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るろうに剣心

絶不調の大河ドラマ『平清盛』が今月5日に大河史上最低視聴率を記録したそうですね。
ボクはテレビドラマはあまり見ないけど、大河ドラマはわりと見る方で、
あの悪名高い去年の『江~姫たちの戦国~』も最後まで見続けましたが、
『平清盛』は一度も見ませんでした。
視聴率は悪いけど、見ている人の話では十分面白いらしいので、
たぶん見れば楽しめるんでしょうが、なんだか見る気が全く起こらないんですよね…。
ボクは大河ドラマでは幕末ものが好きなのですが、
やっぱり平安時代なんて1000年以上も前の物語だと、あまり親近感を覚えないというか、
同じ日本で起こった出来事とは思えないような気がして、興味が湧きにくいです。
戦国時代以降は文化的にも今の日本と地続きな印象があるんですが…。
来年の大河ドラマ『八重の桜』は幕末ものだし見てみようかなと思っています。
主演も綾瀬はるかだし…。

ということで、今日は幕末もの大河ドラマと縁浅からぬ映画の感想です。

るろうに剣心

2012年8月25日公開。
人気コミック『るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-』を実写化した時代劇アクション。

幕末から明治になり、かつて「人斬(き)り抜刀斎」として恐れられた剣客・緋村剣心(佐藤健)は「不殺(ころさず)」の誓いのもと流浪人となっていた。流浪の旅の途中、剣心は神谷道場の師範代・薫(武井咲)を助けたことから、薫のところで居候することに。一方、街では「抜刀斎」を名乗る人物による人斬(き)り事件が発生しており……。(シネマトゥデイより)



本作は90年代に『週刊少年ジャンプ』で連載されていた漫画の実写化作品ですが、
ちょうどこの原作漫画が連載終了する頃まではこの雑誌を購読していたので、
それほど熱心に読んでいたわけではないけど、原作については一通り知ってるつもりです。
連載終了からもう10年以上音沙汰のなかった漫画で、
なぜ今更実写映画化するのかと思ったし、実写化向きの漫画でもないので、
また原作のネタが切れて、安易に昔の作品を持ちだしてきたのかと思いましたが、
その経緯を調べると、それなりに必然性はあったようです。

本作の製作と配給はハリウッド・メジャーのワーナー・ブラザーズなので、
本作はワーナーによる日本でのローカル・プロダクツということになります。
ワーナーはローカル・プロダクツの作品もハリウッドの本社で決めているそうで、
そのためなのかワーナーの日本映画は日本のベタなカルチャーを取り入れたもの、
つまりサムライ、ニンジャ、アニメ(マンガ)絡みが大半を占めます。
ワーナー配給のアニメ映画『劇場版銀魂 新訳紅桜篇』で、
ワーナーが『NARUTO』や『BLEACH』といった『週刊少年ジャンプ』の
世界的にも人気のあるサムライ、ニンジャ漫画の映画化を模索したが、
間違って『銀魂』を映画化した、みたいな自虐ネタがありましたが、
あながち冗談でもなかったみたいで、『週刊少年ジャンプ』のサムライ漫画の代表である
『るろうに剣心』が企画の俎上に乗ったのも、模索の結果として必然的だった気がします。
ただサムライ、ニンジャ漫画なら見境ないのか、『忍たま乱太郎』まで実写映画化し、
大方の予想通りとんでもない駄作を生みだしたという前科もあり、
本作もそうなる可能性は多分にあったと思われます。

『忍たま乱太郎』の失敗は、監督の人選ミスが原因なのは明らかです。
バイオレンス映画の監督である三池崇史にチビッコ映画を撮らせたのが間違いで、
そのミスマッチが駄作たらしめた原因なのは間違いないです。
その点、本作はかなりベターな監督の人選だったように思います。
本作の大友啓史監督は、三池崇史に比べると知名度も全くありませんが、それもそのはず、
彼は最近までNHK職員で、監督経験もNHKドラマの劇場版『ハゲタカ』だけです。
初監督作品『ハゲタカ』もかなり面白い作品でしたが、それ以上に注目すべき経歴は、
あの大河ドラマ『龍馬伝』のチーフディレクターだったということです。
たぶんワーナーの関係者がそのドラマを見て彼に白羽の矢を立てたのでしょう。
ただボクの想像では、たぶん監督より先に、主演の佐藤健が決まったんじゃないかな?

