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モンスター・イン・パリ 響け!僕らの歌声

今年最大のヒット作『アベンジャーズ』のブルーレイが19日にリリースされますが、
リリースを前に、アマゾンのレビュー欄に批判が殺到し、炎上状態になっているようです。
もちろんかなり面白い作品なので、その出来自体に関する批判ではなく、
日本語吹替えにタレントを起用したことへの批判です。
アメコミ映画ファンのボクとしては、レビュアーの気持ちもわからないでもないけど、
ブルーレイの売り上げに影響するかもしれない酷評はやめてほしいかな…。
ボクが日本語吹替えのタレント起用に関して寛容なのも事実ですが、
そもそも本当のファンなら日本語吹替え版なんて見るはずないし、
結局騒いでいるのは、洋画吹替えのタレント起用の風潮を嫌う声優だけファンでしょ。
本当にこの作品が好きで、日本語吹替えキャストが気に入らないなら、
ちゃんとオリジナル音声も収録されているので、日本語に切り替えなければ済む話です。

まぁたしかに、その料金の一部がタレントのギャラになると思うとイラッとしますが、
もともと洋画を字幕でしか見ない人は、毎度どうでもいい声優のギャラを含む料金を、
文句も言わずに払っているわけですからね。
これはビデオソフトに限らず、吹替え同時上映作の劇場公開時でも同じことです。
ボクは日本におけるアメコミ映画の普及を心底願っているので、
そんな実害もないことで『アベンジャーズ』を貶めるのは本当にやめてほしいです。
ついでに言うと、『アメイジング・スパイダーマン』のTSUTAYA限定レンタルも、
作品の鑑賞機会を減らし、アメコミ映画普及の妨げになるのでやめてほしいです。
アメコミ映画以外なら、吹替え批判でも、TSUTAYA限定レンタルでも勝手にしてくれ、
…ってのが本心ですけど。

ということで、今日はオリジナル音声を収録していないTSUTAYA限定レンタル作の感想です。

モンスター・イン・パリ 響け!僕らの歌声 (インターナショナル版)

2012年12月5日リリース。
リュック・ベッソン製作、ビボ・バージェロン監督によるファンタジーアニメ。

1910年代のパリ。自称発明家ラウルと映写技師エミールはある日、ラウルが発明した薬で、モンスターを産み出してしまいます。モンスターは姿を消し、パリの人々を怖がらせる。そして2人の幼馴染で人気歌手のルシールが歌っているとそのモンスターが現れた。モンスターは音楽が大好きだったのです。ルシールはモンスターに“フランクール"と名前をつけ変装させて自分のステージで演奏させるのですが…。(公式サイトより)



本作はフランス製のCGIアニメーション映画です。
リュック・ベッソン監督の映画会社ヨーロッパ・コープが製作しているのですが、
ベッソン絡みのCGIアニメと言えば、世紀の駄作『ミニモイ』シリーズのことが過り、
正直、本作にもそれほど期待していませんでした。
しかし、本作はハリウッドのCGIアニメにも引けを取らない出来栄えで、
かなり面白い作品だったように思います。
それもそのはず、本作の監督はCGIアニメの雄ドリームワークスで作品を手掛けてきた、
フランス人監督ビボ・バージェロンが、母国に凱旋して撮った作品だからでしょう。
ただクオリティの高いCGIアニメを作るというのには莫大な製作費がかかり、
(本作はその年のフランス映画で3番目に高い製作費でした。)
フランス国内だけの興行では厳しく、海外興行も視野に入れると、
海外実績のあるヨーロッパ・コープと組むのが最善の手だったというだけで、
ベッソン自身は、本作のプロデューサーではあるものの、ほぼノータッチじゃないかな?
内容の一部にカーチェイスを含むところなんかは、
いかにもヨーロッパ・コープらしい感じも受けますが、
全体的には初期のドリームワークスっぽい印象を湛えている気がします。
バージェロン監督自身はハリウッドのブロックバスター映画と、
フランスのアーティスティックな映画の中間を目指したそうですが、
そういう意味ではハリウッドに近すぎる出来栄えだとも思えます。

