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日本列島 いきものたちの物語

カンヌ国際映画祭の独立賞で、犬を対象とした俳優賞"パルム・ドッグ"がありますが、
アメリカでもハリウッド映画やドラマに出演した犬を対象とした"ゴールデン・カラー賞"が
今年度から始まるみたいです。
その最優秀犬賞には『アーティスト』の出演犬アギーなどがノミネートされていますが、
『ヒューゴの不思議な発明』のスコセッシ監督が、『ヒューゴ~』の出演犬ブラッキーが、
最優秀犬賞にノミネートされないのは不当だと吼えました。
「アギーは愛玩犬役だけど、ブラッキーは悪役の番犬だから不当評価を受けている!」
…という主張のようです。
もともと愛犬家向けサイトの企画なので、かわいいペットが強くて当然だし、
そんなお遊び企画に目くじら立てる必要もないと思うのですが
『ヒューゴ~』は『アーティスト』のアカデミー賞でのライバルだけに、
多少とはいえオスカーの結果に影響しかねないと考えたのかも。
スコセッシ監督の主張が受け入れられて、見事ブラッキーもノミネートされましたが、
引退も決定していて、パルム・ドッグも受賞しているアギーの優位は揺るがないでしょう。
それどころか、直接対決になるため、ホントにオスカーの前哨戦視されるかも…。
ちなみに、ゴールデン・カラー賞の外国語作品賞には日本の犬もノミネートされています。

ということで、今日は動物の映画の感想です。
一応、犬も登場しますが、悪役です。

日本列島 いきものたちの物語

2012年2月4日公開。
日本列島で暮らす生き物たちを2年半にわたり密着撮影したネイチャードキュメンタリー。

ヒグマやニホンザル、イノシシ、キタキツネ、アザラシ、ニホンジカといった日本列島に生息する生き物たち。親子や家族で支え合って生きる動物たちの姿を、動物や自然をテーマに撮影するカメラマン、岩合光昭や中村征夫、嶋田忠らがとらえていく。(シネマトゥデイより)



ネイチャードキュメンタリー映画は、それほど好きなわけでもないですが、
なんだかんだで年一本ほどは観ています。
動物が好きなので、映画を観るというよりは、動物園に行く感覚ですね。
いや、動物園よりも楽しいかな。
近所にはパンダのいる動物園もあるんですが、飼育されている生の動物よりも、
映像で見る野生の動物の方が面白いような気がします。

本作はネイチャードキュメンタリー映画としては珍しく、全編日本で撮影された作品です。
去年、英BBC製作の『ライフ -いのちをつなぐ物語-』を観たとき、
世界各国で撮影された壮大な作品だったにもかかわらず、
一番楽しいと感じたのは、日本で撮影されたニホンザルのパートでした。
見たことないような珍しい動物や大自然の映像はとても興味深いものですが、
なんだかんだで身近にいる動物の愛着による楽しさの方が強いみたいです。
だから、日本のみで撮影された本作には、公開前から愛着を感じたし、楽しみでした。

まぁ身近にいるといっても、北海道に住んでいるわけではないので、
さすがに野生のヒグマやキタキツネには会ったことないです。
でも本作には嬉しいことに、うちの地元の六甲山地がロケ地のひとつになっており、
本当に身近な野生動物イノシシが登場しています。
ロケ地は北海道や青森など日本の北限か、屋久島や小笠原諸島など南の島ばかりの中、
都心にほど近いウチの地元をロケ地に選んでくれたことは嬉しい限りです。
郊外なのに野生の動物が棲む自然が残っているということで、誇らしくもあります。
まぁ町中に野生のイノシシが闊歩しているわけではないので、
会うのは年に2~3回ほどですが…。

本作は、そんな六甲山地のイノシシを含む、6か所のロケ地が主な舞台で、
"家族愛"をテーマに、そこに棲む野生動物の親子の一年を追うドキュメンタリーです。

まずはじめは知床半島のヒグマの親子の感想から。
冒頭でヒグマがシカを捕食するシーンから始まりますが、
本作は意図的に避けていたBBCの『ライフ』とは違って、残酷なシーンも多いです。
春に生まれたばかりの双子の仔グマ、ポロとポンの成長の物語ですが、
野生動物に名前を付けてしまうってのも、日本らしい演出だと思いました。
日本最大の陸上動物であるヒグマですが、仔グマはかわいいですね。
クジラを食べるシーンで、オスのヒグマが横取りに来ますが、そっちは超怖いです。
知床は世界有数のヒグマの生息地らしいけど、あんなのがいたら怖くて近寄れません。
ヒグマのパートは人気アイドル嵐の動物担当・相葉雅紀がナレーターなので、
本作のメイン的なパートだと思います。

