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レ・ミゼラブル

8月に書いた『アベンジャーズ』の感想記事へのアクセス数が急に伸びました。
DVD・ブルーレイが発売されたからだと思いますが、かなり気合を入れて書いた感想なのに、
当時のアクセス数は低かったので、やっと読んでもらえて嬉しいです。
単なる検索エンジンのきまぐれだと思いますが…。

ボクはアメコミ映画が大好きなので、『アベンジャーズ』や『ダークナイト・ライジング』
『アメイジング・スパイダーマン』と、超大作が公開された今年は本当に楽しかったです。
来年も『アイアンマン3』『マン・オブ・スティール』などアメコミ映画は豊富ですが、
過去最高に盛り上がった今年に比べると、作品の規模でちょっと見劣りします。
そんな中でも最も楽しみな作品は『ウルヴァリン:SAMURAI』です。
本来なら今年公開でもおかしくなかったのですが、撮影の遅延などにより公開延期、
ようやく来年秋に公開が決まりましたが、なんとなく予断を許さない状況な気がして、
ちゃんと予定通り公開されることを祈るばかりです。
なんだかんだでアメコミヒーローの中ではウルヴァリンが一番好きだし。

ということで、今日はウルヴァリンを演じるヒュー・ジャックマンの主演作の感想です。

レ・ミゼラブル
Les Miserables

2012年12月21日日本公開。
大ヒット名作ミュージカルの映画化。

1815年、ジャン・バルジャン(ヒュー・ジャックマン)は、19年も刑務所にいたが仮釈放されることに。老司教の銀食器を盗むが、司教の慈悲に触れ改心する。1823年、工場主として成功を収め市長になった彼は、以前自分の工場で働いていて、娘を養うため極貧生活を送るファンテーヌ(アン・ハサウェイ)と知り合い、幼い娘の面倒を見ると約束。そんなある日、バルジャン逮捕の知らせを耳にした彼は、法廷で自分の正体を明かし再び追われることになってしまい……。(シネマトゥデイより)



本作はフランスの作家ヴィクトル・ユゴーの大河小説を原作にしたミュージカルを
初めて完全映画化したミュージカル映画です。
ボクは舞台のミュージカルは観たことがないので、
当然本作の原作ミュージカルも観たことがありませんが、
世界中でロングランされ、未だに記録更新中の超絶ヒットミュージカルなので、
さすがにタイトルくらいは聞いたことがあり、どんな内容なのかは気になっていました。
ただ舞台のミュージカルを観に行くというのはボクには敷居が高くて、
(それに外国の物語を日本人キャストで演じることに違和感があるので、)
今まで作品に触れる機会はなく、この度やっと映画化してくれたことで、
『レ・ミゼラブル』という作品を初めて知ることができました。
いやぁ、噂には聞いていたけど、とても素晴らしい作品ですね。
こんなに素晴らしい作品なら、もっと早く映画化してくれてもよかったのに…。

80年代の初演以来、何度も映画化の企画は持ち上がったそうなのですが、
諸事情によりその都度頓挫してしまっていたみたいです。
別に舞台向きで映像化が不可能という類の内容ではないので不思議ですが、
どうやら映画化されてしまうとミュージカルを観に来る客足が鈍るんじゃないかと
懸念されていたというのもひとつの理由らしいです。
まぁ確かに『コーラスライン』とか『オペラ座の怪人』などの大ヒットミュージカルは
映画化されましたが、映画を観たらそれで満足出来ちゃいますもんね。
どうせ観に行くなら、映画になってない『CATS』なんかの方が観たいですもん。
なので『レ・ミゼラブル』は、映画化を出し惜しみしたことも、
ミュージカルのロングランの要因のひとつだったかもしれません。
本作もこれ以上ないと思える素晴らしい出来なので、
舞台の素晴らしさがこれを超えているとは到底思えません。
舞台は生モノなので回によって出来不出来も激しいでしょうが、
本作は映像化してあるので、いつ観ても同じ出来で安定していますから、
舞台を観に行くなら本作を観た方がいいと考える人も今後は増えるかも。
まぁこれは舞台の楽しさを理解してない映画ファンの浅はかな想像でしかないけどね。

全く知識がない状態で観て、はじめに衝撃を受けたのは、
本作は全編ほぼ歌パートだけで構成されていることです。
ボクはミュージカル映画はちょくちょく観ますが、
ドラマシーンの途中で歌が始まったりするのが普通の構成でったので、
ほぼ歌パートしかない本作にはビックリしました。
ボクはミュージカル映画は観るものの、それほど得意な方ではありませんが、
その理由は、いちいち歌パートが挟まると物語が停滞して感じられるからです。
しかし本作のようにずっと歌だと、それが普通の物語進行なので停滞感は覚えません。
もうひとつミュージカル映画が苦手な理由は、セリフを歌に乗せられると、
なんだか間延びして感じるからですが、本作はほぼ全て歌セリフにもかかわらず、
不思議と間延びした印象はなく、テンポよく物語が進んで行くような気がしました。
これはたぶん、20年近くもロングランされるうちに楽曲が洗練されて、
歌詞に無駄がないからかもしれませんね。
結局、間延びして冗長感を覚えるのは楽曲がイマイチだからで、
全て素晴らしい楽曲ならばそんな問題は起こり得ないってことでしょう。

