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TIME/タイム

祝日(ワシントン誕生日)を含む先週末の全米ボックスオフィスで、
ジブリの『借りぐらしのアリエッティ』が8位になりました。
日本の映画が全米の映画興収ランキングにランクインするのは、
かなり久しぶりなんじゃないかと思いますが、やっぱり嬉しいものです。
ベスト10入りは『崖の上のポニョ』以来じゃないかな?
日本映画はアニメ、それもジブリ映画くらいしかベスト10入りできませんが、
ジブリ作品はディズニー配給だから、ある程度信頼感があるんでしょうね。
(ポスターもディズニーぽくなってます。→全米版ポスター)

でもそれ以上に先週末の全米ボックスオフィスで気になるのは、
アメコミ映画『ゴーストライダー』のシリーズ第二弾が3位だったこと。
かなり期待していた作品ですが、ちょっと物足りない成績だと思います。
コロンビア配給ですが、なぜか日本では松竹が配給するそうで、
ソニーから見放されたのかと感じてしまいます。
しかも日本での公開は1年先だとか…。

ということで、今日は先週の日本興行収入1位の作品の感想です。
保守的な日本の映画ランキングで、本作みたいなのが1位になるとは意外でした。

TIME/タイム

2012年2月17日日本公開。
ジャスティン・ティンバーレイク主演の近未来SF・アクション・サスペンス。

科学技術が進歩したことにより老化現象を解決した近未来、25歳で生体の成長が止まると余命はあと1年という社会が構築されていた。富裕層は寿命を気にしなくていい一方、貧しい人々は寿命を延ばすためにあくせく働き続けなければならなかった。貧しい青年のウィル(ジャスティン・ティンバーレイク)は、時間と引き換えに裕福な男性を殺した容疑を掛けられ、追われる身となってしまい……。(シネマトゥデイより)



正直、かなり地雷くさいと思っていたのですが、意外と無難な出来で、
軽いテイストでなかなか楽しめる娯楽大作でした。
舞台は140年後の近未来で、遺伝子操作により人間は25歳で成長(老化)がストップし、
右腕のディスプレイが余命時間をカウントし、ゼロになれば即座に死亡しまうため、
生き続けるには通貨の代わりである余命時間を得る必要がある、という設定です。
ちょっとアイディアが独創的すぎて無理のある世界観ですが、
いくら練ったところで成立するはずのない奇抜な設定なので、
多少のツッコミどころには目を瞑ってあげましょう。
設定のあり得なさに囚われてしまうと、もうそれ以上は楽しめなくなってしまいます。
どうしても囚われる人は、余命時間が通貨の代わりになると考えると違和感があるので、
単純に余命を取引できる世界と思えば、ある程度ビリーバブルに思えるんじゃないかな?
できれば近未来が舞台と明言せずに、ハイファンタジーにしてしまった方が、
違和感を感じる人は少なくなったと思います。
今の価値基準の延長で測ろうとするので、違和感を感じてしまうんだと思うので。
(コーヒー一杯が4分なのに、バス運賃が2時間ってレートがおかしいだろ、みたいな。)

圧倒的多数である貧困層の余命時間は微々たるもので、文字通りその日暮らし。
しかし貧困層らから搾取する一部の富裕層は、ほぼ永遠に生きることが出来る状況です。
「1%の富裕層が富を独占している」とされるアメリカの格差社会のメタファーだけど、
本作自体はそれほど風刺的な内容ではないし、富裕層を批判するものでもないです。
どうせなら風刺的に描いた方が、よりタイムリーな作品として評価されそうだけど、
製作サイドはハリウッド・セレブだし、どちらかといえば富裕層ですもんね。
セレブを批判する内容になるわけがないです。
逆に言えばそんなセレブが風刺的に描けば、大衆にとって鼻につく内容になりそうだし、
あきらかに搾取される側のボクなんかも、心穏やかには楽しめなかったかもしれません。
格差社会をメタファーにしながらも、それについてのメッセージは込めないことで、
誰でも楽しめる絶妙なバランスで描かれていると思います。

