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ラブ&マネー

今年もたぶん年間興行成績1位になるであろう大ヒット映画シリーズ『海猿』ですが、
製作しているフジテレビが、原作者の漫画家を怒らしてしまったみたいです。
なんでも『海猿』の関連書籍が契約書なしで勝手に販売されていたことが発覚したようで、
原作者はツイッターで「フジテレビさんは信頼に値しない企業」、
「今後は一切新規のお取り引きはしない」と、フジテレビとの絶縁を宣言し、
「映画『海猿』の続編などは絶対にありません」と断言しています。
ボクは『海猿』の劇場版シリーズはけっこう好きだったので、
続編の可能性が消えたことは残念に思うけど、昨今のフジテレビの傲慢さを鑑みれば、
原作者の英断を全面的に支持したいです。
フジテレビからの映画化のオファーは受けない方がいいことが世間に知らしめられたし、
フジテレビが映画を作り難くなるのは、今後の映画界にとってもプラスだと思います。

それにしてもフジテレビは最大のドル箱コンテンツを失ってしまったわけですが、
もうひとつのドル箱だった『踊る大捜査線』も今年完結させてしまった後なので、
今回の件はかなり焦っているでしょうね。
本業ではテレ朝や日テレに負けていても、映画事業ではまだ圧勝していたのに、
『海猿』も『踊る大捜査線』も終わってしまえば、それも他局に負けるでしょう。
山吹色の誠意を見せて何とか『海猿』シリーズを続行するのか、
閉店詐欺で観客を騙して『踊る大捜査線』シリーズを続行させるのか、
今後のフジテレビの映画製作の動向に注目です。

ということで、今日は原作が大人気の映画の感想です。

ラブ&マネー

2012年10月24日DVDリリース。
キャサリン・ハイグル主演のアクション・コメディ。

初仕事は、元カレを捕まえる!?デパートの下着売り場で働いていたステファニーは半年ぐらい無職で借金のかたに愛車までとられてしまうはめに。それでもなんとかポジティブに生きようとする彼女のもとに変な仕事が舞い込んできた。保釈金立て替え業を営む従兄を手伝うことになったのだ。バウンティ・ハンターとして最初に決まった仕事は、なんと元カレの逮捕だった・・・。腕利きで屈強な同僚のレンジャーから賞金稼ぎという世界の裏と表を学ぶうちに、次第にモレリの逮捕劇には不審な点があることに気づく。 (公式サイトより)



全米初登場3位の本作ですが、その原作は大人気ベストセラー小説です。
小説のタイトルは本作の原題と同じで「One for the Money」といいますが、
翻訳された日本語版小説は「私が愛したリボルバー」という、
なんともハードボイルドなタイトルが付けられました。
たしかに本作のヒロインは、リボルバーを手に難事件を追う女賞金稼ぎですが、
性格はハードボイルドとは全く無縁の、ドジでお茶目な普通のアラサー女性で、
務めていたデパートをクビになり、収入がなくローンが払えないので、
仕方なくバウンティーハンターを腰掛で始めるという、ロマコメ風ミステリー作品です。
この小説は本国アメリカで大人気となり、シリーズ化され、今や19作を数えますが、
そのわりに日本ではあまり人気がある様子がないところをみると、
やっぱりハードボイルドな日本語タイトルのせいで、
本来のターゲットであるロマンス小説好きの女性が敬遠したからなのかも。
日本では知名度がないので、映画化である本作がビデオスルーになるのは仕方ないけど、
同じ轍は踏まないようにしたのか、本作の邦題は「私が愛したリボルバー」ではなく、
「ラブ&マネー」というロマコメ映画丸出しのタイトルになっています。
その判断は間違っているとは思わないけど、ちょっと凡庸すぎるタイトルで、
小説の邦題よりもインパクトがなくなってしまっているのが残念です。
それに元の邦題のままでも、ロマコメ映画の常連キャサリン・ハイグルがパッケージなら、
誰もハードボイルドな内容の映画だと勘違いしないと思います。
(原作ファンにも映画化作品であることがわかりやすいし。)
それに細かいことだけど、「One for the Money(お金が第一)」って原題なんだから、
「ラブ&マネー」じゃなくて、「マネー&ラブ」の方がいいような気が…。

