ブログデンティティー

blog-dentity since 2013

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q

最近観たアニメ映画『魔法少女まどか☆マギカ』『009 RE:CYBORG』『ねらわれた学園』は
どれも途中までかなり面白かったのに、終盤の超展開で台無しになっています。
他にもそんなアニメ映画ってけっこう多いのですが、
(テレビアニメの再編集である『まどマギ』は置いとくとして、)
日本のアニメ映画は、映画だからって話を壮大にしないといけないと思ってる気がします。
もちろん壮大な内容になることは歓迎しますが、製作者の手に余るほど壮大になると、
上記の作品のように超展開に突入してしまうんでしょう。
ハリウッドのアニメ映画なんかを観ていると、展開は王道だけど、
演出でいくらでも面白く盛り上げることができるのがわかるので、
日本のアニメ映画もそれほど鯱張らずに、展開の壮大さではなく、
絶妙な構図とか、映画的演出で盛り上げるようにした方がいいと思います。

ということで、今日は壮大すぎる日本のアニメ映画の感想です。

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q
ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q

2012年11月17日公開。
人気テレビアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』を、新たに4部作で描いたシリーズ3作目。

今年はこれまでに洋邦含めアニメ映画を31本観ましたが、本作が断トツのワーストです。
ボクは映画ファンなので、十数年前に放送されたテレビアニメ版の方は見ておらず、
リビルドされた『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』からシリーズを見始めました。
座席予約が何カ月も前から始まったり、JRAをはじめ多数の企業からタイアップされたり、
劇場やメディアでの宣伝がかなり大規模だったりと、
普通のアニメ映画とは明らかに待遇が違う中で公開された本作ですが、
たしかにその大プッシュに見合う社会現象的アニメシリーズなのでしょう。
しかし、ボクにとっては年間公開される多くのアニメ映画の1本でしかなく、
本シリーズのファンでもなければ、何の想い入れがあるわけでもありません。
それでも前2作はなかなか面白く、あと一押しでファンになれそうなくらい興味を持ち、
最新作である本作を楽しみにしていたのですが、いざ本作を観てみると、
「ここからは一見さんお断り」とばかりに完全に突き離された気がしました。
いや、実際はマニアックすぎる内容にボクの方で拒絶反応が出てしまった感じです。

本作ははっきり言って全く理解できない内容でした。
前作のクライマックスもかなり超展開気味で困惑したのですが、
その続きである本作は、始めからそのノリで最後まで突き進んでしまいます。
「リリンの呪い」とか「カシウス・ロンギヌスの槍」とか「ガフの扉」とか
「アダムスの器」とか「死海文書」とか、宗教の引用か何かわかりませんが、
聞きなれない言葉が何の説明もなく当たり前のように使われ、
一部の会話が何の話なのかわからず、煙に巻かれたような気持ちになります。
ストーリー的にもヱヴァ6号機のパイロットであるカヲルが第一使徒で、
彼がどういうわけか13使徒になってしまったり、その6号機自体が12使徒で、
セントラルドグマの最深部にある謎の巨人リリスの前で死んでいたり、
ネルフからミサトたちが離反してウィレを立ち上げ、
ネルフのゲンドウは上層機関のゼーレを殺してフォースインパクトを画策したりと、
その経緯や登場人物の目的が全くわからないまま、話だけがどんどん進んで行きます。
まぁセカイ系というのは往々にして不親切なものではありますが、
このシリーズに関してはすでにそんな姿勢で製作をしてはいけないと思います。

