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南の島のリゾート式恋愛セラピー

先月末の『ブレイクアウト』の記事で、上半期に観た映画のベスト10を書きましたが、
映画はちゃんと劇場で公開される幸せな作品だけではなく、
諸々の事情から日本では公開されなかったビデオスルー作品も沢山あります。
多くの場合は「日本では人気の無いキャストだから」とか、
「日本人にはわかりにくいカルチャーの内容だから」とか、
日本の配給会社が「劇場公開しても勝算がない」と考えた作品がビデオスルーになります。
しかし、例え一般的にはヒットしなさそうでも、面白い作品というのは確実に存在し、
そんな作品を探すのも映画ファンの楽しみの一つです。
ボクも上半期に約40本のビデオスルー作品を観賞したので、
今回はビデオスルーの上半期ベスト10(順不同)を書きたいと思います。

『かみさまへのてがみ』『小悪魔はなぜモテる?!』『運命の元カレ』
『恋するモンテカルロ』『マーリー2 世界一おバカな犬のはじまりの物語』
『ファースト・ドッグ ~大統領のわんちゃん』『イルカと少年』
『素敵な人生の終り方』『ドリアン・グレイ』『セクレタリアト 奇跡のサラブレッド』

ベスト10のうち9本がハリウッド映画になるのかな。
ほとんどが全米ではヒットしたけど日本では公開を見送られた作品です。
動物ものやロマコメが多いかったのは自分でも意外です。
観賞したビデオスルーの約半数はホラー映画なんだけど、
不思議とベスト10には入りませんでした。
ホラーのビデオスルーは、ビデオスルーも納得の駄作が多いですからね。

ということで、今日は下半期に観賞した1本目のビデオスルー作品の感想です。
下半期も『空飛ぶペンギン』『Mr.ズーキーパーの婚活動物園』など、
期待できそうなビデオスルー作品のリリースが予定されています。

南の島のリゾート式恋愛セラピー
Couples Retreat

2012年7月4日DVDリリース。
ジョン・ファブロー、ヴィンス・ヴォーンら主演のロマコメ。

妻と離婚の危機を迎えたジェイソン。彼らは関係改善のためにと南国リゾートで行われるカップル・セラピーの参加を計画。さらに、一人あたりの予算を軽減しようとデイヴら3組のカップルを巻き込み、8人で現地へ向かうことに。優雅な休暇を満喫できると信じていたデイヴたち。しかし、そのツアーはカップル・セラピーへの強制参加がメインだった…! 仕方なく受けることになったセラピーで、それぞれのカップルに様々な問題が噴出していく…。(公式サイトより)



全米初登場ナンバー1の大ヒットを記録した本作ですが、
映画評論家などの評価は燦々たるもので、日本ではビデオスルーとなってしまいました。
まぁこの手のロマコメは評価に関係なく日本ではビデオスルーされますよね。
評価にしても同じで、こんなコメディが高評価を得るなんてことはほぼなく、
低く評価されるのが普通なので、あまり当てにはならないと思います。
ボクも本作を高く評価したくなるような素晴らしい作品だとは思いませんが、
気楽に見る分には十分楽しめる程度の作品だと思います。

結婚8年目の夫婦ジェーソンとシンシアは、お互いに愛し合ってはいるのだけど、
長きにわたる不妊治療に疲れてしまい、離婚の危機を迎えます。
彼らは離婚すべきか結婚生活を続けるべきか最終判断をするために、
カリスマセラピストのムッシュ・マルセルが主催する
南の島"エデン"での夫婦セラピー「ペリカンパック」に参加することにしますが、
料金が高額なため、半額になる団体申し込みをしようと、
友達の3組のカップル(2組は夫婦、1組は未婚)を誘い、夫婦セラピーに参加します。
その3組は夫婦セラピーになんて興味はないが、南の島で遊べるならと参加を承諾。
しかしいざ島に着くと、彼らも夫婦セラピーにも強制的に参加させられ、
否応なくセラピーを受けるうちに、彼ら3組のカップル間の問題も掘り起こされて…、
…というお話です。

