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アパートメント:143

つい先日、映画を観にシネ・リーブル梅田に行くと、
これから公開になるホラー映画やスリラー映画のチラシが沢山置いてあり、
ホラー好きのボクはワクワクしました。
しかし、今週末はダニエル・クレイグ主演の『ドリームハウス』、
来週末はダニエル・ラドクリフ主演の『ウーマン・イン・ブラック』と、
話題のホラー大作が公開になり、もちろん観るつもりですが、
なんだかハロウィンが終わってから急にホラー映画の公開が増えたような…。
どうせならハロウィン前に公開した方が、季節感があっていい気がします。
年末は陰鬱なホラーよりも、もっとキラキラした作品が観たいです。

ということで、今日はシネ・リーブル梅田で観たホラー映画の感想です。

アパートメント:143
Emergo.jpg

2012年11月3日日本公開。
『[リミット]』のロドリゴ・コルテスが製作と脚本を務めたホラー。

妻の死を契機に怪現象に悩まされるようになり、子どもたちを連れて引っ越すことにしたアラン(カイ・レノックス)。だが、新居となったアパートでも怪現象に見舞われて不安に駆られた彼は、精神科医ヘルザー(マイケル・オキーフ)が率いる超心理学科学者チームに調査を依頼する。各部屋にカメラを設置して調べを進める彼を待ち受けていたかのように、応答なしに呼び出し音が鳴り続ける電話、ラップ音、室温の低下といった不可解な現象が連続する。やがて、アランの娘に恐ろしい異変が起き始め……。(シネマトゥデイより)



モキュメンタリー・ホラー映画『パラノーマル・アクティビティ4』と同じ週に、
こっそり公開されたスペイン製モキュメンタリー・ホラー映画の本作。
完全に便乗するつもり公開日を決めているのは間違いありませんが、
比較されてしまうということをわかっているのかな?
もちろん、本家(?)を超える出来であれば問題ないのですが、
そんな作品は便乗を考えるくらいだから往々にして劣化版でしかありません。
本作も例外ではなく、かなり微妙な出来の作品なので、
便乗でもしないと劇場公開は不可能だったでしょうね。
配給会社にしてみれば、便乗してお客を呼び込めれば評価なんてどうでもいいしね。
斯く言うボクも、便乗商法にまんまと嵌められたわけだし…。

ボクはもともとモキュメンタリー・ホラー映画が好きだったのですが、
『パラノーマル・アクティビティ』の大ヒットにより、粗製濫造されるようになり、
徐々に興味を失いつつあったのですが、今年の前半に公開になった
『POV 呪われたフィルム』や『グレイヴ・エンカウンターズ』を観に行き、
完全にトドメをされ、モキュメンタリー・ホラー映画には幻滅しました。
でも全く期待してないけど惰性で観に行った『パラノーマル・アクティビティ4』が、
予想を上回る面白さだったので、再びモキュメンタリー熱が再燃しました。
作りものとはわかっていても、ついつい驚いてしまうお化け屋敷のような演出は、
モキュメンタリー・ホラー独特のもので、他ではなかなか得難い楽しさです。
そしてほぼ同時期に便乗して公開された本作を観て、
再燃したモキュメンタリー熱が、また一気に鎮静化しました。
というよりも、モキュメンタリー・ホラー映画ほど出来不出来が激しいジャンルも珍しく、
その点では『パラノーマル・アクティビティ』シリーズが、
如何に趣向が凝らされた上等なモキュメンタリー・ホラー映画なのか再認識したし、
好きなジャンルというだけで節操なく観るべきではないと自戒させられました。

本作は一応モキュメンタリーの体裁を取っているものの、
企画立ち上げの段階では違ったんじゃないかと思います。
本作の脚本はシチュエーション・スリラーの佳作『[リミット]』の監督である
ロドリゴ・コルテスが手掛けていますが、メガホンを取ったのは若干28歳の若手監督です。
ボクより若いのに、映画監督になって劇場公開までされるなんて感心したいところですが、
正直この程度では、かなり気合の入った学生映画のような映像です。
モキュメンタリーは当然普通の映画の撮り方とは違うカメラ技術がいるのですが、
本作はその技術が致命的に拙く、ただ安いカメラで撮っただけの映像になっています。
例えば、劇中に台所で大規模なポルターガイストが起こるシーンがあるのですが、
手持ちカメラが電灯を映した直後に電球が破裂したりと、
カメラがパンした先々で、物が動いたり壊れたりするのです。
これは予め何が動くかわかっていないと出来ないカメラワークであり、
疑似ドキュメンタリーであるモキュメンタリーではあり得ない撮り方です。
固定された監視カメラが、自動的に都合よくズームしたりするのも変です。
つまり本作は、当初モキュメンタリーで撮るつもりはなかったが、
まだまだ若輩な監督で予算も集まらなかったため、低予算で撮れる手段として、
モキュメンタリーの体裁を利用しているだけだと考えられます。
だからモキュメンタリーのイロハも知らないで撮られたような演出を、
臆面もなくやってしまっているのでしょう。