前作はなんと40億円以上の興収を稼ぎ出した大ヒット作で、
これは国民的アニメ『ドラえもん』や『名探偵コナン』の劇場版や、
昨今のジブリ作品にも匹敵する驚異的な成績です。
それだけにキラーコンテンツとして期待されていて、大きなタイアップがどんどん付くし、
メディア露出も増えて、旧作のファン以外や普段アニメを見ないような層も集客します。
しかしそんなシリーズが、3作目にして急に一見さんお断りのマニアックな内容にして、
ファン以外の人を蔑ろにする作品にしていいのでしょうか?
もちろんコアなファンしか観ない劇場版アニメはあってもいいと思いますし、
1作目のようにミニシアターで細々と上映される分にはその姿勢でいいと思います。
しかし本作のように日本有数の大規模アニメプロジェクトとなってしまったからには、
ある程度のポピュラリティは担保する必要があると思うんですよ。
それは相乗効果を期待しているタイアップ企業に対する責任でもあるし、
大規模な宣伝をしてくれる劇場やメディアに対する責任でもあるし、
なにより前2作を観て興味を持ってくれた新たな客に対する礼儀だと思います。
本作が公開まで粗筋など一切の情報を伏せていたのは、
内容を公表すればライトな客層が逃げると思ったからじゃないかな?
あたかも社会現象的国民的アニメ映画に成長したかのようなフリをして、
実はファン以外は全く理解できないマニアックな内容だったなんて不誠実だと思います。

ただ、旧作以来のファンなら理解できるのかと言えば、そんなこともないかも。
本作は新たな謎が増えただけで、これまでの謎はほぼ放置されたままだし、
進んだのは時間だけで、内容的にはほとんど何も進展していない気がします。
前作のラストでエヴァ初号機により大災害サードインパクトが引き起こされたわけですが、
本作のラストでもエヴァ13号機により大災害フォースインパクトが起こってしまい、
結局は本作の振り出しに戻ったようなものだしね。
ひとつ解決された謎があるとすれば、シリーズのヒロインの一人である
レイの素性が明らかになったことくらいかな?
彼女は主人公シンジの母親の複製体(クローン)だったわけだけど、
そんなことは旧作でも同じだっただろうし、新シリーズでもそれを隠そうとしてないから、
かなり鈍いボクでも前作までに察しが付いていた程度の謎です。
前作までのレイは前作のラストの使途との戦闘で死んでしまったようで、
本作からは新しい複製体のレイが登場しますが、それを知ったシンジは彼女を拒絶。
でも前作までのオリジナルのレイとは違うとはいえ、仮にも母親の複製体なんだから、
息子としてもうちょっと気にかけてあげてもいい気がしました。

本シリーズは、いわゆるロボットアニメなわけですが、
そこに描かれているのは主人公の思春期の少年シンジの父親との確執であり、
レイやアスカたちヒロインとの青春ロマンスや同級生トウジたちとの友情で、
終末を迎えた世界を舞台にしたSFの体裁をとりながらも、
思春期の少年たちの成長を描いた青春ドラマだったと思うんですよね。
ボクはもともとガンダムとかロボットアニメは嫌いなので、
そんな青春ストーリーに惹かれていたのですが本作にその要素は全くありません。

まず根本的に、シンジやアスカらメインの少年たちは物理的にも成長しません。
本作は前作から14年後の世界という設定なので、当時14歳だった彼らは、
本作時点でアラサーになっているはずですが、「ヱヴァの呪縛」により、
外見的に歳をとらないようで、14歳の当時のままの姿をしています。
まぁ急に老けられたら彼らのファンがガッカリするかもしれないので、
そんな都合のいい設定を採用せざるを得なかったのでしょうが、
14年間地球の衛星上に隔離され意識のなかったシンジは仕方ないとして、
アスカの内面的な成長の無さには違和感を覚えます。
彼女も前作終盤に瀕死の重傷を負ったので昏睡から目覚めたのが最近なのか?
…って思うほどですが、事実上、彼らの青春時代は終わっているので、
もう中学生の青春ドラマとしては観ることはできません。
彼らの通っていた中学校自体もサードインパクトでなくなちゃってるみたいだし、
トウジたち同級生の所在も生死も不明で登場すらしません。
ロマンスは一応ありますが、今回のシンジのお相手はレイでもアスカでもなく、
月からやってきた不思議なイケメン少年カヲルです。
トウジらとは明らかに違う反応で、シンジは彼に友情以上の感情を持っていそうです。
前作とは別人のレイに素気ない態度を取られ、アスカにまで邪険に扱われて、
寂しのはわかるけど、ちょっと優しくされたからって男になびかなくても…。
ボクはBLやゲイ映画は苦手なので、直接描写はないもののなんだか嫌な展開でした。
カヲルは1作目のラストにも登場しており、本作で漸く本格参戦となりましたが、
劇中で多くの謎を残したままあっさり死んでしまいます。
リビルドされた本作と旧作を繋げる重要なキーマンのような印象だったのですが、
このままではシンジとイチャイチャしただけで死んだ、全く意味不明なキャラです。

