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ロボット

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5月4日に全米公開が始まったアメコミ映画『アベンジャーズ』ですが、
早くも歴代世界興収トップ10に入ったとか。
アメコミ映画が大好きで、かなり期待していた映画なので嬉しいです。
今年の興行収入ランキングも、サプライズ・ヒットした『ハンガー・ゲーム』を超えて、
早くも暫定1位となっているとのこと。
この調子で日本でも大ヒットしてほしいところですが、
日本公開は世界的にもかなり遅く、8月17日とほぼシンガリ状態で…。
ただでさえ日本は「アベンジャーズ」シリーズの人気がイマイチなのに、
こんなに間が空いては熱も冷めてしまいます。
『ハンガー・ゲーム』もやっと日本公開日が(9月28日に)決まったようですが、
そんなに間が空くと、今の大フィーバーを忘れちゃう人も多いでしょうね。
日本の映画市場は世界屈指なのに、なんで日本公開は毎度こんなに遅いのか…。

まぁ同じアメコミ映画の『アメイジング・スパイダーマン』は世界最速公開だし、
『ダークナイト ライジング』もたった1週遅れの公開になるようなので、
全てが遅いってわけじゃないですが、やっぱり『アベンジャーズ』の公開が遅いのは、
日本での「アベンジャーズ」シリーズの人気の無さが原因なのかな…?
ならば今回大ヒットすれば、続く『アイアンマン3』とか『アベンジャーズ』の続編は、
全米と同時公開にしてもらえるかもしれませんね。

ということで、今日はインド映画史上最大の世界的ヒット作の感想です。

ロボット
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2012年5月12日日本公開。
ラジニカーントが1人2役で主演するボリウッドSFアクション。

10年もの月日をかけて、バシー博士(ラジニカーント)は自分と同じ姿かたちをしたハイテク・ロボットのチッティ(ラジニカーント)を開発。さまざまなトラブルを巻き起こしながらも、人間社会の規律や習慣を学んでいくチッティだったが、次第に感情が芽生えるようになる。やがて、博士の恋人サナ(アイシュワリヤー・ラーイ)に心を奪われ、強引に彼女に気持ちを伝えようとするが、それが博士の逆鱗(げきりん)に触れて解体されてしまう。博士への激しい怒りと、サナへの絶ち切れぬ思いから、チッティは殺人マシンとなって復活を果たすが……。(シネマトゥデイより)



本作はインド映画史上最高の興行収入を上げたとされる作品です。
世界で100億円以上の興収があったらしいですが、
当然最も動員したであろう本国のインドは、映画の記録を取らないらしく、
正確にはどれほどヒットしたのかはわかりません。
ただ、たしかに世界的に注目されているのは間違いなく、
第24回東京国際映画祭の「アジアの風」部門アジア映画賞スペシャルメンション受賞など、
インド内外で高く評価されています。
欧米の映画はよく観るが(日本を除く)アジア映画はほとんど興味がないボクでも、
「これは観てみよう」という気になるくらいだから、相当な注目度の高さだと思われます。

で、いざ観てみたのですが、これは面白いです。
ボクはインド映画は『スラムドッグ$ミリオネア』くらいしか観たことありませんが、
マサラムービーってこんなに面白いのかと、同じアジア人として嫉妬するほどでした。
「ワケわからんが面白い」ってキャッチコピーで、どんな無茶苦茶な物語かと思ったけど、
やはりマサラムービーなので、とても単純明快なストーリーで、わかりやすい話です。
しかしとにかく娯楽に特化させた演出で、他国の映画ではあまり拝めないような、
独特の作風を持った、とにかく楽しい映画になっています。

ロボット工学者のバシーガラン博士は、アンドロ・ヒューマノイドの制作に成功します。
外見はバシー博士に似せられ、「チッティ」と命名されたそのロボットは、
あらゆる面で人間の100倍の能力を持っており、家事でも車の運転でもなんでもできる上に、
分厚い電話帳を一瞬で覚える記憶能力や難しい数学の難問を一瞬で解く演算能力も高く、
電車より速く走り格闘技もこなすなど身体能力も高く、命令にも忠実な超高性能ロボット。
バシー博士とチッティは、"スーパースター"の愛称を持つラジニカーントの1人2役。
ラジニカーントはかなり前に日本でも流行った『ムトゥ 踊るマハラジャ』の主演なので、
もうかなり高齢な気がするんですが、本作での2役はまだまだ若々しいです。
ヒロインのバジー博士の婚約者サナを演じる大物女優アイシュワリヤ・ライも、
実際は30代半ばなのに、医学部の女学生の役を違和感なく演じており、
インド人俳優の役作りは年齢なんて関係ないんだなと感心しました。

