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イルカと少年

なぜかよくわかりませんが、児童向けのハリウッド映画は、
日本では公開されないケースが多いです。
『グレッグのダメ日記』シリーズとか、『アルビン』シリーズとか、
たとえ全米で大ヒットしていても、劇場公開は見送られます。
『ホッパーさんのペンギン』までビデオスルーが決定してしまったようで…。
コメディやホラーは文化的な差があるので、公開を見送られがちなのは理解できるけど、
児童向け映画っていうのは、子どもが見るので普遍的でわかりやすい内容だし、
けっこう大人でも楽しめるいい作品が多いんですけどね。
ボクは日本の映画文化発展のためにも、日本人の洋画離れには危機感を持っているので、
子どものうちから洋画に慣れ親しむ環境はあってほしいと思います。
邦画の児童向け作品なんて、特撮ヒーローか劇場版テレビアニメばっかりじゃないですか。
そんなものばかり子どもに観せても、将来映画好きにはならないでしょうからね。

ということで、今日は全米3位なのにあっさりビデオスルーになった映画の感想です。
特に児童向けってわけでもないですが、とても良質なファミリー映画になっています。

イルカと少年

2012年4月25日DVDリリース。
実話を元にした感動のファミリー映画。

11歳の少年・ソーヤーは浜辺で怪我を負ったイルカと出会う。水族館に保護されるも尾びれを失ったイルカのために、ソーヤーは博士に人工尾びれの製作を依頼する。(キネマ旬報社データベースより)



本作は、2005年に保護されたバンドウイルカの実話を映画化した作品です。
元の話は世界的にもけっこう注目された有名な出来事だったようですが、
ボクはなんとなく聞き覚えのある話でしたが、日本で劇場公開されないくらいだから、
日本ではあまり報道もされなかったのでしょうね。
日本はイルカやクジラの保護の話題に対しては、良くも悪くも敏感すぎる国だしね。
実話を基にした本作ですが、批評家からはかなり高い評価を受けています。
実話では単に怪我で尾ヒレを失ったイルカに、
人工尾ヒレを装着することに成功したってだけの話ですが、
とてもいい脚色がされていて、素晴らしいファミリー映画へと昇華されています。
実話が基になっている映画は、往々にして実話の内容に劣ることが多いが、
本作は確実に面白くなっており、感動も増幅しています。
実話の映画化のお手本になるような作品で、高く評価されるのも納得です。

ひきこもり気味で少年ソーヤは、浜辺でカニ漁の罠に引っかかった重傷のイルカを発見。
すぐに罠を外して、レスキューを呼んでやります。
イルカは「クリアウォーター」という海洋生物の保護をするNPOに搬送され、
獣医のクレイ先生の治療を受けることになりますが、
「ウィンター」と名付けられたそのイルカは、餌も食べず日増しに衰弱するばかり…。
しかし命の恩人ソーヤがお見舞いに来ると喜び、彼から与えられた餌も喜んで食べます。
それがキッカケで、ソーヤはクレイ先生を手伝って、ウィンターの世話を見ることになり、
無口で引っ込み思案だった暗い性格も改善されていきます。
ソーヤが明るくなったのは、ウィンターとの交流によるところも大きいですが、
クレイ先生の娘で、明るくおしゃべりなヘイゼルと出会ったのも大きいです。
本作はそんなボーイ・ミーツ・ガールな、少年の成長物語でもあります。
このソーヤやヘイゼルは、実話とは関係がない本作オリジナルの人物ですが、
彼らが主人公になったことで、子どもなら共感して見ることができるだろうし、
大人も童心に帰って楽しめる、間口の広い作品になっていると思います。

ウィンターは罠での怪我がもとで尾ヒレが感染症を起こし、尾ヒレの切断することに…。
尾ヒレを失ったウィンターは、体をクネらせる独自の泳法を編み出し、元気に泳ぎます。
しかしその無理な動きで付いた筋肉が圧迫し、脊椎を傷付ける危険性が指摘され…。
その頃、ソーヤの従兄で軍隊に入隊していたカイルが、
戦地で負傷して帰還し、軍人病院に入院していました。
従兄のお見舞いに行ったソーヤは、そこで(義肢など)人工装具の専門家である
マッカシー博士(モーガン・フリーマン)に出会い、イルカ用の人工尾ヒレの制作を依頼。
かなりの難題でしたが、博士は快く引き受けてくれます。

ソーヤの従兄カイルは将来有望視な水泳選手で、もともとは明るい性格だったけど、
オリンピック資金のため軍隊に入隊しましたが、服役中の爆発により脊椎を損傷し、
左足が動かなくなってしまい、水泳の夢が断たれ、ひどく落ち込んでいました。
しかし尾ヒレを失ったウィンターの世話をする従弟のソーヤに触発され、
彼もまた希望を取り戻していくのです。
本作は頑張るウィンターを通して、切断障害を負った人に希望を与えるという、
メッセージも込められていると思います。
カイルの場合は切断には至っていませんが、作中には片足の少女が、
ウィンターと触れ合って嬉しそうにしているシーンがあり、少し胸を打たれました。
もちろんカイルもマッカシー博士も架空の人物で、このくだりは全て創作ですが、
このメッセージ性のお陰で、かなり感動的な物語になったと思います。
また、義肢技術の素晴らしさにも驚かされました。
肌がツルツルでとても敏感なイルカに装着できる人工装具が出来るくらいなんだから、
人間用の装具の進歩も推して測れるというものです。
これを見て切断障害への恐怖も少し和らいだ気がします。

その頃、政府の補助金や寄付金で運営していたNPOの「クリアウォーター」でしたが、
強力なハリケーンに見舞われ大きな損失を出してしまい、閉館することに…。
ホテル王のホーダーン氏にその土地の権利を売り渡しますが、
尾ヒレの無いウィンターを引き取ってくれる水族館はなく、安楽死を余儀なくされます。
ソーヤとヘイゼルはウィンターを助けようと、サイトを立ち上げ、イルカ基金を作り、
「ウィンターデー」というイベントを開催し、寄付金を募ることを決めます。
従兄カイルの助力もありイベントは大成功するも、すでに土地の権利は売り渡されて…。
実在の「クリアウォーター」は、別に財政難でもなかったようなので、
このあたりも丸々フィクションなのでしょう。
でもソーヤとヘイゼルの淡いロマンスや、カイルの完全復活、
ウィンターの人工尾ヒレの完成など、重層的なエピソードが全てここに集約され、
映画としてはとても盛り上がるクライマックスで最高でした。
そしてラストのホテル王ホーダーン氏の粋な計らいに…。
渡る世間に鬼はなし、登場人物が全員いい人ばかりな映画で、
ちょっとご都合主義すぎるかもしれませんが、とても鑑賞後感の爽やかな映画でした。

本作の尾ヒレの無いイルカ、ウィンターは、実在のウィンター自身が演じています。
オープニングで海を泳いでいるイルカの群れは、完全にCGIだったので、
ほとんどのウィンターのシーンもCGIなのかと懸念しましたが、
大体は彼女自身が生身で出演しているみたいです。
ただ、彼女が救助されたのは2005年のことだから、撮影時にはかなり成長しており、
仔イルカという設定の割には大きくなりすぎてましたね。
尾の部分のすでにビルドアップされており、はじめから丸太のようなフォルムです。
まぁ他に都合よく尾ヒレの無い仔イルカを探してくるなんて不可能だし、
ましてや撮影のために健康なイルカの尾を切り落とすなんてことをしたら、
どんなバッシングを受けるかわかったもんじゃありませんもんね。

それにしても、欧米人(あと豪州)のイルカ好きは常軌を逸っしていると思います。
本作はファミリー映画に脚色されていたため、それほど異常さは気になりませんが、
怪我したイルカに人工尾ヒレ付けてあげようなんて発想、普通じゃないです。
でも作中で「イルカの人間説」なるものが語られ、それはアメリカ原住民の伝説で、
溺れた人間の子どもが女神の慈悲によりイルカに変わるという内容なのですが、
それを聞いて少し納得できた気がしました。
彼らはイルカを、人間と同等かそれ以上の存在だと刷り込まれているんでしょうね。
今年は実話を基に、氷に閉じ込められたクジラを救出するため奮闘する人々を描いた映画
『だれもがクジラを愛してる。』も公開されますが、
彼らにとってはイルカもクジラも本当に特別な存在なのでしょう。
きっと彼らにとっては、イルカやクジラはアジア人よりも上等な存在であり、
捕鯨やイルカ漁をする日本人が許せないという気持ちもわからないでもないです。
(トッピーがクジラに衝突したのも怒ってるかも?)
まぁ食文化は他国がガタガタ言うべきものじゃないですね。

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