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009 RE:CYBORG

先日、漫画『ONE PIECE』の最新刊を買いました。
ボクが定期的に購入している漫画は『ONE PIECE』と『はじめの一歩』だけですが、
このふたつに共通して言えることは、過去最悪の低迷期の真っ最中であることと、
物語の終わりが見えなくなってしまっていることです。
現在、『ONE PIECE』は68巻、『はじめの一歩』は101巻を数えますが、
ストーリー漫画としてはあまりに長すぎ、とっくに完結していてもおかしくない巻数です。
もう作者が、一生この漫画一本で食っていこうと考えているとしか思えませんが、
そうなると心配なのが、未完で終わるのではないかということです。
作者が漫画を描けなくなるのが先か、ボクが漫画を読めなくなるのが先かわからないけど、
一生最終話を読むことができないのではないかと思えてしまいます。
そんな状況にあるのも、無用な引き延ばしが行われて、いくら内容がつまらなくなっても、
惰性で買い続けてしまう甘いファンが多いことが原因な気もします。
もちろんボクもそのひとりなのですが…。

ということで、今日は未完で終わった漫画を映像化したアニメ映画の感想です。

009 RE:CYBORG

2012年10月27日公開。
石ノ森章太郎原作の人気SF漫画を映画化したアニメーション。

2013年、ロンドンやベルリンなどで超高層ビルを狙った同時多発テロが発生する。その行方を世界中の人々が固唾(かたず)をのんで見守るものの、何の犯行声明も明らかにされない状態が続き次第に誰もがパニックに陥っていく。やがてこれまでも見事ベトナム戦争や東西冷戦などを解決してきたサイボーグ戦士9人が集結する。(シネマトゥデイより)



本作は「終わらせなければ、始まらない。」というキャッチコピーですが、
おそらく未完で終わった石ノ森章太郎の漫画『サイボーグ009』を一度完結させ、
あわよくば新たなシリーズとして復活させようという意図で製作されたのでしょう。
でも作者死亡で未完のまま終わったものを、他人が勝手に完結させるというのは、
やっぱり反発を受けることのようで、原作ファンからは概ね不評のようです。
まだ納得のいく完結ならいいけど、監督の加速装置が暴走してしまい、
一般人には凡そ理解できない超展開で終わっていることも反感を買ったのでしょう。
もし石ノ森章太郎の構想通りに完結したのであれば、
どんなトンデモな展開でもファンは受け入れるしかありませんが、
彼の死後、他人が勝手に完結させ、それがトンデモだったなら、批判を招くのは当然です。
完結させるのはいいけど、石ノ森章太郎の存命中にするべきでした。
彼の代表作である『仮面ライダー』も、原作者が亡くなったことをいいことに、
原型を留めないほど無茶苦茶なアレンジがされてますが、本作を含め、
自分の作品が他人に弄られる状況を、原作者は草葉の陰でどう思ってるんでしょうね。
本作が公開される1カ月ほど前に、「完結編の構想を原作者から直接聞いた」と謳った、
『サイボーグ009完結編 コンクルージョン・ゴッツ』なる小説が出版されたけど、
せめてそれのアニメ化なら筋も通っているかもしれませんが、
全くのオリジナルストーリーというのは問題でしょうね。
ただその小説版完結編だって、作者が「直接聞いた」と言っているだけで、
原作者本人の構想である証拠なんてどこにも残ってないのですが…。

斯く言うボクは、石ノ森章太郎の原作漫画も読んだことがなければ、
テレビアニメも見たことがなく、本作が『サイボーグ009』シリーズ初体験です。
当然ボクは原作ファンでもないため、原作がどれだけ蹂躙されても平気ですが、
トンデモな結末で単独の作品として成立していないことは問題だと思います。
現代風にアレンジされたキャラデザはけっこうカッコいいし、
CGIをベースに作られたアニメーションによるアクションも素晴らしく、
映像のクオリティは今年観た日本のアニメ映画の中では断トツだと思いましたが、
夢オチ同然の結末には、さすがに納得できませんし、
神とか天使とか宇宙人とか、宗教的ともアンチ宗教的とも取れる内容には、
全く理解できないし、その誇大妄想にはアレルギー反応を感じます。
原作者・石ノ森章太郎も神や天使を題材にしたエピソードを描いたそうですが、
それらのエピソードは大抵未完に終わっているようで、
原作者でも手に余る内容だったのに、二次創作の域を出ない本作では、
はじめから描くのは無理な壮大すぎる題材だったのだろうと思います。
完結させるなんて自惚れないで、平成版『仮面ライダー』のように素直にリブートして、
単なるSFアクション大作にしちゃった方がマシだったんじゃないかな?
それだとコアな原作ファンからはそっぽ向かれるでしょうが、
少なくとも新規の客に理解できる内容にはなったはずだし、
シリーズ化も含めて今後の展開にも繋がったはずです。
本作を原作の正統な続編とするのであれば、今後如何なる展開も望めないでしょう。

