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スノーホワイト

『アリス・イン・ワンダーランド』(不思議の国のアリス)の大ヒットを受けて、
ハリウッドは今、童話の映画化ブームが起きていると言われています。
超有名な原作にも関わらず、パブリックドメインな童話はおいしい存在で、
映画化の企画が次々と持ちあがっているのは事実です。
ただ、『アリス~』以降に本当に童話の映画化作品がたくさん作られたのか思い返すと、
アニメを除けば『赤ずきん』と『ビーストリー』(美女と野獣)くらいしかなく、
企画には上るが公開にまでこぎつける作品はかなり少ないことがわかります。
(しかも双方ともにそれほどヒットしたわけでもなく…。)
今はまだブームと呼べる状態じゃないのかもと思いました。
ただ、アンジェリーナ・ジョリー主演の『マレフィセント』(眠れる森の美女)や、
数本ある『オズの魔法使い』の映画化作品など、公開されそうな童話映画もあるので、
むしろこれから本当の童話ブームがくるんじゃないかと思います。

ということで、今日はブームの先陣となりそうな、大ヒットした童話映画の感想です。

スノーホワイト
Snow White and the Huntsman

2012年6月15日日本公開。
グリム童話『白雪姫』を題材にしたアクション・ファンタジー。

とある王国の王と王妃の間に生まれ、肌の白さがまるで雪のような美しさを持つスノーホワイト(クリステン・スチュワート)は、一家で仲むつまじく生活していた。ところが、スノーホワイトが幼いころに王妃が事故によってこの世を去ってしまう。大きなショックを受けた王だったが、ラヴェンナ(シャーリーズ・セロン)という美女に一目ぼれし、彼女を王妃として迎えることを決める。しかし結婚式の夜に、王はラヴェンナによって殺されてしまい……。(シネマトゥデイより)



なんでも今年はグリム童話の初版発行から200年となるメモリアルイヤーだそうですが、
本作はそんなグリム童話の中でも特に有名で代表的な物語である
『白雪姫』をアレンジして実写映画化した作品です。
『白雪姫』といえば、ディズニー・クラシックスの第1弾にも選ばれた童話ですが、
本作には『アリス・イン・ワンダーランド』の製作スタッフも関わっているようだけど、
ディズニー映画ではなく、ユニバーサルが製作しています。
ディズニーも独自で『白雪姫』の実写映画化を進めていたのですが、
予算の関係で制作を打ち切ることになったみたいです。
なんでも19世紀の中国を舞台にするという大胆すぎるアレンジだったみたいで、
なんだか頓挫してしまうのもわかる気がしますね。

本作もディズニー版ほどではないけどそこそこ大胆なアレンジをしており、
なんと白雪姫ことスノーホワイトが剣を手に挙兵し、継母である魔女の軍勢と戦うという、
まさかのアクション・アドベンチャーに仕上げてあります。
これを大胆な脚色ととるか原作ぶち壊しととるかは微妙なところですが、
ボクとしてはやっぱり違和感は否めないかな…。
子どもの頃に幽閉され、原作以上に純真無垢に育ったはずの王女スノーが、
急に暴力によって魔女から政権奪還を謀るというのはちょっと極端すぎます。
しかも戦い方も知らないはずなのに総大将として自軍を指揮するんですよ。
彼女自身には生まれながらに魔女の魔法を打ち破る力があるという設定だけど、
人間同士の戦争となれば、素人が総大将で勝てるほど甘くはないはずです。
見た感じはジャンヌ・ダルクみたいでかっこいいですけどね。

とある国の王女として産まれたスノーですが、幼いころに王妃である母が他界し、
国王である父は落ち込みますが、それを好機とばかりに、国に謎の軍隊が攻め入ります。
明らかに人間ではない(たぶんガラス製の)敵兵に、辛くも勝利した国王軍ですが、
謎の軍団の捕虜だった美女ラヴェンナ(シャーリーズ・セロン)に国王が一目惚れ、
翌日には彼女を王妃として娶ってしまいます。
しかし彼女の正体は不老不死の魔力を持った恐ろしい魔女で、
実は謎の軍勢も国王に近づくために彼女が用意したもの。
王妃になった魔女は、初夜に国王を殺害し、国を乗っ取ってしまいます。
…なんというか、国王ともあろうものが、どこの馬の骨かもわからない女を即日娶り、
案の定即日殺されるなんて、間抜けにもほどがありますね。
魔女は義理の娘であるスノーを北の塔に幽閉し、邪悪な力で統治を行い、
国民の生活はもとより、国内の自然環境まで荒れ果ててしまいます。

『白雪姫』の魔女といえば「魔法の鏡」でお馴染みですが、当然本作にも登場します。
お決まりの「世界で一番美しいのは誰?」という魔女のセリフもありますが、
本作の魔女は、ただ自分が世界一美しかったらそれで満足なわけではなく、
世界一美しい状態を保たないと魔力が衰えてしまうという、切実な問題を抱えており、
なんとか美貌を保つために、魔力で少女の若さを吸引しています。
もう30代半ばの女優シャーリーズ・セロン演じる魔女が、世界一美しいかというと、
ボクはちょっと首を傾げたくもなりますが、まぁ人の好みはそれぞれですからね。
魔法の鏡にしてみれば彼女が世界一なのでしょう。(ボクも美人だとは思います。)
でもピチピチの女優クリステン・スチュワート演じるスノーと比較になるのであれば、
魔女役はもっと若い女優でもよかった気もします。
魔女は魔力によって若さを保つだけでなく、驚異的な治癒能力も備わっており、
剣で刺されたり、火で炙られたくらいでは死にません。
魔女には弟がおり、彼が軍を指揮しているのですが、彼は普通の人間かと思いきや、
やはり魔女の魔力で不死身になっているようです。
でも彼は魔女とは違い、美貌も若さも中途半端な感じですね。

