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タイタンの逆襲

ゴールデン・ウィーク商戦に向けた映画もそろそろ出揃ってきましたね。
今年はなかなか粒よりなラインナップだと思います。
でも大作、話題作が公開されすぎると、3月上旬から4月初旬に公開された映画が、
まだ公開1か月も経ってないのに、新作に上映機会を奪われ、どんどん上映縮小に…。
特に今年はオスカー作品賞の『アーティスト』とか、助演女優賞の『ヘルプ』とか、
素晴らしい作品が多かったのに、それらもかなり縮小されてしまって…。
たまにGWのオススメを聞かれるので、人によってはそれらを薦めたいけど、
GWまで上映しているかどうか疑問で…。
今年のGW映画の中で、個人的に最も好きなのは『バトルシップ』ですが、
人にオススメするとなると洋画なら『Black & White ブラック&ホワイト』、
邦画なら『ももへの手紙』がいいんじゃないかと思います。
どちらも今週末公開なので、GW中もまだ余裕で観れるかと。

ということで、今日は超大作GW映画の感想です。
万人にはオススメできませんが、個人的には『バトルシップ』に比肩するほど好きです。

タイタンの逆襲

2012年4月21日日本公開。
サム・ワーシントン主演のアクション・ファンタジー『タイタンの戦い』の続編。

魔物クラーケンを倒してから10年、ペルセウス(サム・ワーシントン)は男手一つで息子を育てていた。そんな折、神々とタイタン族の地上の支配権をめぐる戦いは日ごとに激しさを増していく。神々の王ゼウス(リーアム・ニーソン)と人間の母の間に誕生したペルセウスは、冥界の王ハデス(レイフ・ファインズ)の父への裏切りを知り……。(シネマトゥデイより)



巨匠レイ・ハリーハウゼン監督の傑作『タイタンの戦い』を、
ルイ・レテリエ監督がリメイクした同名映画の続編が本作です。
ハリーハウゼン版には続編がないわけだから、
本作は完全にオリジナルなので、リメイクではないということです。
リメイク映画の続編というのは、何気に珍しいですよね。

でも正直、よく続編の製作にGOサインが出たなと思うんですよ。
それだけリメイク版である前作は評判が芳しくなかったので。
というのも、もともと2Dで公開するつもりだったものを、
本作の主演であるサム・ワーシントンの主演作の3D映画『アバター』が大ヒットしたため、
完成した後に監督の了承も得ずに、スタジオが勝手に3Dに編集してしまい、
その3Dの出来栄えがあまりに酷かったことから、前作は『エアベンダー』と並び、
3D映画の失敗作の代表のような扱いを受けていたからです。
ただそれは、あくまで3Dの出来が酷かっただけで、内容の評価ではありません。
ボクは(3Dで観てないので)前作のことは大好きだったし、とても面白いと思ったので、
そんな評価を受けながらも続編が製作されたことはホントに嬉しく思います。
今回は(また3Dで観ませんでしたが)はじめから3D上映を念頭に製作されているので、
前作のように3Dの出来が酷いなんてことはないと思われます。
ただ前作の3D化騒動が原因か、本作でルイ・レテリエ監督が降りてしまったのは残念です。

ボクはギリシャ神話がとにかく好きなので、
ギリシャ神話が題材の映画というだけで楽しくて仕方がないです。
もしかすると、本作はストーリーだけを追えば平凡なヒロイック・ファンタジーで、
ボクが原作に興味がない『ジョン・カーター』を全然面白くないと感じるように、
ギリシャ神話に興味がなければあまり面白くないかもしれません。
でも本シリーズは、ハリウッド映画としては珍しくギリシャ神話への敬意を感じる作品で、
元ネタの引用やアレンジの仕方に愛を感じます。
ギリシャ神話の英雄、主人公ペルセウス(サム・ワーシントン)の主な功績である
「ゴルゴン退治」や「アンドロメダ救出」は、すでに前作で描き尽されているため、
その後のペルセウスを描いた本作は、彼の神話には沿わない完全オリジナルですが、
他の英雄のエピソードをアレンジして吸収する形で、無理なく描かれており、
その世界観や登場人物の人物像を壊すことなく、非常によく出来ていると思います。
まぁギリシャ神話原理主義の人には、このアレンジも気に入らないかもだけど…。
今日はストーリーを追いながら、その元ネタにも触れたいので、
長くてねちっこい感想になるかもしれません。

先代の神、タイタン族は子孫であるオリンポスの神々に敗れ、
タイタン族の王クロノスは、自分の息子であるゼウスたちによって
タルタロス(地獄の監獄)に幽閉されてしまっていた。
しかし人間たちがオリンポスの神々を崇めなくなったことで、神々の力は衰退し、
そのためタルタロスの封印も弱まり、クロノスの復活も時間の問題となる。
前作でもゼウスたち神々は、人間の不敬に憤り、クラーケンを解き放ったりしてたけど、
そんな身勝手な神様だから、更に人間から崇められなくなったんでしょうね。
そして今では力が衰退し、不死であることもかなわなくなりました。
そのクラーケンを退治し、神々から人間を救ったのがペルセウスですが、
今回は神々の父親であるクロノスが現れ、世界を滅ぼされるかもしれないということで、
前作で敵だった神々と共闘することとなります。

