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人生の特等席

大リーグで活躍する日本人選手は、次のWBCの日本代表を悉く辞退したそうで、
ほぼプロ野球選抜状態で日本代表を組まなければいけなくなったみたいですね。
そのことを残念がる人もいるけど、ボクはそれでよかったと思います。
日本のプロ野球が世界でどこまで通用するか測れるいい機会だと思います。
最近はちょっと活躍したら大リーグに移籍する日本人選手も多く、
また、プロ野球を経ないで大リーグ挑戦を表明する高校球児も現れたりして、
プロ野球からの人材流出が懸念され、プロ野球が大リーグの二軍のようだと言われます。
(サッカーではあまりそんな懸念は聞かないのに不思議です。)
でも本当にそうなのかは、オールプロ野球で挑む次のWBCでわかると思います。
まぁアメリカのチームも、トップクラスの大リーガーで構成されているわけでもないし、
国威発揚のために必死こいてるのは韓国代表くらいのものなので、
それで大リーグとの真っ当な比較になるとは思ってませんが…。
所詮はお祭りなので、日本代表の選手たちもオープン戦前の練習試合感覚で、
国際試合を気軽に楽しんでほしいです。
…なんて思いながらも、負けたら悔しいので、ボクは見ませんが。

ということで、今日は大リーグを題材にした映画の感想です。

人生の特等席

2012年11月23日日本公開。
クリント・イーストウッドがおよそ4年ぶりに主演を務めた感動作。

ガス(クリント・イーストウッド)は長年大リーグの名スカウトとして腕を振るってきたが、ここのところ年のせいで視力が弱ってきていた。それでもまったく引退する素振りを見せない彼に、チームは疑いの目を向ける。窮地に陥った父親に救いの手を差し伸べたのは、あまり関係が良好とはいえない娘のミッキー(エイミー・アダムス)だった。(シネマトゥデイより)



2008年の監督・主演作『グラン・トリノ』を最後に、
俳優活動を引退すると宣言したクリント・イーストウッドが、
4年ぶりに俳優復帰したことで話題の本作ですが、
「演じたい役があれば戻ってくるかもしれない」とは言っていたものの、
本作は意外とベタな内容で、けっこう在りがちな役柄で、
わざわざ引退を撤回してまで出演したいと思うような作品ではない気がします。
王道の父と娘の絆を描いたドラマなので、普通に感動してしまうのは確かですが、
イーストウッドが出演しているということ以上の価値を感じるものは、
本作の内容の中にはなかったように思います。
つまりイーストウッドの役を他の俳優が演じていたら、
これほど話題性もない普通のヒューマンドラマになっていたはずです。
その程度の脚本の映画に、なぜ引退撤回までして出演したかといえば、
彼の愛弟子が本作で監督デビューさせたかったからでしょうね。
本作の監督であるロバート・ローレンツは助監督やプロデューサーとして、
イーストウッドの下で映画製作を仕込まれてきた人物です。
イーストウッドももう80歳を超えて、正直映画界で活躍できる期間もあと僅かなので、
その間に師匠として、弟子の監督としての道を開いておいてあげようと思ったのでしょう。
ハリウッドの生きる伝説である自分が主演なら話題性も抜群で、
デビュー作として、これ以上ない舞台を用意してあげたのでしょう。

今まで伝説的巨匠イーストウッドの傍らにいたローレンツ監督は、
まさに「(映画)人生の特等席」で映画作りに携わってきたようなものですよね。
それだけに本作もイーストウッド・イズムを継承しているような描き方だと思いますが、
やはり本家ほど重厚感はなく、ちょっと軽い印象は受けます。
そのお陰で気楽に観れる気もするのですが、やっぱり物足りなさを感じるというか…。
それもあってか、本作は話題性の割に、全米初登場3位と低調なデビューでした。
(まぁ処女作と思えば上等過ぎる成績ですけどね。)
批評家の評価も概ね「俳優は素晴らしいが内容が月並み」といった感じです。
実際はそれほど悪いものでもないと思いますが、
比較対象がイーストウッドの監督作では、見劣りするのも仕方がないです。

イーストウッド演じるガスは、大リーグの伝説的スカウトマンですが、
パソコンを使わない昔堅気の時代遅れなスカウト方法の上に、高齢により視力も衰え、
おまけに彼の肝入りで登用した若手選手ビリーの成績も低迷していることもあり、
彼を雇っているアトランタ・ブレーブスのフロントは、彼の手腕に疑問を抱きはじめます。
大リーグのスカウトの物語と言えば、ブラピ主演の『マネーボール』を思い出しますが、
データ統計のみのセイバーメトリクスによるスカウトで成功したその作品の主人公と、
本作の主人公ガスでは、全く逆のタイプのスカウト方針ですね。
どちらもお互いのスカウト方法を否定するような展開にもなりますが、
スカウトのお仕事ものドラマとしては、旧態依然のやり方を貫く本作より、
イノベーションを描いた『マネーボール』の方が興味深い内容だったように思います。
とはいえ、ボクもスマホとか最新機器に疎いアナログ人間なので、
内心では時代遅れで非効率的だと思いながらも、ガスのやり方にシンパシーを感じます。
スポーツにはドラマチックさが必要なので、データだけでは面白くないですよね。
記録よりも記憶に残る選手を探すなら、ガスのやり方の方がいいと思います。
単純に劇中に登場するセイバーメトリクスを使った若手スカウトのフィリップが、
かなり感じの悪い男で、アナログなガスを応援したくなるってのもありますが…。

ドラフト会議まで間がない中、医者から黄斑変性症か緑内障の疑いで、
失明の恐れがあると診断されたガスですが、それを周りに隠し、
1位指名する選手を決めるためのスカウト活動を続けます。
その1位指名候補がカロライナの高校生、ボー・ジェントリーです。
ガスは彼の実力が本物かどうか見極めるため、彼の試合に密着します。
このジェントリーは、かなりの強打者で大型ルーキーとして注目されていますが、
大型なのはプレーだけでなく、態度はそれ以上で、なんともふてぶてしいガキです。
チームメイトをバカにしたり、大リーガーになれば女が言い寄ってくると考えたりと、
自意識過剰で、全く好感の持てない不愉快なデブです。
大リーグで人気を得るにはルックスも重要だって聞いたので、
こんなデブガキでは、スター選手になるのは難しいんじゃないかな?
彼はアトランタだけでなく、ボストン・レッドソックスも1位指名候補に考えていて、
争奪戦の様相を呈していますが、なんだかんだで目を付けたのは2チームだけなんですね。
実は彼には性格以外にも大きな欠点があり、他のチームはそれを見抜いていたのでしょう。

様子がおかしいガスを心配して、彼の娘ミッキーがスカウト活動に同行します。
ミッキーを演じるのは、ボクが最も好きなハリウッド女優エイミー・アダムスです。
本作の一番の話題はイーストウッドの出演なのは間違いないですが、
ボクは彼女が出演するということでも、かなり期待をしていました。
結果としては見事その期待に応えてくれるいい演技で、
彼女のことがますます好きになりました。
でもイーストウッドと親子役ってのは、ちょっと歳の差がありすぎる気が…。
ガスの歳はわかりませんが、ミッキーは33歳という(実年齢より若い)設定で、
見た目的には祖父と孫ほどの歳の差を感じてしまいますね。
ミッキーは弁護士で、勤める法律事務所の共同経営者になれる出世のチャンスでしたが、
父ガスのことが心配で、仕事を放ってカロライナにやってきました。
彼女の母親(ガスの妻)は彼女が6歳の時に他界していて、父一人子一人の家族です。
ミッキーは父の影響で、野球に異常に詳しい大リーグ・オタクになりました。
でも2人が一緒に過ごした期間と言うのは実はかなり短いんですよね。
ミッキーは6歳から暫らく親戚に預けられ、13歳で寄宿学校に入れられます。
ほんの数年一緒だっただけで、あそこまで野球に詳しくなれるものかな?

