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THE HOLE ザ・ホール

先月リリースされた『イルカと少年』、今月リリースされた『THE HOLE ザ・ホール』、
来月リリースされる予定の『HIDDEN ヒドゥン』や『リトル・レッド2』。
これらはいずれも日本で劇場公開されず、ビデオスルーになったハリウッド映画ですが、
もうひとつ、いずれも元は3D映画だったという共通点があります。
普通のDVDやBlu-rayでは3Dでは見れないので、
劇場公開されないのであれば3D作品である意味はほとんどないです。
『イルカと少年』は3D Blu-rayでもリリースされているので恵まれた作品ですが、
現時点で普及の見込みがない3D Blu-rayをプレスしてもらえる作品は限られ、
他の作品はDVDのみでのリリースのようです。
今後もそんな2D版のみリリースされる3D映画が増えてくるでしょうね。

ということで、今日は件の元3D映画の感想です。

THE HOLE ザ・ホール

2012年5月2日DVDリリース。
ジョー・ダンテ監督によるホラー映画。

N.Y.から田舎町のベンソンヴィルに越して来たトンプソン一家。家の地下室の床に謎の扉を発見した兄弟は鍵をこじ開けるが、以来奇怪なことが起こり…。 (キネマ旬報社データベースより)



3D映画の本作ですが、第66回ヴェネチア国際映画祭で新設された3D映画の賞、
「第1回ペルソール3-Dアワード」を見事に受賞しています。
(その時のプレゼンターが清水崇監督だったことでも話題になりました。)
それがどれほどの賞かは測りかねますが、ノミネート作には、
『モンスターVSエイリアン』『カールじいさんの空飛ぶ家』『アイスエイジ3』など、
人気3Dアニメーション作品が名を連ねています。
はっきり言って、本作がそれらを上回るほどの作品だったか疑問ですが、
本作のショー・ダンテ監督はその年のコンペ部門の審査員だったので、
かなり内輪贔屓があったのではないかと思われます。
まぁ他の候補が3Dアニメが多いので、3D実写である本作は目立ったのかも知れません。
翌年の同賞の受賞作が『アバター』であることを考えると、
本作は実写の3D映画としてはかなり先駆け的な作品だったとも言えます。
でも如何せん早すぎたためか、当時は全米の劇場の3D化も進んでおらず、
かなり限定的な公開となってしまったみたいです。
上記のように日本では2D版のDVDリリースしかされていないため、
その先駆け的な3D映像を味わうことが難しいのは、少し残念ですね。

本作はホラー映画なので、そんな権威のある映画祭で評価される作品とは思えないけど、
ホラー映画としてはかなりの佳作だと思います。
新居の地下室に厳重に施錠してある謎の縦穴が開いており、
その鍵を解いてしまったことから怪奇現象が起こるという、
なんだかシチュエーション・スリラーっぽい導入ですが、
実際はそんな仰々しいものではなく、子どもから大人まで家族で楽しめそうな、
ホラー風味の良質なアドベンチャー映画となっています。
雰囲気としてはショー・ダンテ監督の代表作『グレムリン』に近い感じです。

最近はゴア表現や恐怖演出ばかり凝ったホラー映画が多いためか、
血もほとんど出ない健全なホラーである本作に、心が表われるような気がしました。
とはいえ全く怖いわけではなく、少女の霊が真っ暗なトイレの個室から現れたり、
(適切な表現ではないけど)びっこをひくように家中を徘徊する姿や、
這いながら穴の中に入っていく姿などは、Jホラーに通じる不気味さがあり、
子ども騙しではなく、並のホラー映画には負けないくらいゾッとできるところも。
また、穴から出てくる怪奇はその少女だけではありません。
『チャイルド・プレイ』のチャッキーのように襲ってくるピエロの人形や、
『エルム街の悪夢』のフレディのように幻想世界に引き込み襲ってくるサイコキラーなど、
バリエーション豊か怪奇たちの登場で、ホラーファンも楽しめるはず。

そんなホラー演出だけではなく、ストーリーが面白いのも魅力です。
新居に引っ越してきたデーンとルーカスの兄弟は、地下室で謎の縦穴を発見します。
彼らはお隣さんの女の子ジュリーと3人で、その穴が何なのか調べることに…。
底なしと思えるほど深く広い穴で、デーンはカタコンベ(地下墓所)ではないかと推察。
一方ジュリーは死者の通り道、地獄への入り口じゃないかと考えます。
その穴を扉で密閉した前の住人"変わり者カール"は、
その穴は世界の始まりから存在する穴で、決して開けてはならなかったと怯えます。
その穴を発見した日から、弟ルーカスの周りではピエロの人形が、
隣人ジュリーの周りには少女の霊が現れるようになり、
前の住人カールも忽然と姿を消してしまいます。
一体何の穴なのか、とても好奇心を揺さぶられる興味深い展開で、引き込まれます。
ハラハラドキドキできる上に、これほどワクワクできるホラーも珍しいです。

以下、ネタバレを含みます。

この穴は、中を覗いた者の恐怖が具現化する仕組みのようで、
その正体はおそらくブギーマンでしょうね。(母親のセリフでそれが示唆されます。)
弟ルーカスはピエロが怖いので、ピエロの人形が具現化され、
隣人ジュリーには見殺しにしてしまった幼馴染みの友達アニーの姿で具現化します。
怪奇は自分の恐怖そのものなので、その恐怖を克服すれば打ち勝つことができます。
ジュリーがアニーに対する罪悪感を克服するシーンはちょっと切なく、感動しました。
もちろん兄デーンも穴を覗いたので、彼の恐怖も具現化されたのですが、
それは幼いころに自分や弟を虐待していた、服役中の父親の姿でした。
父親の虚像は弟ルーカスを穴の中へ攫ってしまいます。
普段は邪険にしている弟ですが、デーンは弟を救うために、穴に飛び込み、
自分が最も恐れている父親と戦う、美しい兄弟愛が描かれます。
本作は、その3人がそれぞれのトラウマを克服するストーリーであり、
少年少女の成長を描いた感動的な作品でもあります。

デーンの飛び込んだ穴の中の世界は、彼が幼かった頃に見ていた世界の虚像なのですが、
成長した今でも昔の視点のままという、遠近法の狂った独特の世界観になっており、
穴の中はワンダーランドだった的な演出で、映像的にも面白いです。
映像でいえば、隣人の女の子ジュリーがかなり美少女なのもよかったし、
ルーカスもクマのぬいぐるみを抱いて寝るような、とてもかわいい弟でした。
しかしなによりかわいかったのは、ジュリーの愛犬のポメラニアン、チャーリーでしょう。
もうキュン死しそうなほど、動作の全てが反則的にかわいかったです。
チャーリーも穴を覗いたんだから、何か怖いものが具現化されていたら、
もっと出番も多くだっただろうに、何も出てこなくて残念でした。

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