ラストの超展開で全て台無しにされますが、終盤までの謎が謎を呼ぶストーリーは、
先の読めない展開で、なかなか面白かったように思います。
結局その壮大になりすぎた謎を回収することができなかったため、
有耶無耶な結末にしてしまったのでしょうが…。
原作を知らないままで臨んだことも懸念でしたが、それほど問題なく観れました。
むしろ原作を知っている人の方が、淫乱気味のフランソワーズ(003)や、
ジョー(009)に銃を向けるギルモア博士らの行動に違和感を覚えたみたいですね。
グレート(007)やピュンマ(008)の扱いの悪さも、ファンなら気になったかも?
原作との繋がりを持たせるために、原作のエピソードから30年後が舞台で、
ジョーはその間ずっと高校生だったという無茶な設定ですが、
それを通すために彼は博士によって3年ごとに記憶がリセットされ、
自分がサイボーグであることも忘れていることになっています。
有事の際にサイボ-グだった時の記憶を呼び起すのですが、
その方法が彼をとにかくぶん殴るという荒っぽく不確かな方法で…。
簡単に記憶をリセットできるなら、思い出すのも簡単な方法でできればいいのにね。
サイボーグって人間の身体の一部が機械になっている人のことだから、
普通に歳をとる気がするんだけど、彼らは歳をとらないんですね。
ちょっと不思議に思うけど、彼らの成り立ちを知らないので何とも言えないです。
ウィキペディアによれば当時ギルモア博士は63歳だそうですが、本作では90歳代ってこと?

本作は2013年の現代の世界を舞台にしていますが、戦争やら大災害やら、
この27年間で彼の記憶を呼び起こすべき有事はかなりあったと思うんだけど、
その程度の危機ではギルモア博士も動かないようで…。
本作ではロンドンやモスクワなどの世界中の大都市で、超高層ビルが爆破崩壊する
無差別同時多発テロが起こり、33件目となる上海での爆破テロの後で、
博士はようやく重い腰を上げ、ジェロニモ(005)にジョーを殴らせに行かせます。
その時ジョーは、なんと六本木の森ビルの爆破テロを実行しようとしていました。
彼は頭の中で聞こえる「人類をやりなおさなければならない」という声に従い、
無差別テロを企てますが、連続テロの犯人の中にもその声を聞いた者が多く…。
彼らゼロゼロナンバーサイボーグは、その声の正体を調べることになります。

その声、通称「彼の声」は、簡単に言ってしまえば神様の声です。
しかし神は死の恐怖から人間が勝手に作ったもので、脳こそが神であり、
宗教的神秘体験がどうとかで、自分の内部から聞こえる声らしく、
まぁ率直に言えば、全くわけのわからない理論で、その正体は有耶無耶にされます。
調査の途中にグレートとピュンマは、謎の金色の女の子に出会い消息を絶ちますが、
彼女はたぶん天使なのでしょうが、彼らの脳が勝手に作りだした幻覚なんでしょうね。
ジョーが実在すると思っていた女の子トモエもきっと似たようなものだと思うけど、
なぜかフランソワーズと同じ声で、彼女の関与も考えられますが、正直よくわかりません。
ボクの受けた印象では、天使は存在しませんが、世界各地から天使の化石が発見され、
それは「彼の声を聞き、自らを犠牲にした、名もなき者たちのモニュメント」で、
化石ではなく人工物のようですが、なぜか月の裏側にもあり、人工物なはずはなく…。
そもそも宗教の異なる人々が宗教的神秘体験で同じものを見たり聞いたりするはずはなく、
結局天使のことも彼の声の正体も曖昧なまま終わってしまいます。
実際に監督の加速装置の発動した頭でも、明確な答えなんて持っていないんだと思います。
こんな曖昧な状態で、未完のものが完結したと思っているなら、おめでたい頭です。
やけに宗教染みた展開ですが、神の是非も含めてどうとでも解釈できる内容なので、
『ナントカの法』とか言う公開中の胡散臭いアニメ映画のように、
特定の宗教団体の理念をサブリミナルされないだけでもマシなのかも?

ゼロゼロナンバーサイボーグのうち、ジェット(002)だけは仲間と合流しません。
彼はギルモア博士の財団のためではなく、母国アメリカのために行動し、
連続無差別爆破テロについても独自で調査をします。
ギルモア博士は一連のテロについて、アメリカの軍産複合体の関与を疑っており、
財団側であるジョーがジェットと対立することもあります。
その時にジョーが「アメリカの正義」に対して非難しますが、
本作はちょっとアメリカのことを悪く描きすぎだと思います。
ハリウッドのアニメで日本を侮辱されたらムカつくでしょうが、
本作はその逆の立場のことをしているんですよ。
本作の元ネタは9.11同時多発テロなのは疑う余地はないが、
それのアメリカ陰謀説をSFアニメのネタにするなんて、少し度が過ぎます。
アメリカの戦闘機が中東ドバイを核攻撃するなんて展開も、被曝国とは思えない演出です。
それらが何らかの社会風刺的なメッセージ性を込めたものならいいけど、
加速装置で核ミサイルの爆風から逃げ切るシーンを描きたかっただけだったり、
とにかく同時多発テロを題材にすれば、タイムリーだろういう安易さが見え見えです。
これが日本国内だけでひっそりと上映されるならまだいいけど、
アジアを中心に海外でも同時公開されており、かなり恥ずかしいです。

画竜点睛、有終完美、ものごとは最後の仕上げが肝心なのに、
それを他人が勝手に仕上げてしまっては、作品そのものが台無しになりかねません。
未完の傑作は、未完の状態で傑作なので、未完のままにしておいた方がいいのかもね。
本作の素晴らしい映像技術は、是非他の作品で活かしてほしいです。

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