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最終突撃取材計画

今日から12月です。
「今年はクリスマス映画が少ない」という話を前に書きましたが、
DVDスルーになる映画にはそこそこあります。
明日も『サンタクロースになった少年』『ナイトメア・オブ・サンタクロース』
『ゼウス ~クリスマスを守った犬~』など、クリスマス映画がリリースになるはずです。
レンタルビデオ屋に行けば、クリスマス映画コーナーが展開されてたりして、
過去の名作クリスマス映画がズラッと並んでいます。
映画館で観るクリスマス映画もいいけど、おウチでゆっくりDVDを見るのもいいかもね。

ということで、今日はDVDスルーになった『クリスマス・キャロル』のパロディの感想です。
でも内容は12月24日・25日ではなく、7月4日を意識したものです。

最終突撃取材計画

2011年11月25日リリース。
『最狂絶叫計画』シリーズのデヴィッド・ザッカー監督による最新作。

独立記念日を撤廃する運動を始めた反米感情の強いドキュメンタリー作家の目の前に、アメリカ史上の重要人物ジョージ・ワシントン、パットン将軍、カントリシンガーのトレース・アドキンスの3人が精霊となって現れ、彼を愛国者に変えようと試みる。一方でアラブのテロリストたちはそんな彼を使い、テロを正当化する作品を作らせようとするが…。(オリコンより)



本作はホラー映画のパロディである『最終絶叫計画』シリーズや、
アメコミ・ヒーロー映画のパロディである『最笑超人列伝』などを手掛けた、
デヴィッド・ザッカー監督によるコメディ映画ですが、
そんなキャリアでもわかるように、彼はパロディを得意とする監督です。
本作もマイケル・ムーア監督のドキュメンタリー作品のパロディ映画のようですが、
実際は作品のパロディというよりも、ムーア自身のパロディといった感じ。
というか、時事ネタを揶揄することが主体のコメディで、パロディ的な要素は薄いです。
(ボクの知識が足りないだけかもしれないが、)映画のパロネタもほとんどなく、
気づいた範囲では『gree』や『CSI』など海外ドラマネタが多少ある程度です。
いつもの企画ものではなく、映画としてかなり真っ当なブラック・コメディだと思います。

物語は対テロ戦争の時事ネタから始まります。
タリバンのテロリスト、アハメドとモハメットとは、
アフガニスタンがアメリカナイズされ、民主的な大統領選挙が行われたりなど、
反米意識が薄れ、イスラム過激派のなり手も減る一方の祖国の現状を憂い、
自爆テロの募集広告ビデオ(またはジハード映画)を制作することを決めます。
その監督として白羽の矢を立てたのが、一応オスカー監督でもあり、
反米ドキュメンタリー映画を撮り続けているマイケル・マローン監督でした。
もちろんこのマローン監督はマイケル・ムーアがモデルです。(風貌も似てますね。)

そんなテロリストの企みをまだ知る由もないマローン監督は、
アメリカの医療制度を斬る新作『くたばれアメリカのブタども』を撮り、完成させます。
この映画は『シッコ』がモデルですね。
しかしこの映画はボックスオフィス・トップ10にも入れず、大コケ…。
社会派映画の祭典「Moove Along Film Awards」では、
ドキュメンタリー部門のレニ・リーフェンシュタール賞を受賞するも、
グランプリである最優秀監督賞ではジョージ・マローニー監督の
ノンフィクション・ドラマ映画『あくどいマッカシー』に破れます。
こちらのモデルはジョージ・クルーニーの『グッドナイト&グッドラック』ですね。
そのことでマローンはドキュメンタリー映画に限界を感じ、
フィクションで反米映画を撮りたいと考えるようになります。
そこに資金提供を申し出たのが、件のアハメドとモハメットたちでした。

マローン監督はオスカーを取ってますが、それもドキュメンタリー部門での受賞です。
アメリカのオスカー事情はよく知りませんが、本作を見る限りでは、
ドキュメンタリー部門のオスカーはかなり軽視されているみたいですね。
それでもオスカーには変わりなく、受賞はすごいことじゃないかと思うのですが、
あの環境テロ映画『ザ・コーヴ』でも受賞できたことを思えば、
ドキュメンタリー部門のオスカーが軽視されているのも納得です。

本作の原題は『アメリカン・キャロル』であり、
前述の通り基本的な構成は小説『クリスマス・キャロル』を踏襲しています。
なのでひねくれ者スクルージ役が主人公のマローン監督であり、
アメリカを独裁国家と称し、独立記念日廃止デモを催そうとする売国奴の彼を、
3人の精霊たちが導くことで、愛国心を目覚めさせ、改心させるという話です。
その精霊というのが歴史上の人物の亡霊なのが本作の面白いところです。
まず始めにやってくる過去の精霊はパットン将軍。
パットン将軍は愛国心があるというよりも戦争が大好きなことで有名ですが、
マローンを連れて過去に戻り、第二次世界大戦でヒトラーと英国首相が対話する姿を見せ、
戦争を避け対話することの無意味さを説いたり、
南北戦争がなければ黒人の奴隷制が続いていたなどと、戦争を肯定します。
次に現れたのが現在の精霊、初代米国大統領ジョージ・ワシントン。
彼はマローンに9.11のグランドゼロの惨状を見せ、
これでも対テロ戦争に反対できるのか問います。
最後に現れる未来の精霊は、なぜかカントリー歌手のトレイス・アドキンスです。
彼はマローンが反米映画を撮り続けた結果、
ビン・ラディンに乗っ取られた未来のハリウッドの姿を見せます。
それによりマローンは改心し、独立記念日廃止のデモを自ら台無しにして、
さらに独立記念日のコンサートで起こる自爆テロを阻止することになります。
マローンに3人の精霊が訪れることを告げたジョン・F・ケネディの亡霊は、
さしずめスクルージの共同経営者マーレイに当たるかな。

この『クリスマス・キャロル』のブラックなアレンジは面白いと思うのですが、
ちょっと思想が偏りすぎで、あまり共感は覚えない内容です。
疑似マイケル・ムーアである主人公をスクルージ(エゴイストの代名詞)と称し、
売国奴扱いして扱き下ろすのが目的の作品ですが、
ムーアも本作のマローンも、ボクには憂国の人に見えます。
劇中に登場するキリスト教陰謀論の反米活動家は紛れもなく売国奴だと思うけど、
マローンは反米の売国奴どころか、人一倍愛国心は強いように思います。
今は亡きデニス・ホッパーやレスリー・ニールセンが出演していることから、
本作がけっこう前に製作された作品であることはわかると思いますが、
本作は全米で2008年に公開された作品。
日本でこうしてリリースされるまでに3年もかかってしまいましたが、
この3年で情勢はかなり変わり、当時は戦争に賛成していた人も多かったかもしれないが、
世論によりオバマ政権は今年中にイラクから撤退することを決定し、軍縮の傾向です。
マイケル・ムーア監督も『キャピタリズム』を最後にドキュメンタリー映画から
引退を示唆しており、オバマ政権後はあまり反米的な活動はしていません。
だから今となっては時代錯誤を感じてしまう内容なんですよね。

とはいえ、本作はあくまでコメディであり、面白ければなんでもありで、
製作者の思想を説くのが目的の社会派映画ではない気もします。
(ただ障害児に対する暴力は面白いとは思わないけど…。)
ブラック・ユーモアはちょっと多めですが、
他のパロディコメディ映画よりも下ネタが少ないのはよかったです。

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