本作は日本ではインターナショナル版でのリリースになりましたが、
一般的にインターナショナル版といえば、海外向けに編集されたもので、
長すぎる作品をキャッチーにするために大幅にカットしたりだとか、
外国人には理解できないシーンをカットしたりするバージョンのことですが、
本作の場合はただ単に英米でのリリースを目的とした英語版ってだけのようです。
オリジナルはフランス語ですが、本作には英語吹替え(と日本語吹替え)しか
音声が収録されておらず、オリジナル音声は選択できません。
なぜ英米向けインターナショナル版でリリースになったのかはっきりとはわかりませんが、
英語版は主人公の吹替えがジョン・レノンとオノ・ヨーコの息子ショーン・レノンなので、
あまり日本で知名度のないオリジナル版のキャストよりも、日本でウケると考えたのかも。
本作はミュージカル作品ですが、歌手であるショーン・レノンの起用もよかったけど、
セザール賞にノミネートされるほどフランス国内で絶賛された理由のひとつは、
オリジナル版の歌唱シーンだったこともあり、日本でリリースするなら、
英語吹替えだけでなく、フランス語オリジナル音声も選択できるようにしてほしかったな。
ただ、ヨーロッパ・コープの方針で、先に英語でのアフレコが行われたそうなので、
英語版とフランス語版のどちらが本当にオリジナルと言えるかは微妙なところです。
ちなみにヒロインの声を演じたフランスの世界的人気歌手ヴァネッサ・パラディは、
英語版、フランス語版の双方で声優を務めています。

1910年、パリでは数カ月の長雨でセーヌ川が氾濫し、
エッフェル塔の足元も水没するなど、深刻な洪水被害が人々を悩ましています。
ある日、配達人のラウルは友達の映写技師エミールと一緒に、
謎の研究をしている教授の植物園に配達に行きますが、あいにく教授は不在で、
テングザルの助手チャールズが一匹で留守番をしています。
ラウルたちは好奇心から植物園に入り、そこの研究所の薬品で遊ぶのですが、
うっかり不安定で危険な薬品「スーパー生長剤」をこぼしてしまいます。
たまたまチャールズの体に付いていた蚤にその薬品がかかってしまい、
蚤は2メートルにまで巨大化し、植物園から文字通り飛び出してパリの街へ…。
突然の怪物の出現にパリっ子たちは戦慄します。

1910年、パリでは数カ月の長雨でセーヌ川が氾濫し、
エッフェル塔の足元も水没するなど、深刻な洪水被害がパリ市民を悩ましています。
ある日、配達人のラウルは友達の映写技師エミールと一緒に、
謎の研究をしている教授の植物園に配達に行きますが、あいにく教授は不在。
ラウルたちは好奇心から植物園に入るのですが、うっかりある薬品をこぼしてしまいます。
その薬品をたまたま浴びてしまった一匹の蚤が巨大化し、植物園から飛び出して街へ…。
突然、謎の怪物が出現したことにパリ市民は戦慄します。
なんだかセーヌ川の氾濫による大洪水の方が怪物よりも大問題だと思うけど、
パリ市民は洪水よりも怪物の方で大混乱するのはちょっと不思議かな。
メイン舞台がモンマルトルの丘あたりなのか、あまり洪水被害はなく、
人々は普通に生活しており、洪水はちょっとした舞台演出くらいの意味しかなく、
もうちょっとその設定を活かしてもよかったのではと思いました。