佐藤健は単なる仮面ライダー出身のイケメン俳優って感じでしたが、
『龍馬伝』で「人斬り以蔵」の異名を持つ岡田以蔵を演じたことで注目されました。
『龍馬伝』の以蔵は、今までのイメージとは少し違う悩める人斬りで、
本作の原作漫画の主人公、緋村剣心のイメージに近い気がしましたし、
なにより老若男女に愛された大ヒットドラマなので話題性も十分。
本作を企画していたワーナーがそれを見逃すはずはなく、
以蔵を演じた佐藤健を剣心役に選んだのでしょう。
その『龍馬伝』でのイメージをそのまま踏襲できるように、
演出を手掛けていた大友監督もバーターで抜擢したのでしょう。
敵役の武田観柳には『龍馬伝』で岩崎弥太郎を演じた香川照之を起用していますが、
観柳が海運業を営む商人という設定になったのも岩崎弥太郎の影響じゃないかな?
蒼井優演じる高荷恵も、『龍馬伝』の彼女の役柄に共通するものがあるし、
監督含めキャスティング面での『龍馬伝』の影響は相当なものだと思います。

悪く言えば『龍馬伝』に負んぶに抱っ状態ですが、本作はそれが功を奏して、
『龍馬伝』のイメージそのままに、面白い作品に仕上がっていると思います。
少年漫画の実写化で成功した作品は皆無ですが、本作は成功していると言えるでしょう。
キャラの外見や設定なども、実写映画として違和感ない程度に踏襲され、
きっと原作ファンも納得の出来だと思います。

剣心の「ござる口調」にはかなり懸念をしていたのですが、全く違和感がなく驚きました。
佐藤健のちょっとトボけた感じの雰囲気が、それを可能にしているのでしょう。
言われてみると確かに派手で不自然な剣心の衣装も、自然な流れで着せられてます。
特によかったのは女性陣2人、神谷薫と高荷恵です。
正直この原作者の漫画家さんの描く女性は、あまり可愛いとは言えないと思ってましたが、
武井咲演じる神谷薫も、蒼井優演じる高荷恵も、ビジュアル的にとても麗しく魅力的です。
斉藤一を江口洋介が演じるのはちょっと違うかなと思ってましたが、
たしかに原作とは印象が異なるものの、大河ドラマ的に歴史上の人物を演じていると思えば
江口洋介が斉藤一を演じるのも別に違和感はないです。
剣心の相棒的存在である相楽左之助も、ビジュアル的には頑張っていますが、
ストーリー展開的にはあまり必要ない感じで、今回は登場する必要はなかったかな…。
斉藤が原作の登場時期よりも早く登場しているので、
どちらか片方だけいれば十分だった気がします。
もっと要らないのは弥彦で、全く魅せ場もなく、ただそこにいるだけのキャラでした。
佐之助も弥彦も、原作の主要キャラだからって、無理に出す必要はなかったかと…。

