ブログデンティティー

blog-dentity since 2013

恋のロンドン狂騒曲

昨日、歌舞伎俳優の中村勘三郎さんが急逝したそうですが、
「また芸能人が亡くなった」って感じがしませんか?
なんだか去年あたりから亡くなる有名芸能人がやたら多くなった気がします。
人が死ぬ割合なんてそう変わるはずもないから、実際は増えてるわけではないでしょうが、
ボクでも知ってる世代の有名人が、そんな年代になっているってことなのかな?
最近は亡くなる間際まで仕事している人も多いから、よりインパクトが強いのかも。
引退して、何年か後に亡くなられたら、それほど印象には残りませんからね。
あと、最近は大した芸能ニュースがないもんだから、訃報の扱いが大きくなってるのかも。
訃報だけじゃなくて、芸能人の病気の話とかもよく聞くようになった気がします。
どちらにしても気が滅入る報道なので、そんなに聞きたいものではないです。
なんだか最近は年配の芸能人を見ると、そろそろヤバそうだとか感じるようになったし…。
中村勘三郎さんはウチの両親よりも若いし、そんな風には見えませんでしたけどね。

ということで、今日はそろそろヤバそうな監督による映画の感想です。
まだまだ現役バリバリで、引退する気は全くないらしいですが…。

恋のロンドン狂騒曲
You Will Meet a Tall Dark Stranger

2012年12月1日日本公開。
ウディ・アレン監督によるコメディ・ドラマ。

アルフィ(アンソニー・ホプキンス)とヘレナ(ジェマ・ジョーンズ)は長年連れ添ってきたが、結婚40年目にして破局を迎える。あまりのことにひどく動揺したヘレナは自殺未遂を起こし、一人娘サリー(ナオミ・ワッツ)は困惑する。だが、実は彼女自身も売れない小説家の夫ロイ(ジョシュ・ブローリン)との間に問題を抱えており……。(シネマトゥデイより)



日本で今年公開された映画の中でもウディ・アレン監督の『ミッドナイト・イン・パリ』は
かなり面白かった方だと思いますが、今年はもう一本公開になりました。
本国では2010年公開の映画だったようで、順序的には『ミッドナイト~』の前作です。
なぜこのタイミングで日本公開になったのかはわかりませんが、
1カ月ほど前にはウディ・アレン監督に迫ったドキュメンタリー映画
『映画と恋とウディ・アレン』も公開になっているので、その絡みでしょうね。
ボクは作品はともかく、彼の人物像には全く興味がないので、
ドキュメンタリーの方は観る気も起きませんでしたが、こちらは少し楽しみでした。
いざ観てみたら、予想以上に面白いコメディで、なかなか楽しめました。

物語は劇中でも明言されているように特に意味がある話でもなく、
4人の男女のそれぞれの恋模様を滑稽に描いただけのアンサンブル・ドラマです。
それぞれのエピソードは取り立ててて斬新なロマンスではないものの、
4つ合わせてみると、なんとなく本作の趣向がわかる気がしました。
メインの4人は他人ではなく、(元)家族です。
長年連れ添ったアルフィとヘレナ、その一人娘のサリー、サリーの旦那ロイの4人です。
4人は連れ合いではなく別のお相手と恋に落ちることになります。
今回はその4人のエピソードの感想をそれぞれ書いてみたいと思います。

まずは老夫婦の旦那アルフィから。
アルフィはヘレナとおしどり夫婦だったが、ある日急に老衰の恐怖に怯え、
極端なアンチエイジングを始めますが、それが原因で2人は離婚することになります。
離婚して若さを取り戻し、30代の独身生活のような生活を期待していたアルフィですが、
現実はそんなに甘くはなく、裕福だが孤独で寂しい独身生活になります。
このまま一人で老後を迎えることを恐れた彼は、デリヘルを呼び、
やってきた若いセクシーなデリヘル嬢シャーメインと再婚することにします。
しかし若いシャーメインは性欲旺盛だけど、セックスにはバイアグラが必須な状況だし、
たまに彼女の楽しみに付き合ってクラブに行っても、全然面白くありません。
彼女も別にアルフィを愛しているわけではなく、財産目当てなので、
浪費も激しく、裕福だったアルフィもたちまち財政難に陥ります。
そんな生活に音を上げて、元妻ヘレナと復縁しようとしますがあっさり断られ、
その上シャーメインが若い男と浮気している現場も目撃してしまい…。
アンソニー・ホプキンス演じるアルフィは70代くらいでしょうが、
シャーメインはアラサーくらいに見えるので、けっこうな歳の差婚ですね。
なんとなく30歳以上の歳の差婚をしたウディ・アレン監督を彷彿とさせる設定で、
若い子と結婚することの苦労を自虐的に描いているようにも思います。

