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ホビット 思いがけない冒険

先週末の映画興行ランキングは、『ONE PIECE FILM Z』が断トツ1位でした。
ボクも先週末に観ましたが、チケットカウンターだけではなく、
劇場入場時も(指定席なので並ぶ必要なんてないのに)長蛇の列が出来ていて、
「この盛況ぶりはただ事ではない」と思いましたが、
案の定、『ONE PIECE FILM Z』は今世紀最高のオープニング記録を樹立したそうで…。
本年度のオープニング記録の2位は『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』で、
映画ファンのボクとしては、国産アニメ映画ばかりがヒットする日本の現状は恥だし、
出来もその記録に相応しいものではないと思ったので不本意な結果でした。
(その記録に加担しちゃってるんですけど…。)

でも意外だったのは世界で大ヒット中の超大作『ホビット 思いがけない冒険』が、
まさかの初登場5位だったことです。
さすがに『ONE PIECE FILM Z』には及ばないだろうとは思ってましたけど、
同週公開の『妖怪人間ベム』や、公開2週目の『仮面ライダー』などにも負けるとは…。
もっと意外だったのは『フランケンウィニー』が初登場8位だったことで、
内容からいえばこの2作がワンツー・フィニッシュでもよかったというか、
むしろそうなるべきだったのに、日本人の洋画離れに懸念を覚えます。
いや、トップ10の邦画7本中5本がテレビ番組の劇場版であることから、
もはや洋画離れどころか、真っ当な映画離れですね。

ということで、今日は初登場5位の超大作の感想です。
でもそれは動員ベースなので、興収では初登場2位だったみたいです。
割増料金の3Dで鑑賞した人が多かったのかな?

ホビット 思いがけない冒険
The Hobbit An Unexpected Journey

2012年12月14日日本公開。
「ロード・オブ・ザ・リング」の前章「ホビットの冒険」を映画化した三部作の第一部。

ホビット族のビルボ・バギンズ(マーティン・フリーマン)は、魔法使いのガンダルフ(イアン・マッケラン)から思わぬ旅の誘いを受ける。それは、ドラゴンに乗っ取られたドワーフの王国を奪取するというものだった。ドワーフの戦士トーリン(リチャード・アーミティッジ)が率いる13人のドワーフたちと、最初の目的地“はなれ山”を目指してワーグ、オークといった怪物や魔術師がひしめく荒野を進んでいくビルボ。そんな中、ゴブリンが巣食うトンネルに入っていった彼は、そこでゴラム(アンディ・サーキス)という醜悪な化け物と出会う。(シネマトゥデイより)



本作は『ロード・オブ・ザ・リング(以下LOTR)』三部作の前章となる三部作の第一部。
感覚的には『スター・ウォーズ』新三部作のパターンに近い公開方法ですね。
本作の原作小説であるJ・R・R・トールキン著『ホビットの冒険』は、
『ロード・オブ・ザ・リング』の原作である『指輪物語』よりも先に執筆されており、
その映像化である本シリーズは順序が逆になっているわけです。
ボクは『LOTR』三部作も鑑賞済みですが、それほど熱中したわけでもないし、
もう8年前に一度観たきりなので、正直ほとんど覚えていません。
第三部がオスカーを受賞したくらいだから、面白かったような気がするので、
事実上シリーズ最新作である本作も観に行こうと思いました。
かなりのブランクだし、普通ならその前に『LOTR』三部作を復習して挑むところですが、
なにしろ三部作合わせて9時間から11時間以上もある長い作品なので、
この師走のクソ忙しい時にそんな時間を作ることは出来ず、
懸念を抱きつつも復習なしで観に行ってみました。
(ちなみに本作も上映時間が3時間弱もある長い作品です。)
それに原作では本作の方が先に出来ているわけだし、
『LOTR』の内容は関係ない、独立した物語だろうと思ったので。

しかし、いざ観てみると、やっぱり復習しといた方がよかったかなと…。
もちろん本作からスタートでも、ちゃんと楽しめる物語にはなっているのですが、
予想以上に『LOTR』ファンに対するサービス精神が旺盛な演出となっており、
物語自体が『LOTR』三部作の主人公フロドの父ビルボの回想という構成になっており、
フロド自身も登場したりと、原作には出てこない『LOTR』のキャラも登場します。
エルフのガラドリエルやレゴラス、魔法使いの白のサルマンもそうですね。
メインとなる回想部分は『LOTR』の60年前が舞台となりますが、
エルフや魔法使いは寿命がないため、彼ら以外もそのままの姿で登場でき、
キャストも『LOTR』からほぼ完全に引き継がれています。
そもそも『LOTR』の原作は本作の原作の舞台を引き継いだものであるため、
本作は『LOTR』で描かれなかったものを補完する内容でもあります。
『LOTR』ではあまり語られなかった種族ドワーフが中心的な存在となる物語だし、
(フロドの旅の仲間だったドワーフ、ギリムの父親も登場します。)
なにより『LOTR』の最重要アイテムである金の指輪の入手過程や、
屈指の人気キャラ、ゴラムが指輪を追い続けることになるキッカケも描かれており、
本作と『LOTR』はかなり密接な繋がりがあると感じました。
むしろ本作を知らない状態で、よく『LOTR』を楽しめたものだと不思議に思うくらいです。

