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シェフ! ~三ツ星レストランの舞台裏へようこそ~

世間は例年通り邦高洋低で、洋画が不振な年でしたが、
ボクは過去最高の本数の洋画を観た年でした。
例年どおりに観たい映画を観ていただけで、特に意識はしてなかったのですが、
洋画の趣味の幅が広がって、観る本数が増えたのだと思います。
ハリウッド映画は例年と変わりなく、話題作を中心に観ていただけですが、
今年は非ハリウッドの外国映画をよく観た気がします。
そのほとんどは欧州映画でしたが、今年はインド映画も2本観ました。
逆に情勢を鑑みて、中国や韓国の映画を観る機会は減りました。
非ハリウッドの外国映画で最も面白かったのはフランス映画の『最強のふたり』かな?
逆に最もつまらなかったのはポルトガル映画の『ミステリーズ』でした。
全映画の中でもワースト級で、非ハリウッド映画は当たり外れが激しいです。

ということで、今日は今年最後の非ハリウッド外国映画の感想です。
最後は当たりでよかったです。

シェフ! ~三ツ星レストランの舞台裏へようこそ~

2012年12月22日日本公開。
ジャン・レノ主演のコメディ。

レシピを舌で記憶する特殊な才能を持つシェフのジャッキー(ミカエル・ユーン)は、レストランをクビになりペンキ塗りの仕事をしていた。一方、三ツ星レストランの有名シェフ、アレクサンドル(ジャン・レノ)は三ツ星存続の危機に陥っていた。そんなある日、老人ホームへ友人に会いに行ったアレクサンドルは、そこで飲んだスープが自分のレシピを再現したものだったことに驚がくする。(シネマトゥデイより)



本作はフランス映画ですが、世界に誇るフランス料理を題材にしたフランス映画が
あまりないことに目を付けたダニエル・コーエン監督が、
フランス料理の高級レストランの舞台裏を舞台にして撮ったのが本作です。
たしかに『レミーのおいしいレストラン』などハリウッド映画や、
『王様のレストラン』など日本のドラマではたまに見かける題材だけど、
フランス映画では珍しいかも?
本場で撮られた映画だから、他とは一味違う作品になっていると期待しましたが、
大ピンチのレストランをある料理人が救うという至って王道なストーリーで…。
しかし、王道ゆえの安定感と、キャストたちの軽妙な演技で、
かなり笑えるコメディになっていて、とても楽しめました。

パリにある三ツ星評価の高級レストラン「カルゴ・ラガルド」ですが、
シェフのアレクサンドルがスランプに陥ってしまいます。
数日後にはミシュラン(?)の調査員がやってくるのに、新メニューが全く思いつかず、
このままでは20年守り抜いた星を失うかもしれない事態です。
しかし、伝統料理を重んじる彼を古臭いと考える経営者は、
星を失うのを機に彼を辞めさせようと、彼の助手を異動させるなど妨害工作を始めます。
そんな折、彼は老人ホームのペンキ塗りをしていたジャッキー・ボノと出会います。
ジャッキーは優秀な料理人ですが、トラブルを起こしてはレストランを何件もクビになり、
今は身重の婚約者のために嫌々ペンキ塗りで稼いでいるのです。
彼は老人ホームの厨房に上がり込み、勝手に入居者の料理を作っていましたが、
その料理が自分の料理を完全に再現していることに気付いたアレクサンドルは、
自分の助手として彼をスカウトし、彼にレストランの厨房を仕切らせます。

ジャッキーはアレクサンドルを尊敬しており、彼のレシピは全て暗記しています。
驚異的な味覚と嗅覚を持ち、本当に才能のある料理人なのですが、
料理が好きすぎて、一切妥協しない頑固な性格のために、上司とすぐケンカになります。
自分の思い通りに料理が作れないと嫌なタイプで、結局わがままなんですよね。
彼のようなタイプは、人の下では働けないので、自分で店を出す方がいいと思いました。
まぁ彼の下で働きたいと思う料理人を見つけるのも大変でしょうが…。
「カルゴ・ラガルド」で働くことになったジャッキーですが、
尊敬するアレクサンドルに対しても遠慮なしで、彼の料理を勝手にアレンジしたり、
料理番組で彼の料理にダメ出ししたりと、わがままを発揮します。
確かにそれで料理はより良くなるのですが、アレクサンドルは当然憤慨。
一時はクビにするも、彼の才能を認め、新メニューの開発に協力を求めます。
ジャッキーも自分を認めてくれるアレクサンドルに感謝し、2人は強い友情で結ばれます。

新メニュー開発に取り掛かる2人ですが、星の行方を握る調査員は、
分子料理の信望者であるということがわかります。
ボクは「分子料理」という言葉を初めて知りましたが、
どうやら科学的に調理する最先端の料理みたいですね。
青いスパゲティとか、小さいキューブ状の料理とか、煙を噴きだすお酒とか、
どんな材料を使い、どんな調理法で作っているかわからないような料理です。
本作はコメディなので、極端に描かれているとは思いますが、
試験管や窒素などを使って、理科の実験のような感じで作っているので、
とても料理とは思えず、なんだか美味しくなさそうです。
でも全く味が想像が出来ない料理なので、食べてみたい気もするかな?
伝統的なフランス料理しか作れないアレクサンドルは壁にぶち当たりますが、
ジャッキーが本場スペインから分子料理の専門家を呼び、分子料理を研究します。
この専門家は料理人ではなくかなり胡散臭い科学者で面白かったです。

彼らは専門家を呼ぶだけではなく、分子料理を出すレストランにも偵察に行きます。
そのレストランは同じオーナーが経営するライバル店で、
彼らは顔が割れているので、変装して行くのですが、この変装が爆笑です。
日本人夫婦に化けるのですが、和服にチョンマゲという時代錯誤な格好で、
日本人の正装を(意図的に)誤解したような演出で笑いました。
ジャン・レノ演じるアレクサンドルのサムライのコスプレは似合いすぎで、
彼のコスプレで言えば、例のCMの「ドラえもん」の方がインパクトがあったかも。
その違和感のなさが逆に面白いとも言えますが、面白さで言えば、
ゲイシャのコスプレをしたジャッキーの方が衝撃的でしたね。
フランス人の、しかも男が、白塗りをして日本髪を結い、振袖を着て舞を踊ったり、
(単語を並べただけの)デタラメな日本語を話す姿は、珍妙この上ないです。
ちょっとやりすぎなきらいもあるけど、このシーンだけでも本作を観る価値はあります。

その分子料理のレストランも過剰なほど未来的な内装で、
創作料理も「これって食べ物?」って感じで極端な演出でしたが、
一応これでも二ツ星レストランだっていうんだから、星の価値に疑問を感じます。
なので本作は基本的に分子料理に否定的なスタンスかとも思ったのですが、
どうやらそうでもないようで、最終的にはジャッキーが分子料理と伝統料理を融合させ、
その料理で調査員を唸らせて、レストランを守るのです。
その料理は分子料理と違ってとても美味しそうでした。
考えてみればフランス料理に普通に使われるジュレやムースだって、
科学反応を利用しているという点では分子料理ですもんね。
それに素材が何かわからなくなるまで手を加える分子料理は、
素材そのものの良さを活かさないため、素材が悪い時は重宝するのかも。
本作でも意地悪オ-ナーの差し金で市場からの仕入れが止められてしまい、
近所の食料品店で材料を調達しなければいけなくなりましたが、
そんな素材で伝統料理を作っていたら、たぶんチープな料理しかできなかったかも。
ただ、分子料理の信望者である調査員からすれば、分子料理と伝統料理を融合した
ある意味退化した料理を評価するとは思えません。
というか、そんな好き嫌いがある人を調査員にしたらダメですよね。
まぁそのあたりは、コメディなので別にいいですけど…。

気楽に観れるし、とても幸せな気持ちになれる映画なので、
この年末年始にオススメの一本です。

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