敵方はというと、武田観柳は原作よりもインパクトのあるキャラになった一方で、
鵜堂刃衛はかなり控えめに描かれていると思いました。
原作ではシリアルキラーでしたが、本作では観柳に雇われた腕の立つ浪人って感じで、
ずいぶんサイコさが薄まり、まともになったように感じられます。
当然インパクトも薄れてしまいましたが、実写映画としてはあまりサイコすぎるのも
リアリティ的に問題がありそうなので、落としどころとしては妥当かなとも思います。
それよりも元々別々の敵として登場した観柳と刃衛のエピソードを、
うまく融合してひとつにまとめてあることに感心しました。
(比留間兄弟のエピソードも取り込んでありますね。)
刃衛が観柳の用心棒になったことで、本来観柳の用心棒だった原作の人気キャラ、
四乃森蒼紫率いる隠密御庭番衆の登場はなくなりました。
その代わり観柳の手下として、浪人軍団が登場しますが、
そのリーダー格の2人が、原作後期に出てくる敵役、外印と戌亥番神で…。
原作ファンへのサービスのつもりなのかもしれないけど、
彼らのポジションもビジュアルも微妙すぎて…。
こんな妙な流用するくらいなら、実写版オリジナルキャラでいい気がします。
特に下印は、金髪でタイトなレザー風のコスチュームを着て、
二丁拳銃を撃ちまくるという、時代考証的にもメチャクチャすぎるキャラで、
作品の質を大きく落としてしまっているように思いました。

ストーリーは原作のエピソードをうまくアレンジしていますが、
原作の物語自体が王道の少年漫画的なものであるため、正直本作もドラマ性は希薄です。
しかし殺陣アクションが、それを補って余りあるほど素晴らしいです。
冒頭の戊辰戦争、鳥羽・伏見の戦いでの抜刀斎の活躍は、
まさに剣心の流派、飛天御剣流を無理なく再現した感じでした。
終戦後、彼はもう人を殺さないと誓い、刃と峰が逆になった逆刃刀を帯刀しますが、
本作の彼は逆刃刀とはいえ簡単に抜いたりはしません。
佐之助にケンカを売られた時も、相手の攻撃を避けるだけだし、
薫の道場に押し入った観柳の手下を撃退する時も、徒手空拳で戦います。
その戦い方がまるでパルクールのようで、なんとも斬新な殺陣アクションだと思いました。
原作漫画ではけっこうあっさり逆刃刀を抜いてたような気がするんですが、
逆刃とはいえ、あんな鋼の棒で人を斬り付ければ致命傷になりますからね。
人を殺さないと誓った剣心が逆刃刀すら抜かないのは、リアルだと思いました。
しかし強敵相手には逆刃刀を抜かざるを得ません。
興味深いのは斉藤との小競り合いのシーンで、受けに回った剣心が、
自分の逆刃刀で負傷するという展開です。
逆刃刀って刃と峰が逆になっているから普通に使っても人は斬れませんが、
逆に峰が刃になっているので普通の使い方をすると使用者を傷付けるんですね。
このデメリットは原作漫画でも描かれていなかったことなので、目から鱗でした。
このように、剣心が超人的なアクションをする反面、妙にリアルさもあり、
そのバランスが絶妙で、とても見応えのあるアクションシーンとなっています。
剣心の殺陣では合成もほとんど使わなかったっていうんだから驚きです。

予想を大きく上回った出来栄えの作品でしたが、大友監督も手応え十分だったようで、
早くも続編の制作にも前向きな発言をしています。
なんでもワーナーとは監督作を3本撮る契約を結んでいるようで、
残る2本のうち1本、或いは2本ともが続編になる可能性も考えられます。
しかしワーナーってローカル・プロダクツでほとんど続編を制作してないんですよね。
世界の北野の『アウトレイジ ビヨンド』を除けば、
続編があるのはもともと前後篇の作品や三部作の作品くらいなので、
本作もよほどヒットしないことには続編の話は難しそうです。
作中の剣心の回想で巴の顔が映らなかったのも、御庭番衆を出さずに温存したのも、
続編を睨んでのことだと思いますが、続編が実現する可能性は5割くらいかな?
ボクとしては本作は一本の映画としてかなり完成されていたので、
安易に続編なんて製作せずに、これで終わるのも有りかなと思います。

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