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チベット犬物語 金色のドージェ

なんでも中国は、ゴールデンタイムに日本のアニメを放送することを禁止しているらしい。
国産アニメの振興のためらしいし、文句を言えた義理ではないですが、
優れた外国の作品はどんどん放送して競争した方が、振興になる気がします。
その点では日本も同じで、別に国策として禁止してはいないだろうけど、
ハリウッドのアニメなんかもどんどん放送してほしいです。
アニメに限らず、海外のドラマや映画なんかも、ゴールデンにもっと放送するべきです。
そしたら最近つまらない日本のテレビドラマや日本映画にもいい影響があるはずです。
(ただし放送するのは優れた外国の作品に限るので、朝鮮半島の作品は要りません。)

ということで、今日は中国のアニメ映画の感想です。
ちなみに来週も中国のアニメ映画の感想を1本書こうかと思っていますが、
こうして中国アニメが日本で見やすくなっているということは、
中国の国産アニメ振興政策には一定の成果はあったのかもしれません。

チベット犬物語 金色のドージェ

2012年1月7日日本公開。8月3日DVDリリース。
日本のマッドハウスと中国の中国電影集団が製作した日中合作アニメーション。

病で母を亡くし、離れて暮らしていた父ラクパのいるチベットを訪れた少年テンジン。牧羊を手伝っていた最中に熊に遭遇した彼は、金色の毛に包まれたチベット犬に助けられる。その犬をドージェヨンジーと名付け、共に生活することに。そんな折、草原で謎の連続殺人が発生。家族を殺された山賊の首領ギャロは、ドージェヨンジーが犯人だと決め付け、テンジンに引き渡しを迫る。(シネマトゥデイより)



本作は劇場公開時にはかなりの小規模上映で、ウチの地元では上映館がありませんでした。
公開終了後に日テレがオンデマンド配信していたそうなのですが、それにも気付かず、
結局ビデオリリースされてから見ることになってしまいました。
劇場公開が1月だからもう半年以上も前の映画で、感想なんて今更な感じですが、
是非紹介したいような、とてもいい作品だったので、今回は書かせてもらいます。

本作は中国の小説を原作に、『時をかける少女』『サマーウォーズ』でお馴染みの
日本のアニメ制作会社マッドハウスが制作したアニメーション映画です。
『南京!南京!』で悪名高い中国の映画製作会社、中国電影集団が共同製作していますが、
いわば中国の資本で日本のスタジオに制作した中国アニメってところでしょうね。
昨今は日本のアニメが人件費の安い中国などで制作されることが増えましたが、
ついに中国が日本に自国のアニメ制作を丸投げする日が来るとは…。
しかしそれは中国アニメの勢いが日本アニメを凌駕したからと考えるのは少々短絡的で、
どちらかといえば、国内の日本アニメの制作本数が減少傾向にあるため、
日本のアニメ制作会社は海外に活路を見出すしかなかったというのが現状でしょう。
最近では『ベルセルク 黄金時代篇』三部作のSTUDIO4℃が制作した、
ロシアのアニメ映画『ファースト・スクワッド』も記憶に新しいところですが、
マッドハウスとしても、自社の主力だった細田守作品は、彼が自ら立ち上げた制作会社
スタジオ地図が制作することになったし、中国に活路を求めたのでしょう。
正直、中国の反日映画会社のアウトソーシングなんて気持ちいいものではないけど、
さすがはマッドハウスと思える作品で、スタジオ地図の第一弾である
細田守の『おおかみこどもの雨と雪』を、かるく凌駕する名作だと思います。
監督も『ピアノの森』の小島正幸、キャラ原案も『20世紀少年』の浦沢直樹と、
どう見ても日本アニメにしか見えない作品なのに、これが日本以外の国では、
中国アニメとして認識されることになると思うと、なんだか悔しい気持ちが込み上げます。
技術や才能の流出の懸念もあるし、もちろん中国のように国策でやるべきではないけど、
ゴールデンタイムにアニメ枠を増やすとか、日本もアニメの振興はするべきです。

幼いころに両親が離婚し、母と2人で西安で暮らしていた少年テンジンですが、
母が病死したため、チベットの草原で父ラクパと暮らすことになります。
医師でありながら母を救おうとしなかった父を許せないでおり、
また、チベットでの遊牧生活には全く馴染めず、毎日辛い思いをしていました。
そんなある日、羊の世話をしていたテンジンは野生の熊に襲われますが、
そこに黄金の毛並みのチベット犬ドージェが現れ、熊を追い払ってくれます。
ドージェは、どこか遠くからこの草原にやってきたようで、
この草原を縄張りにする犬王がリーダーのチベット犬の群れにケンカを売られます。
群れの雌犬ラーリーに挑まれたドージェは、ラーリーと共に崖から転落し2匹は大怪我。
その様子を見ていたテンジンは、負傷した2匹を家に連れ帰り、
父とその弟子メイドラムに手当してもらって、必死に看病します。
怪我が治ったドージェは、その恩を返すかのように牧羊犬として働き、
いつしかドージェを慕うようになっていたラーリーも、犬王の群れを抜け、
ドージェと共にテンジンたちと暮らすようになります。