しかし本作の最大にして唯一の欠点は、下手くそな素人監督によって、
モキュメンタリーの体裁でチープに撮られてしまったことだけです。
脚本はハリウッドでも活躍するコルテス監督によるものなので、
ストーリーはなかなか興味深いものでした。
もし普通にフィクションのホラー映画として撮られていたら、けっこう面白かったかも…。
本作の内容は、ポルターガイストやラップ現象による恐怖映像よりも、
実はその超常現象に悩まされることになる、ある一家の父子の確執や秘密が焦点です。
つまりワケあり家族を描いたヒューマンドラマであり、恐怖の超常現象なんてのは、
それに付随するだけのオマケでしかありません。
なのに観客の視覚や聴覚に訴えかけて驚かせるのが目的のモキュメンタリー撮影で、
オマケをメインのように扱ってしまっては、面白くなるはずもないです。
せっかく面白い作品になったかもしれない脚本が、撮影方法の選択ミスにより、
勿体ないことになっちゃったような気がします。

無職の父アラン、思春期の長女ケイトリン、幼い長男ベニーの3人で暮らすホワイト家で、
ラップ現象などの怪奇現象が頻発し、父アランはある科学チームに検証を依頼します。
この科学チームは、超常現象を「解明されていない自然現象」と捉えており、
電磁波などを使ってこの家の怪奇現象の謎を解き明かそうとします。
この一家の母シンシアは交通事故でなくなっており、
家族は母の霊が怪奇現象を引き起こしていると考えています。
しかし科学チームのボスであるDr.ヘルガーは、幽霊の存在を認めていません。
なのであらゆる可能性を調べるために、ファラデーケージを使った交霊術や、
怪しい霊媒師を呼んで降霊術を試したりもしますが、彼は別の原因を確信しています。
精神科医でもあるDr.ヘルガーは、長女ケイトリンに統合失調症の疑いを持ち、
彼女のストレスによる無意識の念力でポルターガイストが起こるのではないかという、
いわゆる超ESP仮説を立てているのです。
なのでこれを解決するには彼女のストレスの原因である父子の確執の改善しかなく、
その確執の隠された発端を暴く必要があるのです。
その発端となる出来事は、けっこうシリアスな内容で、
ある意味では幽霊なんかよりも恐ろしい真実で、興味深かったです。

でも長女の念力による超ESP仮説だけでは、説明の付きにくい怪奇現象も…。
彼女が空中浮遊したり、無言電話がかかってきたりするのは念力で説明できるし、
彼女が怨霊に憑依されるのも、統合失調症で説明できますが、
母シンシアの幽霊が写真に写り込んだり、目の前に現れたりもするのは、
念力でどうこうできることじゃないですよね。
本作ではその真相が曖昧なまま幕を閉じてしまいますが、
やっぱり幽霊の仕業と考えた方が自然なのかも…。
まぁそんな真相が詳らかにならないところは、モキュメンタリーぽいとも言えますが、
本作は体裁だけの疑似モキュメンタリーなんだから、
もう少しスッキリ終わってもよかった気がします。
そういえば、登場人物が全員無事で、いわゆるファウンドフッテージじゃないのは、
モキュメンタリー・ホラー映画としては珍しい構成ですね。
だからモキュメンタリーのお約束を知らない素人が撮ったようにも感じるのですが…。

本作は脚本のみだったロドリゴ・コルテスですが、
来年2月には監督作となるサスペンス映画『レッド・ライト』が公開になります。
超能力者と、超常現象を研究する科学者チームの攻防を描いた作品らしく、
ちょっと本作と通じるところがある気がしますが、
低予算でもなければモキュメンタリーでもない真っ当なハリウッド映画なので、
本作と違ってきっと面白い作品になっているだろうと期待しています。

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