか懐かしさを感じるノリです。
ハリウッド映画のコメディにしては珍しく、下ネタがほとんどないのも好印象だし、
スラプスティックでド直球なネタばかりなので、単純明快です。
それでいて、ちょっと感動できるところまであり、なかなかの満足度でした。

生後間もなく孤児院の前に投げ捨てられたモーとラリーとカーリー。
三つ子なのかなと思ったけど、そういうことでもないみたいですね。
3人はスクスクと成長し、10歳の時には孤児院のシスターたちも手を焼く問題児に…。
シスターたちが仮病を使ってまで面倒を見たがらないくらいのクソガキで、
可哀想な身の上ではあるものの、捨てた親は懸命だったと思えるほどのバカです。
ある時、お金持ちの夫妻が孤児院を訪れ、奇跡的にモーが里子に貰われますが、
モーが「友達2人も引き取ってほしい」と懇願したため、
里親は「3人を引き離すのは酷だ」と、モーを返品し、他の子テディを里子にします。
その後、新しい里親が現れることもなく、更に25年が経ちます。
すっかり中年になった3人ですが、バカは全く治っておらず…。
35歳になっても里親を待っているんだから、かなりのダメ人間ですが、
孤児院って普通は16~18歳くらいまでしか入所できないはずですよね。
逆に里親になってもおかしくないくらいです。
そんなある日、管轄区の司祭様が訪れ、「経済の低迷と想定外の出費」のため、
孤児院を閉鎖しなければならなくなったと告げます。
孤児院を存続させるためには、30日以内に83万ドルが必要と聞いた3人は、
その資金を稼ごうと町に向かい、35年間も孤児院暮らしで世間知らずな彼らが、
孤児院を救うために町で大騒動を巻き起こすというドタバタ喜劇です。

3人は83万ドルで何でも請け負うナンデモ屋を始めると、
夫の遺産を狙った資産家の妻リディアから、夫の殺害依頼が舞い込みます。
なんだかクライム・サスペンスに発展しそうな面白そうな展開で、
バカな彼らのことだから二つ返事で受けると思ったけど、
いくらバカでも倫理観はあるらしく、結局その話は流れてしまいます。
その後、偶然お金持ちに里子に貰われたテディと再会し、家に招待されますが、
テディに嫉妬するモーはその好意を跳ねのけてしまいます。
そんな身勝手なモーに、ラリーとカーリーは愛想を尽かし、別行動することになります。

2人と別れたモーは、どういうわけか人気番組『ジャージーショア』の
オーディションに合格してしまい、番組に出演することに…。
『ジャージーショア』はアメリカで最も人気のある実在のリアリティ番組で、
何でも20代のイタリア系アメリカ人8人が、ニュージャージーの海辺で共同生活をする
視聴者参加型ドキュメンタリー番組です。
日本でもMTVで視聴できたらしいですが、ハリウッド映画が大好きで、
アメリカのポップカルチャーも慣れてきたボクでも、
リアリティ番組だけはその面白さが全く理解できません。
日本のテレビ局によるリアリティ番組が面白かった試しがないからかな?
まぁ視聴者参加する目でもなく、日本のテレビタレントなんて素人同然ですけどね。
ちなみにこの『ジャージーショア』の出演者2人が、
本年度ゴールデン・ラズベリー賞の最低スクリーンカップル賞候補です。
それはともかく、モーの暴力キャラが番組で大ウケし、彼は一躍セレブの仲間入りです。

そうとは知らないラリーとカーリーは、一度孤児院に戻ることにします。
しかし閉鎖目前の孤児院から、孤児はほとんどいなくなっており…。
病気で寝込んでいる孤児の女の子マーフを見た2人は、
シスターになぜ彼女を入院させないかと問い詰めると、
3人がこれまで起こした事故や負傷のせいで、保険料の滞納が83万ドルもあり、
孤児を医療保険に加入させることができないからと言われ…。
つまりそれが孤児院を閉鎖する原因である「想定外の出費」なわけです。
自分たちのせいでマーフが入院できず、孤児院も閉鎖になると知った2人は、
援助してもらおうと、お金持ちのテディに会いに行きます。
生憎テディは留守でしたが、彼の里親からモーを返品した理由を聞かされ、
(モーが「3人一緒じゃないと嫌だ」と言ったから。)
モーのことを誤解していたと反省し、モーに会うため番組に乱入します。
予想外の友情物語にちょっとだけ感動してしまいました。

テディはなんと序盤で3人に夫殺しを依頼した資産家の妻リディアの夫で、
その事実を知った3人はテディを助けるために、彼の結婚記念パーティに乱入し、
リディアの夫殺害計画を阻止しますが、実はその計画の黒幕は…。
意表を突く展開で、単なるスラプスティックな物語だと思ってましたが、
伏線のきっちり張られたウェルメイドな内容だったのは意外でした。
紆余曲折あって、3人によるリアリティ番組が製作されることになり、
彼らのギャラの前払いで負債も返済され、孤児院は救われ、めでたしめでたしです。

エンドロール前に、監督のファレリー兄弟による演出の説明が挿入されます。
金槌などの小道具は全てゴム製であるとか、モーの目突きは目の上を突いているとか、
「暴力シーンは安全に配慮しているので、よい子は真似しないでね」的な注意があります。
そんなこと言われなくたって解りきったことだし、
このファレリー兄弟を名乗る2人組も実は別人なので、
これ自体がシュールなジョークなのかなとも思ったのですが、
別にオチがあるわけでもなく、どうやら本気の注意だったみたいです。
本作のスラプスティックな暴力シーンは現代では倫理的に問題なようで、
こんな注意喚起でもしないと、高いレイティングを付けられそうなのでしょう。
たしかにせっかく下ネタも少ないし、当時のオリジナルのファンだけじゃなくて、
子どもたちにも見てほしいだろうし、物語的にも家族向けだと思います。
結局それでもPG指定を受けちゃってますが、PGなら小学生以下もギリギリセーフです。
でもAEDに見立てたアイロンとか目突きなんて、子どもは真似したくなるよね。

もう2~3本、続編を製作するつもりだそうですが、
また楽しみなコメディ映画シリーズが増えました。

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