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小さなバイキング ビッケ

日本では映画ファンの高齢化が著しく、映画館に若者が少ない状況ですが、
そうなってしまったのは、映画業界の若い映画ファンを開拓しようという努力が足りず、
若い人に映画を観てもらう習慣を作れていないからです。
中高校生にもなると習慣も硬直化してしまい、もう手遅れなので、
狙うは小学生以下の児童たちです。
その子らが観たいと思い、その子らの親も一緒に観れるような、
面白いファミリー向け映画をどんどん公開するべきです。
でも日本では子どもが観る映画といえばアニメしかない状況で…。
アニメ映画だとアニメファンは育つけど映画ファンは育たないんですよね…。
最近の日本映画はなぜかファミリー向け実写映画が皆無なのですが、
(『怪物くん』や『妖怪人間』は本来ファミリー向けのはずだけど、なんか違うよね。)
ハリウッドなどの外国映画も、ファミリー向けだと日本で公開されません。
それは映画会社が公開しても集客できないと考えているからだろうけど、
公開しないから児童が映画を観に来る習慣が育たず、尚更集客できなくなる悪循環です。

ということで、今日はドイツで大ヒットしたファミリー向け映画の感想です。

小さなバイキング ビッケ

2012年12月5日DVDリリース。
同名のアニメ、児童小説を実写映画化したアドベンチャー。

今から千年ほど昔。北の国に住むバイキングたちは、恐れられ、またその勇敢さを称えられていました。しかし、そんな屈強な男たちのなか、ちょっと変わった赤い髪の男の子がいました。彼の名前はビッケ。ビッケは力こそ弱いもののとても知恵にすぐれ、優しい心を持っていていました。そんなある日、ビッケが凧で空を飛んでいると、悪いバイキングに村が襲われ、こどもたちが誘拐されてしまいます。高い木に引っかかっていたのでビッケだけは無事でしたが、お父さんで族長のハルバルはおとなの男たちを集合させ、海賊船で一味を追うことにします。おいてきぼりを食らったビッケはたまりません。 そっと樽に隠れ海賊船に密航。おとなたちと一緒に冒険のたびにでかけることにしますが…。(公式サイトより)



本作は本国ドイツで公開されるや約500万人の動員を記録し、
その年(2009年)の国内興行成績第4位に輝いた大ヒット作です。
それどころか、ドイツ映画としても史上3番目の成績になったそうで、
たしかに面白い作品だとは思いましたが、正直「これが?」という印象は否めないほど、
謎のクリティカル・ヒットを記録したちょっと不思議な作品です。
ドイツ史上最高額の予算をかけたファミリー向け映画として製作されているので、
企画立ち上げ当初から記録的ヒットになることは想定していたようだし、
それだけ原作が国民的に人気のある作品だったてことでしょうね。

その原作は、ドイツの児童小説を映像化したテレビアニメです。
原作のアニメ『小さなバイキング ビッケ』は、過去に日本でも放送されていて、
ボクでも名前くらいは知っている人気アニメです。
大人気漫画(アニメ)『ONE PIECE』の元になったとも言われてますが、
このアニメって実は日本で制作されていたらしく、
それがドイツなど欧州でも逆輸入され好評を博していたんだそうな。
なので本作はかなり日本と所縁の深い作品だし、日本での認知度も高そうですが、
日本で劇場公開されることはなく、残念ながら地味にビデオスルーとなりました。

1095年、北の国に勇猛なバイキング、フラーケ族が住んでいましたが、
その族長ハルバルの息子ビッケは、頭脳明晰ですが非力な少年で、
「バイキングに必要なのは頭脳より腕力」と考える父は、息子を情けなく思っています。
ビッケも立派なバイキングになりたいと思っているみたいですが、
非力以前に「略奪するにも相手から許可がほしい」と考えるほど優しい少年で、
とてもじゃないがバイキング(海賊)には向いているとは思えませんね。

ある日、父ハルバルは腕力の大切さを説くため、息子ビッケに勝負を持ちかけます。
勝負のルールは、スタート地点からゴール地点まで、
数個の重たい石を先に運んだ方の勝ちという石運びレースで、
もしビッケが勝てば、バイキングの証である角の付いた帽子を贈ると約束します。
非力なビッケには勝ち目のない勝負に思えましたが、彼は少し考えて妙案を閃きます。
彼はスタート地点の傍に生えている気を弛ませて投石機にして、
石をゴール地点まで飛ばし、見事勝利します。
腕力よりも頭脳が優れていることの重要性を証明したわけですが、
なるほど『小さなバイキング ビッケ』という作品は、
ケンカはからっきしな少年が、困難をトンチで解決するという、
日本で言うところの『一休さん』みたいな感じの内容なのですね。
妙案を考える時にお決まりのクセがあったりと、演出的にも似ています。
他にも友達のチッチが「空を飛びたい」と言えば、凧を作って空を飛んでみせたりと、
頭脳明晰なところを見せますが、投石機にしても凧にしても、
実際はそんなに上手くいくはずもなく、ちょっと非現実的すぎるかな。
別に子ども向け作品だからそんなに固く考える必要ないかもしれないけど、
無知な子どもが見るものだからこそ、物理的に正しい演出が必要な気がします。
その方が本当にビッケが頭脳明晰なんだと納得できると思うし。
まだこのあたりの序盤はマシですが、終盤の非現実さはいくらなんでも無理があります。