一方、ラウルの幼馴染みでキャバレーの人気歌手ルシールは、
市長選立候補を考える警察の長官メイノットから言い寄られており、
キャバレーオーナーの叔母の勧めで半ば無理やり長官とお付き合いするはめに…。
そんな中、怪物騒動が持ち上がり、長官は怪物を退治すれば市長選挙で勝てると考え、
パテ警部と共に怪物の捜索を開始します。
ある夜、キャバレーの裏口で怪物と遭遇したルシールですが、
怯える自分を見た怪物の悲しげで美しい歌声を聴き、
彼女はその怪物は、見た目は怖いけど優しい性格であると悟り、
「フランクール(正直な心)」と名付け、人間の服を着せて変装させ、楽屋に匿います。
心優しいが見た目の不気味さから人々に恐れられ、誤解されているという展開は、
「フランケンシュタインの怪物」のような王道の設定ですね。
こんな展開だと、怪物は人間のヒロインに恋をするのが定石ですが、
本作の場合はルシールとロマンスを繰り広げるのは幼馴染みのラウルなので、
フランクールとルシールの関係性が、ちょっと希薄な気もします。
どちらかと言えば、ルシールからの一方的な気持ちが強い感じで、
クライマックスでルシールがピンチになった時、フランクールが助けに来なかったのは、
ちょっと物足りないような印象を受けました。

フランクールが美しい歌声なのは、怪物化する薬品「スーパー生長剤」の他に、
声が美しくなる「調律霧吹き」という薬品も浴びていたからですが、
なぜかギターが弾けたり、作曲したり、ダンスが踊れたりと、
ただの巨大な蚤のくせに音楽的な才能に恵まれまくっているのも変かな。
でもそんな違和感は些細なことで、ルシールとフランクールが歌って踊るシーンは、
『美女と野獣』のダンスシーンにも引けを取らない感動的で素晴らしいものでした。
流石にわざわざ本職の歌手を起用しているだけのことはあります。
特にルシール演じるヴァネッサ・パラディの歌声が可愛くてよかったです。
2人が一緒に歌うシーンは2箇所しかないのが残念です。

ルシールはラウルとエミールにもフランクールのことを明かし、
フランクールをメイノット長官たち警察から守るために、
公衆の面前で退治されたように見せかける狂言誘拐を実行しますが、
意外と優秀なパテ警部にあっさり見破られ…。
フランクールは拳銃を持った長官に執拗に追いかけまわされ、
ついに水没するエッフェル塔の頂上付近まで追い詰められます。
ルシールたちも長官を止めるためにエッフェル塔を目指しますが、
フランクールは長官の凶弾に倒れて…。
…と、終盤は怒涛の展開となり、カーチェイスなどアクションも見応えがあります。
最後の決戦の舞台であるエッフェル塔はもちろん、モンマルトルの丘のケールブカーなど、
ノスタルジックなパリの名所を舞台に壮絶なバトルが繰り広げられるのも楽しいです。
この戦いの結末は、長官のあまりの暴挙にパテ警部が改心し、長官は逮捕されますが、
直前まで警部も長官の暴挙に加担していたので、改心が急すぎる気がします。
長官は「フランクール謀殺」の容疑で逮捕されますが、蚤を殺して刑務所送りなんて…。
まぁその過程で殺人未遂を起こしまくってましたけどね。

長官に殺され、消滅した(川に落ちた)と思われたフランクールですが、
実は「スーパー生長剤」の効果が切れて、元のサイズに戻っただけ。
再び教授の薬品で大きくなり、めでたしめでたしです。
でもルシールたちは当初、フランクールを元のサイズに戻してあげたいと考えてたのに、
せっかく元に戻ったのにまた怪物にしちゃうなんてね。
元に戻ってルシールと一緒にキャバレーの人気歌手になったフランクールですが、
変装を解いてないところを見ると、まだ怪物であることは隠しているようだし…。
でもまぁハッピーエンドで気持ちよく終わったのはよかったかな。
エンドロールで流れる設定原画や絵コンテも、なかなか興味深くてよかったです。

家族で楽しめるファンタジーで、クリスマスシーズンにオススメのアニメ映画です。
TSUTAYA限定レンタルも、劇場公開された人気作を独占するんじゃなくて、
本作のような日本未公開の隠れた名作を買い付けてきてリリースしてくれるなら、
もろ手を挙げて歓迎できるのになぁ…。

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