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BRAVE HEARTS 海猿

ボクは映画ファンとして、興行成績1位の作品くらいは全部観ていると豪語したいですが、
実際は今年に入って現在27週目、そのうち3本の週末興行成績1位の作品は観ていません。
その3本は『SPEC 天』『仮面ライダー×スーパー戦隊』『ホタルノヒカリ』で、
この3本に共通するのはテレビドラマの劇場版ということです。
1位を獲ったヒット作は押さえておきたいけど、
テレビドラマを見てなかったら観に行く気にはなれないし、観る価値もないです。
年々テレビドラマは見なくなりましたが、視聴率の様子だとそれはボクだけではなさそう。
なのにテレビドラマの劇場版はどんどん増えている気さえします。
現在公開中の『臨場』もドラマを見てないので観に行きませんが、
今度も『闇金ウシジマくん』『任侠ヘルパー』『妖怪人間ベム』『鈴木先生』などの
劇場版が公開予定だけど、いずれもドラマを見てないので観に行っても仕方がないです。
先にドラマ放送前に劇場版が公開されることがわかっていたら、
劇場版を観に行くための予習としてドラマも見たかもしれないです。
年末に劇場版が公開される『大奥』はそのパターンなので、
10月スタートのドラマも見てみようと考えています。

ということで、今日はテレビドラマの劇場版の感想です。
まず映画が公開され、テレビドラマを経て、再び劇場版という経緯は、
『大奥』シリーズと同じですね。

BRAVE HEARTS 海猿

2012年7月13日公開。
伊藤英明主演で海上保安庁の活躍を描く人気シリーズ劇場版第4作。

最高レベルのレスキュー能力を誇る海上保安官特殊救難隊のメンバーとなった仙崎(伊藤英明)と吉岡(佐藤隆太)。そんなある日、ジャンボジェット機のエンジンが爆発し、機体が東京湾へ海上着水する事故が発生する。乗員乗客の中には吉岡の恋人、美香(仲里依紗)もいた。沈没までのタイムリミットはわずか20分という状況で、仙崎たちにさらなるピンチが襲い掛かる。(シネマトゥデイより)



2010年の実写邦画年間1位になった大ヒット作『THE LAST MESSAGE 海猿』の続編が本作。
前作はそのタイトルからもわかるように、シリーズ最終作を銘打っていましたが、
「まだやり残したことがある」ということで、こうして続編が作られました。
まぁ実際は「こんなドル箱シリーズを終了させるのは勿体ない」と考えただけでしょう。
『LIAR GAME The Final Stage』の後に『ライアーゲーム -再生-』が公開されたのも然り、
特にテレビドラマの劇場版の最終作宣言は全く当てにならず、
『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』だって眉唾です。
ある意味、閉店詐欺のようで不愉快さは感じるものの、
好きなシリーズであれば、続行されるのはやっぱり嬉しいかな。
ボクは『海猿』シリーズはテレビドラマも見てないし、劇場版だけを惰性で観ているので、
それほど思い入れがあるわけでもなく、別に前作で最終作でも構いませんでしたが、
安易に作られがちなテレビドラマの劇場版としては、かなり出来がいいシリーズなので、
一種のお手本として存在する価値はあると思っています。

前作絡みのことで言うともうひとつ興味深いのは、
前作はデジタル3D映画だったのに、本作は2Dでの上映のみになったことです。
前作での3D版の集客率が悪かったのかなと思いきや、
お客さんの約3/4は3D版で観賞したという実績を残しており、
その3D割増料金が総額80億円以上の興収を上げた一因とも思えたのですが、
その儲かる手法をあっさりやめてしまうというのは、ちょっと不思議ですよね。
シリーズ途中で3D映画化する作品は多々あるけど、その逆は聞いたことがないです。
3D化のポスプロにかかる時間や費用がネックだったのか、
日本ではすでに3D映画が飽きられていることにやっと気付いたのか、
または3D化された海難事故映画『タイタニック3D』と比較されるのを恐れたのか…。
いずれにせよ、3Dに否定的なボクにとっては、喜ばしい傾向です。

物語は前作の海上天然ガスプラントの事故から2年後です。
海上保安官の仙崎(伊藤英明)は、「特殊救難隊」に異動しました。
「特殊救難隊」は全国の海上保安官13000人の中から36名だけ選ばれた超エリート部隊です。
仙崎だけではなく、吉岡(佐藤隆太)も後を追って特殊救難隊に異動していることから、
異動を希望すればあっさりなれるんじゃないのかとも思えてしまいますが、
まぁそれはドラマ上の都合ということで…。
彼らは今回、海上に不時着したジャンボ機から、乗員乗客346人を救出するため出動します。
3D併映からから2D版のみと、前作からのあからさまなダウングレードもさることながら、
題材となる海難事故の規模もかなりダウングレードしているような…。
前作でやり残したことをやっただけだからなのか…。
とはいえ、海上天然ガスプラントなんて一生縁のなさそうなところが舞台な前作より、
航空旅客機という比較的馴染みのあるところが舞台の本作の方が、
臨場感があるし、状況も把握しやすく観易かったです。
特に飛行機の海上着水というのは、数年前「ハドソン川の奇跡」が話題になったばかりで、
まだ比較的タイムリーな内容だし現実味もありますよね。