もうひとりの男の主人公はジョシュ・ブローリン演じる娘夫婦の旦那ロイ。
彼は医大卒なのに、医者にならず小説家になりますが、売れたのは一冊だけの一発屋です。
まぁ一発当てただけでもすごいと思いますが、その後は妻サリーのヒモ状態で、
家で小説を書いては出版社に原稿を送ってボツになる毎日で、妻からも呆れられています。
ある日、隣にエキゾチックな美女ディアが引っ越してきますが、
ロイは彼女が婚約中にもかかわらず、チョッカイを出し、不倫を始めます。
そんな折り、友達の才能ある新人小説家ヘンリーが死んだと聞いて、
彼はヘンリーの新作の原稿を盗み出し、自分名義で出版してしまいます。
これで人気作家の仲間入りできると、意気揚々と妻サリーとも離婚し、
ディアと真剣交際を始めますが、実はヘンリーはまだ死んではおらず、
まだ昏睡状態で入院中ですが快方に向かっており、彼は気が気ではありません。
これからヘンリーの意識が戻り、盗作を巡ってひと波乱あるのか、
それともヘンリーを亡き者にしようと企むクライムサスペンスが始まるのか、
…ってところでロイのエピソードは終わってしまい、
なんだかこれから面白そうなことになりそうだったのに、ちょっと残念です。
彼くらい小説家に拘っていたら、盗作なんかで本が売れても嬉しくなさそうなのに、
ただ地位と名声が欲しいだけなら、素直に医者になればよかったのにね。

そのロイの妻がナオミ・ワッツ演じる一人娘のサリーです。
美大卒の彼女は働かない夫の代わりにギャラリーでアシスタントとして一生懸命働き、
いつかは自分のギャラリーを開業したいと考えています。
そんなある日、上司グレッグからオペラに誘われ、2人はいい雰囲気になりますが、
双方ともに既婚者であるため、それ以上は踏み出せず…。
彼女はダメ夫ロイとの離婚を真剣に考えるようになりますが、
そんな折、友達の画家が上司に自分と同じ手口で口説かれていたことを知り、
彼女はギャラリーを辞めて独立しようと考え、ついでに夫と離婚もしてしまいます。
う~ん、なんで彼女がグレッグなんかに惚れたのかよくわかりませんが、
彼が友達と浮気していることが発覚しても、まだ好きみたいだったし…。
そもそもロイみたいなダメ亭主と結婚しているくらいだから、
ダメンズ好きというか、男運がないのかもしれませんね。
独立開業するために母ヘレナに資金を融資してもらうことになっていたのですが、
母から急に融資をキャンセルされてしまい…。

ジェマ・ジョーンズ演じる母ヘレナが、なぜ融資を取りやめたのかといえば、
とある占い師クリスタルに「星の座相が悪いので金銭取引ダメ」と言われたから。
ヘレナは40年連れ添った旦那アルフィと離婚したことがショックで、
一時は自殺未遂するほど落ち込みますが、その占い師に出会ったことで、
ポジティブに生きられるようになりました。
占いではなく予言だと断言したり、前世がわかったり、死者と交信出来たりと、
あからさまに怪しいインチキ占い師ですが、ヘレナは彼女を妄信しており、
彼女の助言はなんでも受け入れ、財布まで握られている状態なのでしょうね。
まるで例の占い師に嵌った女芸人みたいな状況です。
でもその占い師クリスタルは詐欺師には違いないが、ポジティブな予言ばかりなので、
自殺未遂にまで追い込まれたヘレナが回復したことに変わりはありません。
娘も母が騙されているとわかっていながらも放っておいたのですが、
そのせいで自分への融資が打ち切られたんだから自業自得です。
ヘレナは信者仲間のオカルト店オーナーとお付き合いすることになります。

4人のエピソードの中ではヘレナのエピソードだけハッピーエンドですよね。
離婚をして輝かしい新しい人生が始まると考えた3人は、
一時はいい思いもしたものの、結局は前よりも悪い、理想とは程遠い人生になってしまい、
逆に離婚でショックを受け、人生に絶望したヘレナだけが、
幸せな人生を見つけられたという、何とも皮肉なお話です。
これは「恋なんか気の迷いにすぎず、恋で人生が変わると思うな」という、
ウディ・アレン監督のメッセージでしょうね。
まぁ一見ハッピーエンドなヘレナだって、インチキ占い師のカモになってるんだから、
他人から見たら不幸な状態なのは間違いないですが、要は本人の気の持ちようで、
ハッピーエンドにも悲劇にもなりうるってことでしょうね。
そしてどんな恋の悲劇も、他人にとっては滑稽な喜劇でしかなく、
それをシニカルに笑おうというのが、本作の趣向なのだろうと思います。
中身はほとんどないような作品でしたが、なかなか面白かったです。

さて、ウディ・アレン監督の『ミッドナイト・イン・パリ』の次の作品は、
またしてもアンサンブルのコメディ『To Rome with love』ですが、
本国では今年の春に公開されたものの日本ではまだ公開未定のようです。
オスカー候補の常連になっているウディ・アレン監督作ですが、
本年度はそんな話も聞かないので、それほど期待はできないのかな?

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://blrpn.blog.fc2.com/tb.php/824-8bcc0993
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad