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ドリームハウス

映画上映前の予告編って、宣伝のために作られたものなので、
その本編にも足を運んでもらえるように、面白そうに作ってありますよね。
なので本編観て「騙された」って思うほど、よく出来た予告編もあるのですが、
稀に予告編の段階でクソつまらなそうな作品があります。
そんな作品の本編はまず観に行くことはないので、面白い作品かどうかはわかりませんが、
まぁ予告編でそれだと本編の出来も推して知れるというものです。
最近だと『今日、恋を始めます』って日本映画の予告編がクソつまらない、
…というか不愉快極まりない出来です。
どうやらラブコメ少女漫画が原作のようですが、武井咲演じるヒロインはともかく、
相手役の松坂桃李演じるチャラ男の間違いっぷりに、吐き気すら覚えます。
そんなキャラのロマンスなんて絶対観たくないし、内容もショボそうです。
原作漫画は映画化されるくらいだから、人気もあるだろうし、面白いのかもしれないけど、
原作を知らない人で、予告編を観てこの映画を観たいと思う人なんて、
ひとりもいないんじゃないかと思われます。
吐き気がするほど嫌いなら観に行かなければ済むだけの話ですが、
これから楽しい映画が始まるって時に、こんな不愉快な予告編を流されるのは苦痛なので、
さっさと公開日を迎えてほしいです。

ということで、今日は予告編が物議を醸した映画の感想です。

ドリームハウス

2012年11月23日日本公開。
ダニエル・クレイグ主演によるスリラー。

家族と向き合う時間を増やそうと、ウィル(ダニエル・クレイグ)は会社を退社して郊外の家に越すことに。父親以外の家族が殺害されたいわくつきの家だったが、妻リジー(レイチェル・ワイズ)や子どもたちと穏やかな日々を送れることにウィルは満足する。しかし、不気味な男が家の周辺をうろつき、子どもたちが幽霊らしきものを見たと騒ぐなど、不審な出来事が相次ぐ。そんな中、ウィルは向かいに住むアン(ナオミ・ワッツ)から、以前の居住者一家殺人の犯人が彼らの父親で、いまだに捕まっていないと教えられる。(シネマトゥデイより)



今週末、人気シリーズ最新作『007 スカイフォール』が公開になるのも待ち遠しいですが、
その主人公ボンド役のダニエル・クレイグの主演作が、その1週前に公開されました。
それが本作ですが、『007 スカイフォール』に便乗して公開されたのは間違いないけど、
彼くらいの人気俳優の主演作なら、もっとあっさり公開されてもよかったのに、
結局全米公開から1年以上も経っての日本公開になりましたね。
確かに少し地味目な映画で『カウボーイ&エイリアン』や『ドラゴン・タトゥーの女』、
『007』シリーズのような超大作に出演するイメージのクレイグが、
こんなハロウィン向けサイコスリラー映画に出演するのは意外だったかも。
でもクレイグって、よく見たらスリラー顔ですね。
共演者もレイチェル・ワイズやナオミ・ワッツなど、サイコスリラーにしては豪華です。
ちなみに後にクレイグとワイズは結婚しますが、この作品での共演がキッカケらしいです。
正直、あまりヒットしなかったし、彼らのキャリアからすると失敗作ですが、
彼らの人生の中ではかなり重要な作品になったと思います。

全米初登場6位の燦々たる成績で、大赤字だった本作ですが、ボクはかなり楽しめました。
本作が全米で大失敗した最大の理由は、公式によるネタバレが行われたことでしょう。
本作は展開上、予想外のどんでん返しがあるのですが、アホな制作スタジオは、
そのどんでん返しの内容を予告編に盛り込んでしまったのです。
これではお客さんも「もう観なくてもいいや」と思うのは当然で、大コケしたのでしょう。
その失敗を踏まえてか、日本版の予告編ではネタバレは行われず、
更にサイコスリラーではなく、心霊系ホラーのような構成にしてあるため、
ボクもネタバレに触れることなく本作を観ることができましたが、
そのおかげでどんでん返しは意外な展開だったし、先の読めない展開で面白かったです。
まぁいざ観てみると、そう斬新なオチというほどでもなかったですが、
心霊系ホラーだと思っていたので、先読みなんて考えもしなかったのが功を奏したかな。
でもボクもどんでん返しの内容を知っていたら、退屈に感じただろうし、
後に動画サイトで全米公開時の予告編を見ましたが、「これは酷い」と思いました。
まだ本作を観てない人は気を付けてください。
というか、この感想でどんでん返しがあることを知ってしまったので、
残念ながら本作をちゃんと楽しむのはもう手遅れです。ごめんなさい…。
以下、更にネタバレを含むので、もう遅いかもしれませんが注意してください。

なぜスタジオがそんなネタバレをしてしまったかですが、
実は本作は、展開上2段階のどんでん返しがある、3段構造となっているので、
ひとつめのどんでん返しくらいは別に公開してもいいだろうと思ったのでしょう。
当然それも知らなかったボクは、物語中盤で予想外の真相が明らかになり、
その内容もさることながら、こんなに早くどんでん返しがあったことにも驚きました。
そして真相も明らかになってしまったのに、その後どんな更なる展開が待っているのかと、
ワクワクさせられたのですが、終盤にある2段目のどんでん返しは正直微妙で…。
予想できてしまったというか、1段目のどんでん返しで耐性が付いていたのもあり、
全然驚きはなく、なんだか尻つぼみな印象を受けてしまいました。
それだけ1段目のどんでん返しが重要だったわけですが、
それを予告編でネタバレしてしまってはコケて当然です。

ただ、本作の魅力はどんでん返しだけではなく、むしろ人間ドラマにあると思います。
最愛の妻と2人の幼い娘を想う悲しい男の物語で、これがけっこう感動させられて、
ホラー映画だと思っていただけに、ある意味どんでん返しよりも意外でした。

妻リビー、長女トリッシュ、二女ディディの4人家族のウィルは、
家族との時間を増やすため、出版社を退職し作家に転身します。
彼は郊外の一件屋に家族と共に引っ越して、家族水入らず幸せに暮らします。
しかし、近所の人の彼らに対する様子が不自然で…。
ある日、次女が窓の外から変な男が覗いていると怖がり始め、
ウィルも庭の木の陰にフードを被った怪しい人物が立っているのを目撃します。
更にある夜、地下室で勝手に忍び込み、肝試しをしている若者たちを発見します。
問い質すと彼ら曰く、この家は5年前に一家惨殺事件があったワケあり物件で、
その犯人は夫ピーター・ウォードで、窓から覗いていたのはその男ではないか、と。
調べてみると、たしかに殺人事件があり、犯人の男は心神喪失で不起訴となり、
精神病院を経て今は居住型厚生施設で生活しているとわかります。
その男が帰って来たのだと思い、警察に相談しますがなぜか全く相手にされず、
ウィルは厚生施設に直接会いに行きますが、そこに男の姿はなく、
しかし男の部屋には、ウィルの家にあったはずの家族が写った写真立てがあり…。
彼は男が治療を受けていた精神病院に男のことを聞きに行きますが、
そこで見せてもらった男の映像から、思いがけない事実が判明するのです。

ホラーではなくサイコスリラーだと意識して観ると、すでに気付いたと思われますが、
その犯人ピーター・ウォードこそが、ウィルだったのです。
彼は妻子を失った悲しみに対処するため、別人格を作り出し、
自分がピーター・ウォードであるという事実を記憶から消し去りました。
更に引っ越したと思っている殺人現場の家も本当はボロボロの空き家で、
リビーたち彼の妻子も彼が作りだした亡くなった妻子の幻覚でしかありません。
彼の別人格はウィル・エイテンテンという名前ですが、
それは彼の患者番号「W1-1L 8-10-10」から付けられています。
そう言われてみると、エイテンテンなんて超ヘンテコな苗字ですよね。
妻リビーも亡き妻エリザベス、長女トリッシュも亡き長女ベラトリスの愛称です。
次女ディディも亡き次女キャサリンの愛称ですが、これは少々強引でしたね。
今までいい夫でいい父親って印象だったウィルが、
そこから急に精神異常者に見えはじめるのも、なかなか興味深いです。
髪型もオールバックになって、見た目的にも猟奇殺人犯のような印象になりますが…。
これが1段目のどんでん返しです。

自分の正体がわかっても、依然として妻子の幻覚が消えることはなく、
自分が殺した愛する家族と生活を続けるウィルですが、
時に娘が死ぬ幻覚を見たりして、苦悩することになります。
そんな折、警察から立ち退きさせられたウィルは、お隣さんのアンの世話になりますが、
アンから「あなたは犯人じゃないと思う」と言われ…。
たしかに状況からはウィルが犯人である可能性は濃厚だけど、
彼に不利なるような証拠は一切発見されておらず、現に不起訴で自由の身なわけです。
犯人は捕まっていないので、真犯人がいるかもしれないし、自分の犯行かもしれない。
それを確かめるために、彼は封鎖された家に忍び込み、幻覚の妻を問い詰めます。
まぁ幻覚は幽霊ではないので、彼女を問い詰めても答えなんて出るはずもないけど、
彼自身当時現場にはいたけどその記憶を失っているだけなので、
幻覚を通して自問することで、その時の記憶が蘇って来たのでしょう。
家に押し入ってきた謎の男が真犯人だったことを思い出すのです。
自分が殺人事件の容疑者ピーター・ウォードだったのは間違いないが、
ピーター・ウォードは真犯人ではなかった、というのが2段目のどんでん返しです。
その謎の男はある人物から依頼されてウィルの妻子を殺したのですが、
彼に依頼したのはかなり意外な人物で…。

…と言いたいところですが、正直どんでん返しにもならないほど予想通りの人物でした。
ボクは当初、ウィルがピーター・ウォードだという事実は気が付きませんでしたが、
その人物が殺人事件の犯人であろうことは、なんとなく気付いていました。
登場から露骨に怪しい描き方だったので、バレバレです。
なので、1段目のどんでん返しで、たぶんもう一段どんでん返すのも予想できました。
まぁ実行犯ではなかったのはちょっと意外だったかな?
今更ですが、その真犯人の正体については一応伏せておきます。

その真実に気付いたウィルですが、その時、真犯人の男たちに襲撃されます。
クロロホルムを嗅がされ窮地に追い込まれるウィルですが、
ここで面白いのは、そんな彼のピンチを救ったのが、幻覚の妻リビーということです。
普通ならウィルが気を失えば幻覚の妻も消えるはずですが、
彼女の呼びかけにより、ウィルは意識が回復するのです。
それだけではなく、彼女は暗い部屋の中で鳴子を鳴らすことで真犯人の注意を反らし、
夫が反撃するチャンスを作ったのです。
そんなこと幻覚であるはずの妻にできるはずはなく、もしかしたら単なる幻覚ではなく、
もっと超自然的な何かかもしれないと思う現象でした。
不思議と幽霊という印象は受けませんでしたが、幻覚になってでも夫を助けたいと思う、
妻リビーのウィルに対する愛を感じて、感動しました。
真犯人に家を放火されるも、幻覚の妻の助けで家から脱出したウィルですが、
彼は幻覚とわかっている妻と2人の娘が残っている燃え盛る家に、再び飛び込むのです。
例え幻覚であっても彼にとっては最愛の家族であり、死ぬ時は一緒だと思ったのですね。
しかし幻覚の妻に諭され、彼は家族の死を漸く受け入れることが出来、
家族に別れを告げて、またひとりで脱出します。
なんとも切ないクライマックスでかなり感動できました。
どちらかといえば妻よりも幼い娘たちとの別れの方に感動したかな。

このまま終われば、心地よく席を立てたでしょうが、ラストシーンが蛇足でした。
事件後、ウィルはその一連の出来事を執筆し、ベストセラー作家になるのです。
家族の死が、作家志望の彼にとってはネタでしかなかったような印象で、
なんだか興醒めして、せっかくの感動が台無しになった気がしました。
なんでもこのラストシーンには主演のクレイグやワイズら出演者も相当不満だったらしく、
本作の宣伝活動をボイコットしたそうで、それも本作がコケた一因だった気がしますね。
監督もそのシーンには不満で、自分の名前をクレジットから消そうと試みたそうですが、
そんな身内からも非難されるほど酷いシーンなのに、なぜ強行したんでしょうね?
別にカットするだけでよかったのに、案の定台無しにしてるんだから世話ないです。
センスのないプロデューサーが内容に口出すと、監督も出演者も大変ですね。

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