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バンバン・クラブ 真実の戦場

ボクはギリシャ神話オタクなので、『タイタンの戦い』の続編で、
今週末公開になる『タイタンの逆襲』をとても楽しみにしています。
主人公ペルセウス演じるサム・ワーシントンを見るのも前作以来なので約2年ぶりで、
『アバター』であんなに注目されたのに、どうしているのかと思っていましたが、
先週末、彼の出演作『キリング・フィールズ』『マンイーター』が一気に公開されました。
そして今週末には『タイタンの逆襲』、来月には『恋と愛の測り方』が公開され、
劇場はワーシントンだらけになります。
日本で彼を見ない約2年間も、本国ではコンスタントに映画出演していたみたいですね。

日本では少しでも話題になるように、同じ俳優の作品が近い公開日になったりします。
最近ではライアン・ゴズリングの主演作『ドライヴ』と『スーパー・チューズデー』や、
テイラー・キッチュ主演の『ジョン・カーター』と『バトルシップ』が同日公開でした。
彼らにしてみれば、主演作同士が客を奪い合う形になるので、
本当はある程度、間をおいて公開してもらった方がいいんじゃないかと思います。
ファンとしても、その方が観に行きやすいだろうしね。

ということで、今日はまたしてもテイラー・キッチュ出演作の感想です。
『ジョン・カーター』と『バトルシップ』の公開に先んじてリリースされました。

バンバン・クラブ 真実の戦場
The Bang Bang Club

2012年3月10日日本公開。4月4日DVDリリース。
ノンフィクション小説をライアン・フィリップ主演で映画化。

1990年、戦場カメラマングレッグ(ライアン・フィリップ)は、激しい内戦が続く南アフリカの紛争地帯に潜入。そこで彼はベテランカメラマンのケン(フランク・ローテンバック)、ケビン(テイラー・キッチュ)、ジョアオ(ニールス・ファン・ヤーレスヴェルト)らと出会う。4人は競い合うように危険地帯にカメラを向けるが……。(シネマトゥデイより)



主に1990年から1994年の間、アパルトヘイト政権下の南アフリカ共和国で、
実際に活動していた4人の報道写真家グループ「バンバン・クラブ」の生き残り2人が、
当時のことを描いた自伝本の映画化した作品です。

バンバン・クラブのメンバーの中では、ケビン・カーターという人が最も有名で、
ケビンは内戦中でスーダンの国連食糧配給所の付近で、
餓死寸前の少女をハゲワシが狙っている「ハゲワシと少女」を撮った人物です。
それがピューリッツァー賞を受賞するなど絶賛された反面、
「近くにいながら少女を助けなかった」「見殺しにした」と批判も多く、
報道の在り方に物議を醸したことで有名です。
この論争は日本でも報じられていたので、ボクもなんとなく覚えています。

ただ本作は、ケビンのそのエピソードも多少は含まれるものの、
基本的にはバンバン・クラブのもうひとりのピューリッツァー賞受賞メンバーであり、
自伝を発表した1人である、グレッグ・マリノヴィッチが主人公です。
報道写真家であるグレッグの視点から、アパルトヘイト末期の南アフリカ共和国を描いた、
ヒューマン・ドラマとなっています。
てっきりケビンが主人公で、「ハゲワシと少女」論争の顛末や、
報道の倫理に一石を投じるような社会派映画かと思っていましたが、見当ハズレでした。
だからといって面白くないわけでもなく、南アフリカ共和国の近代史を描いた映画として、
なかなか勉強になり、興味深い内容だったと思います。
ケビンの話がもっと知りたいなら、彼自身の短編ドキュメンタリーで、
アカデミー賞にもノミネートされた作品があるようです。

