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遊星からの物体X ファーストコンタクト

先月の下旬に、映画『ジュマンジ』がリブートされるという記事を読みました。
その内容自体はとても楽しみなことですが、『ジュマンジ』は単発映画なので、
リブートではなくて、リメイクと言うべきですよね。
リブートは再起動という意味で、シリーズを仕切りなおす時に使う言葉です。
『ジュマンジ』は『ザスーラ』という姉妹作はあるものの、シリーズものではないので、
再映画化をリブートと称するのは違和感を感じます。
最近そんな関連性を表す言葉の使い方が(ボクも含め)曖昧になっていていると思います。
『アメイジング・スパイダーマン』はリブート、『トータル・リコール』はリメイク、
『プロメテウス』はプリクエル(前日譚)、『ボーン・レガシー』はスピンオフ、
『アベンジャーズ』はクロスオーバーと、同じシリーズ最新作でも色々あります。
『ダークナイト・ライジング』のようなプリクエルのリブート的続編や、
『タイタンの逆襲』のようなリメイクのオリジナル続編なんかもあって、
少々ややこしいですが、言葉はなるべく正確に使うようにしたいものですね。

ということで、今日はリメイクだと思ったらプリクエルだった作品の感想です。

遊星からの物体X ファーストコンタクト

2012年8月4日日本公開。
1982年の傑作SFホラー『遊星からの物体X』のプリクエル。

ノルウェーの南極観測隊が、氷の中に閉じ込められた未知の生命体を発見。古代の生物ではないかと推測され、その調査のために考古生物学者ケイト(メアリー・エリザベス・ウィンステッド)が彼らの基地に向かう。だが、生命体は解凍されて長い眠りから覚醒。しかも、それはほかの生物の体内に侵入しては、細胞を同化して宿主そのものに擬態する、宇宙からやって来た生命体だったのだ。突如として宿主の肉体を破壊するように変形しては襲い掛かる生命体によって、彼らは誰が同化されているのか判断できない状況になっていき……。(シネマトゥデイより)



ジョン・カーペンター監督による前作『遊星からの物体X』は
世界でカルト的な人気を誇るSFホラー映画でした。
本作の原題は前作の原題と全く同じ『The Thing』というものだったので、
公開前はジョン・カーペンター版のリメイクなのかと思ったのですが、
邦題でもわかるように、本作はジョン・カーペンター版のプリクエル(前日譚)でしたね。
前作が今から30年も前の作品だから、今更続編なんて…とも思いましたが、
本作だけでも十分独立した作品として完成しているため、
前作を知らなくても全く問題なく楽しめる気がします。
それもあって、原題も続編とは思わせないものになっているのかもしれません。
その方がお客さんの間口もグーンを広がりますしね。
その点からいえば、本作の邦題は前作を完全に踏まえたものなので、
日本で本作を観るのは前作のファンであるオッサンがほとんどでしょう。
(ボクは前作をリアルタイムで観てない世代ですが…。)
内容的には一般客相手にも十分に通用するものだと思いますが、
如何せん邦題のB級カルト臭が半端なく、集客面ではかなり損してそうです。

そんな一見さん大歓迎な作品なのですが、プリクエルとしての出来も相当なもので、
プリクエルブームの昨今でも、これほどきっちり繋がっているものは珍しいです。
むしろ前作が30年前から本作の内容を意識して作られていたのではないかと思うほど、
前作との整合性が高く、前作を補完する内容となっています。
前作は南極のアメリカ観測基地で起こったエイリアン騒動を描いたものですが、
本作はそのキッカケとなった南極のノルウェー基地での騒動が描かれます。
前作ではノルウェー基地での騒動はその残骸しか示されておらず、
そこで何があったのかは予想するしかなく、気になる謎だったのですが、
本作がその謎を30年越しで解決してくれています。
しかもボクの予想よりも遥かに納得できる形で、感心しました。
なので本作は単独でも成立しているけど、やはり前作を知っている方が、
より興味深く観れるのは間違いないと思います。

ただプリクエルなので、前作を知っているということは結末が予想できるということで、
ノルウェー基地がどんな末路を辿るのか、エイリアンはどんな特性なのか、
そして誰が最後まで生き残るのかも、はじめからわかるんですよね。
これによりエイリアンの謎に迫るワクワク感や、展開が読めないドキドキ感は、
あまり得ることはできないような印象も受けます。
なのでもし前作を未視聴の方は、本作を先に観賞してから前作を観賞すると、
独立した作品としての楽しさも、プリクエルとしての興味深さも両方味わえるかも。

