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人生、いろどり

ボクは果物の中では梨が最も好きで、今の時期はよく食べます。
毎日チラシをチェックして、安売りを発見したら買いだめするのですが、
今年は例年よりちょっと高い上に、味もイマイチな気がします。
一日に豊水と幸水と二十世紀梨を1玉ずつ食べてますが、
特に二十世紀梨の味が微妙な気がします。(豊水はマシかな。)
でもまぁ梨の魅力は味よりもシャリシャリした独特の食感ですからね。
そういえば、アイスキャンディの「ガリガリくん」の梨味って、驚くほど美味しいです。
ガリガリくん特有のガリガリ食感が、梨のシャリシャリ食感に似てるし、
何よりも甘くて、普通に梨を買うよりもコレを買った方がいい気さえします。
値段も1本が梨1玉の価格の半分以下だし、皮を剥く手間もかからないし…。

ということで、今日はアイスキャンディ…、
…ではなく、農作物のビジネスを描いた映画の感想です。

人生、いろどり

2012年9月15日公開。
徳島県の上勝町での実話を映画化。

徳島県の山間部にある上勝町は人口の約半数が高齢者で、さらには過疎化の一途をたどっていた。そんなある日、農協職員(平岡祐太)が葉っぱや草を料理のツマとして売ることを提案する。周囲は冷ややかな目を注ぐが、幼なじみの女性3人(吉行和子、富司純子、中尾ミエ)が葉っぱビジネスに参加することになり、やがて売上高2億6,000万円をたたき出すしっかりとした事業へと成長していく。(シネマトゥデイより)



本作は過疎の村で平均年齢70歳の女性3人が新しいビジネスを成功させるという物語で、
完全にシルバー向け映画で、アラサーのボクが観ても楽しめない懸念はあったのですが、
ボクは農業を手伝ったり、スーパーのお野菜コーナーでバイトしていたこともあって、
農作物には少し関心があり、本作の「葉っぱビジネス」に興味を持ち、観に行きました。
「葉っぱビジネス」とは、料理の飾りとして使う葉っぱや花を販売するビジネスです。
本作では商品をツマモノと言ってましたが、正確にはアシライだと思います。
一般的にツマモノはシソの葉とか木の芽とか、食べられる添えものを指すはずで、
モミジとかナンテンとか食べられない葉っぱは、アシライと呼ばれるはずです。
まぁアシライでも料理の下に敷くものはシキヅマなんて呼ばれるし、
添えものの総称としてはツマモノでも間違いではないかもしれませんが…。
働いていたスーパーでは、アシライは取り扱っていませんでしたが、
食用菊とか芽たでとかツマモノは売っていて、常々どんな客が買うのかと不思議でした。
(…というか、やっぱりそんなに売れず、ほとんど廃棄処分になっていた気がします。)
だからそんなものを誰が作っているのかも気になっていたので、
まだ食べられるツマモノどころか、食べることもできないアシライを生産している
農家を描いた本作には関心が湧きました。
とりあえず本作に倣って、今回はアシライもツマモノと呼ぶことにします。

舞台となった徳島県の上勝町は、四国で最も人口の少ない過疎の村だそうで、
しかも人口の半数が高齢者という、ほとんど限界集落状態の村です。
基幹産業はミカン農家でしたが、冷害によりミカンの木が全滅し、
農協は新しい作物を基幹産業にしようと模索しています。
ある日、農協職員の江田は、料理屋でツマモノのモミジを持ちかえる女性客を見て、
村に売るほどある葉っぱを摘んで販売する「葉っぱビジネス」を思いつきます。
しかしそれを農家に提案すると、「わし等にはミカン農家の意地がある」と猛反対され…。
(そのわりにはウナギの養殖に手を出したりしてますが…。)
そんな中で、その話に乗ったのが村で雑貨屋を営む花恵です。
彼女は幼馴染みの薫を引き込んで、江田と3人で葉っぱビジネスを始めます。
余談ですが、彼女たちは葉っぱビジネスのことを、単に「葉っぱ」と称するのですが、
「葉っぱやる」とか「葉っぱ売る」とか、まるで大麻でも売ってるみたいですよね。
登場人物たちはそんな犯罪者とは正反対なイメージですけど。

