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リンカーン 秘密の書

ディズニーがルーカスフィルムを買収したらしく、
『スター・ウォーズ』シリーズの映画化権を手に入れたようです。
もう絶対にないと思っていた『スター・ウォーズ』の新作が製作されるかもしれないのは、
正直少し嬉しい気もしますが、最近のディズニーの買収劇はちょっと酷くないですか?
2006年には契約終了し袂を分かとうとしていたピクサーを買収し、
2009年にはパラマウント配給だった『アベンジャーズ』シリーズのマーベルを買収し、
今回は20世紀フォックス配給だった『スター・ウォーズ』のルーカスフィルムですよ。
なんだか他球団から人気選手を引き抜く金満球団みたいな印象で、ちょっと感じ悪いです。
金で安易に人気選手を買収するのではなく、もっと生え抜きを育てろと。
そんなことだから自前の選手『ジョン・カーター』シリーズの育成を失敗するんです。
(むしろその記録的大失敗のせいで『スター・ウォーズ』買収に走ったのかも。)
過去には自前の選手『ナルニア国物語』シリーズを育成失敗で放出し、
他球団である20世紀フォックスが拾ったなんてこともありましたね。
最近のディズニーは金儲けしか頭になく、作品への愛情が感じられません。
『アベンジャーズ』や『スター・ウォーズ』だって、金の切れ目が縁の切れ目で、
思ったほど収益が上がらなければ、容赦なく売り払われるでしょう。
そしてその金で、またどこかの人気シリーズを擁するスタジオを買収するんだと思います。
3年ごとに大型買収しているようだから、2015年はどこになるのか、ある意味注目です。

ということで、今日はディズニーに『スター・ウォーズ』シリーズを奪われた
20世紀フォックスが配給する作品の感想です。
『アバター』シリーズのライトストームは奪われないように用心してほしいものです。

リンカーン 秘密の書
Abraham Lincoln Vampire Hunter

2012年11月1日日本公開。
第16代アメリカ大統領エイブラハム・リンカーンを題材にしたヴァンパイア映画。

母親が人々を襲うヴァンパイア集団に殺されたことを知ったエイブラハム・リンカーン(ベンジャミン・ウォーカー)は、リベンジを果たそうとおのを駆使した戦闘術をマスターしていく。やがて、黒人奴隷の売買によって食料となる人間をヴァンパイアたちが確保し、それを悪用して政治家が富を得ている事実を知る。個人の力だけでは彼らに太刀打ちできないと感じたリンカーンは、政治の道へと進んで大統領に。昼は大統領として責務を果たし、夜はハンターとしてヴァンパイアを倒していくが……。(シネマトゥデイより)



本作は第16代アメリカ合衆国大統領のエイブラハム・リンカーンが
ヴァンパイアを退治するハンターだったという奇抜な設定の物語ですが、
このところ、リンカーン大統領に関する映画が多いように思います。
本作の他に、リンカーン大統領の伝記戦争ドラマ『リンカーン』や、
リンカーン大統領暗殺の罪に問われた女性を描いた『声をかくす人』や、
『リンカーン弁護士』は…、関係ないか。
なんにしても、急にリンカーン大統領が注目されはじめた印象です。
大統領選挙が近いことが影響しているのかとも思いましたが、
たぶん初の黒人大統領であるオバマ大統領が誕生したことがキッカケで、
黒人奴隷解放の父であるリンカーン大統領の映画企画が沢山立ち上がり、
それらが漸く完成して公開できるようになったのが最近なのかも。
その関係かはわかりませんが、本作のラストにもオバマ大統領と思しき人物が登場し、
彼もヴァンパイアハンターであるかのような演出がされていますね。

他のリンカーン大統領関連映画は比較的マジメな印象ですが、
本作はかなり荒唐無稽でカルト色の強いエンタテインメント映画となっています。
きっと流行りのヴァンパイア映画の波にも乗ろうと考えたのでしょう。
ヴァンパイアとリンカーン大統領のマッシュアップは、かなり強引で無理があり、
歴史フィクションとして、お世辞にも説得力がある解釈だとは思えませんが、
B級カルト映画だと思えば、それもまた味です。
内容はB級だけど、製作規模は超A級の大作アクション映画で、
製作サイドには、よくもそんな危険な橋が渡れるものだと感心します。
それだけリンカーン大統領はアメリカ人から今でも敬愛されているってことなのかな?

…って思ったけど、本作は全米初登場3位と規模の割に厳しいスタートで、
むしろ国外での人気の方が高かったようです。
本作は完全フィクションではなく、リンカーン大統領の史実も織り交ぜてあり、
奴隷解放宣言や南北戦争の裏にもヴァンパイアが絡んでいるという物語ですが、
アメリカの黒人差別は未だにけっこうセンシティブな問題だし、
それがダーク・ファンタジーなんかに脚色されたら、当事者のアメリカ人の中には、
社会問題を茶化されたと思っていい気がしない人も多いのかも。
リンカーン大統領の母親や息子などの死をヴァンパイアの仕業になんてされたら、
彼のことを敬愛している人ほど、不愉快な気持ちになるかもしれません。
まぁそれ以前に、リンカーン大統領に関心がない人が多いだけなのかもしれませんが…。