ジェーソンとシンシア以外の他の3組についても少し書くと、
結婚7年目で2人の幼い息子もいるデイヴとロニー夫妻は、一見順調な結婚生活ですが、
双方とも自己中で頑固なところがあり、お互い相手にストレスを感じています。
本作の実質的な主人公カップルなのに、4組中最も問題が軽いのは少し物足りないかも。
ジョーイとルーシー夫妻は、結婚して18年目になる倦怠期カップル。
たぶん出来婚で高校卒業後にすぐ結婚したため、若いうちにロクに遊ぶこともできず、
双方ともに強い浮気願望があるようです。
もはや離婚していないのが不思議なくらいの冷めきった夫婦です。
最後の1組、未婚カップルのシェーンとトルーディですが、
シェーンは元妻と別れたばかりのバツイチ中年で、トルーディはまだピチピチギャル。
彼らはかなりの年の差カップルで、それだけに趣味も体力的にも全く正反対です。
この未婚カップルは黒人カップルなのですが、それについて少し興味深い逸話があります。
なんでも、イギリスなど海外のポスターでは、この黒人カップルが除かれた、
他の白人夫婦3組だけ掲載されたポスター(※)が作られたのですが、
「黒人差別だ」と非難され作り直すハメになったんだそうです。
ボクなんかにしてみれば、作中に黒人カップルを1組加えただけでも、
かなり人種的に配慮されているように思うのですが、アメリカの黒人差別意識は根深く、
こんなどうでもいいことでも非難の声が上がるんですね。
(たしかに人種差別的な挑発的なネタも含まれている作品ではありますが…。)
こんなことなら、はじめから白人カップル3組で撮ればよかったと思ったことでしょう。

黒人カップル云々は別としても、ボクの印象では4組も登場させるのは、
ちょっとカップル数が多く、各々のカップルの問題が描き切れていない気がします。
そのため、最後のなし崩し的にまとめた感じで、少々無理を感じました。
やはり3組くらいが丁度よく、そうなれば必要ないのはやはり黒人カップルかと…。
人種の問題ではなく、1組だけ未婚なのでやはり浮いてしまっている気がするし、
ぶっちゃけ、このカップルだけ関係が修復されずに終わってしまうので、
なんとなくスッキリしない観賞後感になるんですよね。
妻3人は同世代で友達だけど、ひとり若いトルーディだけは仲間ハズレな印象もあるし。
まぁそんなことも引き金になって、物語が展開するので、全く必要ないとは言えないけど、
バランスが悪く感じられるのは間違いないです。

この夫婦セラピーを主催するセラピストのムッシュ・マルセルは、
夫婦調教師の異名を持つ胡散臭いフランス人です。
彼を演じているのは、なんとジャン・レノ。
ドラえもん並にキワモノキャラで、最近仕事を選ばなくなったのかなと心配になります。
でもサプライズとしては面白く、大物俳優の登場は純粋に嬉しいですが、
登場時間はさほど長くはありません。
カウンセリングなんかは他のセラピストが担当してますしね。
数ある夫婦セラピーの中でも、マルセル以上の異彩を放っていたのが、
ヨガのインストラクターであるサルバドールです。
海パン一丁のワイルドなイケメンで、手取り足取り体を密着させながら指導します。
特に妻たちに対する股間を押しつけながらの指導は完全にセクハラ状態で笑えます。
妻たちも満更でもなく、特に倦怠期のルーシーは彼とのアバンチュールを期待しています。
夫婦セラピーなのに、こんな講師がやってきたら逆効果じゃないかと思いますよね。

もうひとり、この夫婦セラピーの案内役としてスタンリーという男がいるのですが、
彼は規則に厳しく、参加者が規則やスケジュールを厳守するように監視しています。
規則を破れば、セラピーから脱落させられ、島を出なくてはなりません。
しかしある事情から、主人公デイヴたちは規則を破らざるを得なくなり、
それがスタンリーに見つかってしまい、絶体絶命となります。
それを大目に見てもらうため、スタンリーの特技であるゲーム『ギター・ヒーロー』で
デイヴが勝負することになります。
ここが本作のクライマックスなわけですが、この盛り上がらなさが半端ないです。
ただ二人でテレビゲームを興じているだけのシーンですからね。
かなりのハイスコアを叩きだしているようだけど、何がすごいのかサッパリだし…。
『ギター・ヒーロー』はコナミの『ギター・フリーク』の類似ゲームで、
実在するゲームですが、本作のスポンサーとして、そのゲーム会社が関わっているため、
こんなプロモーションまがいのクライマックスにするしかなかったんだと考えられます。
(主人公デイヴもその会社の営業社員という設定のようです。)
結局、ゲームの魅力も伝わらなかったし、映画としても盛り下がってしまい、
観客も全然楽しめなく、誰も得をしないシーンになってしまったわけですが…。
まぁ映画で露骨な商品のプロモーションをすると、往々にしてそうなりますね。

ダメなところも多いけど、笑えるところもけっこうあり、
過度な期待をしなければ、十分楽しめるコメディだったと思います。

(※)黒人カップルを除いたポスター。
南の島のリゾート式恋愛セラピー

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