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わらの犬

ソニーが今年度、グループ全体で従業員1万人を削減するとか…。
なんでもアメリカでテレビやゲームの不振が続いたため、過去最大の赤字になるそうで。
経営方針説明会で社長さんが、テレビやゲームなどエレクトロニクス事業を立て直し、
ソニーを再生させると仰ってましたが、ソニーの不振の原因をよく表してますね。
今やソニーといえば電機メーカーではなく保険屋だと揶揄されているくらいで、
いろんな事業に手を出し過ぎて、本業が疎かになったパターンですよ。
ボクも家電を買うときは、真っ当な電機メーカーの製品を買いたいと思うし。

でも、ボクにとっては、ソニーと聞いてまず思い出されるのが、
映画事業の「ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント」です。
ソニーの完全子会社ですが、エレクトロニクス事業と違い、なかなか頑張っており、
たしか去年の世界配給成績は過去最高だったように思います。
(ただし日本では前年比半減…。恐るべし日本人の洋画離れ…。)
今年も『メン・イン・ブラック3』(東宝東和配給)、『アメイジング・スパイダーマン』、
『トータル・リコール』、『007 スカイフォール』など、話題作が目白押しです。
ただ未だにコロムビア映画ってイメージが強く、ソニーである必要もないので、
本業を頑張るために、映画事業は売却しちゃってもいいんじゃないかな?
コロムビア映画がソニーに買収されたのを、よく思っていないアメリカ人もいるしね。

ということで、今日はソニー・ピクチャーズ・エンタテインメントの映画の感想です。
本作はコロムビア映画ではありません。

わらの犬

2012年4月11日DVDリリース。
サム・ペキンパーの名作をロッド・ルーリー監督がリメイクしたサスペンス。

ロサンゼルスに住む脚本家デヴィッドは妻エイミーと共に、静かな環境を求めて彼女の故郷ミシシッピー州の田舎へと引っ越す。だが、エイミーのかつての恋人チャーリーと再会した日から不穏な空気に支配され、やがて、都会者を嫌う地元の荒くれ男たちを敵に回したデヴィッドとエイミーは、想像を絶す暴力の世界へと引きずり込まれていく…。(公式サイトより)



本作は1971年のダスティン・ホフマン主演の名作『わらの犬』のリメイクですが、
名作のリメイクといえば、最近観賞した『フットルース』や『ミスター・アーサー』も、
同じ頃の名作をリメイクした作品でした。
この3作に共通することといえば、いずれも日本ではビデオスルーということでしょう。
全米では劇場公開され、ぼちぼちの興行成績(本作は初登場5位)は残していますが、
評判はあまり芳しくなかったようで、日本での劇場公開は見送られました。
いかに名作と呼ばれる作品のリメイクが難しいかということですね。

ただその評価は、名作と呼ばれたオリジナルと比較されてのものなので、
ボクみたいに古い映画に疎い視聴者が見れば、当然評価は違うと思います。
もちろん名作のリメイクだという事実だけでも、多少はハードル上げちゃいますが、
基本的にはフラットな視点で、作品の良し悪しを判断できる気がします。
で、オリジナルを知らないボクが、本作を見ての評価は、
「名作には程遠いけど、なかなかの佳作だ」といった感じです。
なので、オリジナルを知っている人は微妙な作品だと思うだろうけど、
もし知らないなら、見て損はない程度の出来にはなっていると思います。
端からビデオスルーなので、安いレンタル料金で見れるしね。

ハリウッドの映画脚本家デヴィッドは、都会の喧騒を離れて仕事をしようと、
妻エイミーの故郷ミシシッピー州の田舎町ブラックウォーターへと引っ越します。
デヴィットは住む家の修繕をエイミーの元恋人チャーリーとその仲間3人に依頼しますが、
彼らはインテリな都会者デヴィッドのことが鼻持ちならず…。
これは田舎者の劣等感による言いがかりな印象も受けるのですが、
デヴィッドも、彼ら南部の人を「わらの犬」(取るに足らない存在)と蔑視しており、
彼らのソウルフードをバカにしたり、彼らの流儀を否定したりと、
確かにちょっと嫌味な都会者であることは間違いないです。
特に自分が無宗教だからといって、熱心なプロテスタント信者だらけの南部で、
神様を軽んじるような言動をするのは、思慮が足りなさすぎます。
これは個人間の問題でもありますが、風土的な摩擦によるところも大きそうです。
オリジナルではアメリカ南部ではなく、イギリスに引っ越したそうですが、
舞台がイギリスとアメリカ南部では、作品の印象もかなり変わってるんじゃないかな?
ついでにデヴィッドの職業も、数学者から映画脚本家に変更されました。
映画脚本家って、そんなに金持ってそうなインテリって印象はないけど…。

チャーリーたちはデヴィッド夫妻にちょっとした嫌がらせを繰り返します。
ある日、デヴィッドの飼いネコが何者かに殺される事件が発生し、
エイミーはチャーリーの仲間が犯人だと主張するのですが、何も証拠がなく…。
またある日、デヴィッドはチャーリーらに鹿狩りに誘われますが、
猟の最中に彼らの弾がかすめ、危うく撃たれそうになります。
これらはあまりにも度を超えた嫌がらせですが、デヴィッドの性格のこともあるから、
ネコ殺しの犯人は他にいるかもしれないし、猟でもただの流れ弾かもしれないので、
デヴィッドの被害妄想じゃないかとも思いました。
実際ネコ殺しの真相も最後まで明かされませんし…。
ただ、時を同じくしてチャーリーとその仲間による、エイミーのレイプ事件が発生します。
そこで改めて、チャーリーたちはやっぱりロクでもない奴らなんだと理解しました。

でも、このレイプ事件って、ストーリーの展開上、あまり必要ないような…。
クライマックスで、デヴィッドは武装したチャーリーたちと死闘を繰り広げますが、
この決定的な衝突もエイミーのレイプが原因ではありません。
デヴィッドは自閉症の殺人犯ジェレミーを図らずも家にかくまうことになり、
ジェレミーを捕まえにやってきたチャーリーたちと殺し合うはめになるだけです。
よく被害者による復讐劇のことを「わらの犬症候群」と呼びますが、
本作の場合はエイミーがレイプされたことの復讐をするわけでもないし、
ただ赤の他人を助けるために、やむを得ず殺し合いに巻き込まれただけですよね。
その殺し合いの一番の当事者であるジェレミーが最後にどうなったかは、
なぜか本作には描かれていません。
自閉症の殺人犯というデリケートな設定なので、殺すのも生かすのも憚られたのかな?
なんにしても、あまり意味がないと思えたレイプ事件ですが、
これはオリジナルにはあるけど、原作小説にはない展開なんだそうで、
当時も物議を醸したんだそうです。
その話題性がオリジナルの名作たる所以なんでしょうが、
本作もただオリジナルを踏襲するだけでなく、
何か物議を醸すようなアレンジを加えた方がよかったと思います。

近年は盛んにリメイク作品が作られましたが、ここにきて少し落ち着いてきた気がします。
リメイクの企画が持ち上がったという話題はよく聞きますが、
このところのリメイク作品の不振からか、製作には至らないことが多そうです。
リメイクするなら、誰もが知ってる名作ではなくて、隠れた名作をするべきです。

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