以下、重大なネタバレを含みます。

上空で急にジェットエンジンが原因不明の爆発炎上したジャンボ機。
そんな状態でもなんとか羽田まで帰って来たものの、いざ着陸しようとすると、
ギア(車輪)も故障しており、大破する危険がある胴体着陸しなければならず…。
そんな状況の中、海上保安庁の下川課長(時任三郎)が、
羽田沖に海上着水するという案を出しますが、日没が近く、
パイロットに海面が見えなくなるということで却下されます。
しかし仙崎が、海上にブイで滑走路を作るという案を思いつき、
日本ではじめての海上着水作戦が実行されることになり、
海上保安庁を中心に、警察庁、消防庁、国土交通省、空港職員、
そして民間の医療機関や漁業関係者も一致団結しての一大救出作戦が始まります。

ジャンボ機が海上着水するまでの過程がけっこう長く、
その間は特殊救難隊も待機しているだけなので、
正直どうせ海上着水する展開になるのはわかりきってるんだから、
ダラダラ引き延ばさないで、さっさと海に不時着しろよって思ってしまいました。
日本で前代未聞の海上着水という展開に必然性を持たせるための下準備に時間を取り過ぎ。
それなのに、海上着水したことが最善の判断だったのか疑問に感じてしまうのは、
結局海上着水しても機体の炎上は避けられなかったし、
機体自体も真っ二つに大破してしまったため、胴体着陸でも同じ結果だったような気が…。
不時着後の乗員乗客の救出で言えば、海上より陸の方がスムーズだったろうしね。
また、日没を警戒して海上に滑走路を作ったものの、
最後まで日が沈むことはなく明るいままだったのにも違和感を覚えます。
そもそもジェットエンジンの爆発や、ギアの故障の原因も明確にはされないのもどうかと。
しかし一番違和感を覚えたのは、省庁の垣根を越えた連携で、
実際には日本でこんな迅速な事故対応は出来そうにもないなと皮肉に感じました。

仙崎たち特殊救難隊は奇跡的に乗員乗客346名全員の救出に成功しますが、
救出活動中に壊れた天井の下敷きになった隊員の吉岡が、ボンベも付けないまま、
ジャンボ機と共に水深60メートルの海の底に沈んでしまいます。
普通ならさすがに「これは死んだだろう」と思える、絶体絶命の展開でしたが、
それから10分後、仙崎が遺体の回収に行くと、なんと吉岡は生きており…。
普通ならまさかの生存劇に感動するところですが、
まだ吉岡の恋人の秘密が明かされてなかったりと、生存フラグが立ちまくりで、
「やっぱりまだ生きてたか…」という程度の印象しか受けることができません。
本作を製作したフジテレビに、人気登場人物を殺すなんて根性があるはずもなく、
「どうせ生きているだろう」と確信していましたが、この展開ならば死なせるべきでした。
(『踊る大捜査線 THE FINAL』の主人公も絶対死ぬはずないと確信できます。)
空気ボンベの問題はクリアしたとしても、水圧や潜水時間の問題など、
一流の潜水士といえども、この境遇で生きていられるのはあまりに非現実的です。
仮に一命を取り留めたとしても、救出後の彼は元気すぎるし。

本作に撮影協力した海上保安庁は、未だ特殊救難隊に一人の殉職者も出していないことを
誇りに思っているので、フィクションとはいえ、本作でも隊員が死ぬなんて展開は
容認しなかったと思われますが、本当に特殊救難隊の広報の意図があるのであれば、
アメリカ海軍の特殊部隊が全面協力した映画『ネイビーシールズ』のように、
殉職者を出した方が、仕事の過酷さ尊さがアピールできるし、
なにより英雄的で、国民の信頼や尊敬を集めることができると思います。
本作の特殊救難隊の描き方では、仙崎は隊の中でも異端児なので、
意地でも要救助者の全員救出を信念としているけど、隊自体は冷静な判断が大事だとして、
二次災害が起こるくらいなら要救助者も見捨てるみたいで、あまり信頼できないし、
超エリートの特殊部隊なのに思ったよりも薄給そうだということも語られていて、
あまり憧れも感じられないかも…。

あと、劇場版2作目の時にも世界で失笑を買ったことで話題になったけど、
危機的状況下での登場人物同士の悠長な会話も気になりますね。
時間的なリミットが迫ってるのに、今話すべきか疑問を感じるようなセリフが多く、
口動かしている暇があったら手を動かせよって何度思ったことか…。
結局そんな演出になるのは、登場人物の人物像を、セリフだけで説明しようとするからで、
これは本作に限らず、邦画にありがちな欠点だと思います。

脚本についてはちょっと貶してしまいましたが、映像はかなり頑張ってました。
3Dの前作から2Dになりましたが、本作の視覚効果はそれを補って余りある
迫力と臨場感を生み出していると思います。
旅客機の事故よりも、序盤のコンテナ船の事故シーンが迫力満点で、
本作のいいツカミになっていたと思います。
おそらく国内最高峰の視覚効果で、これなら世界に出してもそれほど恥ずかしくないです。

なんでも初日の興収が前作比の142%だったそうで、
3D割増料金も取らないにもかかわらず、興収100億円に届きそうな好発進だったとのこと。
そうなると実写邦画年間1位どころか、洋画も含めて年間1位の可能性もありますよね。
でも来週から超大作ラッシュになるし、最終的には80億に届かないんじゃないかな?
世界的大ヒット作となる『ダークナイト ライジング』も『アベンジャーズ』も、
日本ではそこそこのヒットで終わるだろうし、今年はジブリ映画が公開されないので、
実質ライバルは『踊る大捜査線 THE FINAL』ってことになりそうかな?
2010年の直接対決では、3D割増料金の差で本作の前作に軍配が上がりましたが、
今回はいい勝負になりそうです。
でもどちらが勝っても、またテレビドラマの劇場版が増える傾向に拍車がかかりそうで、
あまり歓迎はできませんが、本作の続編ならまた観てもいいかなとも思えました。

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