バシー博士がチッティを制作したのは、軍事利用が目的です。
そのためにはまず人工知能開発研究所(AIRD)で承認を受ける必要があるのですが、
そのメンバーである恩師ボラ教授は、承認に反対します。
ボラ教授はロボット学会でバシー博士が称賛されたことを妬んでいるのです。
ただボラ教授その反対理由は、当てつけとはいえ至極真っ当なものだと思いました。
チッティは人間の兵士の代わりに戦場で戦うために作られているので、
人間に危害をくわえられない「アシモフのロボット三原則」はプログラムされていません。
そのため善悪の区別もなく、命令次第では誰でも殺し得る危険があると反対したのです。
人間の兵士の犠牲者が出ないってのは一見人道的にも思えるけど、
結局は相手軍の兵士を攻撃する殺人ロボットですからね。
科学は軍事利用のために進歩してきた歴史は認めざるを得ないけど、
やはり聞こえは悪く、ボクもバシー博士はマッド・サイエンティストだと思えます。
そもそも殺人ロボットであれば、原発ロボのように人型をしている理由は全くありません。
ヒューマノイド(人型ロボット)は日本がリードしてきましたが、
開発目的は主に福祉や娯楽など、お友達ロボットとして開発されています。
チッティがどんな高性能であっても、兵器であることに他ならず、
バシー博士は主人公だけど、考え方にはあまり賛同はできないです。

自信があったのに承認されず落ち込むバシー博士ですが、
ある時大規模な火災現場に遭遇し、チッティに人命救助を命じます。
熱にも強いチッティは、次々と被災者を救出しますが、
最後に全裸の若い女性を救出するも、彼女をマスコミなど公衆の面前に晒してしまい、
恥ずかしさのあまり逃げ出したところに自動車と衝突、彼女は死んでしまいます。
再びボラ教授から「ロボットは尊厳が理解できない」と非難されたバシー博士は、
チッティが人間の感情を理解できるように神経スキーマに手を加えます。
なかなかうまくいきませんが、落雷により偶発的に成功、チッティは感情を手に入れます。
雷で感情を持った人造人間が誕生するなんて、フランケンシュタインの怪物みたいですね。
そして感情を持ったロボットは、例のごとく人間に恋をするのです。
チッティはバシー博士の恋人サナの、友達の危険な分娩を手伝い成功させたことで、
サナから感謝の気持ちで頬にキスされ、彼女に恋心を抱いてしまいます。
その横恋慕が大変な展開に繋がって行くのですが、たかがホッペにチューくらいで…。
だけど本作では濡れ場はもちろん、唇にキスするシーンすらありません。
火事に遭った全裸の女性の体にビッシリモザイクがかけられていましたし、
ボリウッド映画は性的表現の規制が厳しいんですかね?
セリフではけっこう下世話なネタもあるんですが…。

チッティが恋に落ちたところで、インターミッション(途中休憩)と表示されますが、
別に休憩が設けられているわけでもなく、そのまま続きが流れ始めます。
なんでも本作は日本公開用にかなり編集で尺を短くしています。
それでも139分とかなり長尺なのですが、フルだと177分になるみたいです。
(ボリウッド映画は3時間を超えるものがザラにあるそうです。)
東京国際映画祭の上映時はフルだったようですが、それでも高評価を受けたということは、
フルでも飽きずに観られるほどの内容だったということの証明ですよね。
なので40分ちかくもカットされているのは、ちょっと悔しい気もします。
今、配給会社がフルの完全版を上映してくれる劇場を募集しているので、
いずれ完全版を観れるようになる可能性は高いと思われます。
まだ観てない人は、あえて今観ないでもう暫らく待ってみるのもいいかもしれません。

もう一度キスしてほしいと、サナの部屋にやってくるチッティに、
彼女はその条件として「自分の血を吸った蚊を捕まえてほしい」と冗談でお願いします。
このくだりは蚊のランゴスキとチッティが会話したりと、けっこう無茶苦茶な展開です。
ボクならカット候補にするでしょうが、荒唐無稽すぎて逆に面白いかも?
とにかく蚊のランゴスキを捕まえたことで、約束通りサナからキスしてもらうのですが、
ここでやっと来ました、マサラムービーの代名詞である、
派手な衣装の大人数のダンサーによる歌と踊りのミュージカルシーンがカットインです。
マサラムービーには、もっと頻繁に脈絡もなく歌と踊りが挿入されると思ってましたが、
それほど多くもなく、必然性もないけど無理もない展開で挿入されるのですね。
この程度なら、普通のミュージカル映画よりも自然で観やすいように思いました。
まぁ日本版では歌と踊りが沢山カットされただけかもしれないけど…。
このシーンの近未来的な装束を着たサナは、すごくセクシーでよかったです。