とりあえず山で摘んだモミジをパックに詰めて青果市場に持っていきますが、
付いた価格は10円…、しかも競り落とした仲買人からは「ゴミ」だと言われ…。
そこで彼女たちは花木農家だった幼馴染みの路子にアドバイスを貰い、
実際にツマモノを使った懐石料理を出している料亭を視察に行きます。
他店のスパイと間違われたり、バカにされたりしながらも、
どんな葉っぱなら売れるのか女将からアドバイスを受けます。
やっぱりその辺で拾っただけの葉っぱでは売れないようで、
料理の用途に合わせて規格を決めて、商品化しなくてはいけないようです。
簡単に採れる葉っぱに金を出す人なんているはずもなく、
結局はその季節では採りにくい葉っぱが重宝され、ビニールハウスでの栽培も始めます。
こうなってくると完全に農作物で、苗も買ったりしなきゃいけないし、
当初の目論みのように仕入れがタダなんて、そんなうまい儲け話ではないですね。
とはいえ所詮は葉っぱですから、それが1パック数百円で売れるようになるんだから、
手間をかけて育てても1玉百数十円の梨なんかに比べれば、ボロ儲けでしょうね。
しかし葉っぱが1パック500円以上とか、普通の葉物野菜よりも断然高値で取引され、
それを買うやつの気が知れませんが、別に一般に流通しているわけではなく、
買うのはお高くとまった料亭とかなので、客の質がいいから高く売れるんでしょうね。
ボクは貧乏なんで、ツマモノの添えられた料理なんて、ほぼ食べたことないです。
まぁスーパーの弁当の中に入ってるバランも、広義のツマモノですけど…。

もともと関心があったので、ツマモノの生産や流通にまつわるエトセトラは
もちろん興味深かったですが、シルバー向けだと決めつけていたストーリーも、
意外にもかなり楽しめてしまいました。
葉っぱを売ろうなんてかなりのイノベーションで、とんでもない挑戦ですが、
それを成功させる過程は、まさにサクセス・ストーリーでワクワクします。
しかもそのビジネスをするのが老い先短い老人なので、
やり直しの利く若者の新事業とは違って挫折は許されず、
ハラハラドキドキするし、達成感も一入(ひとしお)です。
特に主人公の薫は、かなり打たれ弱い性格なので、何度も挫折しかけて、
本当にヤキモキさせられっぱなしでしたが、それがカタルシスになるんですよね。
でも友達が老衰で死んじゃったりする展開はシルバー映画ならではで、
何とも言えない寂しい気持ちになってしまいます。
何かにチャレンジするのに歳は関係ないと思えて、老後に希望が持てるストーリーなのに、
やっぱり死別とかされると、歳はとりたくないなと思ってしまいます。
その友達との死別の前後は、夫の事業が失敗したり、ビニールハウスが火災に遭ったりと、
泣きっ面に蜂な不幸の連鎖で、観ているのがちょっとシンドかったです。
結局、葉っぱビジネスに否定的で、険悪な関係だった夫とも最後には和解して、
家族みんなで大団円なラストでしたが、やはり一人死人が出ているということで、
完全なハッピーエンドだと感じることはできませんでした。
主人公たちと年齢も近いシルバーの客は、ボク以上に感傷的になりそうですが、
そのぐらいの年齢になると、もう死別なんて日常茶飯事で、動じなくなるのかな?

農協の若手職員の江田と、仲買人の女の子の、出会いから結婚までの恋も描かれますが、
この若い二人のロマンス部分ももうちょっと掘り下げれば、
シルバーだけでなく、若い客を動員するための求心力になったはずです。
このままでは出会いのない田舎で、たまたま出会った美男美女がくっついただけのようで、
かなり薄っぺらい恋愛にしか感じられません。
彼らの結婚式は本作で最も感動した場面だっただけに勿体ないです。
たぶん誰が観てもそれなりには楽しめる映画なので、
シルバー世代や徳島県民以外にもオススメしたい作品でした。
大学生とか20代が観たら、『ソーシャル・ネットワーク』なんかよりも
ベンチャー・スピリットが燃え上がるかもしれませんよ。

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