ただやはり全て歌セリフというのは、はじめは不自然さを感じました。
特に沈没した大型船を囚人たちが引き揚げる最初のシーンで、
看守として主人公に仮釈放を告げるジャベール警部を演じるラッセル・クロウです。
まずミュージカル映画に出演するイメージがなかったから、
歌ってるだけでも奇妙な感じがしましたが、その歌声が…。
かなり上手いのは確かですが、なんともダンディで甘く、
いかつい風体からは想像できない歌声だったので、ちょっと可笑しくなっちゃいました。
まぁそんなものは徐々に慣れますけどね。
主人公ジャン・バルジャンを演じるヒュー・ジャックマンの方は、
彼の歌う姿も初めて観た(聴いた)ものの、ミュージカル歴があるのも知ってるし、
それほどイメージと違わい声だったので、あまり違和感はありませんでした。
むしろ囚人時代(1815年)の風体が、髭モジャで坊主で、
はじめはその男がヒュー・ジャックマン演じるバルジャンだと思いませんでした。
なのでモミアゲのないヒュー・ジャックマンには違和感がありましたね。

歌の話に戻りますが、やっぱり印象的で感動的だったのは、
アン・ハサウェイ演じる娼婦ファンティーヌが絶望しながら歌う「夢やぶれて」。
もともと『レ・ミゼラブル』の代表曲なので、楽曲自体が素晴らしいのも当然ですが
胸に響く歌声と彼女の迫真の表情に、思わず涙が溢れてきました。
歌が中心の映画だと、俳優よりも歌が上手い歌手を起用した方がいいんじゃないか、
なんて思うことも多々あったのですが、本作を観て認識が改まりました。
このエモーショナルな「夢やぶれて」は、歌が上手いだけの歌手には歌えません。
やっぱりミュージカルは音楽である前に劇だし、単なる歌ではなく歌セリフなので、
演技力は重要だから、演技が達者な俳優じゃないと表現できないし、
観客を感動させることもできない気がします。
何かでスーザン・ボイルの歌う「夢やぶれて」を聴いたことがあるけど、
歌の上手さに感心はしたものの、涙が溢れるほどの感動はありませんでしたしね。
とはいえ歌唱力も当然必要で、両方を兼ね備えたアン・ハサウェイだから、
このシーンが素晴らしいものになったのだろうと思います。
でもやはり視覚的な表情の演技込みでの感動なので、もしサントラなんかで聴いたら、
やっぱりスーザン・ボイルの方が断然すごいとか思っちゃうのかも?
普通だとミュージカル映画は、先に歌をスタジオで録音して、
それに合わせて撮影現場で口パクするものらしいですが、
本作は撮影現場で同時録音したそうで、舞台のミュージカルみたいな演出です。
だから他のミュージカル映画よりも、歌声にも表情にも感情がこもっていたのかも。

ストーリーは有名すぎるので、今更その感想を書くというのも少々恥ずかしいですが、
ボクにとっては初めての物語で、やはりいろいろ感じたので少しだけ書きます。
本作は主人公の囚人ジャン・バルジャンが、立派な聖人になるという物語です。
囚人といっても、生活苦からパンをひとつ盗んだだけの罪です。
それで19年も投獄されるんだから、ちょっと考えにくい状況ですが、
フランス革命後の滅茶苦茶な時期の話だから、そんな理不尽もありそうかな。
ようやく仮釈放となったバルジャンですが、そんな身の上では仕事にもありつけず、
ある教会から銀食器を持ちだし、再び盗みを働いてしまいます。
しかし教会の司教はその盗みを見逃してくれて、己の罪を悔いたバルジャンは、
「正しい人間になろう」と決意し、仮釈放の規則を破り、
身分証を破り捨て、別人として人生をやりなおすことにします。
う~ん、正しい人間になるなら仮釈放の義務を全うすべきだと思うし、
仮釈放中という汚れた身分でも、身分を捨てて何者でもなくなる状況よりはマシな気が…。
ただ彼はそんな偽りの身分で、工場を経営し、ついには市長にまでなっちゃうんですよね。
そんな怪しい経歴の男でも市長になれるなんて、どんな経緯で市長を決めたんでしょうね。
市長になったある日、ジャベール警部がバルジャンを逮捕したという報せが…。
バルジャンは自分だから、誰か別の人が誤認逮捕されたわけですが、
「正しい人間」を志す彼は、葛藤の末、自分が本物のバルジャンであると名乗り出ます。
当然その後、彼はジャベール警部から執拗に追われることになりますが、
誤認逮捕された見ず知らずの男のために、苦労して手に入れた市長の地位を捨てるとは、
もう充分に聖人ですよね。