その生い立ちのせいで、ミッキーは父から見捨てられていると感じていますが、
それは誤解で、特に6歳の時に親戚に預けられたのには、のっぴきならない事情があり、
ガスは娘の幸せを心底願っており、それゆえに彼女が仕事を放って
自分のスカウトに同行することを嫌がり、彼女を邪険に扱います。
それがまた2人の間に心の壁を作ってしまうのですが、
ミッキーも父のことは心底心配していて、彼のもとを離れません。
それもそのはず、目が悪くなりスカウトの仕事に支障が出るのはまだしも、
料理をすれば部屋中煙だらけになるし、車を運転すれば交通事故を起こすし、
日常生活に支障が出るくらい症状は進行しており、そんな父を放っておけませんよね。
本来なら無理やりにでも入院させるべきですが、その間、彼女は父の目の代わりとして、
スカウトの仕事も手伝い、ジェントリーの試合を一緒に見て回ります。
といっても、仕事のことも気になるのか、試合中はスマホを触りっぱなしで、
プレイの方はあんまり見てないような感じでした。
手伝わないなら仕事に帰ればいいのに…って感じでした。

でもいざプレイに集中した時のミッキーの洞察力は凄まじく、
完璧なスラッガーと思われたジェントリーのある弱点を見つけてしまいます。
それはジェントリーは速球は得意だが、変化球は苦手ということ。
そんなの、それこそデータ統計を見れば一発で気付きそうなものですが、
高校生レベルのピッチャーが相手では、変化球でも辛うじて打っちゃうんですよね。
しかも金属バットを使用してもいいので、打てればホームランになってしまい、
データ上ではジェントリーは変化球でも苦にしないと見えるわけです。
しかしミッキーは変化球を打つ時に、彼の手が泳ぐのを見逃さず、
大リーグでは通用しないと見抜き、それを受けてガスも、
ジェントリーを1位指名するのを見送るように、チームのフロントに進言します。
しかしガスの手腕に疑問を持っているフロントは、彼の進言を無視して1位指名し、
ジェントリーと契約してしまい、ガスはスカウトを引退を決意することになります。

失意のうちに自宅に帰ろうとしていたミッキーですが、
ひょんなことから凄腕変化球投手の高校生を見出し、
彼がアトランタの入団テストを受けられるように手配し、
フロントたちの前で、彼とジェントリーと対決させることになります。
その投手のカーブを全く打てないジャントリーにGMたちは驚嘆し、
彼と契約することを決め、ジェントリーの1位指名を強行した
データ重視の嫌味なスカウトをクビにします。
なんとも痛快な展開ですが、このカーブの名手の高校生は、
ミッキーとガスがカロライナで借りていたモーテルの経営者の息子で、
彼がたまたま庭でキャッチボールしていたところにミッキーが声を掛けたのですが、
そんな近場にそんなすごいピッチャーがくすぶっていたなんて、ちょっと出来すぎです。
彼は球場で売り子のバイトをしていた時に、ジェントリーに侮辱されたこともあり、
そんな彼が因縁のデブガキの鼻をへし折ったのは気持ちよかったですが、
この展開ではジェントリーがショボいとうより、彼が凄すぎるだけのような…。
むしろカーブだけはやたら上手い普通の高校球児くらいの設定の方が、
ジェントリーのショボさが際立ち痛快さが増すし、
身近に天才投手がたまたまいたという都合よすぎる違和感も和らいだはずです。
最後はコケにされたジェントリーですが、速球だけ選んで打てる彼の選球眼は本物なので、
練習次第では将来性があるかもしれませんね。

厚手のハンカチを用意していたのに、泣くほど感動することもなく、
俳優の演技以外はちょっと期待を下回った気がする本作ですが、
期待が高すぎただけで、決して悪い映画ではないです。
これが俳優イーストウッドの見納めかもしれないし、観ておいて損はないかと。

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