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デビル・インサイド

非ヒットしてほしいと願っている『アメイジング・スパイダーマン』が
国内興行成績2週連続首位になれて嬉しく思います。
5月以降、日本でも洋画(ハリウッド映画)が首位や上位になることが多く、
かなり洋画の復権が進んだように見受けられます。
近年はあまり面白くない邦画が、テレビ局のゴリ押しによって不当にヒットしていたので、
かなり遺憾に思っていたのですが、洋画が再び見直されてきたのはいい傾向で、
これは堕落した邦画を奮い立たせるためにもいいチャンスだと思います。
まぁ今週末は『BRAVE HEARTS 海猿』が首位を獲るでしょうが…。

ということで、今日は全米首位を獲った映画の感想です。
こんなロクに宣伝もしてなさそうな低予算映画が首位になるなんて、
日本では考えられないことですが、映画に対する市民の意識の違いですかね。

デビル・インサイド

2012年7月13日DVDリリース。
悪魔払いの実態に迫った戦慄のドキュメンタリー・ホラー。

1989年、マリア・ロッシと名乗る人物から「3人を殺害した」との緊急通報が入る。裁判所では彼女を精神障害と判断した。20年後、マリアの娘・イザベラは、母親が強力な悪魔にとり憑かれていたことを知らされる。彼女に一体何が起こったのか? 真実を知るため、イザベラは2人の神父を呼びマリアが収容されている精神病院へ向かうが……。(公式サイトより)



全米で今年最初のボックスオフィス1位を記録した映画が本作です。
パラマウントの新レーベルによる第一弾公開作品だそうですが、
年明けからこんなホラー映画を公開スタートさせるのも変だけど、
それを観に行くお客さんがそれほどいたというのも、なんだか面白いですね。
なにしろまだ公開2週目だった正月映画『ミッション:インポッシブル4』を抑えての
全米ナンバー1ですから、ほとんどの人が予測してない結果だったでしょう。
しかしながら、その記録は伊達ではないと思えるような、
なかなか面白いホラー映画に仕上がっていると思います。

悪魔払いを受けたマリア・ロッシは、儀式の最中に3人の聖職者を殺してしまう。
彼女は精神病(解離性同一性障害)と診断され、なぜかイタリアの精神科病院に入院する。
それから20年後の現在、彼女の娘イザベラは儀式の時に母に何が起こったのか、
その真実を調査し映画にするため、ドキュメンタリー監督マイケルと共にイタリアへ飛び、
バチカンのエクソシストに会ったり、母の病院を訪ねたりするが…、という話です。
つまり、娘イザベラによって撮られた映画が本作ということであり、
本作は彼女のイタリアでの体験が収められたドキュメンタリー映画なわけです。
ただし、当然ながら全てフィクションですけど。

『パラノーマル・アクティビティ3』の大ヒット以降、その2匹目のドジョウを狙って、
世界中で数え切れないほどのフェイク・ドキュメンタリーが製作されましたが、
そのほとんどが駄作だったと思います。
例えば先月は『グレイヴ・エンカウンターズ』を観ましたが、かなりお粗末な作品でした。
先月はDVDでも『モデルズ・シークレット』や『ミッシング・テープ』など、
数本のフェイク・ドキュメンタリー作品を見ましたが、
いずれも感想を書く気にもならない悲惨な出来で…。
これらの作品の作り手は、フェイク・ドキュメンタリーを単なる安価な撮影手段として
利用しているだけで、ジャンルの本質を見失っていると思われます。
そんな中、本作もかなり低予算(約100万ドル)ではあるものの、
ちゃんとフェイク・ドキュメンタリーとして的を射た演出で、
『パラノーマル・アクティビティ』以降では屈指の出来栄えの作品だと思います。
ドキュメンタリーの体裁は守りながらも、このジャンルの弱点であるストーリー性も高く、
もし本作がフェイク・ドキュメンタリーじゃなかったとしても面白かったに違いないです。
ただ低予算で粗悪なものを作って小銭を稼ごうとする奴らは、本作を見習うべきです。
まぁ映画批評家のウケはかなり悪いようですが、宗教が絡む内容なので、
(保守的な人はそれだけでアウトだから)あまり参考にはならないかと。