前作の騒動から少し前、ノルウェーの調査隊が南極で謎の救難信号をキャッチ。
現場に行ってみると、そこには推定10万年前に不時着したと思われるUFOが埋まっており、
その近くからは氷漬けになったエイリアンが発見されます。
その世紀の大発見を調査するため、ノルウェーの地質学者のプロジェクトチームが組まれ、
そのリーダーによってスカウトされたのが本作のヒロインである古生物学者ケイトです。
ケイトはコロンビア大学で研究するアメリカ人女性なのですが、
普通だったらノルウェーの極秘プロジェクトに、アメリカ人なんて参加させませんよね。
でもハリウッド映画だから、アメリカ人を主人公にするのは仕方ないのかな。
ボクとしては、国籍は別として彼女が女性であることをとても嬉しく思いました。
なにしろ前作は登場人物が全員男(しかも髭面)だったので、むさ苦しかったので、
若くて可愛らしい女性がひとりでも画面にいるという華やかさは有難かったです。
(舞台が過酷な環境だけに、男しかいないってのはリアリティはあるんですけどね。)
本作にはもうひとり女性の地質学者がいるのですが、早々に死んでしまって残念でした。
ただその死に方はかなり壮絶なもので面白かったですけど…。

発掘されたエイリアンは蘇り、犬を殺して(捕食して)脱走します。
前作を知っている人なら、すぐピンときますが、このエスキモー犬は、
前作と本作を繋ぐ重要なポイントとなる存在です。
ただし本作では早々に殺されるだけで、あまり魅せ場がないのが残念なところ…。
ボクが犬好きなのもあるけど、前作では犬の活躍シーンは最大の見どころでしたもんね。
犬がエイリアン化するシーンなんて、かなりのインパクトでしたよ。
その世話係の男ラーシュは、プロジェクトチームで唯一英語が話せない人物で、
彼が前作の冒頭に登場するノルウェー人だと、すぐにピンときましたね。
つまり彼は最後まで生き残ることが予想できてしまうということなので、
できれば前作の冒頭の男に該当しそうな人物がもう1~2人いた方がよかったのかも。

でも、てっきりラーシュしか生き残らないの思っていたので、
ヒロインのケイトも生き残ったのはちょっと意外でした。
まぁ主人公だから、最後の瞬間までは死なないだろうとは思いましたが、
まさか結局死ななかったとは…。
彼女の他にも、もう一人最後まで生き残る人物がいます。
それがヘリの操縦手カーターですが、彼もケイト同様アメリカ人です。
あんなに沢山いたノルウェー人は、ラーシュ以外全滅するのに、
アメリカ人は最後まで生き残るというのは、やはりハリウッド映画らしいと思いました。
とはいえカーターは最後の最後で死にますが…。
ケイトが生き残ったことで、前作とは別の後日談が製作される可能性も残りました。
彼女は『エイリアン』シリーズのリプリーのような役割を負っていたそうなので、
もしそれを真に受けるなら、彼女の体内にはすでに…、という想像も膨らみますね。

エイリアンは捕食した人間を複製し擬態することができるので、
誰が擬態したエイリアンなのかわからず、チーム内は騒然とします。
これが本シリーズの最も面白いところで、エイリアンの視覚的な恐怖よりも、
猜疑心による不信感や被害妄想で人間同士で疑り合い、
殺し合いに発展するという心理的な恐怖が見どころです。
ただこれについては、前作の方がよく出来ていたかなと思います。
主人公が明確ではなく、群像劇的だったのがよかったのかもしれません。
前作の血液検査によるエイリアンの判定なんて、けっこうドキドキでしたが、
本作はエイリアンが無機物を複製できないという特性に目を付けて、
歯の治療痕(インレー)で判定するという方法を使うのですが、結果の確証が低く、
即刻エイリアンだと判定できないので、検査中に急に襲われる可能性もなく、
あまり緊張感がなくてドキドキしません。
ただ、この無機物を複製できない特性は後々利いてくるので、
なかなか興味深い設定だと思いました。

心理的恐怖は薄めでしたが、映像技術の進歩により視覚的恐怖は何倍にもなっています。
エイリアンの奇形的なグロテクスさはかなりのものです。
前作で発見されたエイリアンの焼死体の形成過程もインパクト十分ですが、
やはり女性地質学者のエイリアン化のシーンの壮絶さがよかったです。
つくづくこの映像技術で、犬のエイリアン化も見たかったと思いました。
本作がグロテスクな内容を含むのは間違いないけど、
スプラッタ的なグロさではないので、誰でも比較的観易い作品だと思います。
前作がカルト的人気作なので、本作が高く評価されるのは難しいですが、
ポピュラリティは上がっているので、熱狂的な前作の信奉者じゃないなら、
普通に楽しめる作品に仕上がっていると思います。

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