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だれもがクジラを愛してる。

7月頃から「夏は映画だ!キャンペーン」というフリーペーパー(小冊子)が
シネコン等で配布されていて、ボクも一部持って帰ったのですが、
その小冊子にはポップコーンの無料クーポンが付いています。
劇場に大量に平積みしてあり、いくらでも持って帰れる無料の小冊子なのに、
ずいぶんと太っ腹なことをするなと思いました。
(実際に十数冊くらい持って帰っている人も見かけました。)
普段ボクは映画の最中に物を食べたりはしないのですが、
せっかく一枚クーポンがあるので、売店でキャラメル味のポップコーンを貰いました。
(ただ貰うだけでは気が引けるので、350円のカフェラテも買ったけど。)

でもいざ映画を見ながら食べようとすると、やっぱり音が気になるんですよね。
ポップコーンは他のスナックと比較したら、音が控えめな方だけど、全く無音ではないし、
入れ物の紙コップとの摩擦音もかなり大きいです。
自分が食べる分にはいいけど、周りの人の迷惑になる気がして、
結局数口だけ食べて、残りは映画が終わった後にロビーで食べました。
ボク自身、他のお客さんが音を立ててポップコーンを食べているのは気になりますし、
何で平気で食べていられるのか不思議です。
はっきり言って、売店でポップコーンなんて売らないでほしいし、
映画を見ながらポップコーン食べる習慣を助長するような無料クーポンも、
無料の小冊子なんかに付けないでほしかったと改めて思いました。
映画を見ながらポップコーンなんてアメリカの食文化を真似する必要はないです。

ということで、今日は他民族の食文化を非難する物語の感想です。

だれもがクジラを愛してる。

2012年7月14日日本公開。
1988年にアラスカで実際に起こった出来事をもとにしたドラマ。

1988年、アダム(ジョン・クラシンスキー)はアメリカ合衆国最北の街、アラスカ州バローにテレビリポーターとして派遣されていた。ある日、彼は3頭のクジラの親子が氷の下に閉じ込められているのを発見。そのニュースをテレビ局へ送ったところ、アダムの元恋人で、国際環境NGOグリーンピースの活動家レイチェル(ドリュー・バリモア)から電話が入る。(シネマトゥデイより)



本作は全米初登場4位で、興行的には成功したとは言えないものの、
観た人からはなかなか好評価を受けている作品です。
主演も人気女優のドリュー・バリモアだし、これでけ好評だったのなら、
日本でも大々的に公開されるだろうと思ったのですが、
劇場公開されはしたものの、かなり小規模で…。
今週末に関西での公開も始まりましたが、それでも現在全国で3館でしか上映されず…。
一体どうなっているのだろうと思っていたのですが、いざ観てみて納得しました。
これは文化的に、日本には馴染まない映画です。
氷に覆われた海に閉じ込めらてしまったクジラを助け出すという内容ですが、
それを主導するのが(自称)環境保護団体グリーンピースの女性レイチェルで、
彼女が本作の主人公なわけですが、彼女の行動は捕鯨国にとっては挑発的で、
癪に障るところが多々あります。
下手に大々的に公開すれば、『ザ・コーヴ』を日本で上映した時のように、
街宣右翼が上映中止を求めて映画館や配給会社を脅すような状況も考えられる内容です。

グリーンピースといえば、あのエコテロリスト、シーシェバードの前身ともなった団体。
その団体に属するレイチェルの独善的で横暴な行動の数々には、
ボク自身、本当に腸(はらわた)が煮えくりかえりそうなくらいイライラしました。
しかし本作は、『ザ・コーヴ』とは違い、捕鯨をバッシングする意図はなく、
全体的にはかなりフェアな視点で描かれていると思います。
本作は24年前に実際にあった出来事を基にした作品ですが、
たかが3頭のクジラを救うために、国家規模の大騒動になったというアホらしい状況を、
なるべく忠実に再現することで、動物保護に振り回された当時のアメリカの滑稽さを、
揶揄しているのではないかとも思えます。
主人公レイチェルも環境保護に陶酔しすぎのサイコ女のように描いているし、
グリーンピースについても、(カルトっぽく)あまりいい団体のようには描かれておらず、
少なくとも環境保護団体(エコテロリスト)のプロパガンダ映画ではなさそうです。

1988年10月、アメリカ・アラスカ州バローで、3頭のコククジラの親子が、
厚さ15センチの氷の下に閉じ込められているのが発見され、ニュースで報道されます。
クジラたちは氷で覆われた海面にわずかに空いた穴で息継ぎしていますが、
その穴も放っておけば2~3日で塞がってしまいそうです。
しかし開けた海まではその穴から8キロも距離があり、
クジラが息継ぎなしにそこまで行くのは不可能…。
もし行けたとしても、開けた海との境には海底まで達する氷の壁(氷丘脈)があり、
クジラが自力で壁を突き破るのも不可能です。