一方、バルジャンの経営する工場で女工として働くファンテーヌは、
工場長の機嫌を損ねクビになりますが、幼い娘の養育費を稼ぐために、
自分の美しい髪の毛を売り、さらに娼婦へと身を落とすことに…。
彼女と出会ったバルジャンは責任を感じ、病死した彼女の代わりに、
彼女の娘コゼットを引き取ることにします。
コゼットを預かる悪徳宿屋の夫妻から彼女を奪取したバルジャンは、
彼女を本当の娘のように愛し、彼女もバルジャンを父親のように慕います。
この悪徳宿屋のテナルディエ夫妻が、かなり強烈なキャラで面白いです。
預かっているコゼットには辛い下働きをさせ、自分たちの娘エボニーヌばかり可愛がる、
かなり嫌味なやつらですが、行動が滑稽で、どこか憎めないキャラです。
その後もたびたび登場しますが、毎度笑わせてくれます。
(実の娘エボニーヌが死んだ後も同じ調子だったのは納得いきませんが、)
本作自体がかなりシリアスな物語なので、この笑える夫妻の存在はいいアクセントとして、
重たい本作を少し軽くして、観易いものにしていると思います。
そういう意味では、こんな腐った時代なのに一人純粋な心を持ち続けるコゼットも、
癒し系キャラとして、本作のシリアスさを緩和している気がしますね。

それから8年後、パリにやってきたバルジャンとコゼット。
美しい少女となったコゼットは、マリウスという青年とお互いに一目惚れします。
マリウスは革命を目論む学生グループの一員です。
そのグループには、なんと例のテナルディエ夫妻の娘エボニーヌもおり、
密かにマリウスに想いを寄せているのですが、彼女は意外にも両親とは違い優しい子で、
恋敵であるコゼットとマリウスを引き合わせる手伝いをしてくれたりします。
そんな彼女のいじらしさが切なく、彼女の歌う「オン・マイ・オウン」も名曲でした。
パリにはジャベール警部もおり、まだバルジャンのことを追っており、
彼に素性が知れてしまったため、バルジャンとコゼットはすぐに引っ越すことに…。
恋するコゼットがいなくなって動揺するマリウスですが、
今は恋よりも革命が大事だと、パリの下町にバリケードを張って仲間と蜂起します。
しかし蜂起後、コゼット宛てに手紙を送り、それを読んだバルジャンは、
実の娘同然の大切なコゼットが、この若者に取られるのではないかと嫉妬します。
放っておけば蜂起で勝手に死んでくれるだろうと考えますが、
娘の恋人であるマリウスを放っておくことは出来ず、ひとり救出に向かいます。
誤認逮捕の件もそうだけど、つくづくお人好しで聖人のような男ですね。

学生のバリケードに行くと、なんとジャベール警部が彼らに処刑されそうになっており、
バルジャンにとっては復讐する絶好の機会ですが、彼は警部を解き放ってしまうのです。
「彼は職務を果たしただけで個人的な恨みはない」という理由ですが、
バルジャンのお人好しにもほどがあり、聖人すぎて後光が差して見えました。
解放されたジャベール警部は、革命軍の幼い少年が政府軍に殺されるのを見て、
「正しいのは法か善か?」と苦悩し、法の番人の信念を貫けなかったことで自殺します。
かなり厄介な敵役でしたが、武士のような潔くカッコいい最期でした。
死なずに本当に正しいことのために戦ってくれたら、もっとよかったけどね。

徹底抗戦もむなしく、キャノン砲まで引っ張ってきた政府軍とは武力に圧倒的な差があり、
バルジャンが救い出したマリウス以外は全滅してしまいます。
その後も政府の圧政は暫らく続くみたいで、結局負け戦のまま終わったのは残念でした。
政府軍にも戦死者はいたものの、政府的には難なく収束させられた感じで、
せめて一矢報いるような展開がほしかったです。
フランス革命でも王政復古しちゃったし、市民革命って難しいんですね。
蜂起は失敗に終わり、貧民の悲惨な状況はまだ続きますが、
そんな中、コゼットはマリウスと結婚することになります。
マリウスは味方が全滅したのに自分だけが生き残ってしまったことで苦悩しますが、
彼の実家はお金持ちで、蜂起は失敗したものの、彼自身には何のデメリットもなく、
裕福な実家に戻ってコゼットと幸せに暮らすんですよね。
実家に逆らって革命軍に入ったのに、革命軍が負けたからすぐに出戻るなんて、
ちょっと男らしくない印象を受けました。
遊び感覚の学生運動だったのかって感じです。

自分の過去のことで、幸せになった娘に迷惑をかけるわけにはいかないと、
コゼットの元から黙って去ってしまったバルジャンは、
修道院で最期の時を迎えようとしていました。
そこに現れたのは、コゼットの実母ファンティーヌ(の霊)。
この2人の歌や、その後の蜂起で死んだ若者たちとの大合唱は本当に感動的でした。
この中にジャベール警部の姿がなかったのは、ちょっと残念でしたが、
未来に対する希望に溢れた、めちゃめちゃ泣けるラストだったと思います。
新しい年の幕開けを迎える年末年始に観るお正月映画としては、ピッタリの作品です。

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