前作から14年後という設定ですが、エヴァのパイロットは当時と変わらないものの、
当然他のキャラは歳を取り、この経年でサブキャラたちはかなり交代しています。
主にウィレのメンバーとして新キャラが増えたわけですが、
昔のネルフのメンバーが好きだった人とかはショックでしょうね。
ボクもミサトがけっこう好きでしたが、彼女は続投しているものの性格が変わり、
昔はシンジの親代わりのような優しいお姉さんだったのに、
今ではウィレの戦艦ヴンダーの艦長になり、シンジに冷徹な態度をとる鉄の女です。
性格はまだしも、ベタな艦長をイメージさせるあの時代錯誤な服装は戴けません。
ミサトの同僚リツコはベリーショートになって、急激にオバサンぽくなりました。
まぁ彼女が一番普通の歳のとり方をしているのですが、なんだかショックでした。

そういえば本作公開の2日前に、上映する梅田ブルク7のホームページに、
「鑑賞マナーに関するお願い」というトピックスがアップされ、禁止事項のひとつとして、
「ロビーなどで映画の物語上の仕掛けや結末といった重要な部分を暴露するような会話」
というものがありましたが、これはおそらく本作の観客に対する注意喚起でしょうね。
ボクは梅田ブルク7で観たわけではありませんが、この14年後の設定というのは、
ファンにとってはかなり衝撃的だったみたいで、
上映終了後のロビーで、そのことについて議論しているファンが結構いました。
たしかにそれが本作の最大のサプライズだったので、これから本作を観る人が
ロビーでそんな会話を耳にしてしまうと、重大なネタバレになってしまいます。
しかしロビーでネタバレの会話をしないなんてことは映画ファンとしては常識です。
如何にアニメファンが空気を読めないか、本作のファン層が映画慣れしていないか、
その懸念がこの注意事項のアップに繋がったのでしょうね。
映画館のグッツの物販の様子も、普段の売店の様子からは考えられないものでした。
パンフレットも通常版と豪華版の2種類あり、
通常版の800円でも普通の映画より高いけど、豪華版は1500円もしました。
本作の解説必須な難解な内容はパンフを買わせるための戦略とも思えたので、
ボクは買いませんでした。(てか、普段からパンフ買うことは滅多にないです。)

本作は前売券もローソンで売っている3000円~7500円のものしかないんですよね。
ボクも安く観ようと思って前売券を探したのですが売ってなくて、
結局MOVIXのメンズデー(1000円)を利用して観る羽目になりました。
たしか数カ月前からスタートした異例の選考座席予約はオンライン予約のみなので、
それで座席を押さえて初週末に観た人、ほとんどが定額1800円払ったんでしょうね。
本作は週末興行成績初登場1位になり、その記録は今年最高だったそうですが、
動員数ではなく客単価が高かっただけじゃないの?
物販にしてもそうだけど、とにかく儲けようという意識が強すぎるから、
内容が疎かになるんじゃないのかな?
たぶん本作の出来では、このシリーズの求心力にも陰りが出るはずです。
続編『シン・エヴァンゲリオン劇場版』は、今回よりタイアップも宣伝も減りそう。
予告編観た限りでは内容も定まっておらず、まだ全く着手されていないようです。
この様子では公開は早くて2016年頃かな?

最後に、同時上映されたジブリの短編『巨神兵東京に現る』ですが、
『風の谷のナウシカ』の巨神兵による「火の七日間」をミニチュアで映像化したものです。
ちょっと鬱な内容で、本編上映前に観る短編としては相応しいのか疑問ですが、
内容や出来はともかく、ヱヴァの機体の造形やセカンドインパクトの雰囲気など、
本シリーズが巨神兵にインスパイアされたものであることはよくわかりました。
しかし何もヱヴァのパクリ元を題材にした作品を同時上映するなんて、
潔いというかアホなのではないかと思ってしまいました。

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://blrpn.blog.fc2.com/tb.php/811-af2805c9
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad