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クレヨンしんちゃん 2012

邦画の記事を書くのは『ドラえもん のび太と奇跡の島』以来なので約1ヶ月半ぶりです。
邦画を観なくなってから久しく、邦画に対する興味も薄れてきましたが、
それでもアニメ映画だけは観たいと思えます。
特に「劇場版クレヨンしんちゃん」(劇しん)シリーズは、
欠かさず観続けてきた唯一の長期シリーズで、今更観ないなんて選択肢は考えられません。
シリーズが続く限りは一生付き合っていくのだろうと思います。

そんな「劇しん」シリーズですが、今回で記念すべき20作目ということで、
20周年記念企画として、過去19作の人気投票が行われました。
「モーレツ!オトナ帝国の逆襲」と「アッパレ!戦国大合戦」の原恵一監督作が
ワンツーフィニッシュで、誰もが納得の投票結果になったと思います。
3位の「ヘンダーランドの大冒険」は、ちょっぴり意外な結果でした。
個人的には1位「戦国大合戦」2位「夕陽のカスカベボーイズ」3位「オトナ帝国」です。
ちなみに最も嫌いなのは「オラの花嫁」ですが、企画では9位と健闘しているので、
好き嫌いの分かれる作品なのだろうと思います。
最もつまらないのは「3分ポッキリ大進撃」で、これは誰が見ても退屈なはずです。

ということで、今日は「劇しん」最新作の感想です。
今回の企画では投票候補ではありませんでしたが、
もし候補だったら、そこそこ上位になりそうな気がしました。

クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ!オラと宇宙のプリンセス
クレヨンしんちゃん 2012

2012年4月14日公開。
テレビアニメ「クレヨンしんちゃん」の劇場版シリーズ第20弾。

プリンのことでけんかをしていたしんのすけと妹ひまわり。頭にきたしんのすけは「妹なんかいらない」と言うと突然、謎の男がやってくる。妹を預かると話す彼らは、しんのすけに紙を渡し、そこにサインをすると、野原一家は上空にいたUFOに連れ去られてしまう。しんのすけたちは、地球の兄弟星“ヒマワリ星”に到着し、そこで宇宙の平和のために、ひまわりがこの星の姫にならなければいけないと知らされ……。(シネマトゥデイより)



これは評価が難しい作品です。
もし人気投票企画の候補なら「そこそこ上位になりそう」とは書きましたが、
それは投票できるくらい「劇しん」シリーズを何本も観てきた人、
つまりそこそこ大人が選んだ場合なら、そうなりそうだということであり、
はっきり言えば、真のターゲットであるチビッコからすると、
なんだかよくわからない内容なんじゃないかと思われます。
何気に深いテーマなのですが、それを理解できなければ、きっと退屈な作品です。
ボクも映画のひとつとしては、なかなかよかったと思いましたが、
子ども向けアニメである『クレヨンしんちゃん』の劇場版でこの内容を扱うのは、
ちょっと違うんじゃないかと思いました。

太陽の間裏、地球と同じ軌道上にある太陽系の惑星ヒマワリは、
太陽から湧き出る和みの力「ヒママター」を兄妹星である地球と分けあっていたが、
地球の「ヒママター」が枯渇し、ゆくゆくは地球もヒマワリ星も消滅してしまう状況に…。
伝承によれば、決まった日に生まれた「ひまわり」という名前の地球人を
ヒマワリ星に連れてくれば、「ヒママター」の枯渇を防ぐことができ、
地球もヒマワリ星も消滅しなくてすむらしい。
ヒマワリ星から地球に派遣された大臣は、該当する地球人、ひまわりを発見し、
名付け親でもある兄しんのすけに、妹ひまわりを譲ってくれないかと頼む。
ちょうど妹とケンカしたばかりのしんのすけは、
深く考えずに妹を譲る契約書にサインをしてしまう。
そのことの重大さに気付き、野原一家はヒマワリ星からひまわりを奪還しようとしますが、
もしひまわりを奪還すれば地球は滅ぶことになり…、という話です。

毎度、野原一家4人と1匹の絆が中心となる「劇しん」ですが、
本作はその中でもしんのすけとひまわりの兄妹関係がクローズアップされます。
これは今までにありそうでなかった組み合わせで、期待が持てました。
まぁペットのシロとの絆を描いた「歌うケツだけ爆弾!」のひまわり版って感じで、
「ケツだけ爆弾」では、シロと地球を天秤にかけることになりますが、
本作ではひまわりと地球を天秤にかけることになります。
当然ペットと娘(妹)では娘の方が大事ですが、ひとつ大きな違いとしては、
「ケツだけ爆弾」のシロは地球の犠牲になる展開だったのに対し、
本作のひまわりはヒマワリ星の姫として大切に扱われるということ。
両親であるヒロシとミサエも、一時はその方がいいのではないかと考えます。
しかし5歳児である兄しんのすけには、シロであろうとひまわりであろうと、
家族一緒が一番大事で、地球の運命なんて関係なく奪還に向かいます。