予習した方がより楽しかったのは間違いないですが、
続編ではないため、本作からでもそれなりには楽しめます。
ただ原作が古いファンタジー小説であり、大人向けの『LOTR』の原作と違って、
児童向けに出版された作品だったためか、物語はかなり古典的。
戦士や魔法使いとパーティを組んでドラゴンを倒しに行く旅の話なんて、
80年代のロールプレイングゲームみたいなベタな展開ですよね。
魔法の剣を手に入れたりと、ありきたりの剣と魔法のファンタジーで、
途中エンカウントするモンスターたちもゴブリンとかトロルとかオークとか、
西洋の童話に頻繁に登場するキャラばかりです。(味方であるエルフやドワーフも同様。)
よく言えば王道なので、慣れ親しんだ設定でわかりやすいし、
面白さにも安定感があるとは思うのですが、ちょっと物足りない気もするし、
なにより映像的に『LOTR』の雰囲気を踏襲しすぎているので、
事実上シリーズ4作目となる本作には既視感を覚えるというか、
あまり新鮮味を感じないような気がします。
『LOTR』三部作が公開された頃と比べれば、映像技術は格段に進歩しているはずですが、
やはり当時のような映像の素晴らしさに対する衝撃は感じなかったし、
感じるのはキャラが当時と変わらないことへの懐かしさばかりです。

ゴラムのようなオリジナルで人気のあるキャラが変わらぬ姿で登場するというのは、
(実際にはちょっと若くて、歯の数も多かったりするみたいですが。)
嬉しいことだし、それはそれで評価すべきことですが、
目に見える進化が、デジタル3D化されたことだけというのはちょっと寂しいかな。
(ボクは2D版で観たので、その進化の恩恵も受けてないですが。)
特に本作の場合は、製作段階で映像面が劇的に変わるかもしれない計画があり、
ボクはその計画にとても期待していたので、それが流れてしまい、
結果的にあまり変化のない作風になってしまったのが残念でなりません。
その計画というのが、ギレルモ・デル・トロが監督するというもので、
彼もそのために準備していたのですが、大人の事情で仕方なく降板し、
結局『LOTR』と同じくピーター・ジャクソン監督が本作も引き継ぐことになりました。
デル・トロは監督は降りたものの脚本で本作に関わっていますが、
もし監督のまま映像面にも彼の個性が発揮されたら、もっと奇抜でダークな世界観になり、
特にトロルなどのクリーチャーデザインが異様で斬新なものになったはずです。
(本作ではトロルもゴブリンもオークも基本的に大きさくらいしか個体差がない。)
たぶんデル・トロが監督では本作の原作の作風には合わなかったと思うので、
ピーター・ジャクソン監督の続投は無難だったとも思いますが、
ダーク・ファンタジーの奇才、デル・トロの王道ファンタジーというのも観たかったです。

これまで、映像もストーリーも不満ばかり書いていますが、
それでも本作がけっこう面白いと思えたのは、キャラが魅力的だからでしょうね。
デザイン的に面白味のないモンスターたちには(ゴラム以外)魅力を感じませんでしたが、
ホビットや魔法使い、ドワーフやエルフなど、人間系の種族はこれまでよりよかったです。
特に主人公のホビット、ビルボですが、予告編などで観た印象だと正直イマイチでした。
『LOTR』三部作の主人公のホビット、フロドはイケメンだったし若者だったけど、
ビルボは『LOTR』から60年前の設定とはいえ、すでに中年でイケメンでもありません。
ビルボを演じたマーティン・フリーマンは、あまり有名な俳優でもなく、
華もない気がして、「彼が主人公で大丈夫なのか?」と懸念しました。
しかし蓋を開けてみれば、なかなかコミカルな演技で、なんと表現すればいいのか、
「ホビットらしい」という印象を受け、ハマり役だったと感じました。
魔法使いのガンダルフから、強引に危険な旅のパーティに選ばれるという、
巻き込まれ型の主人公だったので、まだ物語序盤の本作では右往左往するばかりで、
活躍の場がたいして多いわけでもないのですが、けっこう印象に残るキャラでした。
やっぱりベストシーンはゴラムとのなぞなぞ勝負のところですかね。
ゴラムとの駆け引きがワクワクしたし、かなり笑えました。