まず面白いと思ったのは、余命が取引できるという設定よりも、
25歳で成長がストップするという設定ですね。
これにより、実年齢28歳の主人公と、50歳の母親の見た目年齢が変わらないように見え、
母子なのにまるで同棲するカップルのように見えます。
敵となる守銭奴セレブの家族に至っては、彼の母親も妻も娘も見た目は若い女の子で、
親子三世代なのにまるで同年代のようで、なんだか不気味な面白さがあります。
それでも実年齢は意外と重要視されるようです。(60歳の娼婦はやはりババア扱いです。)
だから登場人物は、全員外見上は25歳以下のはずですが、
主人公の親友ボレル(ジョニー・ガレッキ)なんかは、どう見てもオッサンです。
他にも老けすぎな25歳がチラホラ…。
主人公を演じるジャスティン・ティンバーレイクも、25歳というのは少し厳しいかな…。
まぁそれなりの演技キャリアのある俳優で撮ろうと思ったら、
実年齢25歳付近の俳優だけでは難しいのかもね。
それなら成長ストップを30歳くらいにしてしまえばよさそうだけど、
この25歳ってラインはけっこう絶妙ですよね。
容姿的にもピークだし、実際に大学卒業して2~3年でその後の人生が決まる気がするし。
しかし、本作は格差が固定化してしまっていて、生また場所で人生が決まるんだけど…。

設定はいくら練っても仕方がないと思うのですが、
ストーリーはもう少し練った方がよかったかなと思います。
例えば主人公ウィルの母親が、息子に30分あげてしまったために、バス代が30分足りず、
徒歩で移動する羽目になったためにタイムアウトしてしまう悲劇がありましたが、
そんな時間に支配された世界に翻弄される人々の悲喜交々のエピソードを、
もっと描いてもよかったと思います。
主人公のウィルは、時々余命時間に窮することもあるのですが、
潤沢な余命時間を持っている状態が長いし、あまり余命時間の制限が活かされません。
『アドレナリン:ハイボルテージ』のように常に逼迫していてもいいくらいです。

ウィルは大量の余命時間を手にしても、すぐに分け与えてしまう義賊的な性格ですが、
序盤で自殺志願者のセレブから1世紀余りの余命を譲られた時に、
なぜか富裕層の居住区"ニューグリニッチ"に赴き豪遊します。
そして時間監視局員(警察のような組織)に捕まり、時間をほぼ没収されてしまいます。
これでは「私の時間を無駄にするな。」と書き残し自殺したセレブが浮かばれません。
このウィルの一連の行動やその時の気持ちが全く理解できませんでした。
ヒロインであるシルビア(アマンダ・サイフリッド)が彼に恋に落ちるのも唐突すぎます。
自殺したセレブの動機も含め、序盤から中盤にかけては、
登場人物の心情がわかりにくいというか、うまく描けていない気がしました。

そんな中、時間監視局員のレオンはなかなかいいキャラです。
主人公とヒロインにとっては、計画を妨害しようとしてくる敵ですが、
融通が全く利かないほどの強い信念を持った男で、敵ながらアッパレなやつです。
死にかけたところを主人公に情けをかけてもらったことから、
最終的には主人公たちの協力者になると思っていましたが、
最後まで時間監視局員の職務を全うしようとします。
彼は本作では唯一といっていいほど買収が全く効かず、
大富豪でも思い通りには動かすことができない、かっこいい男ですね。
なのにあの退場の仕方はちょっと可哀想でした…。
彼は主人公の死んだ父親とも因縁があるみたいですが、その詳細はカットされたのかな?

その父親が得意としていた時間を賭けたゲーム"タイムバトル"ですが、
けっこう重要なものだったにもかかわらず、単なる変形腕相撲だったのは残念かな。
勝つためのコツは一応あるが、結局は腕力勝負だし。
大富豪から10世紀も勝ち取ったポーカーにしても、結局は運勝負だったし、
どうせ金持ちや悪者から奪うなら、『カイジ』みたいに運や腕力だけではなく、
戦略で騙し取るくらいのことをしてほしいと思いました。

アイディア先行で、テーマやメッセージ性がないので、薄っぺらい印象は否めないけど、
お気楽な娯楽映画として概ね楽しかったので、満足です。
余談ですが、日本語吹替え版でのヒロインの声のキャストはAKB48の篠田麻里子だとか。
たしか『紙兎ロペ』のアキラ先輩のお姉さん役の子ですよね。
ボクはちゃんと字幕版で観賞したので、彼女の演技については何も言えませんが、
25歳の人気者ってことで抜擢されたそうで、その経緯は安易すぎると思います。
でもAKBのシングルの売れ方の異常さを思えば、本作の興行収入初登場1位に、
彼女の人気が少なからず影響をしている気もします。
これで配給会社が味を占めなければいいのですが…。
そういえば、彼女は本作のCMで「ちょっと羨ましい設定」って言ってました。
ボクからすると悲惨な世界でしかないと思いますが、セレブは見え方が違うんだろうなぁ。

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