兄しんのすけが妹ひまわりと些細なケンカをしたことで、
「妹なんていらない」と軽はずみに契約してしまったことを後悔する話なので、
基本的には「兄弟姉妹を大切にしましょう」という教訓的なテーマですが、
それを扱うには野原兄妹はまだ幼すぎます。
特にひまわりは0歳児なので、家族の絆なんて理解できるはずもなく、
この兄妹愛は兄しんのすけから妹ひまわりへの一方通行な想いになります。
その点ではお互いを想い合っていた「ケツだけ爆弾」のシロとの絆の方が強い気がします。
ひまわりは厚遇されるヒマワリ星の姫としての生活が満更でもなく、
積極的にしんのすけたち家族を求めたりしません。
でも赤ちゃんなんだから、兄はともかく、母親ミサエにはもっと求める方がいいですね。
兄妹愛や兄妹の大切さを説くなら、もうちょっと年上の兄妹の方がいいです。

とはいえ、一方的な想いだからこそ感動できるってところもありますね。
それだけ諦めきれずに、想いを強く持っていなければいけないわけだし。
特に、地球に強制送還されたしんのすけが、ひまわりの奪還に行くため、
ヒマワリ星と地球を結ぶ転送マシーンに飛び込むところは泣けました。
転送マシーンは荷物専用で、人間が入れば体がバラバラになってしまう可能性があるのに、
それを知ってもしんのすけは躊躇なく飛び込みます。
いつもの単なる無鉄砲な行動のようでいて、不思議と今回は、
「自分がどうなっても妹を助ける」という強い意志を感じました。
ヒロシとミサエも息子の後に続きますが、やっぱり躊躇はしてたので、
この時のしんのすけは、親以上にひまわりを想っていたように思います。
この想いは、態度には出にくいものの、ちゃんとひまわりにも伝わっていたようで、
最後の最後にひまわりがしんのすけに対し、生まれて初めてあるコトをします。
それにはしんのすけも驚きましたが、ボクも驚きましたし、
今回のしんのすけの頑張りが報われた気がして、ホントに感動しました。

なので、本作は劇しん屈指の感動作だと思うのですが、
その教訓の説き方があまりに難解すぎます。
件の転送マシーンは、強い精神力がなければ無事に通り抜けられない設定なので、
中はスピリチュアルな世界となっており、とても哲学的な自問が繰り広げられます。
要は「自分を見失うと出られない空間」という小難しい設定なのです。
また、ひまわりを連れて行ったヒマワリ星人も、基本的には自分の星や地球の平和を願う、
心優しい人々であり、野原一家と大臣たちのバトルも、暴力には頼らず、
スピリチュアルな空間を展開しての問答になります。
これ、チビッコが見て楽しいと思えるでしょうか?
クライマックスでは、ヒマワリ星の王ゴロネスキーと戦うのですが、
その舞台は太陽系のバランスを掌る部屋という、ややこしそうな設定で、
最終的には「おまえは誰だ!?」と、5歳児のしんのすけに対し、
アイデンティティーを問うという、なんとも哲学的な問答で決着します。
その問答に、しんのすけは「地球人の野原しんのすけだ」と答えるのですが、
テーマ的には、ここは「ひまわりのお兄ちゃんだ」と答えるのが妥当じゃないかな?
はっきり言って、いい大人であるボクでもよくわからない展開で、
それはそれで興味深いけど、チビッコは楽しめているのかな?

そもそも本作は、そんな終盤のスピリチュアルな問答によるバトルもそうだけど、
序盤から世界観の説明的なシーンが多いストーリーで、
いつもよりアクションが控えめで、画的に動きが少ないです。
チビッコにとっては退屈なんじゃないかと思います。
その証拠にボクの横にいた女の子は、上映終了後に開口一番「長かった」と言ってました。
その子にとってはやはり難解だったようで、上映中も盛んに母親に質問してましたが、
序盤は返答していたその母親も、終盤では黙り込んでしまいました。
大人でも説明のしようがない展開だった証拠ですね。
同日公開の『名探偵コナン』と棲み分けるためにも、
「劇しん」はもっとファミリー向けに特化した方がいいと思います。
前作「黄金のスパイ大作戦」はまさにそんな感じで、近年で一番よかったので。

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