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マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙

先週、TV番組「徹子の部屋」に、メリル・ストリープが2日連続で出演したみたいです。
その情報をキャッチできず、初日の回は見逃してしまいましたが、
2日目の回はちゃんと録画に成功し、見ることが出来ました。
でも、それほど面白くもなく、必死で録画するほどのこともなかったな…、と。

なんというか、内容が薄かったです。
その原因のひとつは通訳を介して話していたことでしょう。
メリル・ストリープの発言を、いちいち通訳のおばさんが訳しているので、
単純にストリープの発言量が半分になっているのと同じことです。
学のない司会者ならある程度は仕方がないでしょうが、
たしか黒柳徹子は英語ペラペラなはずなので、端から英語でトークして、
生放送じゃないんだから、後から日本語訳のテロップでも乗っければいいと思います。
ハリウッドの大女優が日本のトーク番組に出演するなんて、
なかなかない機会なのに、勿体ないと思いました。

ということで、今日はメリル・ストリープ主演の映画の感想です。

マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙

2012年3月16日日本公開。
イギリス史上初の女性首相サッチャーの半生をメリル・ストリープ主演で描いたドラマ。

1979年、父の教えである質素倹約を掲げる保守党のマーガレット・サッチャー(メリル・ストリープ)が女性初のイギリス首相となる。“鉄の女”の異名を取るサッチャーは、財政赤字を解決し、フォークランド紛争に勝利し、国民から絶大なる支持を得ていた。しかし、彼女には誰にも見せていない孤独な別の顔があった。(シネマトゥデイより)



第84回アカデミー主演女優賞に輝いた本作ですが、作品賞にはノミネートすらされず、
俳優部門、特に主演部門でオスカーを受賞できるほどの作品なら、
作品賞でもノミネートくらいされなきゃおかしいと思っていたのですが、
なるほど、主演女優の演技はとんでもなく素晴らしくても、
内容は大して面白くない作品ってのあるんだなと、本作を観て実感しました。

本作はイギリスの元首相で、欧州で初めての女性首相となった、
マーガレット・サッチャーの半生を描いた作品です。
彼女は1990年までイギリスの首相だったようですが、
ボクは当時は小学生だったので、あまり記憶には残ってません。
イギリスに"鉄の女"と呼ばれる女性首相がいるらしい、くらいの認識でした。
それは今でもたいして変わらず、当然サッチャー自身に興味があるわけでもありませんが、
彼女を演じたメリル・ストリープは、当代随一の大女優だし、
オスカー作品とあっては映画ファンとして無視することはできず、観に行きました。
しかし、やはりサッチャー自身に少しでも興味がないと、
彼女の伝記的な側面も強い本作は面白くないと思います。
なにしろ内容は、"鉄の女"とあだ名されるほどの男勝りな女性首相のサッチャーにも、
実は妻や母としての顔があった…、という当然といえば当然のものです。
その切り口に興味を持てるのは、当時の彼女を本当に"鉄の女"だと思っていた人だけです。
昨今では、ドイツのメルケル首相など、女性が国や都市の首長になるのはそう珍しくなく、
それだけの切り口では興味深いと感じる人は少ないと思います。

まぁ全然知識がなくても、こうして伝記映画を観ることで、
その人物に興味を持つということも往々にしてあります。
しかし本作はそうはなりませんでした。
関西在住なので、近場でダメダメな女性府知事を見ていたこともあり、
あまり女性の首長にはいいイメージがありませんが、
男女関係なく、政治家としてのサッチャーの凄さも全然伝わらなかったし、
そもそも政治思想がボクと反目するところが多く、ボクの感性からすると、
彼女は偉大な政治家どころか、かなりダメな政治家だと思えてしまいます。
特に彼女の新自由主義はどうにも賛同できません。(消費税率上げるの断固反対!)
本作を観る限りでは、強いリーダーシップも、実際は独裁に近いものに感じます。
なんとなく、ボクの嫌いな日本の歴代首相のひとり、小泉純一郎に被るんですよね…。

フォークランド紛争にしてもどうなのかな?
あんな南米の南端の島をイギリスが実効支配するのはちょっと疑問です。
そこがアルゼンチンに侵攻(?)され、戦争となるわけですが、
平和解決を望むアメリカ国務長官に対し、真珠湾攻撃を例に挙げて正統性を主張するのも、
なんかズレてるような気がします。(真珠湾は領土問題とは関係ないし。)
むしろ北方領土や竹島を他国に実効支配されながらも、何もしない日本政府を思えば、
結果破れてしまったけど武力行使したアルゼンチンは立派だと思います。

支持率回復には戦争が一番で、フォークランド紛争が勃発したことにより、
「最も憎まれていた首相」と評されていた彼女は、一気に支持率が回復します。
その高い支持率を背景に、欧州連合の通貨統合に反対したり、
人頭税を導入しようとしたりと、ますます強権を振るい始め、
閣僚や国民から反発を受けて、首相辞職を表明することになります。
それから二十余年、彼女はまだ健在のようですが、今は認知症を患っているようです。

本作は、そんなボケ老人となってしまったサッチャーが、
2008年に夫の遺品を整理することになり、
夫と過ごした自分の半生を回想するという形で展開します。
2008年のシーンでは、亡くなったはずの夫デニス(ジム・ブロードベント)が、
幻覚として彼女の周りに度々出現し、彼女に話しかけます。
おそらくは首相時代に家庭を顧みなかった彼女の、家族に対する自責の念が、
彼女に夫の幻覚を見せている、ということなのでしょうが、
ボクは意外と、この夫の幻覚は、実は幻覚ではなく幽霊なんじゃないかと思いました。
何の根拠もありませんが、その方がスッキリした終わり方だと思ったので…。

で、お目当てのメリル・ストリープの演技ですが、オスカーも納得でした。
特に80代のサッチャーを演じているところなんて、本当に老婆のような自然な演技。
これから比べれば、『J・エドガー』でエドガー長官を演じたディカプリオなんて、
なるほどオスカーにもノミネートされるはずがない、不自然な演技だったと思えてきます。
ただ惜しいのは、メリル・ストリープが演じたのは40代から80代の間だけで、
それ以前のサッチャーは若手女優アレクサンドラ・ローチが演じていることです。
ストリープだけで全年代を演じる方が面白いし、彼女ならできなくもない気がします。
もしくは回想は、ストリープが演じた教育相以降だけに絞ったらよかったです。
ボクはリアルタイムではほぼ知らないので判断できませんが、
化粧とか話し方とか研究して、サッチャーの立ち振る舞いを忠実に演じているそうですね。
サッチャーの元側近たちの話によれば、サッチャーはこんな女性ではなかったらしいけど、
当時彼女にいびられ、"鉄の女"と揶揄してた側の人たちの見解なので、
本当はどうなのかはわからないですね。
ちなみにストリープ自身も、政治思想的にはサッチャーとかなり違うそうです。
それでもちゃんとそれらしく演じれるんだからすごいですね。
とにかく演技だけは素晴らしい作品でした。

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