本作の魅力は何と言っても犬と人間の絆を描いていることでしょう。
感動的な名作である『フランダースの犬』とか『名犬ラッシー』とか、
犬のアニメは人気があるのに、なぜか意外と少ないんですよね…。
特にアニメ映画となると皆無で、犬(映画)好きのボクとしては寂しく思っていました。
(ハリウッド映画では『ボルト』とか、まだ比較的あるのですが…。)
パトラッシュもラッシーも、もともと人懐っこい犬種ですが、
チベット犬であるドージェは違います。
劇中のチベット犬も、熊や狼の群れにも全く怯むことなく撃退しますが、
ウィキペディアによれば虎とも対等に戦えるという説もあるくらい攻撃的で、
知らない人間に対しても強い警戒心を持っているようです。
(画的には巨大なチャウチャウ犬みたいな印象ですが…。)
そんな難しい犬だからこそ、テンジンも心を通わせるのにはなかなか苦労したし、
ドージェとの絆が生まれた時の感動もヒトシオです。
遊牧民なので、犬はペットではなくパートナーだし、その絆もより深く感じられます。
また、人間と犬の間だけでなく、犬同士の関係性も疎かにすることなく、
ドージェとラーリーの愛情や、犬王との因縁も丁寧に描かれています。
そんな素晴らしい犬アニメでありながら、テンジンと父の父子関係の再生や、
テンジンと友達ノルプの友情など、人間同士の絆もきっちり描けてるんですよね。

ドージェが草原にやってきたのと時を同じくして、
草原周辺では人間や家畜が正体不明の獰猛な獣に襲われるという事件が多発します。
この草原を根城とする盗賊の首領ギャロの弟も、その獣に襲われ死んでしまいますが、
その現場の近くでドージェが目撃され、ギャロはドージェの仕業だと決めつけ、
ドージェを引き渡すようにテンジンの父に迫ります。
もちろんテンジンはドージェがそんなことをするはずがないと反発します。
村長の仲介でひとまずその場は事なきを得ますが、ドージェの身柄は拘束され、
その処遇は村の集会で決めることとなりますが、何かを察知したドージェは脱走し、
テンジンたちもその後を追って、吹雪の雪山に向かいます。
そこには一連の事件の元凶である猛獣・羅刹の姿が…。

羅刹はドージェたちチベット犬の30倍はあろうかという巨躯の獣ですが、
前身漆黒の毛に包まれていて、なんて種類の動物なのかわかりません。
前身のフォルムはチベット犬に近いけど、顔周りの感じからするとヒヒっぽい感じ。
チベットが舞台なので、たぶんヒマラヤ山脈に棲むと言われるイエティってやつでしょう。
いきなりUMAなんかが登場すると、「ファンタジーだったの?」と困惑しますが、
本作は年老いたテンジン老人の子どもの頃の回想という形式なので、
「子どもの目にはイエティに見えた」と解釈するのがいいのかも。
実際はイエティとよく間違われるチベットヒグマか何かということにしておきましょう。
ドージェは前の飼い主を羅刹に殺され、その仇を討つべく、羅刹を追っていたのです。
この前の飼い主とドージェの絆も泣かせますよね。
羅刹は猛獣どころか怪獣だし、いくら虎と対等なチベット犬でも苦戦を強いられますが、
壮絶な死闘の末、ドージェは瀕死になりながらも仇討ちを成功させます。
しかし、テンジンが心配して駆け寄ってきたところに、今度は大雪崩が…。
瀕死のドージェは最後の力を振り絞り、テンジンを避難させますが、そのまま絶命…。
ドージェが死ぬであろうことは、はじめから薄々わかっていましたが、
なんとも感動的な最期で泣けました。
パトラッシュが天に召された時と同じくらい泣けましたね。
ラストの後日談も、とても心温まるものなので、見終わった後に、
悲しみだけではなく、最後は晴れやかな気持ちになれる感動作です。

アニメ大国を自負し、ハリウッドのアニメですらあまり見ない日本の国民としては、
本作が中国アニメであることに抵抗もあるでしょうが、
どことなく一昔前の日本のアニメの雰囲気があり、懐かしさを感じられるかもしれません。
それこそ「世界名作劇場」のようで、今の日本アニメにはない普遍性があります。
穿った見方をしなければ、国籍問わず老若男女誰でも楽しめる作品じゃないかな?

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