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レア・エクスポーツ 囚われのサンタクロース

どんどん寒くなってきて、いよいよ冬って感じですが、
街では徐々にクリスマスの飾りが目につくようになってきました。
残念ながら、去年に引き続き、今年もクリスマス映画は少なさそうです。
パッと見た感じではアニメ映画『アーサー・クリスマスの大冒険』くらいしかないかな?
公開規模は小さいけど、ヨーロッパ映画『クリスマスのその夜に』もありますね。
あと邦画では『クロサワ映画2011』が、一応クリスマス映画なのかも。
う~ん、今後公開されるのはその3本くらいですかね。
もっとシーズンごとに季節感のある映画がいっぱい公開されるといいんですが…。
今年はクリスマス映画ではないのですが、
大晦日映画『ニューイヤーズ・イブ』に期待してます。

ということで、今日は一風変わったクリスマス映画の感想です。

レア・エクスポーツ 囚われのサンタクロース

2011年10月8日日本公開。
サンタクロースの国、フィンランドが贈るクリスマス・ダーク・ファンタジー。

ピエタリ(オンニ・トンミラ)は、トナカイ猟と解体販売で生計を立ている父(ヨルマ・トンミラ)とフィンランド北方の町で暮らしている。人里離れたその場所ではある企業の指揮のもと、その昔封印されたという本物のサンタクロースの発掘作業が行われていた。そしてクリスマスイブ当日、地元の子どもたちが次々と失踪(しっそう)するという事件が起きる。(シネマトゥデイより)



本作はクリスマスやサンタクロースを題材にした物語ですが、
クリスマス映画らしいロマンチックさは皆無の映画となっています。
なにしろ子どもたちにプレゼントを配る好々爺的なサンタの一般的なイメージとは全く違い、
ゾンビ染みたサンタが群れで村を襲撃し、子どもたちを攫っていく話ですからね。
ジャンルとしてはホラー映画ってことになるんじゃないかな?

本作はフィンランド映画ですが、サンタといえばフィンランドを代表する名物。
そんな国の至宝を、こんな化け物として描いてしまっても大丈夫なの?って感じですが、
そんなことが平然とできてしまう寛容さこそが、サンタの国ならではなのかも。
こんな発想自体、他の国ではなかなか出ないだろうし。

そんなある意味シュールな設定のホラー映画である本作ですが、
意外とカルト臭さはなく、誰でも楽しめそうな感じに仕上がっています。
主人公も子どもだし、そんな子どもが活躍するファミリー向けアドベンチャーです。
血生臭くてグロめなシーンも多々ありますが、案外親子で見れる作品です。
ホラーとはいえ笑えるところもいっぱいあります。
ロマンチックな聖夜に、あえてこれを見るのはどうかと思うけど、
一見の価値はある面白い作品だと思います。

北フィンランドの田舎の村に住んでいる主人公ピエタリ(オンニ・トンミラ)は、
サンタを信じる純真な少年です。
しかしある日、彼は「サンタクロースの真実」という本を読んでしまいます。
その本に描かれたサンタは、2本の角が生えた老人で、その姿はまるで悪魔のよう。
雪の上を裸足(というか全裸)で歩き回り、悪い子を捕まえては八つ裂き、
或いは大釜で煮て殺してしまうと書かれています。
それを読んだ純真なピエタリはすっかり信じてしまい、
その日以来、一日中、寝ている時さえも常にホッケーの防具を着て猟銃を装備し、
数日後に迫ったクリスマスの、サンタの襲来に備えます。

なんだか悪い子を襲うなんて、ナマハゲみたいなサンタですね。
サンタのモデルは一般的に聖ニコラウスという聖人とされていますが、
本作のサンタはそんなキリスト教的な出自ではないようです。
でも完全に本作のオリジナルという設定ではなく、ヨーロッパの地方によっては、
いい子にはプレゼントを贈るが、悪い子にはお仕置きすると伝わっているサンタもいるとか。
日本のサンタは悪い子のところには来ないだけですが、
子どもに信賞必罰を躾けるにはいいサンタですね。
もっとも、本作のサンタはいい子にプレゼントを贈ることはなく、
子どもはとりあえず片っ端から連れ去ってしまう、完全な化け物ですが…。