ボクは日本人ですが、リンカーン大統領には特に関心はありません。
しかしヴァンパイア映画には大いに関心があるので、期待して観に行きました。
まぁアクション系のヴァンパイア映画としては、それなりに見応えがあったと思います。
本作のヴァンパイアは強靭な身体能力を有し、透明になるという特殊能力も持っています。
日光にも耐えられるし、十字架やニンニクなどベタな弱点もないようですが、
なぜか銀製品に異常に弱いという、狼男のような弱点があります。
もちろん人間の血を吸うのですが、餌にするのは主に黒人奴隷です。
彼らのリーダーはアダムという5000年生きるヴァンパイアで、
アメリカ南部を縄張りにして、人知れず帝国を築いています。
ヴァンパイアハンターであるリンカーン大統領が奴隷解放するのは、
彼らのエサにされている黒人たちを助けることが目的です。
奴隷制度の是非により南北戦争が始まるのは史実の通りですが、
リンカーン率いる北軍に対し、南軍は利害の一致するヴァンパイアと手を組み、
戦場にヴァンパイア軍団を投入するのです。
南北戦争の裏に、ヴァンパイアの脅威があったというのは、
ちょっと興味深い歴史フィクションですが、黒人が餌という設定は少し不謹慎かな?
そもそもヴァンパイアたちは、食糧に対して人種は問わないのに、
なぜか奴隷である黒人しか襲わないのは納得できません。
アダムも「人類は全て奴隷」と言っているのに…。

リンカーンは子どもの頃、母親をバーツという男に殺され、
それから9年後のある日、彼は復讐するため、拳銃でバーツを撃ちます。
しかしバーツはヴァンパイアで、普通の拳銃では死なず、返り討ちにされかけたところを、
ヘンリーというヴァンパイアハンターに救われます。
リンカーンはヘンリーに師事し、ヴァンパイアハンターになります。
リンカーンは武器として銀製の斧を選ぶのですが、そのチョイスが野蛮でいいですね。
ヘンリーとの修行により、リンカーンはヴァンパイアに匹敵する身体能力を身に付け、
ヘンリーの指示でヴァンパイアを狩りながら、仇のバーツを探します。
でも師匠のヘンリーも実はヴァンパイアで…。
ヘンリーはアダムに私怨がありますが、ヴァンパイア同士は殺し合うことが出来ないため、
アダムを殺すために人間であるリンカーンを利用しようと考えたのです。
ヘンリーはヴァンパイアなので強いのは当たり前だったのですが、
ただの人間であるリンカーンが、彼に師事して強くなるってのはちょっと変ですね。
ヴァンパイア同士は、戦えても殺せないというのも、よくわからない線引きですが、
単にヴァンパイアには銀製の武器が使えないってだけのことなのかな?
リンカーンとバーツの馬群の中での死闘は壮絶で見応えがありました。

ヴァンパイア狩りを続けていたリンカーンですが、
「友達や家族を持つな」とか「奴隷解放したら白人が餌になる」と言う師匠ヘンリーと、
意見が対立し、彼と別の道を進むことにします。
「斧ではなく、言葉と理想で戦う」と政界に飛び込んだと思ったら、
次のシーンでは大統領になっており、その怒涛の展開に少し当惑してしまいました。
でも演説でヴァンパイアが倒せるはずもなく、事態は全く好転しません。
結局、武力衝突である南北戦争を引き起こすこととなり、甚大な犠牲を出しますが、
こんなリンカーン大統領では、無能すぎて幻滅ですね。
ヴァンパイア軍団を投入した南軍により、北軍は敗戦濃厚となりますが、
彼は一計を案じ、南軍の実質リーダーであるアダムを罠に嵌めて倒します。
アダムは5000年も生きるヴァンパイアのリーダーだから、さぞ強いのだろうと思ったら、
銀のペンダントのチェーンをメリケンサックのように拳に巻き付けたリンカーンに、
ワンパンチでノックアウトされるという意外なほどあっけない最期で…。
ナンバー2の女ヴァンパイアも、やはり銀の細いチェーンで倒されていて、
いくらなんでも銀に対して弱すぎだろうと拍子抜けしました。
リンカーンは北軍に銀の兵器を支給しますが、高級な銀で銃剣や砲弾なんて作らずとも、
全員に銀のフォークでも携帯させれば、余裕で勝てそうです。

リンカーンは自分のヴァンパイアハンターとしての活躍を日記に残していて、
それが本作の邦題にもなっている「秘密の書」ってことなのだと思いますが、
ゲティスバーグ演説の暫らく後に、その日記をヘンリーに託し、妻と劇場に出掛けます。
本作では描かれませんでしたが、このすぐ後に彼は暗殺されたのでしょう。
この暗殺もヴァンパイアによる報復ということにすればいいのに、
暗殺時点ではヴァンパイア問題は完全決着されたことになっており、
そもそも暗殺自体が描かれていないので、リンカーンの映画として不完全な印象です。
それ以前に師匠であり友であるヘンリーだってヴァンパイアで、
やはり人間を食糧としているので、彼だけを野放しにしておくのは、
国民を守る立場の大統領としてはマズイのではないかと思います。
ヘンリーの食糧にはリンカーンの嫌いなネイティブ・アメリカンでも与えていたのかな?

ちょっと白人至上主義的な印象を受けて、人種差別としては問題がありそうな内容ですが、
その当事者でもないし、人種差別にそれほど感心もない多くの日本人には、
単純に迫力のあるアクション超大作として、楽しめるのではないかと思います。
ただ、本作の他のヴァンパイア映画との相違点は歴史フィクションということだし、
そこが最大の売りだとも思うので、ある程度リンカーンに関心がないと、
ちゃんと楽しめたとは言えないとも思います。
できれば来年公開のスピルバーグによる伝記映画『リンカーン』を、
先に公開してほしかったような気がします。

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