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ものすごくうるさくて、ありえないほど近い

いよいよ現地時間の今週末、第84回アカデミー賞の授賞式が開かれます。
去年度は、ボクでも主要6部門中、監督賞以外は易々と予想的中してしまった
超順当な受賞結果でしたが、本年度はちょっと予想しにくいかも…。
とりあえず今年も、本年度の主要6部門の最優秀賞の予想を書き残しておきます。
まだほとんど観ていない(日本公開されていない)作品であるため、
前評判等から、あくまでオスカーを獲りそうだという予想であり、
ボクが受賞が妥当だと思っている人(作品)を挙げているわけではないです。
アカデミー会員は94%が白人、77%が男性、平均年齢62歳らしいので、
その辺りも考慮しての予想です。

作品賞予想:『ヒューゴの不思議な発明』
監督賞予想:マーティン・スコセッシ『ヒューゴの不思議な発明』
主演男優賞予想:ジャン・デュジャルダン『アーティスト』
主演女優賞予想:メリル・ストリープ『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』
助演男優賞予想:クリストファー・プラマー『人生はビギナーズ』
助演女優賞予想:オクタヴィア・スペンサー『ヘルプ ~心がつなぐストーリー~』

ということで、今日は作品賞と助演男優賞ノミネート作の感想です。
おそらく無冠に終わるでしょう。

ものすごくうるさくて、ありえないほど近い

2012年2月18日日本公開。
トム・ハンクス、サンドラ・ブロック共演のヒューマン・ドラマ。

911の同時多発テロで、大切な父(トム・ハンクス)を亡くした少年オスカー(トーマス・ホーン)。ある日、父の部屋に入ったオスカーは、見たことのない1本の鍵を見つける。その鍵に父からのメッセージが託されているかもしれないと考えたオスカーは、この広いニューヨークで鍵の謎を解くため旅に出る。(シネマトゥデイより)



日本で公開された本年度アカデミー作品賞ノミネート作は、本作でまだ3本目ですが、
その3本の中では、本作が一番オスカーに相応しいと思えた、いい作品です。
主人公の少年の役名がオスカーというのはもちろん偶然ですが、
その両親にトム・ハンクスにサンドラ・ブロックと、オスカー俳優を配するという布陣は、
オスカーを狙おうという野心が透けて見えて、ちょっと冷めますが、
これなら狙えると思えるほどの題材なわけで、いい作品であることは間違いないです。
珍しく邦題もいいです。原作小説と同じ邦題なので、配給会社の手柄ではありませんが…。

9歳の少年オスカー(トーマス・ホーン)は、9.11のワールドトレードセンターのテロで、
大好きな父親(トム・ハンクス)を亡くしてしまい、
そのことが原因で母親(サンドラ・ブロック)ともギクシャクするようになります。
それから一年後、オスカーは父の遺品の中から、封筒入った謎の鍵を発見します。
彼は父が残した「調査探検」のお題であると解釈し、その鍵の鍵穴を探すことを決め、
封筒に書かれていた文字「Black」をヒントであると考え、母親には内緒で、
国税調査の資料からニューヨーク中のブラック姓の人を調べ、
その数472人216世帯にも及びますが、全員を訪ねて回ることに…、という話です。

「調査探検」とはオスカーと父親が生前にやっていた遊びで、
例えば、NYに第6行政区が存在していた証拠をセントラルパークで調査するというもの。
でも遊びというのは建前で、情緒不安定で人付き合いを苦手とする息子のために、
彼が他人と触れ合う機会を強制的に作る目論みで父親が考案したものです。
しかし父親の死によるPTSDで更に精神状態は悪化し、
アスペルガー症候群の可能性を否定できないほどの状態です。
人混みも苦手だし、テロの標的にされる強迫観念で公共交通機関も利用できません。
(本作の邦題はそんな彼の世界の見え方を表現してるんですね。)
NY中のブラックさんを訪ねるなんて、普通の子でも容易なことではありませんが、
オスカーにとっては更に困難なことなのがわかります。
それでも無理をおしてまで「調査探検」に挑むオスカーの姿に胸が打たれます。

しかし普通に考えて、その鍵が本当に父が残した「調査探検」のお題なわけはなく、
NY中のブラックさん巡りも無意味なものであろうことは想像できます。
報われないであろうことを頑張るオスカーを気の毒に思ってしまうのですが、
意図していないとはいえ、このブラックさん巡りも「調査探検」と同じ効果があり、
オスカーは強制的に人と接することになります。
中には訪ねてきたオスカーを邪険に扱う人もいますが、優しく迎えてくれる人もいます。
多くのNY市民が9.11直後の喪失感を抱えており、オスカーを励ますつもりが、
逆にオスカーから癒されることもあり、そのひとつひとつの交流が、
それだけで映画一本撮れそうなくらいの深みを感じさせました。
それにこの意図しない「調査探検」での人との出会いは、後々実を結びます。
物語なんだから当然といえば当然ですが、ボクには嬉しい誤算でした。
またこの「調査探検」には、蚊帳の外と思っていた母親も深く関与していることがわかり、
その母子の愛に涙腺崩壊です。
その他にも、終盤は怒涛の感動シーンの連発で、畳みかけるように泣かされました。

すごく精巧で感動的なラストですが、ちょっと気になるのは、
オスカーと間借り人(マックス・フォン・シドー)の間には少しワダカマリが残ったまま、
終わってしまったと思ったことです。
間借り人はオスカーの祖母の家に同居している言葉が発せない謎の老人で、
人付き合いの苦手なオスカーですが、どこか父に似た面影のある彼に心を許し、
ブラックさん巡りを手伝ってくれることになりますが、志半ばで別れることに…。
実はこの間借り人は、原作の2人の登場人物を合わせた人物らしいのですが、
それにはやはり無理があり、ラストで綺麗にまとめあげられなかったのではないかと…。
高くを求めなければ、違和感も少なく無難にまとまっているとも思うのですが、
下手すると原作のテーマの一部にもかかわる改変だったようで、原作読者からは異論も。
その間借り人を演じたマックス・フォン・シドーは、
この役でアカデミー助演男優賞の候補に選出されているので、
決して評価が低いわけではないけど、賛否両論ではオスカーは難しいかな…。

それに本作では、彼以上に主演の新人子役トーマス・ホーンの方が、
難しい役柄じゃないかと思うんですよね。
この子の頑張りは主演男優賞の候補者たちにも引けはとらないと思うけど、
候補は俳優が選ぶため、子役ってだけでシカトされ、候補にはなりません。
アカデミー賞も子役も対象にした最優秀新人賞を設けるべきだと思います。
オスカーにオスカーをあげたいです。

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