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青の祓魔師 劇場版

今年は自己新記録の映画200本観に行くことを目標にしていました。
実際は過去最高本数の180本を超えた先月末から200本を意識し始めて、
年内に観たい映画の本数を読んで、ちょうど200本になるように予定を組んだのですが、
そのうちの一本だった『もうひとりのシェイクスピア』が、
ここ関西では公開が来年に持ち越されるということを昨日知り、
慌てて代わりになる映画を探したのですが、他に観たい映画なんて全くなく…。
とりあえず候補としては『妖怪人間ベム』『かいけつゾロリ』『青の祓魔師』の3本。
どれもテレビの劇場版ですが、テレビの放送は見てないものばかりで…。
結局、一番新しいという理由で『青の祓魔師』に決めました。
前々回の『大奥』の感想で「今年最後に観た邦画」なんて書いちゃったから、
できれば洋画を選びたかったのですが、目ぼしいものは全部観てしまっていて…。
でも日曜日に『ブレイキング・ドーン Part 2』を観に行く約束をしているので、
200本目は洋画で締めることができそうです。

ということで、今日は今年199本目の映画の感想です。

青の祓魔師(エクソシスト) 劇場版
青の祓魔師

2012年12月28日公開。
「ジャンプスクエア」で連載中のダークファンタジー・コミックの劇場版。

燐は祓魔師を目指す、魔神(サタン)の落胤(らくいん)。燐の暮らす正十字学園町は11年に1度の祝祭を迎えていた。そんな中、悪魔から侵入されるのを食い止める結界の張り替え作業中に、幽霊列車(ファントムトレイン)が暴走してしまう。暴走した幽霊列車の対応にあたった燐は、ほこらに封印されていたかわいらしい少年のような悪魔、うさ麻呂に出会う。そして祭りの期間中、燐はうさ麻呂の世話をすることになるが……。(シネマトゥデイより)



本作は去年の日曜夕方に放送されていたテレビアニメの劇場版です。
そのテレビアニメの原作は集英社の月刊誌『ジャンプスクエア』に連載中の漫画ですが、
ボクはそんな雑誌があったことも知らず、原作も未読だし、テレビの方も未視聴です。
件の理由から本作を観ることを決めたものの、予備知識ゼロでも楽しめるのか不安で、
だけどどうせ数合わせなんだから、ダメモトで観ればいいかと臨みました。
しかしいざ観てみると、期待値ゼロとは言え予想外に楽しめてしまいました。
同じジャンプ系漫画が原作の『ONE PIECE FILM Z』なんかとは違い、
一見客でも楽しめるように作ってある、いい劇場版だと思います。

…というか、劇場版は本来こうあるべきです。
原作者が製作総指揮を務めて大ヒットを記録した『ONE PIECE FILM STRONG WORLD』以来、
ジャンプ系アニメの劇場版は、何かと原作者を作品に関わらせて、
原作と劇場版をリンクさせる内容にしたがる傾向があります。
原作者がまたしても製作総指揮をして大ヒット中の『ONE PIECE FILM Z』もそうですが、
原作者が監督までしている『ROAD TO NINJA -NARUTO THE MOVIE-』もそうだし、
今後の公開作でも、原作者の未掲載のネームから作られた『HUNTER×HUNTER』1作目や、
原作者の全編書き下ろしとなる『銀魂』第2作目、
原作者が監修する『ドラゴンボールZ』最新作もそうですね。
原作者が関わることで、通常は外伝(パラレルワールド)として描かれる劇場版が、
原作と地続きになることは、原作ファンにとってはとても興味深いことですが、
反面、原作ファン以外の客に対する敷居を上げることになります。
どうせファンしか観ないんだから別にいいんじゃないかという考えもわかりますが、
映画というのは漫画やアニメの延長線上にあるもの(上位媒体)ではありません。
映画ファンのボクにすれば、原作を知らないと成立しない作品なんてのは問題だし、
逆にもし原作が劇場版を観ていなかったら補完できないことになるのも問題です。
なのでアニメの劇場版は『ドラえもん』『名探偵コナン』『クレヨンしんちゃん』の様に、
常に外伝として、劇場版だけで完結するようにするべきです。

その点、本作はどうやら原作者は関わっていないようで、
劇場版スタッフによる自由な裁量で作られているため、
本来の劇場版の在り方である、一話完結の独立した外伝となっています。
(その方が劇場版スタッフも遣り甲斐あるだろうし、いいものが出来るはずです。)
もちろん登場人物の設定や人間関係なんかは、原作を踏襲していますが、
本作を観る上で必要な範囲のことは、ちゃんと作中でそれとなく説明されており、
一見客にも概ね理解できる優しい演出になっています。
親切な内容にすることで、本作が原作の入口となり、新規ファンを獲得できるかもしれず、
ファンしか興味を持たれない劇場版よりも双方メリットは大きいはずです。
ボクも当初は主人公の燐に尻尾があったりエルフ耳だったりして、
「なんだこれ?」と思いましたが、劇中で彼が半悪魔(サタンの落胤)と説明があり、
その経緯に興味が湧いて、ちょっと原作も読んでみたいかもなんて思いましたしね。

特によかったのが人間関係の演出です。
けっこうキャラ数はいるのですが、その関係性の説明が的確で、すぐに覚えられました。
というか、それほど覚える必要のない構成になっていた感じかな。
初めは主人公・燐とその弟・雪男の兄弟の絆を描いた物語かと思いましたが、
本作は原作のキャラ同士の関係が中心ではなく、
主人公・燐と劇場版オリジナルキャラであるウサ麻呂の友情を描いた物語なので、
本作で新たに構築された関係が中心なので、予備知識は全く必要としません。
特に本作の関係性は極端なほどに簡素化され、ヒロインもいなければライバルもおらず、
本作においてこの2人以外は脇役同然で、別に覚える必要もないです。
燐以外のキャラのファンにとっては物足りないかもしれないけど、
ボクにとっては非常にありがたい構成でした。

劇場版オリジナルキャラのウサ麻呂は、とても無邪気で可愛い男の子の姿をした悪魔。
千年前にウサ麻呂が原因で村がひとつ滅び、当時の祓魔師によって彼は祠に封印されます。
祓魔師見習いの主人公の燐は、弟・雪男と一緒に幽霊列車の退治をしている最中、
封印が解けてしまったウサ麻呂と出会い、暫らく預かることになります。
ウサ麻呂は人間の嫌なことや辛いことの記憶を食べる力があり、
燐や周囲の人のために嫌な記憶を食べてあげるのですが、
記憶を食べられた人間は遊び呆けてしまい、それが原因で街は大混乱に陥ります。
ウサ麻呂は悪気がないだけに性質の悪い悪魔ですが、とにかく純真で優しい悪魔。
ウサ麻呂と仲良くなった燐は彼が力を使わないように説得しますが、
「祓魔師は悪魔を祓うのが役目」と考える雪男は、彼を殺そうと追い回します。
たしかにウサ麻呂はいい子で、こんな小さい子を殺そうだなんて酷すぎると思うのですが、
雪男に追われる時、彼は化けウサギの姿になるんですよね。
その姿を見た時、ウサ麻呂が人間に擬態した悪魔なんだなと思えて、
それ以降はあまり情を感じなくなってしまいました。
ずっと子どもの姿でいた方がよかったと思うけど、子どもが銃を向けられる姿や、
子どもに銃を向ける雪男の姿は、あまり描くべきではないと考えたのかもしれませんね。
ちょっと解り難く感じたのですが、ウサ麻呂の力は記憶を食べるのではなく、
厳密には時空そのものを食べる力らしく、要するに過去をリセットしているようです。
ウサ麻呂は燐を助けるために、街に溢れかえったコールタール(?)を時空ごと消し去り、
自分や自分の存在した事実さえ一緒に消し去ってしまいます。
つまり本作での出来事は全てリセットされてしまい、燐以外の誰の記憶にも残らないので、
本作の内容は事実上パラレルワールドになり、原作との繋がりはなくなるのです。
外伝であるべき劇場版として、なかなか巧い落としどころだと思いました。

謎だったのは、もう一人の劇場版オリジナルキャラ、リュウ・セイリュウの存在です。
彼は台湾支部の祓魔師で、千年前にウサ麻呂を封印した祓魔師の子孫ですが、
せっかくのオリキャラなのに、ロクに活躍せず、その存在理由がわかりません。
てっきりウサ麻呂を巡って燐と争奪戦になったりするのかなと思ったのですが、
彼は雪男ほどもウサ麻呂に執着していないようにも見えます。
まぁ中国人のキャラなんて不愉快なだけなので、活躍してくれなくて結構だけど、
活躍しないなら登場しないでくれた方が尚よかったです。

リュウと燐が戦わないのは意外でしたが、もしかして原作はバトル漫画じゃないのかな?
でも幽霊列車とのバトルなどアクションが丁寧に描かれ、かなり見応えがありました。
街の風景もオリエンタルな情緒があり、緻密でなかなか綺麗だったし、
燐が作るオムライスは、アニメのくせに妙に美味しそうでした。
カオナシの暴走モードのような幽霊列車や、西洋人形の怪物など、
悪魔のデザインもかなり上出来だったように思います。
人間キャラのデザインもクセがなく、好感が持てました。
ただシュラとかいう女祓魔師の恰好は、ちょっと破廉恥過ぎる気がします。
マイクロビキニから零れる下乳がエロすぎて、物語に集中できません。
まぁそんなセクシーキャラがいるところが、少年誌漫画らしいとも思いますが、
不思議なことに客席の7割ちかくは若い女の子でした。
『黒子のバスケ』とかみたいに女子人気の高い作品なんですね。

全く期待してなかっただけに、こんなに楽しめるなんて予想外です。
他の候補は観てないので、単純に比較は出来ませんが、本作を選んでラッキーでした。

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