イザベラは母を訪ねる前にバチカンのエクソシスト養成学校に立ち寄ります。
エクソシスト養成講座なんて、どんな悪魔祓いの儀式を教えているのかと思ったら、
悪魔憑きか精神疾患かを見分け方について議論するだけ。
教皇庁の規定が改訂されて以降、悪魔憑きは絶対的確信がない限り認定しないそうで、
精神疾患の疑いが少しでもある限り、悪魔憑きとは認めないそうです。
つまりは悪魔憑きが認められるケースなんて、まず無いってことですね。
イザベラたちはその講義を受講するキーン神父とローリング神父と知り合いになります。
彼らは教会には内緒で、認定されなかった悪魔憑き患者を悪魔祓いする活動をしており、
イザベラたちもその悪魔祓いに立ち合わせてもらえることになります。
悪魔祓いのフェイク・ドキュメンタリーといえば、
去年公開された『ラスト・エクソシズム』も面白かったけど、
悪魔祓いは単なる超常現象系よりもフェイク・ドキュメンタリーと相性がいいのかも。
ホラーとしては怖いわけではないけど、悪魔の存在の真偽が焦点となる悪魔祓いものは、
真相を究明するという体裁のフェイク・ドキュメンタリーにピッタリです。
昨今の悪魔祓い映画は、悪魔の存在に対して懐疑的な視点から始まるものが多いけど、
本作はエクソシスト寄りの内容なので、始めから肯定的なのも特徴です。
医者や教会までが悪魔に懐疑的な中、悪魔と戦い続ける2人の神父は、
アウトローなはぐれエクソシストって感じでなんかかっこいいです。
まぁボクも悪魔の存在には懐疑的ですけどね。(神や仏も同様に。)

他の悪魔祓いホラーに比べても、悪魔祓いの儀式シーンは壮絶で興味深いです。
特に悪魔"ベリト"に取り憑かれた少女ローザの悪魔祓いの儀式は、
フィクションとわかっていても本物のようなリアリティと緊張感があります。
低予算なので高度な視覚効果を使っているわけではないのですが、
この少女を演じる俳優がすごい軟体で、人間とは思えない不気味なポージングが可能。
予算がなくてもアイディア次第で素晴らしい画が撮れるものだと感心しました。
しかし、その後行われる母マリアの悪魔祓いのシーンは、本作の最重要な山場なのに、
その少女の悪魔祓いに比べると至って在り来たりで…。
まぁ高齢の母親まで軟体な俳優をキャスティングするのは無理だったんでしょうね…。

少女に憑いた悪魔"ベリト"も悪魔の第1階級に属するかなり偉い悪魔ですが、
母マリアに憑いているのはおそらくはそれ以上の悪魔だと思われます。
彼女に憑いた悪魔は"アスベエル"というあまり聞きなれない名を名乗りますが、
彼女は4体の悪魔に同時に憑依される多重憑依状態で、その中の1体が名乗ったようです。
おそらくアスベエルは4体の中では格下で、その後の受け答えから、
その悪魔たちを率いているのはルシファー級の悪魔だと推察されます。
この状態だと悪魔の転移が起こるそうで、悪魔は宿主を次々と乗り換えできるみたいです。
母の悪魔祓いが若干グダグダなまま終わると、悪魔はキーン神父に鞍替えし、
キーン神父は赤ん坊の洗礼式でとんでもないことをやらかし自殺します。
普通だと悪魔憑きは宿主を苦しめはするもののギリギリ生かしておくものですが、
転移ができるのでタチが悪いですね。
悪魔はついにイザベラに憑依し、ローリング神父は上司のガロ神父に助力を求めるため、
イザベラを車に乗せてガロ神父の自宅に向かいますが、車内で悪魔が発症し…。
走行中の車内での悪魔祓いというのは、場所が場所だけに、
少女の時とはまた違った緊張感があって面白いです。
車内で暴れられたら、悪魔の呪いなんて関係なく大惨事になりますもんね。
運転していた監督のマイケルも一旦停車しろよと思いましたが、最終的には彼に…。

撮影が続行不可能になればそこで物語も強制的に終わってしまう。
フェイク・ドキュメンタリーの宿命ではありますが、
本作も悪魔祓いの決着を見ることなく終わってしまいます。
転移で母の悪魔憑きは治ったのかとか、ローリング神父のおじさんの話とか、
イマイチよくわからないまま終わってしまうのは気になりますが、
あまり親切に描きすぎないというのもフェイク・ドキュメンタリーのお約束ですもんね。
ただ、エクソシスト養成講座を受けていた悪魔に懐疑的なあの若者は、
かなりいいキャラだったので、彼についてはもっと描いてくれてもよかった気がしました。
ストーリーもけっこう面白く、出来のいいフェイク・ドキュメンタリー・ホラーですが、
他の作品に比べるとマシとはいえ、多少リアリティを欠くところもあるので、
リアリティを求めすぎるフェイク・ドキュメンタリー好きよりも、
普通のホラー映画好きにオススメしたい作品です。

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