そんなある日、スラーケ族の村が悪魔に襲撃され、
たまたま不在だったビッケ以外の村の子どもたちが全員拉致されます。
族長ハルバルは、子どもたち奪還のため仲間を率いて出航しますが、
友達チッチを救出したいビッケも、勝手に船に乗り込んでしまいます。
航海中、性質の悪いバイキング、いじわるスベンの船団に出くわしたハルバルの船は、
海霧の中に隠れますが、そこで悪魔が乗っていると思われる幽霊船を発見し、
彼らは子どもたち奪還のため乗船するも、ボロボロの幽霊船は勝手に沈没。
その混乱でビッケは行方不明になってしまいます。
宝箱に入って漂流していたビッケは、スベンの船に拾われて捕まりますが、
そこでチッチたちを拉致したのがスベンであるということを知り、
メカジキをノコギリにして牢から脱走し、イルカに乗ってハルバルの船に帰還します。
なんだかビッケってかなり勇敢だし運動神経も抜群で、どこが非力な少年なんでしょうね。

幽霊船も本当は中国雑技団の船でしたが、スベンの船団に襲われ、
ボロボロになってしまっただけのただの無人船でした。
いや、無人ではなく一人だけ、リー・フーという中国人女性が生き残っていました。
北欧が舞台なのに急に中国人が出てきて驚きましたが、
中国市場をにらんでのキャスティングでしょうか?
なんだか完全に作風に合っていませんが、最近は大して意味もないのに、
やたらと中国人をキャスティングする外国映画が多くて、ちょっと不愉快です。
まぁ本作に限って言えば、王立スペイン史学会の記録員ラモンという、
よくわからないスペイン人が、バイキングと一緒に行動しているので、
そいつもなんだか浮いてるし、存在する意味がわからないキャラでしたが…。
リーもラモンも原作に登場しているなら仕方ないけど…。

いじわるスベンはパンプ島の塔にある伝説の財宝を手に入れたいと考えているのですが、
そ財宝の封印を解くには、正直な子しか吹けない「トゥーラの角笛」を使う必要があり、
フラーケ族の村の子どもに角笛を吹かせようと拉致したのです。
スベンの村には正直な子どもはいなかったんですかね?
実家は借金まみれで貧乏なはずなのに、なぜか大学で伝説学を専攻していたリーの案内で、
スベンの先回りをしてパンプ島の塔で待ち伏せをすることにしたハルバルたちですが、
すでにかなりの遅れを取っていて、普通に航海したのでは先回りは不可能です。
そこで頭脳明晰なビッケは、ある妙案を閃きます。
パンプ島の周りを半周して塔を目指すスベンよりも先に到着するために、
自分たちはパンプ島を歩いて横断してショートカットしようという作戦です。
まぁ島を横断する案は悪くないと思うけど、なんと船も陸に揚げて、
力自慢の仲間ファクセが船を引っ張りながら横断するという作戦で…。
それはいくらなんでも無理がありますよ。
それなら島の周りを海路で半周した方が圧倒的に早いはずです。
せめて船を引きずるのではなく、車輪ぐらいは付けてほしかったです。
そもそも塔で子どもたちを奪還するのに、船なんて要らないだろうと思いましたが、
一応スベンから逃走するのに、運んだ船を使用します。
ビッケが考えたその逃走方法もかなり無茶苦茶ですが、
まさかの伏線を回収していたので、それなりにカタルシスはあったかな。

かなり荒唐無稽な内容のわりには、けっこう楽しめた本作ですが、
最もよかったのはビッケの友達チッチのキャラクターです。
そばかすが可愛い女の子ですが、けっこう変人で、魅力的なキャラでした。
ビッケの方も、はじめはもうちょっと可愛い子役はいなかったものかと思いましたが、
変わり者のチッチが好きになりそうな雰囲気を持っていたし、
性格的にも合っていたような気がしたので、途中からはハマり役だと思えました。
大ヒット作なので、本国ドイツではすでに続編も公開されているようですが、
ビデオスルーでいいから、日本でも早くリリースしてほしいです。

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