続いて、同じく北海道から、襟裳岬のゼニガタアザラシの親子の感想。
自然の厳しさが描かれる他のパートとは違い、比較的ほのぼのした光景が描かれます。
特に夏にやってきたラッコと、仔アザラシのケンカは、ホッコリすること請け合い。
ナレーションは長澤まさみがコミカルに担当します。

続いて、六甲山地のイノシシの親子の感想。
上記のとおり、一番期待していたパートだったのですが、
主要6パートの中では一番扱いが小さいというか、雑というか…。
なにしろイノシシのパートのナレーターはガレッジセールのゴリで、
申し訳ないが本作の4人のナレーターの中では一番チープです。
北限のように厳しい環境でもないし、都会のそばで撮影も楽だっただろうし、
監督としてもそれほど思い入れは感じないのかも…。
まぁ扱いはどうあれ、イノシシの仔・ウリボウのかわいさは最強ですが…。
春には5~6匹いたウリボウの兄弟ですが、秋には2匹にまで減っており、
瀬戸内で日本一穏やかそうな六甲山地の自然も、野生動物には意外と厳しいのかも?

ここも比較的都会に近い場所ですね、釧路湿原のキタキツネの親子の感想。
なんでもキタキツネは5年ほどしか生きられないそうで、
他の野生動物に比べても成長が著しく早いです。
生まれて半年ほどで親離れし、その年の冬にはもう夫婦になるのだとか…。
キタキツネは本来夫婦で子育てするそうなのですが、本作ではシングルマザーです。
"家族愛"がテーマなので、夫婦での子育てを撮りたかったらしいけど、
なんでもオスが育児放棄して失踪してしまったようで…。
まぁ動物相手のドキュメンタリーなので、そうなんでも思い通りにはいきませんね。

ドキュメンタリーとして、どうもウソ臭いのが、下北半島のニホンザルの親子。
隻眼の母アンズと、その仔メダカ(名前)の悲劇的な物語です。
親子仲良く暮らすアンズとメダカですが、ある冬の日、アンズが行方不明になり、
急に母親を失ったメダカは一匹で厳しい冬を乗り越えなければならなくなります。
でも春から密着していたこのサルの親子が、急にこんなドラマチックな展開になるなんて、
ちょっと都合がよすぎるというか、面白くするための人為的な演出な気がします。
具体的には、撮影班が母アンズを意図的に失踪させたのではないかという疑いです。
それは考えすぎかもしれません。
しかしその後、母を失ったメダカが山里の畑に侵入した時に、
人間の飼い犬に追われたことで、メダカは群れからもハグレてしまい、
更に厳しい状況に追い込まれていく展開になります。
ここで犬をけしかけたのは間違いなく人間であり、疑いようもなく人為的な演出です。
群れからもハグレたメダカは、結局群れを見つけることはかなわず、消息不明に…。
どうも脚本ありきで意図的にメダカを追い込んだように感じられ、
ドキュメンタリーとしてウソ臭いし、なんだか不愉快な気持ちになったパートでした。
ここのナレーターは黒木瞳です。

その下北のニホンザルの好対照として描かれるのが屋久島のニホンザル。
同じ日本国内に棲むニホンザルなのに、こうも生活が違うのかと。
日本北限と南限のサル生息地なので、まず全く自然環境が違いますが、
あらためて日本の海岸線の長さというか、自然の多様性に感心します。
下北ではオスが少ないため、メスが積極的にオスにアプローチするけど、
屋久島ではオスがメスの奪い合いで、殺し合いのようなケンカを繰り広げます。
頭が割れて顔面血まみれのオスや、上唇が裂けてベロンベロンになっているオスも…。
下手な捕食シーンよりグロいシーンです。
また屋久島は台風の通り道で、台風で死んだ子ザルを離さない母ザルがいたり、
力尽きてハエがたかり、みるみる白骨化する親子サルのシーンがあったりと、
衝撃的なシーンの多いパートです。

主要6パートの他に、小笠原諸島のザトウクジラや、南西諸島のカクレクマノミなど、
サブ的な野生動物のパートもいくつかあります。
ナゲナワグモなど、あまり家族愛に関係ない生物の映像もけっこうありますね。
あ、カクレクマノミで思いだしたのですが、全く本作とは関係ないけど、
今年『ファインディング・ニモ』をデジタル3D化し、公開するそうですよ。

世界中の映像を集めた『ライフ』や『オーシャンズ』に比べたら、
野生動物の種類は地味だし少ないけど、小さな島国ひとつで、
銀世界、サンゴ礁、ホタル、桜や紅葉、台風のような災害も含めて、
これほど豊かで多様な自然の風景が撮れることが素晴らしいです。
こんな国は日本をおいて他にはないはず。
それを再確認できるだけでも観る価値のあるネイチャードキュメンタリーだと思います。

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