スノーの幽閉から7年が経ったある日、魔女がいつものように魔法の鏡に質問すると、
鏡は「スノーが成長したことで、彼女が世界一になる」と返答。
魔力が衰えると焦る魔女は、鏡から「彼女の心臓を食せば不滅の力を得る」と教わり、
さっそく実行しようとするのですが、スノーは間一髪脱獄に成功し、
魔女の魔力の及ばない「黒い森」に逃げ込みます。
そこで魔女は黒い森に詳しい狩人エリック(クリス・ヘムズワース)を追手に送りますが、
彼は魔女の指示を無視し、スノーを助けることにします。
原作にも狩人は登場していましたね。
でもチョイ役でボクも本作を見るまでその存在を忘れていたほどですが、
本作ではかなり扱いが大きくなっています。
なにしろ原題が『Snow White & the Huntsman(白雪姫と狩人)』ですからね。
例のキスする王子よりも重要な役割となっています。

…って、実は原作では毒リンゴを食べた白雪姫は王子のキスで目覚めるのではなく、
彼女が入った棺の輸送中の衝撃で、毒リンゴを吐き出し、目覚めるのです。
キスで目覚めるのは同じグリム童話の『イバラ姫』との混同や、
ディズニー・クラシックスの印象によるイメージでしょうね。
本作ではウリアム王子(サム・クラフリン)のキスでは目覚めなかったので、
原作を踏襲した展開になるのかと思いきや、まさか狩人のキスで目覚めるとは…。
でも結果的にキスで目覚めるということは、本作にもディズニーの影響はあるのでしょう。

話は前後しますが、魔女が毒リンゴを食べさせるシーンも、
『白雪姫』の代表的なシーンのひとつですよね。
本作ではそこも大胆にアレンジされており、なんと魔女はリンゴ売りの婆さんではなく、
王子に化けてスノーに毒リンゴを食べさせるのです。
それは脚色として意外性があり面白いのですが、せっかく魔女は魔力が衰えてきて、
婆さんに変装するまでもなく老化していたのだから、
それをそのまま活かすというのもよかったのではないかと思います。
魔女に全く別人に変身するほどの魔法が使えるなら、序盤の謎の軍隊とか、
そんな回りくどいことしなくても国を奪えただろうし…。

『白雪姫』といえば、もうひとつ「7人と小人」も印象的ですよね。
正確には7人のドワーフですが、もちろん本作にも登場します。
「ハイホー」こそ歌いませんが歌は大好きなようで、劇中でも何曲か歌います。
やはりこれもディズニーの影響なんでしょうね。
面白いのは、ドワーフのような小人役は安易に小人症の俳優を使いそうなものですが、
イアン・マクシェーンやニック・フロストなど普通の俳優をキャスティングしていること。
お馴染みの顔なのに3~4等身くらいなのがちょっと笑えます。
単純にどうやって撮影したのかも興味深いです。
黒い森のドワーフの生息する近辺には「妖精の聖域」と呼ばれる場所があります。
ちょっとメルヘンチックな場所ですが、どことなく『もののけ姫』のシシ神の森のようで、
コダマっぽい妖精や、シシ神を彷彿とさせる治癒力を持った大きな鹿がいます。
例によって追手に射殺されますが、当然デイダラボッチにはなりません。
そんな感じで本作は原作よりもかなり幻想的な雰囲気です。
黒い森ではトロールなんかも襲ってくるし、まるでヒロイック・ファンタジーのようです。

しかしトロールもちょこっと出現するだけで、別に物語に関係あるわけでもなく、
なんでわざわざそんな意味のない世界観を設定しているのかなと思ったら、
本作は何と始めから三部作構想だったそうで。
続編からはファンタジーな世界観を活かした展開を念頭に置いているのかもしれません。
原題も『Snow White & ナントカ』って感じのシリーズになるんでしょうね。
でも魔女も倒して原作の展開は完遂しちゃってるし、
続編からは『白雪姫』とは全く関係ない話になるんじゃないかな?
主演がクリステン・スチュワートだけに、『トワイライト・サーガ』シリーズみたいに、
スノーと狩人と王子の三角関係を描いたロマンスになるなんて懸念も…。
まぁ本作のアレンジは予想を超えるものではなく、ちょっと退屈さもあったので、
続編は原作と別物になるくらいのアレンジがあってもいいかもしれませんね。

さて、今年はもう一本『白雪姫』をアレンジした実写映画が公開になります。
意地悪な継母をジュリア・ロバーツが、白雪姫をリリー・コリンズが演じる、
ファンタジー・コメディだそうです。
製作は独立系映画会社だし、製作費も本作の半分以下ですが、
本作とはまた違った雰囲気で面白そうだと期待しています。

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