ピエタリが恐ろしいサンタに備えている頃、
村にほど近いロシアとの国境のコルヴァトゥントゥ山では、
アメリカの採掘業者サブゼロ社が、地質調査という名目で山を掘り返していました。
大昔にラップランドのサミ人が、サンタを氷漬けにしそこに埋めたらしく、
サブゼロ社の目的は、本物のサンタの墳丘墓であるコルヴァトゥントゥ山を暴き、
本物のサンタの遺体を盗掘することです。

しかし、掘り出されたモノはまだ生きており、アメリカ輸送前に逃走。
400匹を超えるトナカイを惨殺し、ピエタリの村でなぜか大量のストーブと布袋を盗みます。
そのモノはピエタリの家にも接近してきますが、
パパ(ヨルマ・トンミラ)が庭に仕掛けたオオカミ用の罠(落とし穴)にかかってしまい、
翌日パパに捕獲されてしまいます。

捕獲されたそのモノは、一見ただの老人で、パパはサブゼロ社の作業員だと思うのですが、
ピエタリは友人のユーソをはじめ、村の子どもが全員行方不明になっていることに気づき、
その捕獲した老人は、自分を攫いに来たサンタであるとパパに告げます。
それを聞いたパパはサンタを人質に、サブゼロ社に身代金を要求。
しかしそれはサンタではなく、サンタの助手の妖精の一匹だった…。

本物のサンタはまだ氷漬けになったままで、助手の妖精たちの手で解凍中。
その近くには誘拐された村の子どもたちも捕えられており、
ピエタリやパパたち村人はそれを発見するも、
その周りを200匹近い妖精に包囲されてしまい、絶体絶命のピンチです。
そこでピエタリは一計を案じ、自分をおとりにしたサンタ大量捕獲作戦を実行する、
…というようなストーリーです。

氷漬けの本物のサンタの方はピエタリが本で見たような2本角の悪魔のような怪物ですが、
予想外にデカかったです。
妖精の方は前述のとおり普通の老人で、一般的なサンタのような白髭を蓄えています。
一見すると、やっぱり妖精の方がサンタっぽいし、村人がサンタと思ったのも無理からぬこと。
ヨーロッパのある地方では、サンタがグランプスという2本角の怪物を連れているという
伝承もあるようで、本作の本物のサンタはその怪物がモデルじゃないかなと思います。
まぁ見た目はサンタとそれに同行する妖精(怪物)がテレコになってますが…。
でも本作の妖精はサンタっぽいとはいえ、真っ裸の薄汚い老人です。
(ホントに全裸で、股間にはボカシがかかっています。)
それが何百人も極寒の雪の中を走り回っているのだから、
下手なゾンビの大群よりも不気味です。
ただ、怖いというよりはシュールで滑稽ですね。
行動も単純で、ピエタリにそこを突かれ、一網打尽にされます。

そこが本作のクライマックスなのですが、本当に面白いのはこの後です。
捕獲された妖精たちは村人によってサンタとして調教され、お馴染みの赤い服を着せて、
レア・エクスポーツ(希少輸出品)として世界各国に売り飛ばされます。
フィンランドの名物であるサンタが、実際にフィンランドの特産物になって輸出されるという、
なんともシュールで面白いラストですね。
ただ発掘された山は国境を超えたところにあり、厳密にはロシア産ですが…。

でもこれって、商品が妖精とはいえ、傍目には人身売買そのものですよね。
ある意味、殺人サンタより恐ろしい、村人の商魂…。
序盤でも、自分の仕掛けた落とし穴に落ち、串刺しになってった妖精を見たパパが、
その殺人の隠ぺいのために、その妖精を解体しようとするシーンがあります。
妖精を人質にして身代金を要求するところもそうだけど、
人の業をうまく描いてあり、なんだかリアルで興味深い展開です。
ゾンビのような妖精や悪魔のようなサンタの恐ろしさを描いたホラーというよりは、
利己的な人間の欲深さを描いたブラック・コメディなのかもしれません。

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