1990年の南アフリカ共和国。
アパルトヘイト政権はズールー人の組織インカタ勢力と秘密裏に手を組み、
コーサ人であるネルソン・マンデラ率いるANC(アフリカ民族会議)を攻撃していた。
アパルトヘイトって、単純に白人による黒人分離政策って思っていたけど、
インカタ勢力のズールー人のように、アパルトヘイト政権に味方する黒人もいたんですね。
そんな内戦中の南アにやってきた新人報道写真家のグレッグ(ライアン・フィリップ)は、
そこで雑誌『ザ・スター』の報道写真家として活躍するケビン(テイラー・キッチュ)、
ケン(フランク・ローテンバック)、ジョアオ(ニールス・ファン・ヤーレスヴェルト)の
3人と出会い、一緒に仕事をすることになる。
彼ら4人は、後に「バンバン・クラブ」と称されるようになります。

ある日、黒人居住区で怒ったANCがズールー人をリンチして火だるまにする
殺害事件を撮ることに成功したグレッグは、その写真をAP通信に送り、
それが世界中に配信され、ついにはピューリッツァー賞を受賞してしまう。
しかし、その写真が「政府の黒人批判に利用される」と批判され…。
たしかに南アフリカの内戦の悲惨さを象徴する写真ではあるものの、
アパルトヘイト政府の反対勢力であるANCによる残虐性を示す写真なんて、
政府の肩を持つようなもので、ある意味都合の悪い存在ですね。
グレッグは、戦場で命がけで傑作を撮ったつもりが、批判されてしまい、
報道写真家の仕事に疑問を持つようになります。

一方、ケビンは南アフリカ共和国を離れ、スーダンへ飛び、
例の「ハゲワシと少女」を撮り、彼もピューリッツァー賞を受賞。
ピューリッツァー賞といえば、アメリカで最も権威のある報道の賞です。
「バンバン・クラブ」のメンバー4人中2人が受賞するなんて、スゴイですね。
しかし、ケビンも世間から厳しい批判を浴びることに…。
まぁたしかに、批判してしまう気持ちもよくわかるよね。
グレッグも現地の黒人から「アフリカ人の血で稼ぐのか!」って非難を浴びたけど、
報道写真家はなんだかんだで人の不幸で金や名声を得ているのは間違いないわけだし、
ある意味では芸能パパラッチと大差ない輩とも思えます。
いや、人命がかかっている分、性質が悪く感じるかも…?
でも、動物写真家と考えれば、ハゲワシが餓死寸前の少女を狙うのも自然の摂理なので、
積極的に干渉するべきではないのかも?
事実として、ケビンは撮影後ハゲワシを追い払ったそうで、
少女もその場では亡くならなかったそうです。
それならば、ケビンが批判される謂れはないですね。

初の全人種参加選挙が実施され、ネルソン・マンデラが大統領になった後も、
内戦はまだ続き、「バンバン・クラブ」も撮影活動を続けるが、
取材中にグレッグとケンが被弾し、グレッグは一命を取り留めますが、
ケンは帰らぬ人になってしまいます。
やっぱり戦場を駆け回る報道写真家は危険な職業ですね。
民間人は撃ってはいけないという戦争の暗黙の了解がありますが、
戦場にお客さん気分でノコノコやってきたら、そりゃ撃たれますよね。
むしろ真剣に戦っている兵士としては、そんな奴は優先的に撃ちたいくらいですよ。
一命を取り留めたグレッグも、この後も数度撃たれ、生涯通算4度撃たれたとか…。
ジョアオは撃たれはしなかったものの、地雷を踏んで両足を失ったそうです。
儲かるんだろうけど、批判はされるし、死と隣り合わせだし、
生半可な気持ちではしない方がいい職業です。
ケンはマンデラ大統領からお悔やみを受けたので、名誉の殉職なのでしょうが、
可哀想なのは厳しい批判を浴びたことで排気ガス自殺をしてしまったケビンです。
彼は薬物を常用しており、それが自殺の原因の一端だったのだろうけど、
薬物にでも頼らないと、正常心ではとてもできない仕事なのでしょう。

報道写真家に対するイメージが少し変わった作品でした。
渡部陽一をテレビで見た時もかなり変わったけどね。

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