主人公ステファニー・プラムは半年前に勤め先をクビになりますが、
ローンの返済があるのに貯金も尽きてしまったため仕方なく、
従兄弟のヴィニーの経営する保釈保証会社を求人を受けます。
保釈保証会社とは保釈金を立て替えてくれる金融会社みたいなものです。
そこで彼女に与えられた仕事が、逃亡者逮捕請求人(バウンティーハンター)。
これは保釈中なのに裁判所の呼び出しを無視している法廷未出頭者を捕まえると、
その被告の保釈金の10%を報酬として受け取れるという仕事です。
彼女は未出頭者のリストの中から、殺人事件の被疑者モレリに目を付けます。
モレリは保釈金も高額で、バウンティーハンター初心者には手に負えない相手ですが、
彼女は知り合いの凄腕賞金稼ぎレンジャーや、巡査部長ガザラ、電気屋バーニー、
売春婦ルーラなどの協力を得て(というか利用して)、モレリを追います。
彼女がモレリに固執するのは、実は元カレで、今でも少し気になる存在だからです。
でも建前としては「One for the Money(お金のため)」です。
本作の原作者であるジャネット・イヴァノヴィッチは、
本作をシットコムのような作品にしようと考えて執筆したそうで、
そのためか、主要登場人物がキャラ立ちしており、
ハイグル演じるヒロインのステファニーはもちろんのこと、
脇を固めるキャラもかなり魅力的に仕上がっていると思います。
上記の協力者やモレリも愛すべきキャラですが、特に彼女の祖母が面白いです。
そんなイカしたキャラたちが、本作で見納めになるのは忍びないので、
原作小説だけでなく、この映画版もシットコム化されることを熱望します。

モレリは殺人事件の容疑者ですが、スティファニーは彼の居場所を探るうちに、
その事件の裏に隠された事実に近づいてしまいます。
実はモレリは犯人ではなく、彼を嵌めた真犯人がいたのです。
彼女はかなり早い段階で、事件の不審さに気付き、真犯人のひとりも目星が付きます。
ミステリーの主人公ならば、事件の真相を暴いて被疑者の無実を証明するのが普通ですが、
彼女はとにかくお金が必要なので、モレリを捕まえ、報酬を得ることを優先します。
そこが本作の他のミステリーとは違う面白いところですね。
彼女は別に真犯人を暴こうとしているわけではないのに、
真犯人の方は焦ってしまい、彼女を脅したり、命を狙ったりしてきます。
そんな折、彼女の友達の売春婦ルーラが、真犯人に酷い暴行を受け、
彼女は「One for the Money」を止め、友達の仇討ちのために、
ターゲットである被疑者モレリと協力して、事件の真相究明に本腰を入れます。
まさに「One for the Friend」、お金よりも友情を優先させるという熱い展開です。
真犯人側にしてみたら、完全に藪蛇だったわけで滑稽な状況ですね。

面白い作品でしたが、ちょっと残念だったのは、
最後にスティファニーが真犯人のひとりを銃殺してしまうことです。
正当防衛なので罪に問われることはないとはいえ、人を殺したことに変わりはないし、
かなり見事な射撃ですっかりハードボイルドなキャラになってしまいます。
彼女には一貫してハードボイルドとは無縁な普通の女性であってほしかったし、
そんな普通の女性なのに、なぜか難事件を解決してしまうというミスマッチ感が、
本作の魅力だったと思うので…。
もし続編が公開されたとしても、彼女は人ひとり殺しているという先入観で、
本作と同じお茶目な女性というイメージでは、もう観ることができないように思います。
でも本作はそれほどヒットもしてないし、批評家の評価も芳しくないので、
心配せずとも続編の製作は難しいかもしれません。
原作はベストセラー小説なのは間違いないけど、かなり製作が遅れたため、
原作シリーズの人気絶頂期を逸して公開されたのが痛かったかな…。
日本ではどのみちビデオスルーになるのは間違いないけど。

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