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桐島、部活やめるってよ

今年劇場で観た映画の本数は、いつの間にか100本を超え、現在111本なのですが、
111本中、実写日本映画の本数はたったの17本しかありません。
去年までは日本映画も結構観ていたんだけど、去年の出来があまりにも不甲斐なく、
今年は日本映画にあまり足が向きませんでした。
でも『アメイジング・スパイダーマン』『ダークナイト ライジング』『アベンジャーズ』の
2012年の3大ハリウッド超大作の日本公開も完了してしまい、
ボクのハリウッド映画に対するモチベーションも少し落ち着いた感がありますが、
そこに来て、この秋なかなか面白そうな日本映画がけっこう公開されそうで、
日本映画に対するモチベーションが回復してきた感じがします。
その後押しになったのが昨日感想を書いた『るろうに剣心』でした。
それほど期待ませんでしたがかなりいい出来で、日本映画を見直すキッカケになりました。
まだ日本映画に対する猜疑心は完全に拭えていませんが、
この秋は意識的に日本映画も観に行ってみようと思っています。

ということで、今日はさっそく観に行った日本映画の感想です。
早くも心が折れそうになる作品でしたが…。

桐島、部活やめるってよ

2012年8月11日公開。
第22回小説すばる新人賞を受賞した朝井リョウのデビュー作を映画化した青春群像劇。

とある田舎町の県立高校映画部に所属する前田涼也(神木隆之介)は、クラスの中では地味で目立たないものの、映画に対する情熱が人一倍強い人物だった。そんな彼の学校の生徒たちは、金曜日の放課後、いつもと変わらず部活に励み、一方暇を持て余す帰宅部がバスケに興じるなど、それぞれの日常を過ごしていた。ある日、学校で一番人気があるバレー部のキャプテン桐島が退部。それをきっかけに、各部やクラスの人間関係に動揺が広がり始めていく。(シネマトゥデイより)



観終わってまず思ったのは「だから何?」ってことです。
本作は高校を舞台に、高校生の日常を描いた青春群像劇ですが、
ある高校生たちの金曜日から火曜日までの5日間(実質登校日の3日間)の出来事を、
ただ抜き出して描いただけのもので、オチもなければヤマもない、
「高校時代にこんなことあったよね」って感じの、単なる「高校生あるある」です。
本作の原作小説は権威のある文学賞「小説すばる新人賞」を受賞したそうですが、
こんな薄っぺらい話なのに受賞するなんて、原作者はよほど文章が巧いのでしょう。
だけど実写化して文章に頼れなくなった途端に化けの皮が剥がれた感じなのかな?

本作の狙いは高校生活での日常の中に学校のヒエラルキーを描くことだと思います。
バレー部のキャプテン桐島という絶対的ジョックを頂点としたヒエラルキーで、
その取り巻きであるジョックスたちと、ナードである映画研究部との対比を、
群像劇という形で多角的に描こうとしたのでしょう。
ただ日本の学校社会のヒエラルキーというのは、アメリカ社会ほど純然たる存在ではなく、
かなり曖昧なものなので、それを描くには無理があったかなと。
(日本では運動部と文化部の上下関係なんかもありませんよね。)
本作はジョックである桐島が突然部活を辞め、学校にも顔を出さなくなったことで、
そのヒエラルキーの中で波紋が広がるという内容ですが、
日本の学校社会において、桐島ほど絶対的なジョックはなかなかいません。
桐島は本作中には一切登場しないので、どんな人物かはわかりませんが、
周りの人物たちが語る桐島像から察する限りは、たいしたカリスマ性もなさそうです。
そもそも人気のあるサッカー部やバスケ部のエースならまだわかるけど、
たかがバレー部の県選抜ごときがジョックになるなんてあり得ないでしょう。
「桐島に振り回される103分が…」なんてキャッチコピーだけど、
結局は桐島と仲いい友達やバレー部の連中など、桐島に近い連中がただ騒ぐだけで、
それ以外の生徒にとっては、生徒がひとり欠席しているだけの話です。
桐島の不在による学校内での波紋を描いているつもりかもしれないけど、
実質主人公である映画部の前田や、吹奏楽部の沢島なんかの物語は全く桐島と関係ないし、
群像劇としての話のまとまりが悪すぎる気がします。

観終わってみると内容のなさに愕然としましたが、
観賞中は桐島が突然バレー部を辞めた理由など、
気になる謎も沢山あったので、それなりに楽しめた気がします。
しかしその謎の真相が作中で語られることはありません。
野球部の菊池がユーレイ部員になった理由も、
バドミントン部の宮部の亡くなったお姉さんの話も、
すべて有耶無耶のまま終わってしまいます。
登場人物の背景が悉く描かれていないため、人物像も薄っぺらく、
群像劇の主人公たちの誰一人として共感を覚えることができません。

唯一、映画部の前田だけは、同じ映画好きとして好感を持ちましたが、
彼の扱いというか、本作の映画部の描き方の酷さには不愉快さを感じます。
なんだか映画部は誰からも馬鹿にされるマイナーな部活の代表で、
部員はゾンビ映画みたいなカルト映画が大好きなオタクの集まりみたいな描き方です。
(前田も『鉄男』なんかが好きなんて、マジであり得ないし。)
たぶん原作者は学生時代に桐島グループのような人気者グループに属し、
マイナーな文化部をバカにしていたんだと思います。
「出来るやつは何でも出来るし、出来ないやつは何にも出来ない」とか、
勝ち組丸出しの他人を見下すようなセルフも散見され、癪に触ります。
実際に桐島の代わりにレギュラー入りしたバレー部の補欠男子は、
いくら努力してもなかなか上手くならないし、
映画部前田が想いを寄せる映画好きの女子・東原も、
ジョックスのひとりのチャラ男と付き合っているなど、
展開的にも負け組は何をやってもダメみたいな感じで終わってるし…。
まぁ原作者がどんな価値観を持っていても別に構わないけど、
なんにしても映画や映画好きをバカにするなら映画化なんてするんじゃないよ。

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