サナの恋敵として、露骨にバシー博士をライバル視しはじめるチッティ。
しかしサナからも「機械と人間は愛し合えない」とフラれてしまい…。
失恋のショックで、軍事利用の最終審査で失敗してしまい、博士は大激怒。
博士はチッティを壊し、廃棄物処理場に捨ててしまいます。
そんなチッティを拾ったのが、チッティの神経回路データを欲していたボラ教授です。
教授は拾って修理しただけではなく、自作のレッドチップ(破壊プログラム)を挿し込み、
チッティを本当の殺人ロボットに作り替えてしまいました。
バージョン2.0となったチッティは、博士とサナの結婚式に乗り込み、花嫁を誘拐します。
ベンツのコンバーチブルに乗って逃げるのですが、この追走劇がかなりスゴイです。
『マトリックス・リローデッド』のハイウェイのカーチェイスにも引けを取らない、
いや、上回っているかもしれないド派手な視覚効果が用いられ、
インド映画の技術力の高さに驚愕しました。
バージョン2.0のチッティは戦闘力もさらにアップし、磁気を操り金属を遠隔操作します。
まるで『X-MEN』シリーズのマグニートーのような最強っぷりで痺れます。
負傷した左目を赤く光るスコープに付け替えるのは『ターミネーター』を意識したのかな?
チッティの内装の形や展開の一部は『アイ、ロボット』みたいだし、
ハリウッドのいろんなSF映画のオマージュが入った作品でもあると思います。
まぁテーマ的に一番近いのは『アンドリューNDR114』ですね。

サナを強奪したチッティはAIRD占拠、各地の武器庫や給油所などで同時に強盗を働きます。
なぜ別の場所で同時に強盗できるかといえば、
チッティは自分のレプリカを量産し、部下として使っているのです。
そこら中にラジニカーントだらけで、もう1人2役どころの騒ぎではありません。
それにしてもバシー博士とチッティの2ショットや、量産型チッティの複数登場シーンなど、
当然特撮が使われているはずですが、とても自然で驚かされます。
合成とか首のすげ替えとかしてるんでしょうが、この技術はハリウッドを凌駕してますね。
なにより何テイクも撮るであろうラジニカーントの労力に敬意を感じます。
あのチッティだらけの大人数ミュージカルシーンはどうやって撮ったんだろう?

感情も手に入れ、いよいよ完璧になったかに思われたチッティですが、
最大の欠点は充電切れを起こすことでしょう。
もうここまで完璧な人造人間作れるなら、体内で自家発電できそうなものですが…。
武装した警察部隊を率いてサナ奪還のためにAIRDにやってきたバシー博士は、
AIRD周辺を停電させ、チッティや量産型チッティ軍団の充電切れを待ちます。
もうこれで勝負あったな、と思ったのですが、チッティたちはある方法で充電をし、
完璧な統率のもと磁気で結合し、巨大な球体やヘビなど形状を変え、警察を蹴散らします。
他にも腕やドリルなど、大人数のチッティによる組体操のようなフォーメーションは圧巻。
特に最終形態の巨人のフォーメーションは見ものです。
映像的にはこれ以上なく滑稽なのに、その規模のデカさに感心し通しです。
さすがは製作費に37億円もかけただけのことはあるなと…。
いや、この規模で37億円は破格かもしれません。
全体を通せば、チャチな特撮のところとかもあったのですが、
一点豪華主義で、クライマックスには惜しげもなく資金を注いだ感じですが、
金の使いどころをわきまえた、素晴らしいバランス感覚だと思いました。
それに比べて日本のSF映画『GANTZ』は、製作費40億円でもあの程度かと思っちゃいます。

チッティ軍団の防戦も見応えありましたが、バシー博士の作戦もよかったです。
停電作戦が失敗しても、ハッキングして統率を乱すワームプログラムや、
フォーメーションを瓦解させる磁気消失プログラムなど、二の矢、三の矢が用意され、
攻めも攻めたり、守りも守ったりの素晴らしい攻防戦です。
総上映時間も長いし、クライマックスはけっこう長かったですが、全く飽きません。
ラストはちょっと感動的な展開で幕を閉じます。
そしてエンディングとなるわけですが、あんなにあっさりスタッフロールにならないで、
せっかくの大団円なので、もう一踊りあったら嬉しかったかな。

マサラムービーもたまに観るとスパイスが効いてていいですね。
年一本くらいは大規模公開してくれないかな?

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