そんなビルボを勧誘した魔法使い、灰色のガンダルフですが、
キャストもイアン・マッケランが続投し、今までと変わらぬ安定した魅力です。
本作には白のサルマンも再登場しますが、本作で一番注目の魔法使いは、
何といっても茶のラダガストでしょうね。
世界で5人の偉大な魔法使いなのに、森で動物たちと暮らす変わり者で、愛着を感じます。
彼の友達の小動物たちも可愛かったし、小動物ソリも面白かったです。

本作の物語は、凶暴な火竜スマウグに故郷エレボールを奪われたドワーフたちが、
故郷奪還のためにスマウグ退治に乗り出すというもので、
ホビットはその作戦に必要だったために駆り出されただけで、
実質的な主役とも言えるのがドワーフです。
ドワーフ王国の王子トーリンの元に13人のドワーフが集まり、
ビルボとガンダルフを加えてパーティを形成しますが、
パーティ内に計14人もドワーフがいたら、人物関係や識別が難しいのではと懸念したけど、
全然そんなことはなく、個々に個性的なドワーフばかりで楽しかったです。
まぁ名前なんかは覚えられないし、関係性もはっきりとはわからないものの、
個々の性格が容姿に反映されており、どんなドワーフかは一目でわかります。
それに別に「トーリンとその他大勢」という認識でも、展開上困ることはなかったです。
しかしトロルに食べられそうになったり、岩の巨人のケンカに巻き込まれたり、
ゴブリンの罠に嵌ったり、オークに魔狼ワーグを嗾けられたりと、
かなりピンチの連続の過酷な旅にもかかわらず、現時点では一人も欠けないというのは、
ちょっとご都合主義的な印象を受けたかも。
せっかく大人数なんだから、1試練で1人ずつくらい脱落してもいいような…。
まぁこんな大人数なのにはきっと理由があるはずなので、
今後は死ぬメンバーも出てくるんじゃないかと思われます。

ドワーフは戦士の種族だけど、それほど強い印象がなかったのは意外でした。
その点、エルフの軍勢は強いですね。
エルフの住む裂け谷の隠し通路に近づいた屈強なオークたちを難なく退散させます。
エルフとドワーフは仲が悪いので、ドワーフが中心の本作では、
ちょっと嫌味なインテリって感じで描かれていますね。
それにしても中つ国は多数の種族がいる世界ですけど、
エルフやドワーフ、ホビットは正当な住人として扱われているのに、
一応知性を持った種族であるトロルやゴブリンたちをモンスター扱いするのは、
ちょっと差別的な感じがしますね。
魔法使いなら種族間で争うのは仕方がないけど、魔法使いは中立であるべきでは?
ドワーフの肩ばかり持つガンダルフは、依怙贔屓だと思います。
まぁ屈指の賢人なのに人間的なところが、魔法使いの魅力でもありますけどね。

そんな魅力的なキャラたちによって物語が紡がれた本作は、
面白くなって当然ですが、やっぱり最も魅力的なのはゴラムでしょう。
ゴラムの登場する終盤のシーンの楽しさが半端なかったので、
本作の評価もそこで急上昇しましたが、逆に言えばそれがなければ並の評価で終わるので、
本作の最大の功労者はゴラムであることは間違いないです。
『LOTR』の時も、シリーズを代表する人気キャラでしたが、
映像技術の進歩により、動きや表情が更に魅力的に進化したと思います。
今までより一段と怖くてキモくて可愛くて面白いです。
『LOTR』のキーアイテムである指輪を、ビルボに盗られてしまうという展開ですが、
もしかしたら本作の原作での彼の出番って、これで終わりなのかな?
ゴラムには第二部以降も登場して、活躍してくれることを期待します。

その第二部『ホビット スマウグの荒らし場』は来年2013年公開、
第三部『ホビット ゆきて帰りし物語』は再来年2014年の公開が決まっています。
こんなファンタジー(SF)小説シリーズの映画化って、
とりあえず1作目だけ公開してから続編も作るか様子を見ることが多く、
シリーズが完結しないまま打ち切られ多々あるので、毎度心配になりますが、
大ヒット間違いなしの本シリーズは、ほぼBack-to-Back方式で撮られているので、
ちゃんと完結することがわかっているのは安心感があります。
ただ大ヒットすることが間違いなさすぎて、本作は前後編の予定だったのに、
わざわざ三部作に引き延ばされたのはちょっと不満かな。
前後編の二部作を三部に分けたにもかかわらず、本作だけで3時間弱もあるってことは、
もし二部作のままだったら4時間を超える上映時間だったのかな?
もしそうなら三部に分けてくれた方が見やすくて結果的によかったのかも。

あぁ、ビルボたちの旅の続きが楽しみだなぁ。

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