そのニュースをテレビで見た環境活動家レイチェルは、
クジラの親子を助けようと、現地へ赴きます。
彼女はアラスカ州知事に、救助のために砕氷船と州兵を貸してほしいと頼みますが、
知事はたかがクジラのために州兵に万が一のことがあっては大変だと拒否。
しかしレイチェルは動物愛護の世論を盾に知事を脅し、州兵を出動させます。
出動しなくてはならない州兵の大佐も、「こんなの軍隊の仕事じゃない」と思いますが、
命令なので仕方なく、砕氷用バージをヘリで引っ張る危険な任務に就きます。
そのバージを貸してくれたのが、この地方で海底の石油を採掘している石油会社です。
普段は海底開発のためクジラの生存を脅かしているので、
環境保護団体からバッシングを受ける、いわばレイチェルとは敵対関係ですが、
世間に我が社がエコにも関心があるとアピールするチャンスだと考え、貸し出します。
ミネソタのベンチャー企業も、自社の除氷機の性能をアピールする目的で訪れます。
この救出劇を取材したテレビ・クルーも、視聴率が取れるネタに飛びついているだけだし、
レポーターも注目を浴びて全国区にキャリア・アップしたいと考えているだけです。
そんなマスコミにバカな視聴者が踊らされ、このニュースに国民の関心が集中し、
選挙を控えたレーガン大統領まで、有権者の人気取りのためにクジラ救出に尽力します。
つまり実際にクジラのためを思って救出に参加している人なんてほとんどいません。
レイチェルにしても、グリーンピースのプロパガンダにクジラの悲劇を利用しているだけ。
なので、本作の「だれもがクジラを愛してる。」という邦題は、
全く内容とは異なるもので、日本の配給会社が皮肉で付けたのではないかと思います。

さまざまな利己的な思惑から、クジラの救出に参加する面々ですが、
実際にクジラが死なないように、海面に穴をあけたり、クジラの面倒を見たりと、
昼夜問わず極寒の中で活動するのは、地元のエスキモー、イヌピアック族です。
彼らは狩猟民族なので、(政府に特別な許可を得て)捕鯨を生業としています。
彼らにしてみれば、閉じ込められたクジラの親子は格好の獲物だし、
助かる見込みも少ないのだから、捕まえて食べてしまえばいいと考えるのは当然です。
しかしレイチェルはそんな彼らに「イヌピアックの残忍さを世界に訴える」と脅します。
何の権利があって他民族の文化を非難するのか、捕鯨国に住む日本人のひとりとして、
捕鯨を「娯楽だ」と言い切る彼女の無恥さ、独善さには吐き気がします。
不毛の大地に住む彼らにとって、クジラは貴重な食料で、
海の恵みとして誰よりもクジラに敬意を抱いている民族なのに…。
(ちなみにボクはクジラを美味しいと思わないので食べません。)
しかし反捕鯨の機運が高まれば、生活できなくなるかもしれないと考えた族長は、
クジラの親子を捕るのを諦め、村を上げて救出活動に参加します。
一番理不尽な仕打ちを受ける彼らが、一番過酷仕事をさせられるんだから、酷い話です。
レイチェルなんて、ヒステリックに騒ぐばかりで、一体何の役に立っているのやら…。
クジラ救出に成功したことで、グリーンピースは会員が4倍に増え、
レポーターは大出世し、石油会社は業績が上がり、共和党政権も選挙で勝利し、
みんな思惑が叶ったわけですが、一番献身的に頑張ったイヌピアック族だけは、
バカ騒ぎが終わり元の生活に戻っただけで、なにひとつ得をしたわけでもなく…。
ホントに理不尽な話です。

そんなわけで、クジラが救出されても全く感動も込み上げてきませんでしたが、
だからといって面白くなかったかと言えばそんなこともなく、
たかがクジラを救出が国家規模での大騒動に発展するというバカバカしい話が、
本当にあったことなのだと思うと、その滑稽さにコメディとしてはなかなか楽しめました。
滑稽なのはアメリカだけではなく、ソ連までもクジラ救出のために、
自国の砕氷船で氷丘脈の破壊を手伝ってくれます。(ただ体当たりするだけですが…。)
当時はゴルバチョフ政権で、ソ連崩壊の数年前だったとはいえ、まだ冷戦中ですよ。
実質戦争中の両国が、クジラ救出なんてくだらないことのために力を合わせるなんて、
あまりの平和ボケっぷりに笑ってしまいます。
環境保護団体と開発業者、反捕鯨団体と捕鯨漁師も同様ですね。
敵対する者同士が協力するなんて、普通ならば熱い感動的な展開ですが、
せっかく協力してもやることがショボいと滑稽さしか感じません。
それにやることは一緒でも各々の思惑は全く違うので、
建前だけの協力関係だし、感動のしようもありませんね。
描こうと思えばもっと美談にもできたはずだけど、
そうしなかったところが、本作の興味深いところです。

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