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私が、生きる肌

今朝、足を蚊に刺されました。
暑くなってきたので、窓を少し開けて寝たのがまずかったみたいです。
もう蚊の出てくる季節になったんですね。
とりあえずムヒと蚊取り線香を買ってきました。
今も今朝の蚊が一匹、部屋にいるような気がするのですが、
出てきたらこの手で確実にブチ殺してやります。

ということで、今日は蚊に刺されても平気な人の物語の感想です。

私が、生きる肌

2012年5月26日日本公開。
アントニオ・バンデラス主演のスパニッシュ・スリラー。

最愛の妻を亡くして以来、完ぺきな肌の開発研究に打ち込む天才形成外科医のロベル(アントニオ・バンデラス)。あらゆるモラルを打ち捨ててしまった彼は、ある人物を監禁して禁断の実験に取り掛かることに。それは開発中の人工皮膚を全身にくまなく移植して、被験者を亡き妻へと作り変えてしまうことだった。着々と妻の代役を創造させていくロベルだったが、思いも寄らぬ事態が起こってしまう。(シネマトゥデイより)



本作はフランスの作家ティエリ・ジョンケの小説を原作にしたスペイン映画です。
第64回カンヌ映画祭コンペ部門で初演され、その時は受賞を逃したものの、
英国アカデミー賞の外国語作品賞や、ゴヤ賞の最優秀女優賞などを受賞し、
世界的に注目されている作品のひとつです。
現在もサターン賞に5部門でノミネートされている最中で、受賞が期待されます。
まぁ英語作品じゃないんで、実際に受賞に至るのは難しいでしょうが…。
日本でもR指定になってますが、レイティングが付いているのもネックかもしれませんね。
でも性描写は普通にあるものの、それほどエログロなわけでもなく、
倫理的な観点からR指定にされてしまったのではないかと思います。
でも本作のようなメディカル・スリラーってのは、倫理観を揺さぶってこそ面白く、
レイティングは勲章のようなものでしょう。

外科医のガレル(アントニオ・バンデラス)は、火傷や虫刺されに強い人工皮膚を開発し、
医学シンポジウムで発表して注目される。
「ガル」と命名されたその人工皮膚は、実は違法な人体実験で開発されており、
ガレルの自宅兼病院「エル・ミガラル」には、その被験者が監禁されています。
その被験者の女性ベラ(エレナ・アナヤ)は、全身に人工皮膚を移植されており、
その顔はガレルの亡くなった妻ガルとそっくりに整形されています。
ベラは何度も自殺を図るも、その度にガレルに手当てされ、皮膚を改良されます。
どうやらガレルは彼女を死んだ妻の代わりにしようとしているようです。
この人工皮膚はブタの遺伝子を人間の遺伝子に組み込むことで生成されているのですが、
火傷に強いなんて程度のものではなく、ガスバーナーで炙っても、
焦げ痕ひとつ付かず、全く熱さも感じないすごい皮膚です。
これは死んだ妻ガルが火傷事故に遭ったことの反省から開発されたのですが、
火傷以外の痛さは感じるみたいです。
マラリア蚊対策でかなり硬いみたいですが、触り心地は柔らかくて気持ちよさそうです。

ある日、ガレルの外出中に、使用人マリリアの息子セカが彼の家に強盗に入ります。
ベラを発見したセカは彼女を強姦しますが、帰宅したガレルに射殺されます。
セカはガレルの妻ガルの浮気相手であり、駆け落ち途中に彼ら自動車事故に遭い、
ガルが死んでしまったという因縁があります。
その上、お互い知りませんがセカはガレルの種違いの兄弟であり、
セカの母親である使用人マリリアは、ガレルの本当の母親でもあったのです。
ガレルはそうとも知らずに兄弟を殺してしまったわけですね。
なんともややこしい人間関係ですが、最も気になるのは、
妻ガルそっくりに整形された監禁女性ベラが何者かってことですよね。
使用人マリリンの証言では、自動車炎上事故から妻は救い出され、
大火傷を負いながらも順調に回復していたようなので、
はじめは彼女に人工皮膚を移植して整形したのがベラだと思いました。
しかし、彼女は自分の全身ケロイドの姿を見てしまい、ショックで投身自殺したようで、
もうこの世にいないのは間違いないようで、ベラはやはり別人のようです。
果たしてベラは誰をもとに作られたのか、それが本作の最も大きなミステリーです。

以下、そのミステリーのネタバレを含みます。

その強盗事件の後、物語はガレルの回想に変わります。
6年前にガレルが一人娘のノルマと一緒に、知人の結婚パーティに行った時の回想です。
使用人マリリンの証言では、母親の投身自殺を目の当たりにした娘ノルマは、
後追い自殺したという話だったので、この回想は妻の生前の話かと思ったのですが、
どうやら娘ノルマは母の死のショックで精神を病んだものの、生きていたみたいです。
そのパーティでノルマは、ビセンテという青年に出会い、彼に強姦されたことで、
精神病が再発した上に、極度の男性恐怖症が発症し、精神病院に入院することに…。
あぁ、なるほど、娘のノルマが人工皮膚女性ベラになる展開なのかな。
ガレルは実の娘を妻として愛するようになるわけだから、
これはR指定なのも当然な倫理的に問題作だなと納得しかけたのですが、
どうもそれも見当違いで、ノルマも精神病院で自殺してしまうのです。

なんとベラの正体は、娘を強姦した青年ビセンテだったのです。
ガレルは強姦犯がビセンテだと特定し、彼を拉致監禁します。
そして娘の死後、彼に膣形成手術を施し、性転換させ、
全身を人工皮膚で妻そっくりに整形し、自宅に監禁し世話をするのです。
まさかベラが男だったとは、ある意味近親相姦以上に背徳的な内容ですよね。
単なるゲイならそうでもないけど、無理やり性転換させるなんて、
18禁でもおかしくないくらいに倫理的な問題作だと思います。
もちろん、ネガティブな意味ではなく、興味深い内容という意味です。
ただ、この性転換や全身整形の過程は、もっとしっかり描いてほしかったかも。
膣形成まではよかったけど、その後は完全に女性の体になった後まで話が飛んだし、
自由を奪われ無理やり性転換させられるビセンテの苦悩みたいなものを、
もっと表現できていたらより興味深い作品になった気がします。

そして物語は再び現在に戻るのですが、セカによる強盗強姦事件の後、
従順なふりをすることで監禁を解かれたビセンテは、
ガレルと使用人を殺し逃走し、家族のもとに帰ります。
その後は、男の時には相手にされなかったレズビアンの知人と幸せに暮らすのでしょうね。
マッドサイエンティストの毒牙から解放されたと考えればハッピーエンドですが、
ボクとしてはどうも釈然としないラストだったという印象です。
無理やりの性転換されたのも、もとをたどればノルマを強姦したビセンテの自業自得だし、
むしろ卑劣な性犯罪者を懲らしめるという痛快な展開だったのに、
最終的には体が女性になったことで、意中の女の子を射止めることができたという、
性転換されたことが逆に功を奏してしまう展開で…。
まぁこういう不条理も、この手のスリラーの面白いところでもあります。

もうひとつの不満は、ベラの人工皮膚「ガル」の性能が、全く活かされなかったことです。
せっかく耐火性能があるんだから、放火して逃げるくらいの展開がほしかったかな…。

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