ペルセウスはゼウスと人間の間に生まれた半神で、
前作の最後でゼウスから神になる誘いを受けたのですがそれを断り、
普段は息子ヘレイオスと一緒に漁師として生活しています。
息子のヘレイオスは前作のヒロインであるイオとの間に生まれた子どもですが、
本作ではイオはすでに死んだことになっています。
で、本作ではついに、王女アンドロメダが正式にヒロインとなります。
まぁ神話でもペルセウスの配偶者と言えばアンドロメダと決まっていますからね。
(ヘレイオスも本来はアンドロメダの子どもです。)
イオと結ばれたのは意外な展開で面白かったけど、本作で元の鞘に収まった感じです。
ただアンドロメダのキャストはアレクサ・ダヴァロスが降板し、
新たにオーディションで選ばれたロザムンド・パイクに交代になりました。
囚われの姫というイメージではダヴァロスの方がアンドロメダっぽくてよかったけど、
今回は戦うヒロインなので、金髪女戦士って感じのパイクに変えたのかもね。

タルタロスの封印が弱まったことで、中から怪物が溢れだし、
ペルセウスの街にもキメラが飛来します。
ギリシャ神話のクリーチャーが実写化されるだけで嬉しいけど、
いろんな作品に登場するキメラですが、合成魔獣なのでその都度姿が違い特に楽しいです。
本来は英雄ベレロポンに退治される怪物ですが、ベレロポンといえばペガサスの騎手で、
同じくペガサス使いのペルセウスと戦うことになるとは粋な展開です。
倒し方は人気ギリシャ神話ゲーム『ゴッド・オブ・ウォー』の影響を受けてる気がします。

父クロノス復活を阻止すべく、ゼウスは息子ペルセウスにも招集をかけますが彼は応じず、
仕方なく兄弟の海神ポセイドンと冥府の王ハデス、
そして息子の軍神アレスの4柱でタルタロスに赴きます。
クロノスを葬るには3兄弟がそれぞれ持つ三種の神器が必要なのですが、
兄ハデスと息子アレスが裏切り(クロノス側につき)、ポセイドンは殺され、
ゼウスは神器をアレスに奪われた上に囚われの身になります。
神話では三種の神器といえば、ゼウスの「雷霆」、ポセイドンの「三叉の銛」、
ハデスの「隠れ兜」が一般的ですが、本作ではハデスの神器が刺又になり、
3つ合わせて「三重の槍」と呼ばれています。
各々で戦闘には使っていなかったので、単品では大した武器でもなさそうですが、
三本合体させると超強力な槍になり、クロノスに対抗できるのです。
結局のところ、本作はその3本を揃えるというベタな展開になるわけですが、
それこそがペルセウス型神話の基本なので、本作に相応しいと思います。

たまたまポセイドンの最期に立ち会ったペルセウスは、彼から彼の神器を与えられ、
彼の息子で半神のアゲノールと協力し、堕ちた神を探すように言われます。
アゲノールはアンドロメダの軍隊で、盗賊として捕えられていましたが、
恩赦お受け、ペルセウスやアンドロメダの旅にに同行することになります。
アゲノールはあまり聞いたことのない人物ですが、
ポセイドンの子の中にそんな名前の人物がひとりいます。
しかし本作は、アンドロメダに求婚した同名の男の方がモデルみたいです。
というよりも、その2人を同一視した設定なのでしょう。

アゲノールの案内で、堕ちた神を探す一行は、着いた島でサイクロプスの襲撃を受けます。
サイクロプスは化け物ですが、クロノスの味方ではありません。
実はタイタン族とは兄弟関係なのですが、酷く礼遇を受けたため、
オリンポスの神々に仕える立場なのです。
その仕えている神が堕ちた神、鍛冶神ヘパイストスなのですが、
ただのクリーチャーとして扱われがちなサイクロプスを、
ちゃんとヘパイストスの守護者として描いているところが、
本作がギリシャ神話に対する理解があることの断片のひとつだと思います。
(ちゃんと3人いるところもいいですね。)
「三重の槍」は鍛冶神ヘパイストスが作ったことになっていますが、
実は三種の神器は本来サイクロプスが作ったものなので、見かけによらず器用な奴らです。

本作のヘパイストスには、ある相棒がいます。それが鉄の梟ブーボーです。
ブーボーは前作でもカメオ出演しましたが、
もともとはハリーハウゼン版『タイタンの戦い』のオリジナルキャラで、
今となっては本作とルーツであるハリーハウゼン版を繋ぐ唯一の存在です。
まさかの再登場で驚きましたが、そういえばハリーハウゼン版でも、
ブーボーはヘパイストス製だと明言されていたので、それをちゃんと踏襲したわけですね。
ちゃんと旧作ファンの心もくすぐるなんて、隅々まで憎い演出です。

ヘパイストスの案内で、タルタロスに向かうペルセルス一行ですが、
人間がタルタルスに侵入するためには迷宮を通り抜けなければなりません。
本来はタルタロスの入口を守るのはケルベロスです。
ケルベロスも旧作の方では登場しましたが、前作リメイク版ではカットされていました。
そういえば本作のキメラは旧作のケルベロスのイメージに近いかもしれません。
ヘパイストスは迷宮に入る前に軍神アレスに挑みかかり、殺されます。
劇中でも言及されるように、ヘパイストスは美の女神アフロディーテの夫ですが、
アレスは彼女の浮気相手なので、因縁の相手です。
神話ではヘパイストスがアレスをやりこめたこともあったのですが…。

迷宮の番人といえば、もちろんミノタウロスでしょう。
『インモータルズ 神々の戦い』で描かれていたように、
本来は英雄テセウスの敵ですが、本作ではペルセウスと戦うことになります。
テセウスはポセイドンの息子なので、同じ立場で迷宮に挑むアゲノールが、
テセウス的な面を付与されているんだろうと思います。
ミノタウロスは牛頭人身の化け物として描かれることが多いですが、
本作の彼は頭もかなり人間っぽくて生々しく、斬新なデザインです。
ミノタウロスは牛と人間のハーフなので、牛頭人身よりもリアリティがあるかも。
さらに見た目ほどパワーファイターではなく、幻術で侵入者を惑わせる知性派です。
肉弾戦に持ち込まれ、意外とあっさりやられてしまい、ちょっと残念です。

タルタロスに到着した一行は、ゼウスと再会。
ゼウスはクロノスに力を吸収されすでに死にかけですが、
ハデスに泣きを入れたことで、ハデスは改心します。
ハデスは冥府の王なので、魔王のように描かれがちですが、
実はちょっと陰湿なだけで悪い神ではありません。
本作はそんなハデスの属性をよく理解している珍しいハリウッド映画です。
しかしクロノスの復活は関係なく、個人的にゼウスを憎むアレスは暴走を続け、
彼はハデスの神器を投げつけ、ゼウスを射抜きます。
ゼウスは致命傷を受けながらも一行と共にタルタロスを脱出し、地上に戻ります。
そしてアンドロメダはクロノスの復活に備え、軍を率いて戦闘準備。
ゼウスとハデスも軍に加勢しますが、この兄弟、めちゃくちゃ強いです。
あまり共闘するイメージのない2柱が力を合わせるという展開も燃えます。

ペルセウスはゼウスに刺さったハデスの神器も手に入れ、
残るアレスの持つゼウスの神器を手に入れれば「三重の槍」完成です。
ペルセウスは単身、アレスに戦いを挑みます。
本作は父と子の確執、兄と弟の絆という関係性がテーマだと思うので、
腹違いの兄弟であるアレスとペルセウスも、
ゼウスとハデスのように和解するかと思ったのですが…。
でも『インモータルズ』ではアレスの描き方についてかなり不満に思ったので、
最期まで悪を貫くという本作の展開もアレスらしくてよかったかな。

クロノスは火山から地上に出現しますが、彼の投げつける溶岩からも怪物が生まれます。
その怪物は二つの胴体と6本の腕を持つ兵士で、マカイと呼ばれるそうです。
マカイとはマケの複数形ですが、マケとは戦闘の女神のことですが、
こいつらはさすがに女には見えないかな…?
見た目的にはゲリュオンとかヘカトンケイルを連想するデザインですが、
戦闘の鬼ということで、戦闘を意味するマケの名前を借りたんでしょうね。
本作を観に行くと、本作オリジナルのビックリマンシール(?)を貰えるのですが、
ボクのシールはマカイでした。正直、もっといいキャラに当たりたかったです。
そして、いよいよ「三重の槍」を持ったペルセウスとクロノスの対決になるのですが、
本作のようにタイタン族が岩の塊のように描かれるのも、
ゲーム『ゴッド・オブ・ウォー』の影響のような気がします。
ボスなんだしクロノスのデザインはもっと工夫してくれてもよかったかなぁ。
なにはともあれ、前作はタイトルだけでタイタン族とは関係のない話でしたが、
本作はちゃんとタイトル通りの内容でしたね。

続編が製作されただけでも奇跡だと思った本作ですが、
なんと公開前からすでに第三弾の製作が決まっており、三部作となる予定です。
つまり本作は端から三部作の2作目として製作されていたと考えられますが、
本作の素晴らしいところは、三部作の2作目にありがちな中途半端な終わり方ではなく、
ちゃんときれいに完結しているところです。
厳密に言えばペルセウスとアンドロメダのロマンスはこれからな気もしますが、
ストーリー的には最強の敵クロノスも死に、主要な神々も死んでしまっていて、
これでどうすれば3作目なんて作れるのだろうと思ってしまうほどの大団円です。
しかしながらギリシャ神話には魅力的なクリーチャーや登場人物はまだまだいるし、
それが実写化される続編も楽しみで仕方ないです。
予想ではハデスよりもある意味厄介な女神ヘラや、
最強の怪物テュポン絡みの話になるんじゃないかな?

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